《葬送のフリーレン》敵の未来視は誰か?(帝国編 第145話)
ネタバレや先の展開に関する考察・予想が含まれます。
第145話の感想はこちらです。
《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。
はじめに
帝国編における敵の未来視は誰なのか?(ゼーリエ暗殺計画の黒幕は誰なのか?)について、第145話の時点で考察してみます。
私は考察するときは素朴で素直な発想を心がけています。ですから、原則として、新設定や新キャラクタを仮定することはしません。既存の設定、既に登場しているキャラクタの範囲で考えます。(相当な根拠がある場合は例外です)
そのスタンスで考えてみますと、爺(レーヴェの使用人)くらいしかいないではないか、という冗談を第145話の最初の感想・考察で書きました。
繰り返しになる部分もありますが、その理由を書いておきます(詳細は上記記事を参照ください)
まず、皇帝とゼーリエが一致して否定している以上は、フラーゼではないでしょう。
そうすると怪しいのはレーヴェです。暗殺の実行犯はレーヴェであると考えます。
けれども、彼のこれまでの言動を見ると、彼は現場に近い人物で、暗殺の実行犯ではあっても、暗殺計画を立案する黒幕的立場だとは考えにくいのです。最もわかりやすいのはこの台詞です。
指揮官か、それが名ばかりのものであることくらい、知っているだろうに。所詮は人殺ししか能のない、無学な戦士よ。俺もまた駒に過ぎん。
また、これはコメントで教えて頂いたのですが(shAronさんありがとうございました)、ゼーリエが予測した未来の一つに、ゼーリエは死を免れたが各地の大陸魔法協会の魔法使いたちが殺害されたという凄惨なケースがありました。

このケースについて考えてみると、全盛期の影なる戦士ならともかく、解体済みの影なる戦士にこのような組織力があるとは思えません。組織解体に伴って足抜けした者もいただろうし、ラダール(第13巻124,125話)のように組織からの連絡が途絶えて有耶無耶になってしまった者もいたはずです。影なる戦士の組織は解体により相当弱っていて、現在は少数精鋭の状態です。第139話でレーヴェが損耗を気にしてクレマティスに「何人死ぬ?」と訊ねていることもその証左です。そうすると、別のもっと力のある勢力が動いていると考えるのが自然でしょう。
このように、落ち着いて帝国編を読み直してみると、暗殺計画の黒幕がレーヴェではないことを示唆する材料は意外と豊富なのです。ですから、レーヴェが黒幕(未来視)だとはちょっと考えにくい状況です。
そして、魔導特務隊隊員でもない、一級魔法使いでもない、影なる戦士でもないとなると、既に登場している人物では、爺(レーヴェの使用人)くらいしかいなくなってしまうのです。
ゼーリエは「未来視に関わる魔法はそう多くない。その大半が南側諸国の戦乱で滅びた一族に継承されていた魔法だ」と言っていますから、南側諸国出身者がまず疑われるのですが、そうは言っても、南側諸国についてはほとんど語られていませんから、既存の登場人物(フェルン、ラオフェン…他には?)から未来視を探そうとすると手詰まりです。新キャラクタの登場を待つしかないようにも思われます。
ただ、可能性が一つあります。全知のシュラハトです。
完全な未来視、不完全な未来
ゼーリエは「あちら(敵)の未来視も完全ではなさそうだ」と言っています。

素直に考えれば、シュラハトも南の勇者も故人ですから(第7巻63話)、今の世の中に完全な未来視がいるはずがありません。(南の勇者は未来人だから未来を知っていたと私は考えていますが、ここでは省略)

にもかかわらず、ゼーリエは「完全ではなさそうだ」と推定をしていて、完全な未来視が存在する可能性を排除してはいないようなのです。ゼーリエはなぜ「完全ではない」と断定しないのでしょう。不思議です。
ゼーリエはシュラハトでも南の勇者でもない第三の完全な未来視の存在を知っているのでしょうか?(存在するとしても魔族になりますが)

