見出し画像

#22 〜ピカある探訪記✧*〜 なごや観光ルートバス編(九) 8.中部電力 MIRAI TOWER

前回記事:#21 〜ピカある探訪記✧*〜 なごや観光ルートバス編(八) 7.文化のみち二葉館


こんにちは。

ぴかるまこと編集部、「ピカある探訪記」担当のぴかるまことです。

前回の文化のみち二葉館ではバス停周辺の歴史的な建物が点在する「文化のみち」を紹介いたしました。

今回の出発点は、なごや観光ルートバス「メーグル」の中部電力 MIRAI TOWER停留所です。

塔が見えるのでMIRAI TOWERへ向かうのが自然かもしれません。けれど今回は、少し遠回りをして、最後に訪れたいと思います。

バス停の周りには、地下鉄と地下街、放送局、電力会社、家電、住宅、自動車の企業拠点が集まっています。

塔へ向かうまでに、それらを一つずつ見ていきながら、
名古屋の中心部にあるセントラルドグマを歩いていきたいと思います。


「メーグル」ルートガイド

名古屋駅🚏トヨタ産業技術記念館🚏ノリタケの森西🚏
四間道🚏名古屋城🚏名古屋城東・市役所🚏
徳川園・徳川美術館・蓬左文庫🚏文化のみち二葉館🚏
中部電力 MIRAI TOWER🚏広小路栄🚏広小路伏見🚏
《復路》─ 名古屋城🚏四間道🚏ノリタケの森(4番)🚏トヨタ産業技術記念館🚏 )─ 名古屋駅🚏

バス停情報

名古屋観光デジタルマップ


バス停 中部電力 MIRAI TOWER

オアシス21

バスを降りると、目の前にあるのはオアシス21。

📷MIRAI TOWER とオアシス21

まず目を引くのは、目を引くのは吹き抜けのようになった地下から4本の支柱に支えられ、地上14メートルの高さに浮かぶ「水の宇宙船」です。楕円形(オーバル型)をした巨大なガラス屋根には浅く水が張られ、光の波紋がきらめく、近未来的で美しい外観をしています。
また、この屋根の外周部を歩くことができ、一周約200メートルの空中散歩を楽しめます。

この敷地の周囲の道路の出入り口から市バスが出入りしています。ここは、市バスのバスターミナルでもあるのです。

自分が幼いころはこの場所は大きな公園でした。
その名を今に残しているのは、一画だけ残っている「栄公園」です。
この場所では、毎年こどもの日には催し物がされていました。参加賞でもらった、すっぱい粉。そんなことを思い出しました。

このオアシス21は2002年10月に開業しました。この敷地には、旧愛知県文化会館と旧NHK名古屋放送会館がありました。両施設の建替えと敷地の再編をきっかけに、栄公園もつくり直されたのです。

その名残を感じさせるのが、「緑の大地」と呼ばれる場所です。丘のような緑地が愛知芸術文化センターの方向へ続き、名古屋らしい緑と先進的な都市空間との調和を感じられる場所になっています。

吹き抜けになった地下空間は「銀河の広場」と呼ばれ、中央が広場となっています。
広場には、フットサルの練習場のほか、冬になると氷を使わないスケートリンクが設けられます。2009年に始まった樹脂製リンクで、現在は「豊田合成リンク」として親しまれています。

📷銀河の広場

名古屋のスケートといえば、大須の名古屋スポーツセンターも忘れられません。1953年に開設された通年の屋内リンクで、伊藤みどりさん、浅田真央さん、村上佳菜子さんらフィギュアスケートの名選手が育ち、練習した場所として知られています。

銀河の広場からは外周に店舗が並び、セントラルパークの地下街へも接続しています。

文化と放送と電気の街をひとめぐり

オアシス21、愛知芸術文化センター、NHK名古屋放送センタービルの並びです。北側にNTT都市開発が建てたアーバンネット名古屋ビルもあります。久屋大通公園沿いを少し南へ歩けば、2024年(令和6年)に建て替えられた中日ビルがあり、その中には、中日文化センターも入っています。近くには電通の中部支部があります。

愛知芸術文化センターは、愛知県で2010年から2019年まで3年ごとに開催されていた国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」の主な舞台の一つです。ガラスを多く用いた建物の中には、吹き抜けのホールや展示空間があります。

