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売上はあるのに、なぜか利益が残らない。外構工事の見積もりを「自社の平均1人工」から見直す


外構工事の仕事はある。

現場も忙しく、

売上も上がっている。

それなのに、

思ったほど利益が残っていない。

そのような状態に、

心当たりはないでしょうか。

必要な原価を回収できていなければ、

仕事を増やしても、

忙しさだけが増えていきます。

原因は、

仕事の量ではなく、

見積単価のつくり方にあるかもしれません。

この記事は、

見積金額に自信を持てない方や、

売上はあるのに利益が残らない原因を知りたい、

外構会社の経営者へ向けて書いています。

会社全体の数字から「自社の平均1人工」を計算し、

必要な原価と利益を踏まえて、

見積もりを組み立てる方法をお話しします。

読み終えたときには、

相場だけに頼るのではなく、

自社の数字を基準にした、

根拠のある見積もりを考えられるようになるはずです。

なお、

今回ご紹介するのは、

自社の原価を把握し、

見積単価を考えるための一つの方法です。

会社の体制や会計処理、

経費をどの項目から回収するかによって、

平均1人工へ含める費用は変わります。

大切なのは、

すべての会社が同じ計算をすることではありません。

自社が負担している費用を把握し、

どの費用を、

どこで回収するのかを明確にすることです。



第1章 相場だけでは、自社が回収すべき金額は分からない

外構工事の見積もりでは、

地域の相場や、

これまで受注できた単価を参考にすることがあります。

もちろん、

相場を知ることは必要です。

しかし、

同じ外構工事会社であっても、

抱えている人員や設備、

毎月かかる会社経費は違います。

社員一人に支払う日当や給与だけを見て、

1人工の金額を決めることはできません。

給与以外にも、

賞与や各種手当。

社会保険料の会社負担分。

有給休暇中に支払う賃金。

事務所や資材置場の維持費。

車両や設備にかかる費用。

現場以外の業務を行う人の人件費。

会社を運営するために、

さまざまな費用が発生しています。

例えば、

社員へ一日1万5,000円を支払っているからといって、

見積もりの1人工を1万5,000円にすればよいわけではありません。

その金額では、

給与以外の費用を回収できないからです。

見積もりを考えるときに使う1人工は、

社員へ一日いくら支払うかだけではなく、

社員が一日現場で働いたときに、

会社としていくら回収しなければならないのか。

その考え方から決める必要があります。


第2章 自社の平均1人工を、会社全体の数字から計算する

自社の平均1人工を考えるために、

まず確認するのは、

現場で働く社員全員の年間人件費です。

給与。

賞与。

各種手当。

社会保険料などの会社負担分。

現場社員のために、

会社が一年間に負担する費用を確認します。

次に、

特定の現場へ直接計上していない会社経費のうち、

平均1人工を通して回収する費用を確認します。

事務員や役員など、

現場以外の業務を行う人の人件費。

事務所や資材置場の家賃。

水道光熱費。

通信費。

税理士などへの報酬。

工事保険や賠償責任保険などの保険料。

会計ソフトやシステムの利用料。

特定の工事へ直接計上していない、

車両や設備の維持費。

こうした共通経費も、

最終的には工事の売上から回収しなければなりません。

ただし、

会社経費のすべてを、

平均1人工へ含めなければならないわけではありません。

材料の販売価格や、

重機費、運搬費、諸経費など、

別の項目から回収する費用があれば、

平均1人工へ重ねて含めないようにします。

平均1人工を通して回収する費用の合計を、

現場社員全員が一年間で、

実際に現場作業へ充てられる総人工数で割ります。

(現場社員全員の年間人件費+平均1人工で回収する年間共通経費)÷年間で現場作業に充てられる総人工数=自社の平均1人工

例えば、

現場社員全員の年間人件費が1,000万円。

平均1人工で回収する年間共通経費が600万円。

年間で現場作業に充てられる総人工数が、

800人工だったとします。

(1,000万円+600万円)÷800人工=2万円

この会社の場合、

現場社員が1人工働いたときに、

平均2万円を回収しなければ、

計算に含めた人件費と共通経費を負担できません。

ただし、

ここで出した2万円は、

そのまま見積書へ記載する人工単価ではありません。

工事ごとの人工原価を考えるための、

社内基準です。

また、

材料費や外注費。

重機の使用料や回送費。

残土や廃材の処分費など。

個別の現場へ直接計上する費用は、

平均1人工とは別に積み上げます。

同じ費用を、

平均1人工と現場ごとの原価の両方へ入れれば、

二重に計算することになります。

反対に、

どこにも含めていなければ、

その費用を回収できません。

どの費用を平均1人工へ含め、

どの費用を現場ごとに計上するのか。

社内で基準を決めておくことが大切です。


第3章 年間の現場稼働人工数を見誤らない

平均1人工を計算するときに、

特に注意したいのが、

年間で現場作業に充てられる総人工数です。

社員が会社へ出勤した日を、

すべて現場作業に充てられるわけではありません。

会社で打ち合わせをする日。

安全教育や講習を受ける日。

現場調査や見積もりを行う日。