ここは、ゼーリエはシュラハトが復活する可能性を排除していないと考えるのが素直でしょう。
では、ゼーリエ暗殺計画の黒幕は復活したシュラハトなのか?というとそれは違います。ゼーリエは「完全ではなさそう」と言っています。
そもそも敵の未来視は不完全なのだから完全な未来視であるシュラハトは無関係ではないか、と思われるかもしれませんが、そうとも言い切れません。
女神の石碑編を思い出してみましょう。女神の石碑編では、シュラハトの遺志を継ぐ魔族たちが登場しました。

帝国編もこのパターンだと考えると、実は説明ができてしまいます。
シュラハトの未来視は完全です。しかし、「未来を多く語ることはなかった」ため、魔族たちは不完全な未来しか知りません。ですから、ゼーリエからしてみれば「あちら(敵)の未来視も完全ではなさそうだ」(シュラハトはまだ復活していないようだ)ということになるのです。
参考:南の勇者は過去にタイムトラベルしたヒンメルだという考察
ゼーリエと皇帝による敵の未来視に関する検討

第145話「未来視」において敵の未来視についてゼーリエと皇帝が検討する場面を見てみます。ここは、表面的な言葉のやり取りは単純なのですが、言葉の背景にあるゼーリエの思考を想像しようとするとかなり難解です。
ゼーリエ:未来視がなければ、こんな手の込んだ脅しはできない。陛下、未来視を扱う者に心当たりは?
皇帝:可能性としてはフラーゼくらいだ。だが、彼女の魔法ではないな。彼女が未来を見通せるのであれば、帝国がここまで衰退することはなかっただろう。
ゼーリエ:だろうな。それに未来視に関わる魔法はそう多くない。その大半が南側諸国の戦乱で滅びた一族に継承されていた魔法だ。フラーゼの顔立ちは北側諸国のもの。その末裔だとは思えん。どちらにせよ、これはもう結末を考える段階だ。互いの犠牲を最小限にしよう。
【ページ捲り】
皇帝:なるほどな。事情はわかった。それで、どのような情報が欲しい?
会話の流れ
最初に、会話の流れを確認してみます。
ゼーリエが皇帝に心当たりを訊ねる
皇帝の心当たりはフラーゼのみ。しかし皇帝はフラーゼではないと考えている。理由は帝国の斜陽
ゼーリエが皇帝の考えに同意する。そして理由を一つ付け加える。フラーゼは北側諸国出身だから
フラーゼの線は消えた
ゼーリエが次の話題に移るよう促す
ーーーページ捲りーーー
皇帝からの情報提供が始まる(次回以降に続く)
この会話の流れにはすこし不思議な点があります。
それは、敵の未来視が誰なのか?に答えが出ていない(ように見える)のに、ゼーリエが検討を終わりにして、話題を変えてしまうことです。なぜ、別の可能性を検討しないのでしょう?
その際にゼーリエは「これはもう結末を考える段階だ」と言っています。これはどういう意味でしょう? 時間が無くて急いでいるのでしょうか?それにしては妙な言い回しです。第144話「予知夢」では「私にはもう時間がない」とストレートに表現していました。マンガの登場人物の台詞ですから、絶対におかしいとまでは言えないかもしれませんが、違和感があるのは確かです。

ここは単なるマンガの登場人物の不自然な言葉遣いではなく、丁寧に読み込む(考察する)意味のあるポイントだと私は考えます。
なぜならこれは左ページの最後のコマだからです。作者はここで読者に何かを期待させて、ページを捲る楽しみを作っているのです。(これはマンガの文法・セオリーで、これがないと読者は退屈して読むのを止めてしまいます。優れたマンガはこのような工夫の集積でできています。こういったことに興味がある方はマンガの描き方の入門書(イラストの描き方ではなく)に説明があると思いますので、読んでみると良いかもしれません)