📷愛知芸術文化センター

その隣のNHK名古屋放送センタービルにはNHK名古屋放送局だけでなく、番組やイベントに関わるNHKグループ、中部電力グループのシーエナジーなども拠点を置いています。一棟の中にも、放送と文化、エネルギーの仕事が重なっています。

そこから東へ進むと、テレピアと東海テレビ放送の本社があります。テレピアは東海テレビ系の催事・文化拠点です。東海テレビは1958年に設立され、同年に開局しました。
更に東へ進むと、中部日本放送(CBCテレビ)もあります。

このように、放送・映像技術に関わる会社が点在し、公園、文化、放送が織り交ざった地区になっています。

そして、それはMIRAI TOWERと無関係ではありません。
MIRAI TOWERは、以前「テレビ塔」と呼ばれ、親しまれてきました。
ちなみに、現在も正式な文化財名称は「名古屋テレビ塔」です。

テレビ塔は1954年、日本初のテレビ放送用集約電波鉄塔として完成しました。
放送局ごとに別々の塔を立てるのではなく、一つの塔へ送信機能を集めたのです。
「中部電力 MIRAI TOWER」の呼称は2021年から使われています。

番組をつくる場所と、それを街へ送る塔が、短い距離の中で結ばれていたのです。

📷文化と放送が、オアシス21の東側に並んでいます
📷現在の中日ビルがある光景

テレピアから東新町方面へ進むと、中部電力本店があります。所在地は名古屋市東区東新町1番地です。

放送のために生まれた昭和の塔が、いまは地域のエネルギー企業と結びつき、新しい名前で未来を語っています。

電波を送る塔と、電気を供給する会社。その結びつきも、戦後に作られた街の構図の一つなのでしょう。


ショールーム

テレピアのある、国道41号線と広小路が交わる東新町の交差点から北へ向かうと、中部電力の本社があります。さらに北へ歩いて高岳まで行くと、道路を挟んでレクサスのショールームが見えます。
そこから桜通を西へ、久屋大通公園方面へ歩くと、トヨタホームのショールームがあり、交差点にはパナソニックのビルが立っています。

このように大企業が自社の世界を見せる「ショールーム」が次々に現れます。

テレピア

昭和の終わり、1988年に誕生したテレピアは、テレビ局に隣接する複合施設として、展覧会や舞台、催事を通じて放送文化を発信してきました。
隣接する東海テレビ旧本社ビルの一階には、ついこないだまでDC大塚家具名古屋栄ショールームがありました(2026年に西区へ移転)。家具を単品で売るだけでなく、部屋全体の暮らし方を見せる大規模な展示空間でした。

レクサス

さらに高岳には、2005年のレクサス国内展開とともに開業したレクサス高岳があります。自動車を並べるだけでなく、建築、家具、照明、接客まで含めてブランドを体験させるショールームへと進化し、2017年には大規模に刷新されました。

トヨタホーム

2007年完成のトヨタホーム栄オフィスとショールーム「アトリスプラザ栄」があります。
完成した家の外観だけでは分かりにくい構造や性能を、実物展示や空間提案で体験できます。

パナソニック

その隣には、松下電器・ナショナルの名を記憶する名古屋パナソニックビルが並びます。ここでは住宅の構造や間取り、キッチン、照明、住宅設備など、「家そのもの」と「家の中の暮らし」が展示の対象です。

松下電器の「ナショナル」という名が、最新の電化生活を見せる象徴だった時代があったことは確かです。
かつて、ナショナルだったころ、この場所このショールームでMSXという家庭用パソコンが体験型展示されていました。そこで手に取ったのはNECの製品ではありませんでしたが、それから、家庭用パソコンへの道が拓かれていったのは古い記憶です。

ショールームの変遷

いづれの企業も、戦後の暮らしを大きく変えた産業をけん引してきました。放送、催事、舞台、映像、家具、自動車、住宅、テレビ、照明、配線器具、電子部品、ブランド、接客。そして、家そのもの。

ショールームは、産業の主役が遷り変わるにつれ、技術とともに姿を変えてきました。
昭和は、商品を棚に置き、まだ知らない商品を「見せる」時代。
平成は、商品を組み合わせた暮らしを「体感させる」時代。
そして令和は、一人ひとりの条件に合わせ、まだ存在しない暮らしを「一緒につくる」時代となっています。


