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銀河フェニックス物語 <恋愛編>  第八話 雪が生まれる場所で(12)

銀河フェニックス物語 総目次
第八話 雪の生まれる場所で (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10) (11)
<恋愛編マガジン>

 アナウンサーの声が上ずっている。
「外出禁止命令です。現在、新型ウイルスによる風邪が流行していますが、この弱毒性ウイルスが強い毒性に変異する可能性が高まりました。強毒性ウイルスによる感染症にかかると命に関わる危険があります」
 会社休めてラッキー、とのんびりしていた風邪が危険な病気になるかもしれない、ということだ。
「連邦保健機関が警戒レベルの引き上げを検討しています。流行を防ぐため予防のための、手洗いやうがいを徹底し、不要不急の外出はしないでください。繰り返します。外出禁止命令が出ました。他の星系への感染拡大を防ぐため空港も閉鎖されました。政府の指示に従ってください」
 大変だ。空港が閉鎖された、ということはソラ系へ帰ることもできない。レイターが何をするつもりかはわからないけれど、裏任務が発生して、ブリ・アルをこの感染症対策で使いたいということだ。

 一言言わずにいられない。
「あなたってほんとに厄病神ね」
「悪りぃな。出てこねぇはずだったんだけどさ、ロヤ星が崩壊してもティリーさんのことは守るから」
 ロヤ星が崩壊する? 特大級の疫病神だ。こんな非常事態、できれば外へ出かけて欲しくない。わたしを守るって言うなら一緒にいて欲しい。
「外出禁止命令が出てるのに、観光に行くの? 警察に捕まるわよ」 
「警察から逃げるのは得意なんだ。ロヤ山でティリーさんとの愛の成就を願おうと思ってさ」
 いつもと変わらぬ軽い調子で笑った。わたしに心配かけたくないって思ってるんだろうな。
「もう恋愛は成就しているでしょうが」
 ここにいて欲しいと言えばレイターが困る。大きく息を吐いた。

 ブリ・アルの鍵をレイターに渡す。
「連絡入れていい?」
「すまねぇ。ロヤ山の近くは磁場嵐がひどくて通信できねぇんだ」

 危険な任務中に連絡なんてできるわけがないわよね。わたしにはものわかりのいい彼女を演じるしか選択肢がない。
「わかったわ。しっかりお祈りしてきて」
「サンキュー」
 レイターは軽くキスをすると、いつもと変わらない足取りで、外へ出ていった。

**

 ティリーさんが不安げな顔をしていた。でも何も言わずに送り出してくれた。ほんとは一緒にいてやりたいのによぉ。ったくアーサーのせいだ。
 
 誰もいないロヤ支社の格納庫で、真っ赤な機体に乗り込む。『雪星でも安全』が売りなこいつはホワイトアウトでも飛ばせた。ただ、限界実験は人工吹雪だったんだよな。自然の天候はあなどれねぇ。どこまで突っ切れるかわかんねぇが、やる価値はある。
「行くぜ。ブリ・アル」
 吹雪の中へブリ・アルを突っ込ませた。
(13)へ続く


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48ノ月(ヨハノツキ) ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」

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