この左ページ最後のゼーリエの言葉は、唐突過ぎてちょっと何を言っているのか分かりませんね。「え?もう検討終わりなの?フラーゼじゃないことはわかったけど、結局、敵の未来視は誰だったの??」と感じます。ここで生じる私たちの期待は「皇帝はどう反応するんだろう?」です。私たちの気持ち(敵の未来視の正体を知りたい)を代弁してくれるかもしれません。
ページを捲ってみますね。右ページ最初のコマです。

皇帝もゼーリエの言葉の意味を測りかねています。私たちと同じです。やはりここは難解なのです。少し考えてから「なるほどな」と納得しています。ゼーリエは皇帝と正対して皇帝の顔をまっすぐ見ています。おそらく、皇帝が自分の話に付いて来ることができているかしっかり観察しているのでしょう。
では、皇帝と同じように少し考えてみます。
細かい点だと思われるかもしれませんが、「これはもう結末を考える段階だ」の「これ」とは何だと思いますか?「これ」の有無でこの台詞の意味は全く変わってきます。
単に「もう結末を考える段階だ」と言ったのなら、残された時間を気にして急いでいるということでしょう。
しかし、ゼーリエは「これはもう結末を考える段階だ」というのです。「これ」とは、「直前まで行っていた敵の未来視に関する検討状況」を指しています。(私見)
つまり、ゼーリエの台詞を意訳すると「もう検討は十分だ。答えは出た。敵の未来視について検討する段階は終わった。結末を考える段階に進もう」ということなのです。
ゼーリエの思考
では、ゼーリエの思考を追いかけてみます。
まず、ゼーリエは敵の未来視の候補を二つ考えていました。一つでもなく、三つ以上でもありません。二つです。なぜなら、フラーゼの線(1)が消えて残った候補(2)が答えだったからです。
一つ目の候補は簡単です。帝国の魔法使いです。
なぜなら、ゼーリエが皇帝に心当たりを訊ねているからです。帝国は優秀な魔法使いをたくさん抱えていますから、ゼーリエが把握できていない未来視が存在するかもしれません。そこで、皇帝に確認する必要があったのでしょう。
二つ目の候補はちょっと難しいです。素直に考えるなら「南側諸国の戦乱で滅びた一族」の末裔(つまりレーヴェ)ですよね。
ただ、最初に検討したように様々な状況からレーヴェではなさそうです。そして、ゼーリエはシュラハト復活の可能性を念頭に置いています。ということは、二つ目の候補は魔族ではないでしょうか。
これで、言葉の背景にあるゼーリエの思考が理解できます。まとめてみます。
敵の未来視の候補は二つ。帝国の魔法使いか、魔族か。皇帝に確認すると心当たりはフラーゼのみ。しかしこれは違う。これで、帝国の魔法使いの線は消えた。ということは魔族だ。そして、敵の未来視も完全ではない。ということはまだシュラハトは復活していない。シュラハトの掌の上で踊る魔族だ。答えは出た。次の話題に進もう。
おそらく、こういうことです。


