ソウルフルギタリスト
オルガンを紹介してきましたがそうなると当然ギターも紹介しないわけにはいきません。チャーリークリスチャンをきっかけに多彩な表現が花開いたこの楽器はブルース(ジャンルの方)でも使われていることからもわかるようにブルースやソウルフィーリングにギター、特にエレキギターは相性がいい楽器です。
※以前紹介した「The Roots Of George Benson」と紹介している人物
がだいぶ被っています。ですが結構切り口を変えて紹介しているので結構違う内容になっています。
ルーツ
ソウルフルなギターの礎を作った人達。ソウルフルではない人もいますが皆この系譜にはなくてはならない人物です。
アルケイシー
チャーリークリスチャンより一歳年上(一歳年下説も)でファッツウォーラーやビリーホリデイのバンドに参加した古老です。しかしキングカーティスのバンドに参加し2005年に亡くなるまで戦前から続く娯楽としてのスウィングを伝えました。スタイル的にはそこまでコテコテではないと思いきやキングカーティスのライブではかなり荒っぽいギターを弾いています
チャーリークリスチャン
彼もコテコテではないですが彼なくてジャズギターなしです。しかし娯楽的スウィングを得意としたライオネルハンプトンとも共演しているのでコテコテと全く無関係というわけでもなく。それにジャズにおけるエレクトリックギターの技法を編み出したので父親であるのは間違いないのです。
T-ボーンウォーカー
エレクトリックブルースの父として有名ですがクリスチャンと親交があり、バンドを辞める際に自身の後任にクリスチャンを推薦するなどジャズとのつながりがない訳ではないです。さらにエレクトリックブルースが流行ると逆輸入の形で彼の編み出したスタイルやそれをもとに発展させたスタイルがジャズに持ち込まれます。ウォーカーのジャズやソウルフルな演奏を聴くならブルースウェイの「Funky Town」やフランス「ブラック&ブルー」レーベルで。
オスカームーア
言わずと知れたナットキングコールのギタリストです。彼の粋なスウィングとビバップの素養を感じるアドリブは間違いなくコテコテギタリストにも影響をおよぼしています。一枚選ぶならオーケストラの少ない演奏でギターもたくさん聞けるInstrumental Classics。もともとは78回転でシェラック製の由緒正しい?一枚です
スウィング〜バップ
ここらへんからソウルフルさが出てきます。
タイニーグライムズ
ある意味では気の毒なギタリストです。チャーリーパーカーをバンドに入れてしまったがために初期のパーカーの音源をまとめたコンピに収録され当て馬的立場にされてしまっています。僕の持っているLPでは「せいぜい左傾化したスウィング」と見る目がないですと告白しているも同然のひどい紹介をされています(左傾化と政治用語を持ち出すあたりインテリを鼻にかけてる感じがして余計鼻につく)しかしその実は世にも珍しい4弦ギターで庶民的スウィングが奏でるコテコテの直接的なご先祖。娯楽なくしてジャズはなしなのです。
ビリーバトラー
パイプが似合うギタリストにハズレなし。ビルドゲットのバンドのギタリストでHonky Tonkの作者。さらにミッキーベイカー、アルケイシーと並んでNYのセッションギタリスト第一世代でもあります。チャーリークリスチャン直系のスタイルが持ち味であっさりめのコテコテです。セッションギタリストとしても多くの作品に参加しているようですがまだクレジットをはっきり書く前の時代から活動しているため詳細は謎が多いです。
グラントグリーン
針が飛んだようなと言われるほどのシーケンスフレーズが得意なグラントグリーン。1960年にデビューして以来73年くらいまでが全盛期で途中モーダルに浮気したりドラッグで二年ほど棒に振ったりしますがずっとソウルフル!大別すると二度の中断前のバップ的な要素入りの時期とそのあとのキレの半端ないジャズファンク時期の二つに大別されどちらも最高です。
ちなみにフルアコ一筋とおもいきや1959年にオルガン奏者サムレイザーのバンドに参加した際の音源がグリーン名義でリリースされたのですがなんとジャケットではストラトキャスターを持っています!
