【まとめ記事】江戸時代のお金事情 〜これまでの古文書記事を年代順に中学生でも知っているイベントと並べてみた〜 #77
こんにちは!
いつも私の古文書解読や歴史にまつわるマニアックな記事をお読みいただき、ありがとうございます。
これまでこのNoteでは、「江戸時代のお金や経済」に関する話をあちこち切り取って書いてきました。
ただ、バラバラに投稿していると「これって結局、いつの時代の話なんだっけ?」と、タイムラインが迷子になりがちですよね。
そこで今回は、
中学生の歴史の教科書に載っているような超メジャーなイベントや将軍・老中をベースに、これまで紹介したトピックを年代順にきれいに整理してみました!
「学校で習ったあの事件の裏で、庶民や商人はこんなお金の苦労をしていたんだ!」という視点で、答え合わせのように楽しんでいただければ幸いです。
🛠️ 江戸前半:三貨制度の確立と「最初の大インフレ」
まずは江戸時代のスタートから、最初の経済の波を見てみましょう。
1603年:徳川家康が幕府を開く
(教科書イベント:関ヶ原の戦い、江戸幕府の成立)
将軍: 初代 徳川家康
【お金の動き】:家康は、日本で初めて全国共通の通貨制度である「三貨制度(さんかせいど)」(金・銀・銭)を整えました。この頃の「慶長小判」は、金のまじりけがほとんどない、ものすごくピカピカで質の良いお金でした。
古文書読み解き記事
三代将軍家光の頃から裁判(公事)に関する御触れを見ています
1685年頃〜:5代将軍 徳川綱吉の時代
(教科書イベント:生類憐みの令、元禄文化)
将軍: 5代 徳川綱吉
【お金の動き】:犬を大事にした綱吉の時代、実は幕府はお金に困っていました。そこで、小判に含まれる金の量をガクッと減らした「元禄小判」を発行します。「中身の価値を半分にする代わりに、枚数を2倍に増やして財政難をごまかそう!」という作戦です。
中身の価値が下がったお金が出回れば、当然モノの値段は跳ね上がります。日本初の激しいインフレ(物価上昇)の到来です。
古文書読み解き記事
(まだ無しです😅)
🌾 江戸中盤:改革の嵐と「東西のマネー格差」
江戸時代の中盤に入ると、幕府は不景気とインフレの波に何度も襲われ、政治トップが次々と改革を行います。
1716年〜:8代将軍 徳川吉宗の時代
教科書イベント:享保の改革、目安箱
将軍: 8代 徳川吉宗
【お金の動き】:暴れん坊将軍こと吉宗は、綱吉の時代のインフレを反省し、「お金の質を元通りに良くしよう!」と考えました。しかし、今度は世の中に出回るお金の量が減ってしまい、大デフレが発生。米の値段が暴落して武士が貧乏になるという、別の問題(米将軍のジレンマ)に悩まされることになります。
古文書読み解き記事
①徳川吉宗の相対済令を勉強してみる記事です。
②お金に困った大名の生々しい支援の記録・・結婚、災害、色々ありました
③宝暦12年(1762)ごろからの米切手をめぐる不渡・詐欺・不良債権、そして公儀が救済するシリーズ
④享保15年(1730年)ごろからの米相場と吉宗さんの戦い
⑤目安箱は昔に学校で習ったものとだいぶ違った話
1772年〜:老中 田沼意次の時代
(教科書イベント:株仲間の推奨、長崎貿易)
老中: 田沼意次(10代将軍 家治の時代)
【お金の動き】:教科書では「ワイロ政治家」なんて書かれがちな田沼意次ですが、実はめちゃくちゃ優秀な経済の天才でした。
当時、日本は「東日本の金(両で数える)」と「西日本の銀(重さで測る)」で通貨が分かれており、江戸と大阪で取引をする商人たちは、常に為替レートの変動に頭を悩ませていました。
古文書読み解き記事
①両替商に金融取引税みたいなものをかけようという話
② 江東区にある竪川をメンテナンスするインフラ整備の話
1787年〜:老中 松平定信の時代
(教科書イベント:寛政の改革)
老中: 松平定信(11代将軍 家斉の時代)
【お金の動き】:田沼のバブル経済が行き過ぎた反省から、松平定信は「もっと質素倹約に、真面目に生きよう」という厳しい改革を始めます。
【古文書で見えるリアル】:
この時代、幕府は江戸の町の治安や物価を厳しく取り締まるようになりました。『市中取締類集』などの行政文書には、商人が勝手に値段を吊り上げないか、あやしい金融取引(高利貸しなど)が行われていないかを、役人が目を光らせていたリアルな記録(と、それに対する庶民の愚痴)が残っています。
💥 江戸後半〜幕末:日本崩壊寸前の「ハイパーインフレ」
江戸時代の終わりが近づくと、お金の混乱はマックスに達します。
1841年〜:老中 水野忠邦の時代
(教科書イベント:天保の改革、株仲間の解散)
老中: 水野忠邦(12代将軍 家慶の時代)
【お金の動き】:またしてもお決まりの緊縮財政(天保の改革)ですが、今度は大失敗。
物価を下げようとして「株仲間(商人の組合)」を解散させたところ、流通網がパニックになり、逆に物価が高騰。
さらに、ものすごく質の悪い「天保通宝(大きな穴あき銭)」を大量に刷ったため、経済はガタガタになりました。
古文書読み解き記事
①寺社仏閣がお金を貸していたことについて
②江戸時代の油っていくらくらい?