南側諸国方面、ヴァイゼ方面
では、具体的にどのように魔族が関わってくるのかとなると、現時点で予想するのはかなり難しいです。思い付きではなくある程度筋道を立てて考察しようとすると、考えられるのは南側諸国方面かヴァイゼ方面ということになるでしょう。
まず最初に材料の多いヴァイゼ方面を見てみます。
ヴァイゼ方面
帝国編とヴァイゼの関わりには、次の要素があります。(太字は考察なので確定ではありません)
フラーゼは黄金化前のヴァイゼに査察に入っている。(第14巻130話)
レルネン(一級魔法使いたち)は、マハトを殺そうとしていたゼーリエの不興を買ってでも黄金化したヴァイゼを大結界で封印することを選んだ(第10巻93話)。つまり、マハトを殺さず封印するというリスク(とゼーリエの不機嫌)を取ってでも元に戻したいと考える何かがヴァイゼにはあった。フラーゼの査察の目的もそれだった。(ただ、ゼーリエにとってはそれは無価値なものだった)
フラーゼは一級魔法使いたち三名(ラントの両親を含む)を殺害している。ゼンゼもこの戦闘に参加。
フラーゼはラントの祖母宅を襲っている。殺害はしていないので何かを探していた。
暗殺計画に「心当たりがある」レルネンは、ヴァイゼに帰るデンケンに会いに行った(第140話)。レルネンはデンケンにヴァイゼでの調査を依頼して、帝都で待機して調査結果を待っている。
フラーゼは「死でさえ時間稼ぎ」(第144話)とされ、時間経過により復活することが示唆されている。これは、零落の王墓の水鏡の悪魔が作る複製体の性質と酷似している。
大陸魔法協会は零落の王墓の攻略を目指して先遣隊(ラヴィーネの長兄)を送り込んでいた(第6巻52話)。ゼンゼは零落の王墓攻略を二次試験の課題に選んだ。
水鏡の悪魔は「賢者エーヴィヒの英雄譚に出てくる神話の時代の魔物」(第6巻50話)だとされている。ただ、水鏡の悪魔は魔物ではなく永遠の命について研究していた賢者エーヴィヒによる魔導具(永遠の命を持つ人類をつくることが目的)で、魔族の起源とかかわりがある。
「ヴァイゼ」(独:weise、英:wise)とはドイツ語で「賢者」を意味する。ここから連想されるのは賢者エーヴィヒ。ヴァイゼの街はエーヴィヒと深い関わりがある。
このとおり、ヴァイゼに関する要素はかなり豊富です。私の見立てでは、一級魔法使い試験編(零落の王墓)、極論すれば第2話「僧侶の嘘」(ハイターがフリーレンに解読を頼んだエーヴィヒの魔導書)から伏線が仕込まれています。

こうやってみると、ヴァイゼにはフラーゼ対策の何かがありそうな気がします。そして、魔族とも関連付けできそうです。特に、水鏡の悪魔に関する考察があたっているなら、世界設定や歴史がかなり明らかになりそうです。
ただ、これ以上の考察材料は、おそらくはデンケンの調査結果待ち、レルネンがゼーリエたちと合流してからでないと明らかにはならないでしょう。
南側諸国方面
次は南側諸国方面です。
レーヴェのバックグラウンドは、南側諸国の出身、一族の敵討ちでミーヌスを討ち取った。と考えるのが自然。
ミーヌスを殺害した戦士は一般には相打ちしたとされている(第14巻133話)。レーヴェが名前や身分を捨てるために相打ちを装ったと考えるのが自然だが、入れ替わり、死の偽装などもあるか?
ミーヌス殺害はヒンメルの死後なので、既に魔族の活動が活発になっている時期。
大魔法使いミーヌスは「南側諸国に終わりなき戦乱を齎し」、「大逆の魔女」と呼ばれている(第14巻133話)。もともとは善良な魔法使いだったとも推測される。
このミーヌスの変節は終極の聖女トートによる「呪い」(第12巻137話)と関係があるのではないか?という推測が一部にはある。
暗殺の実行犯がレーヴェである以上は、本命はこちらだと感じます(ヴァイゼ方面はフラーゼ関係)。今のところ材料は少ないのですが、次回第146話以降で皇帝から南側諸国に関する情報提供があるのではないでしょうか。立場上、国際関係には詳しいはずですから。
※皇帝からの情報提供としてもう一つ考えられるのは聖杖法院に関してです。その場合、ミリアルデの再登場でしょう。
魔族が関わっているとすれば、ミーヌスの死または変節の周辺というのが一番ありそうです。
ミーヌス殺害は20年前(勇者ヒンメルの死から11年後)ですから、魔族の活動は活発になっています。ミーヌスを殺害した「辺境の小国の名もなき戦士」は「相打ちだった」というのが一般に伝わっている話で、読者に開示されている情報とは完全に食い違っています。ですから、ここは明らかな伏線で、ミーヌスと「名もなき戦士」の双方に、入れ替わりや死の偽装といったミステリ小説的トリックが仕込まれている可能性があります。
たとえば、「ミーヌス」と「レーヴェ」が協力関係にあり、「ミーヌス」が黒幕、「レーヴェ」が実行犯という役割分担になっているとすれば比較的スッキリします。
ミーヌスの変節は、トートの「呪い」が原因かどうかはわかりませんが(現時点では具体的な根拠がなく想像の域を出ない)、とんでもない怪異が起こっていますよね。魔族に精神を乗っ取られたとか、魔族がミーヌスを殺して入れ替わっていたとか…。

