外為特会の基礎⑱:外為特会の設立経緯

今回も外為特会のメモの続きです。今回は、歴史的に外為特会がどのようにできたのかということを簡単に整理しておきます。

外為特会は現在は、為替介入に係る資金を管理するための会計といえます。これだけ外為特会が大きくなった背景には、円売り介入を続けてきたということがあります。

外為特会に付随する概念として、「外国為替資金」という概念があります。私自身は、その概念に以前理解を苦労した時期があります。下記が、財務省が作成した外為特会の概念図ですが外為特会(外国為替資金特別会計)とは別に外国為替資金があり、外為特会の利益が繰り入れられているように思われます。

https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/special_account/fy2024/2024-kakuron-4.pdf


結論的には、外国為替資金が介入等で得た資金を管理するために本質的なハコであり、外為特会は、会計処理するためだけのハコといえるのですが、このあたりは今月の「ファイナンス」でかなりわかりやすく議論しているので、そこに議論を譲ります。

歴史的には、実は、外国為替資金から設立されています。第二次大戦で日本が敗戦し、1ドル360円をベースにした、いわゆるブレトンウッズ体制が生まれました。1ドル360円を維持するという観点で、政府が有する外国為替を管理する必要がありました。しかし、この際、特別会計化がなされませんでした。というのも、それまでの考え方では、政府の為替売買などを歳入と歳出に計上されていなかったことがありました。そこで、当時の法制度体系で、日本政府が外貨を管理するためのファンドである「外国為替資金」を作ることになりました。これが1949年5月です。

その後、同年に、海外との取引を規制する「外為法」(外国為替及び外国貿易法)が設立されます。それを受けて、それまでの「資金」に関する考え方を改め、政府の為替売買なども歳入と歳出に計上できるよう整理することで、外為特会が設立されました。これは1949年12月であり、それ以降、適時改正がなされていますが、大枠はこの時に作られたものが続いています。

このメモでも外為特会を取り上げていますし、また、世間的に話題になるものは外為特会です。しかし、政府が有する外貨資産の根源は、外国為替「資金」です。イメージとしては、外為特会は流動性の高いドル建て資産を中心に保有しているわけですが、常に満期を迎える債券運用をしているため、日々売買しうる存在です。それを政府の会計として処理するために、外為特会という形式で、外国為替資金が包み込まれているというイメージです。いずれにせよ、今月出る「ファイナンス」記事を参照していただければ幸いです。

いずれにせよ、外為特会および外国為替資金はブレトンウッズ体制に伴い生まれたということです。なお、歴史的経緯については、下記の本を参照しているため、より詳細を知りたい方は、同書の第9章を参照いただければ幸いです。

これまでのメモ
外為特会の基礎①:外為特会のBSと為替介入|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎②:運用の概要|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎③:外国為替資金証券(為券)について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎④:日本には非不胎化介入は存在しない?|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑤:為替介入規模の推定|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑥:外貨準備と外為特会の違い|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑦:国債整理基金特会との関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑧:IMFとの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑨:外為特会が有する外貨資産の活用とチェンマイ・イニシアティブ|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑩:為替介入と民間銀行のBSの関係|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑪:為替介入や特会の運用に関する財務省の体制|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑫:外為特会改革と外為特会の積立金制度について|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑬:積立金制度廃止とFBの償還(外為特会改革について)|服部孝洋(東京大学) (note.com)
外為特会の基礎⑭:外為特会における適切な剰余金(30%ルール)とリスク管理(VaR)の考え方|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑮:2022年の円買い為替介入と不胎化介入について|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑯:外貨準備の定義|服部孝洋(東京大学)
外為特会の基礎⑰:財務省と日銀が保有する金(ゴールド)|服部孝洋(東京大学)

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