③いつの時代も高利貸し問題があるのです
④ 今でいうプロジェクトファイナンス、
橋をかけ、メンテナンスするためにどうやってファンディングするのか。
隅田川の花火大会を見るときはぜひ思い出していただきたい記事です🎆
⑤ 銭が不足して・・遠山の金さんが登場します
⑥ 巨額融資詐欺に金さんが立ち向かう
1853年:ペリー来航〜幕末
(教科書イベント:開国、日米修好通商条約、大政奉還)
将軍: 13代 徳川家定 〜 15代 徳川慶喜
【お金の動き】:ペリーがやってきて日本が開国した途端、大事件が起きます。「日本の小判が海外へガンガン流出する」という事態です。原因は、日本国内と海外で「金と銀の交換比率」が大きくズレていたこと。外国人は「銀貨を日本に持ってきて小判(金)に変えるだけで、タダで大儲けできる」というバグのような状態でした。
慌てた幕府は、小判をめちゃくちゃ小さく、薄く作った「万延小判」を発行して対抗します。しかし、中身の価値が1/3になったお金が出回ったことで、幕末の日本は物価が数倍に跳ね上がるハイパーインフレに襲われました。
古文書読み解き記事
①通貨の供給に奔走する金さん
②庶民が使う銭が不足するのでなんとかせねば、と取引場所を増やそうという話。
市場価格の算出方法も出てきますが、今でいうブルームバーグもロイターも日経QUICKもないので、データを集めて公開することが大変。マーケットデザインの視点で見ると江戸時代からの学びは多いです。
③安政の大地震が起きて、困った人たちが・・・
💡 まとめ:年表に並べてみて分かったこと
こうして中学生の教科書イベントとお金を並べてみると、「幕府が政治で行き詰まったり、新しい改革を始めたりするときは、必ず裏でお金(通貨の質や物価)のトラブルが起きている」ということがよく分かります。
歴史の教科書には「享保の改革=目安箱」のようにすっきりと書かれていますが、当時の古文書をめくると、
そこには「お金の価値が変わって、今日食べるお米にも困っている庶民」や「江戸と大阪のレート差を突いて大儲けを狙う商人」の、生々しい呼吸が残されています。
みなさんも、歴史のイベントを思い出すときは、ぜひ「その時、お財布の中身はどうなってたんだろう?」と想像してみてくださいね。
これまでバラバラに書いてきた各時代の詳しい解読記事も、ぜひ上のリンクから改めてタイムトラベルする気分で読んでみてください!
📝 あとがき(古文書の勉強日記)
今回は初の「まとめ・年表記事」に挑戦してみました。
現在、私は崩し字(くずしじ)を絶賛勉強中なのですが、こうして全体の歴史の流れ(タイムライン)を頭の中に持っておくと、新しく出会った古文書が「あ、これは田沼意次の時代の、あの両替の混乱の真っ最中の文書だな!」とピンとくるようになり、解読がさらに楽しくなりそうです。
これからも、古文書を通して見える「教科書には載っていないリアルな江戸時代」を発信していきますので、どうぞよろしくお願いします!
(最終更新日)2026.08.02
(初回投稿日)2026.05.23
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