たとえば、このような設定のある七崩賢・奇跡のグラオザームが関わっていたとしても不思議ではありません。ただ、彼の設定は強力過ぎて、大体なんでもグラオザームのせいにできてしまう(ほとんどすべての登場人物について正体はグラオザームだと言えてしまう)ため、仮に登場するなら、その前にそれなりの伏線や匂わせがあるはずだと思います。そうでないと唐突な印象で説得力がありません。ですが、今のところは具体的な根拠も匂わせもありません。
※グラオザームは女神の石碑編での「収穫」があるので、どこかで必ず再登場するはずですが、「実はグラオザームでした」という再登場の仕方は、彼の能力が強すぎるためかえってやりにくい(読者が白ける)と思います。ですから、読者に対しては正体を現して登場し、「志村後ろ!」的状況(フリーレンたち当事者は気付いておらず、読者はハラハラするが、間一髪で難を逃れる)を作るんじゃないか?などと想像します。
帝国編とフリーレンの旅
帝国編に魔族の影がちらついてきたため、ここで帝国編とフリーレンの旅の関係について確認しておきます。
もともと、帝国編の任務はフリーレンのエンデ(魂の眠る地)を目指す旅と深い関係がある、と私は考えています。
なぜなら、ゼーリエが本心ではフリーレンたちを帝国編の任務から遠ざけたいと考えているからです(第140話)。(ゼンゼやファルシュ、ユーベル、ラントの参加は認めるのにもかかわらず)
ただ、これは第140話時点の考察ですし、第145話でゼーリエが南の勇者と会っていることが判明したので、改めて概要をまとめておきます。
ゼーリエの態度に関して二つの謎があります。
ゼーリエは本心ではフリーレンたちを帝国編の任務から遠ざけたいと考えています(第140話「なんで私達を任務から遠ざけようとするの?」)。
ゼーリエは面接試験の前からフェルンを不合格にするつもりでいました(第6巻57話「ゼーリエは私とフェルンを受からせる気はないね」)。
なぜでしょうか?
これは、一つの長編内に留まるレベルの伏線ではなく、物語の全体に関わる(つまりフリーレンの旅と関わる)かなり大掛かりな伏線だと思います。(そのためか、私はこの点について説得力のある説明を見たことがありません)
この二つは一見無関係な事柄ですが、実はゼーリエの態度に着目すると共通点があります。
前者では、フリーレンたちを任務から遠ざけたいと考えているのに、ゼンゼがフリーレンたちを巻き込むことを黙認して、「私の意思ではない」、「ゼンゼが勝手に」と言い訳して、任務に参加させています。
後者では、面接前からフェルンを不合格にすると決めていたのに、フェルンに実際に会って実力を認めると、方針を翻して合格させてしまいます。
両者とも、当初の自分の考えを有耶無耶にして成り行きに任せ、現状を肯定してしまうという共通点があります。(一貫性に欠けるアンビバレンスな態度)
一見無関係なこの二つの事柄に関してゼーリエが同じ態度をとるということは、この二つの根本には同じ一つの要因がありそうなのです。
帝国編の任務がフリーレンの旅とかかわりがあるとすれば、これがきれいに理解できます。
それは、ゼーリエはフリーレンたちをエンデに行かせたくない(だから不合格にする)、エンデの秘密をフリーレンたちに知らせたくない(だから任務から遠ざける)、ということです。
南の勇者からエンデ(魂の眠る地)を目指すフリーレンの旅の真の目的(ヒンメルたちとフランメによるタイムリープを利用した魔王討伐計画)について知らされている(第145話)ゼーリエは、この計画に反対という程ではないのですが、何か懸念を持っていて、本心ではフリーレンたちにエンデに行って欲しくないと思っています。ただ、かといって積極的に妨害したり止めさせるほどの気持ちはなく、成り行きに任せているという心理状態です。
だから、「私の意思ではない」、「ゼンゼが勝手に」と言い訳してフリーレンが帝国編の任務に参加することを事実上認容しているし、当初は不合格にすると決め込んでいたにもかかわらずフェルンの実力を見て翻意して合格させるという、一貫性に欠けるアンビバレンスな態度をとっているのです。
フリーレンのエンデ(魂の眠る地)を目指す旅の真の目的とエンデの秘密
私の考えでは、勇者一行は魔王討伐に失敗し、魔王を封印して王都に凱旋しています。そして、エンデにある女神の石碑からフリーレンを魔王戦時にタイムリープさせて魔王を討伐する、というのがヒンメルたちとフランメの計画です。(これは時間を利用して討伐したクヴァール戦の応用です)
※これを前提に《葬送のフリーレン》を再読すると伏線がたくさん発見できて楽しいので、試してみてください。たとえば、ハイターがフェルンに魔族を殺すための技術である魔力制限を教えていたのはそのためです。フランメは魔王を倒すのは(未来からやってくる)平和な時代の魔法使いだと予言しています。考察を読みたい方はマガジンをフランメやヒンメルなどで検索してみてください。
フリーレンの旅は表向きの姿は「過去との出会い直しの旅」なのですが、真の姿は「失敗した魔王討伐のやり直しの旅」だというわけです。
魔王戦の前後でタイムリープを行うため、現在のフリーレンには魔王戦の記憶がありません(ヒンメルたちはフリーレンには「魔王は倒した」と嘘をついています)。