仕事と仕事の間が空く日。

有給休暇を取得する日もあります。

こうした日まで含めて、

すべて現場で稼働できる人工として計算すると、

平均1人工は実際より低くなります。

例えば、

本来は年間800人工しか、

現場作業に充てられない会社が、

1,000人工として計算すれば、

平均1人工は安くなります。

その単価で仕事を受け続ければ、

現場は忙しくても、

人件費や会社経費を十分に回収できません。

年間の現場稼働人工数は、

理想の稼働日数から考えるのではなく、

過去の出勤簿や日報、

工事ごとの実績などから確認します。

平均1人工は、

人件費や会社経費だけで決まるものではありません。

一年間に、

実際に何人工を現場作業へ充てられるのかによっても、

大きく変わります。


第4章 工事を作業ごとに分け、必要な人工を計算する

自社の平均1人工が分かっても、

それだけで見積金額が決まるわけではありません。

次に必要なのは、

一つの工事に何人工かかるのかを把握することです。

例えば、

100㎡の土間コンクリート工事であれば、

一つの工事としてまとめて考えるのではなく、

作業ごとに分けます。

水盛・遣り方。

掘削・残土搬出。

砕石の敷均しと転圧。

型枠組立とワイヤーメッシュの敷設。

生コンクリートの打設と仕上げ。

型枠ばらしと埋戻し。

片付けと清掃。

それぞれの作業に、

何人で何日かかるのかを考えます。

作業人数×作業日数=必要人工数

必要人工数が出たら、

自社の平均1人工を掛けます。

必要人工数×自社の平均1人工=人工分として回収すべき金額

自社の平均1人工が2万円で、

工事全体に10人工必要であれば、

人工分として回収すべき金額は20万円です。

10人工×2万円=20万円

この20万円は、

会社が負担する人件費や、

平均1人工へ含めた共通経費を回収するための金額です。

そのまま会社の利益になるわけではありません。

また、

工事の原価は人工だけではありません。

コンクリートや砕石などの材料費。

協力業者へ支払う外注費。

重機の使用料や回送費。

運搬費。

残土や廃材の処分費。

養生材や消耗品。

現場ごとに発生する費用を、

人工分とは別に積み上げます。

一つひとつは少額でも、

複数の費用が抜ければ、

工事全体では大きな金額になります。

見積もりでは、

その工事を終えるまでに、

何人が何日動き、

何が必要になるのかを考えることが大切です。


第5章 原価を数量で割り、自社の基準単価をつくる

必要な人工分と、

現場ごとに発生する費用を積み上げると、

工事全体の原価が見えてきます。

100㎡の土間コンクリート工事であれば、

その原価を100㎡で割ることで、

自社の1㎡当たりの原価を確認できます。

工事全体の原価÷施工数量=数量当たりの原価

これは、

周囲の相場から決めた単価ではありません。

自社の施工に必要な人工と、

自社が負担する費用から計算した単価です。

ただし、

100㎡の工事から出した単価を、

すべての現場へそのまま使えるわけではありません。

同じ100㎡でも、

現場の形や高低差。

掘削する深さ。

処分する残土の量。

必要な型枠の長さ。

重機や生コンクリート車の搬入条件。

施工場所までの移動距離。

必要な養生の範囲。

こうした条件によって、

必要な人工や費用は変わります。

数量当たりの単価は、

見積もりを効率よくつくるための基準です。

基準単価を当てはめるだけではなく、

現場条件に合わせて、

必要な人工と費用を見直す必要があります。

また、

自社の原価に必要な利益を加えた金額が、

周囲の相場より高くなることもあります。

その場合も、

受注するために金額だけを下げるのではなく、

必要人工を多く見ていないか。

材料の仕入れ方を見直せないか。

施工方法や工事範囲を変更できないか。

まず、

原価の中身を確認します。

それでも利益を残せないのであれば、

その金額で受注するべきかを、

判断しなければなりません。

相場は、

お客様や取引先に受け入れられる金額を考えるための基準です。

自社の原価は、

その仕事を受けて利益を残せるかを判断するための基準です。

どちらか一方だけではなく、

両方を見ることが必要です。


第6章 見積金額の20%を利益として残すなら、原価に20%を掛けるわけではない

工事の原価が分かったら、

会社として必要な利益を加えます。

ここで注意したいのが、

「原価に20%を上乗せすること」と、

「見積金額に対して20%の利益率を確保すること」は、

同じではないということです。

原価が1万円の場合、

原価に20%を上乗せすると、

1万円×1.2=1万2,000円

利益は2,000円です。

しかし、

見積金額1万2,000円に対する利益率は、

2,000円÷1万2,000円=約16.7%

になります。

見積金額に対して、

20%の利益率を確保したい場合は、

1万円÷0.8=1万2,500円

です。

この場合、

利益は2,500円になります。

2,500円÷1万2,500円=20%

見積金額に対して、

目標とする利益率を確保する場合は、

次の式になります。

原価÷(1-目標利益率)=見積金額

この記事でいう利益率は、

見積金額に占める、

「見積金額から社内で計算した原価を引いた金額」の割合です。

会社経費の配分方法によっては、

会計上の売上総利益率や営業利益率と、

同じ数字にはなりません。

