見出し画像

🐓フォー・チャンキム|ベトナム食文化🇻🇳フォー編 ẨmThựcViệtPedia|Phở Tráng Kìm

🇻🇳【ベトナム食文化コラム】天空の岩石高原が育んだ幻のご当地麺!ハザン省の「フォー・チャンキム」の秘密 ◆ 

これまでのコラムでは、ハノイ発祥の伝統的なフォーや、中国国境の甘酸っぱいフォーチュアなどをご紹介してきました。 今回は、ベトナム最北端の秘境、壮大な大自然が広がる「旧ハザン省(現トゥエンクアン省、Hà Giang / Tuyên Quang)」へと足を運びます。

ユネスコ世界ジオパーク 「ドンヴァン岩石高原」(Cao nguyên đá Đồng Văn)への入口、チャンキム

天空の岩石高原へと続く曲がりくねった道の途中で、地元の人々や旅人の胃袋を鷲掴みにしている幻のご当地フォーがあります。 それが、ターメリックで黄金色に輝く地鶏と、手作りのモチモチ太麺が特徴の「フォー・チャンキム(Phở Tráng Kìm)」です。極寒の山岳地帯ならではの野性味と温もりが詰まった一杯の秘密を紐解いてみましょう。


■ 語源と舞台:岩石高原の入り口「チャンキム村」

まずは名前の由来から見ていきましょう。

  • Phở(フォー): 平打ちの米粉麺

  • Tráng Kìm(チャンキム): 旧ハザン省クアンバ県にある村の名前(地名)

↑ 朝霧による水が豊かなチャンキム村 ↓

直訳すると「チャンキム村のフォー」となります。 ハザン市の中心部からドンヴァン岩石高原(ユネスコ世界ジオパーク)へと向かう途中に位置するこの小さな村で、古くから受け継がれてきた名物料理です。今ではハザンを訪れるバックパッカーや長距離ドライバーにとって、旅の途中で絶対に外せない朝食スポットとなっています。


🏨【筆者オススメ】🛵
チャンキムで一番おすすめの宿はこちら

モン族の文化をリゾートクラスまで昇華させた「H'mong Village Resort Ha Giang」

■ 味わいの魅力:黄金色の地鶏と「風干し」の手作りモチモチ麺

このフォーの最大の魅力は、すべてが手作業で作られる「麺」と、食欲をそそる「黄金色のスープと肉」にあります。

山を駆け回った筋肉質の地鶏

味の決め手となるのは、山の斜面を駆け回って育った健康な「地鶏(Gà đồi)」です。この地鶏をターメリック(ウコン)と一緒に茹で上げることで、肉の臭みが消え、皮も肉も美しい黄金色に染まります。噛み締めるほどに鶏本来の濃厚な旨味としっかりとした弾力が口いっぱいに広がります。 合わせるスープは、豚や牛の骨、鶏ガラをじっくりと煮込み、カルダモン(草果)や八角、シナモン、生姜など、山岳地帯ならではのスパイスを効かせています。冷えた身体を芯から温める、少し脂の乗ったパンチのある味わいです。

手作りバンフォー

さらに、このフォーのアイデンティティとも言えるのが「手作りの麺(Bánh phở)」です。 チャンキムのフォーは、高地で育ったお米(Gạo nương)を女性たちが手挽きし、無添加のままクレープ状に蒸し上げるところから始まります。ユニークなのはその後。蒸し上がった生地をすぐに切るのではなく、竹の竿にかけて屋根の下で風に当てて干すのです(現地の言葉で「Phở treo gió=風干しフォー」とも呼ばれます)。

注文が入ってから包丁で太めにザクザクと切り分けるため、通常のフォーよりも分厚く、独特のモチモチ感と強いコシが生まれます。無添加の米本来の素朴な甘みが、濃厚なスープに負けない存在感を放ちます。