この計画に基づいて、ヒンメルたちやフランメはフリーレンをエンデへ誘導しているわけです。

また、これに対抗するために、魔族たちは「女神の石碑」を監視していました。

概要ですが、これがフリーレンのエンデ(魂の眠る地)を目指す旅の真の目的です。
ただ、ゼーリエはこの計画に必ずしも賛成しているわけではない、というわけです。(ゼーリエは南の勇者(ヒンメル)からこの計画を共有された(第145話))
なぜ、ゼーリエがこの計画に積極的でないのかはわかりません。なぜかもともとゼーリエは魔王討伐に積極的ではないように見受けられます。パッと思い付くのは、魔王がエンデの地に魔王城を築いたということは、人類と魔族の「魂の研究」に関する秘密がエンデにある、ということです。(第1巻7話のフランメの手記より)

おわりに
帝国編に関するこの考察結果は、女神の石碑と同じパターンで捻りに欠けますし、そのまま当たるとは思いません。ただ、既出の要素から敵の未来視を探そうとすると、上手く説明できるのは今のところはこれくらいしかなさそうです。次回の第146話を読んだ後には、かなり書き換わっている可能性も十分あります。
ただ、帝国編に魔族が関わってくるのは、どういう関わり方かはわかりませんが、十分あり得る展開だと思います。



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《葬送のフリーレン》に関する記事は下記のマガジンにまとめています。120本以上ありますのでキャラ名で検索をかけてみてください。フランメ、ヒンメル、エーヴィヒなどで検索すると物語の全体像に関わる考察が出てきます。
参考
魔族の復活
シュラハトの復活については前述しました。マハトとソリテールの復活について根拠をザッとまとめておきます。
マハトが死に際に思い出したソリテールの台詞「それだけ知ってもらえれば今はそれで十分」(第11巻103話)=それ以上は後で知れば良い
女神の石碑編であれだけ慎重だった(第12巻117話)、しかもフリーレンが自分の死と関係していると知っていた(第12巻116話)ソリテールが黄金郷編では積極的に戦闘に身を投じて、しかも死を恐れる様子がない(第11巻102話)。




巻話対照表