「20%の利益を乗せる」

という言葉だけでは、

原価に対して20%なのか、

見積金額に対して20%なのかが分かりません。

何に対する利益率なのかを、

社内で統一しておく必要があります。

なお、

20%は計算方法を説明するための例です。

必要な利益率は、

工事内容や会社の経営状況、

想定されるリスクによって変わります。


第7章 社内の原価計算と、見積書の表示を分けて考える

2025年12月に示された、

改正建設業法に基づく「労務費に関する基準」では、

建設事業者に対して、

労務費や材料費、

法定福利費の事業主負担分、

建設業退職金共済制度の掛金、

安全衛生経費などの内訳を記載した見積書を、

作成することが求められています。

ただし、

別項目として記載した金額が、

そのまま会社の利益になるわけではありません。

平均1人工を計算するときに、

会社経費や社会保険料の会社負担分を含めている場合は、

見積書でも同じ費用を重ねて加えていないか、

確認する必要があります。

反対に、

平均1人工へ含めていない費用であれば、

どの項目から回収するのかを、

決めなければなりません。

社内で行う原価計算と、

お客様や取引先へ提出する見積書の表示方法は、

同じ形である必要はありません。

例えば、

平均1人工に社会保険料の会社負担分を含めながら、

見積書では法定福利費を内訳として明示することもできます。

その場合は、

すでに計算した見積総額の中から、

法定福利費に当たる金額を分けて表示するのか。

平均1人工には含めず、

別項目として加えるのか。

社内の計算方法を統一しておく必要があります。

法定福利費を内訳として明示し、

必要な金額を確保する考え方や、

見積書の作成方法は、

国土交通省から示されています。

参考:

国土交通省「各団体が作成した標準見積書」

国土交通省「労務費等を内訳明示した見積書で、新たな商習慣の定着へ!」

大切なのは、

どの費用を、

どこで回収する計算になっているのかを、

社内で把握しておくことです。

見積書が完成したら、

個別の項目だけではなく、

見積書全体でも利益率を確認します。

(税抜見積総額-総原価)÷税抜見積総額=見積書全体の利益率

利益率を確認するときは、

消費税を除いた税抜金額を基準にします。

諸経費を記載したから、

利益が確保できている。

法定福利費を別に記載したから、

その分だけ利益が増えている。

そう考えるのではなく、

すべての原価を含めたうえで、

見積書全体に必要な利益が残っているかを、

確認することが大切です。


第8章 見積もりと実績を比べて、自社の単価を育てる

見積もりは、

提出して終わりではありません。

工事が終わったあとに、

見積もりと実績を比べることで、

次の見積もりに生かせるようになります。

予定していた人工数と、

実際にかかった人工数。

見積もっていた材料の数量と、

実際に使用した数量。

予定していた重機や車両の日数と、

実際にかかった日数。

見積もっていた運搬費や処分費と、

実際にかかった金額。

見積もりで想定していた利益と、

最終的に残った利益。

これらを比較します。

利益が残らなかったときも、

「思っていたより大変だった」

で終わらせてはいけません。

どの作業に、

予定より多くの人工がかかったのか。

何の費用が、

見積もりから漏れていたのか。

現場条件による手間を、

どこで見誤ったのか。

平均1人工が、

現在の人件費や会社経費に合っていたのか。

原因を数字で確認します。

社員の技術が上がれば、

同じ工事でも、

必要な人工数は少なくなることがあります。

給与や会社経費が上がれば、

平均1人工も変わります。

材料費や処分費も、

同じ金額のままではありません。

年間で現場作業に充てられる人工数も、

受注状況や会社の体制によって変わります。

だからこそ、

一度つくった単価を、

何年もそのまま使い続けるのではなく、

実績に合わせて見直す必要があります。

見積もりと実績の比較を繰り返すことで、

自社の単価は、

少しずつ現実に合ったものへ変わっていきます。


最後に

売上があることと、

利益が残ることは同じではありません。

仕事を多く受けても、

必要な原価を回収できていなければ、

忙しさだけが増えていきます。

まず、

会社全体の数字から、

自社の平均1人工を確認する。

次に、

工事を作業ごとに分け、

必要な人工と、

現場ごとに発生する費用を積み上げる。

その原価に、

会社を続けるために必要な利益を加え、

見積書全体で利益が残る計算になっているかを確認する。

平均1人工を出すことは、

見積金額の答えを出すことではありません。

自社が回収しなければならない金額を知り、

利益が残らない原因を見直すための、

一つの基準を持つことです。

見積もりは、

相場の単価を当てはめるだけの作業ではありません。

自社が実際に負担する原価を把握したうえで、

その仕事をいくらで受けるのかを判断することが大切です。

売上はあるのに、

なぜか利益が残らない。

その状態から抜け出すための最初の一歩は、

自社の数字を知ることだと思っています。



経験は、最高の教科書。

一つひとつの経験を、次の誰かの力へ。

RooFraでは、これからも現場と経営のリアルを発信していきます。


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