地上の公園と地下のセントラルパーク

企業の建物を巡った後は、久屋大通公園へ戻ります。
目の前に目立っ歩道橋が見えます。

セントラルブリッジです。

📷夜のセントラルブリッジ

久屋大通公園は、北の外堀通から南の若宮大通まで、約2キロにわたって続く都市公園です。名古屋の戦災復興計画で整えられた広い道路の中央に、公園の帯がつくられました。

2020年には北エリアとテレビ塔エリアが「Hisaya-odori Park」として再整備されました。かつて道路の中央にある樹木に囲まれた公園には小川が流れ、その流れに沿って歩く憩いの場でした。現在は、芝生、樹木、水盤、店舗が整えられ、その景観を眺めながら歩く洗練された場所へ性格を変えています。

その地下にあるのがセントラルパーク地下街です。1978年、名鉄瀬戸線の栄乗り入れやテレビ塔周辺の公園整備などと合わせて開業しました。

運営会社の主要株主を見ると、名古屋テレビ放送、トヨタ自動車、名古屋鉄道、東海テレビ放送、銀行、建設会社などが並びます。地下街は単なる商店の集まりではなく、鉄道、公園、駐車場、放送、商業をまとめて整える企業連携の都市事業でもありました。

先ほど地上で見てきた企業の名前が、地下街の成立にも関わっています。

セントラルパークでは季節ごとに多くのイベントが開かれ、普段の落ち着いた空間と、催しの日のにぎわいが一体となります。

クリスマスイブに讃美歌を学生たちが歌う光景も、セントラルパークの風物詩です。


最後に見上げる、中部電力 MIRAI TOWER

中部電力 MIRAI TOWER。文化財としての名称は「名古屋テレビ塔」です。

1954年に完成した、高さ178.7メートルの自立式鉄塔です。設計は内藤多仲。日本初のテレビ放送用集約電波鉄塔であり、完成当時は日本一の高さを誇りました。2022年12月、全国のタワーで初めて国の重要文化財に指定されています。

かつて「テレビ塔」と呼ばれていたころ、エレベーターを使わずに階段を使って上りました。一段上るごとに地上が遠ざかり、足元から見える景色に足がすくみました。それと同時に、自分の足で上っていくうちに、いつの間にかビルの屋上を見下ろすほどの高さまで来ていたことにも、感慨深いものがありました。その体験は、展望台から眺めた景色以上に深く記憶に残っています。

📷水面に写るMIRAI TOWER

名称が変わってこの場所の雰囲気も一新しました。
水面に写る現在の中部電力 MIRAI TOWERの姿はまるでヨーロッパの光景を再現したかったようにも思えます。

バスを降りたときにも、塔はすぐ近くにありました。それでも、まっすぐ来なかったからこそ分かることがあります。

名古屋が描いてきた「未来」は、一つではありませんでした。

電波を送る未来。
地下鉄で移動する未来。
地下に商店街を広げる未来。
公園とバスターミナルを上下に重ねる未来。
家電、自動車、住宅が暮らしを変える未来。
そして、古い塔を壊さず、使いながら次の時代へ残す未来です。

塔の鉄骨を見上げると、それらの未来が一度に形づくられたのではなく、70年以上をかけて少しずつ積み重なってきたことが分かります。

街を知るには、目的地へ急がないほうがよい日もあります。


おわりに

次回は、広小路栄へ向かいます。
歩いていける距離なので、そこまで地下街を歩いてみるのもよいと思います。

それでは、次のバス停でお会いしましょう。


名古屋観光デジタルマップ


ほかの記事に興味のある方も、どうぞご覧ください。

ぴかるまこと編集部 連載マガジン
ピカある雑記&モノ紹介
・ピカある探訪記 〜近江と名駅、歴史とイマを磨き出す〜
・ピカピカ便り



ピカある地図 メーグル編


いいなと思ったら応援しよう!

B型就労継続支援ピカピカ事業所|公式Note|記事担当ぴかるまこと 記事を読んでいただきありがとうございます!頂いたチップは、より良い記事を届けるために大切に活用させていただきます。皆様の応援が、働く仲間たちの輝きと、地域の魅力を磨き上げる大きな力になります。温かいご支援をお願いいたします!