■ 食文化の背景:極寒の少数民族市場(チョーフィエン)を支える熱気

ハザン省は、モン族(H'Mông)やザオ族(Dao)、テイ族(Tày)など、多様な山岳少数民族が暮らす地域です。

毎週行われる市場が交易・交流の場

フォー・チャンキムが発展した背景には、この地域特有の「市場(Chợ phiên)」の文化が深く関わっています。山奥に住む人々は、週に一度の市場の日になると、夜明け前から何キロも険しい山道を歩いてチャンキムの市場に集まります。 厳しい寒さと長旅の疲労を癒やし、一日中市場で活動するための「強力なエネルギー源」として求められたのが、この熱々で脂の乗った肉たっぷりのフォーでした。

週一度、他の村の友達との語らいの場

手作りのモチモチ麺、山で育った力強い食材、そして冷え切った身体を温めるスパイス。この一杯は、ただ美味しいだけでなく、厳しい自然環境を生き抜く山岳民族の知恵と、手間暇を惜しまない女性たちの働き者な気質が見事に融合した「山の恵みの結晶」なのです。


■ 終わりに:ハザンを旅する者だけが味わえる至福の朝食

「バイクの冷たい風で冷え切った身体に、熱々のスープが染み渡る…」 ハザンループ(Ha Giang Loop)と呼ばれる壮大なツーリングルートに挑戦する旅人たちにとって、チャンキム村で食べるこのフォーは、過酷な旅の最高のハイライトの一つとも言われています。

美しい山を朝霧の中、駆け上がった後のフォー・チャンキムは至福の味

洗練された大都市のフォーとは一味違う、山の野性味と優しさが同居したご当地の傑作。もしハザン省を訪れる機会があれば、ぜひ早起きをして、湯気で白く煙る屋台の奥でこの「黄金色のフォー」を豪快にすすってみてください。


■ ベトナム食文化 🇻🇳 ẨmThựcViệtPedia

📚トップページ
🍵お茶編 ☕カフェ編 🍧スイーツ編(準備中)
🥖バインミー編 🥟もん
🍜フォー編 
┣▶バインフォー(切らない系)
┃┗✋️フォークオン(Phở Cuốn)
┣▶フォーヌック(汁あり系)
┃┣🦆フォーヴィットクアイ(Phở Vịt Quay) 
┃┣🐓フォーガー(Phở Gà)
┃┣🌶️フォーサテ(Phở Sa Tế)
┃┣🇫🇷フォーソットヴァン(Phở Sốt Vang)
┃┣🐮フォーボータイ(Phở Bò Tái)
┃┣🧄フォーボータイラン(Phở Bò Tái Lăn)
┃┣🐮フォーボーチン(Phở Bò Chín)
┃┣🏔️フォーホン(Phở Hồng)
┃┣🐓フォー・チャンキム(Phở Tráng Kìm)
┃┣🏔️フォー・バックハー(Phở Bắc Hà)
┃┗🐖フォー・モック(Phở Mọc)
┣▶フォーチョン/コー(汁なし系)
┃┣⛰️フォーコー・ザライ(Phở Khô Gia Lai)
┃┣🏔️フォーチュア・ランソン(Phở Chua Lạng Sơn)
┃┗🥢フォーチョン(Phở Trộn)
┣▶フォーサオ(炒める系)
┃┗🍳フォーサオ(Phở Xào)
┣▶フォーチエン(揚げる系)
┃┣🥞フォーチエンチュン(Phở Chiên Trứng)
┃┗🔥フォーチエンフォン(Phở Chiên Phồng)
┗▶地名系
 ┣⛰️フォーコー・ザライ(Phở Khô Gia Lai)
 ┣🏔️フォーチュア・ランソン(Phở Chua Lạng Sơn)
 ┣🐓フォー・チャンキム(Phở Tráng Kìm)
 ┣🏔️フォー・バックハー(Phở Bắc Hà)
 ┗🐖フォー・モック(Phở Mọc)
🍜ブン編(準備中) 🍜麺編(準備中) 
🍲鍋編 🌿ハーブ香辛料編 🔪調理編

★「日本食文化 🇯🇵 ẨmThựcNhậtPedia」はこちらから


※ この記事はアフィリエイト広告を含みます。


いいなと思ったら応援しよう!