ケニーバレル
バップギタリストとして都会的な程よいブルースを得意とする彼ですが脇役的なスタイルが気に入られたのかジミースミスと度々共演しコテコテにも縁があります。特にスミスと共演したなかでもブルーノートの「Home Cookin’」とヴァーブのGot My Mojo Workin'が特に悪い感じで好きです。もちろん本人名義の「Midnight Blue」もお忘れなく
ジョーパス
クールジャズ、ソロギターの名手でありコテコテの真逆のような存在に思われますがレスマッキャンの主導で泥臭いハードバップやソウルジャズがパシフィックジャズに取り入れられるとそうした作品にも参加するようになります。チャーリークリスチャンを洗練させたようなスタイルでラリーカールトンの師匠でもあるので結構ブルージーな演奏も得意です。特にBetter Daysは洗練されたブルースとファンキーで西海岸らしいジャズファンクです。
ハワードロバーツ
彼もまたクールジャズ系のイメージですがオルガンと組んだ作品も残しています。コテコテというにはあっさりしていますが充分グルーヴィーでお洒落よりのクラブジャズのご先祖様と言えばいいかもしれません。ハーブエリスもメルブラウンやルーロウルズの作品に参加したりと実はクールなギタリストも接点はないわけではありません。
ソーネルシュワルツ
ジミースミスのトリオの地味なギタリスト。そんなイメージが強いかもしれませんが実はめちゃくちゃギターの名手。ジミーマクグリフのバンドでの演奏やジョージベンソンのギターの先生というエピソードからもそれが伺えると思います。スミスのAt The Organ, Volume 3での演奏。特に一曲目Judo Mamboでのパームミュートを使ったパーカッシブな演奏やマクグリフのLive Where The Actions At!での小技を効かせたリズムやウェスばりのオクターブ奏法は地味なギタリストというイメージを覆してくれるはずです。
ウェスモンゴメリー
この人をコテコテの人にしてしまうのはちょっと横暴かもしれませんがデビュー前はライオネルハンプトンのバンドに、デビュー作はオルガントリオでその後もいくつかオルガントリオでの作品を作っているのでコテコテの人でもあるのです。いなたいThe Wes Montgomery Trio、ほどよくポップなBoss Guitar、ジミースミスと共演したFurther Adventures Of Jimmy And Wesの三つがとくにおすすめです
ジョージフリーマン
アウトしまくるカッ飛びギター!そんな彼がここにいるのはおかしいと思う方もいるかもしれませんがチャーリーパーカーと共演経験もあるベテランです。リチャードホルムズと共演後、晩年のジーンアモンズのバンドに加入。フリージャズ嫌いを公言していたにも拘わらずフリージャズ的な演奏をするフリーマンを加入させたことに疑問をいだいた人物がこのことを聞くとジーンは「確かにあいつはフリージャズをやっているけど他のリズムや全体の流れを考えたうえでそういうことをやってるから、ちゃんと音楽として心地よく聴こえるんだ」(ざっくり意訳)と答えたようなのでこのタフテナーにもかなり気に入られていたことが伺えます。70年代にはギタリストにかなりのこだわりのありそうなジミーマクグリフのバンドに参加。その後も近年まで活動していました。兄のヴォンと共演したNew Improved FunkとオドネルリーヴィとのツインギターがエグエグなConcert Friday The 13th Cook County Jailがおすすめです。
ソウルジャズ
ジミーポンダー
ウェスからの影響を受けソーネルシュワルツのレッスンを受け、ウェスから認められるというジョージベンソンとよく似た経歴を持った彼ですがその後のキャリアはジョージベンソンとは真反対といえます。サイドマンとして順調に経験を積みリーダー作を作れたジョージに対してなかなかリーダー作を作れないジミー。よく似た二人ですがジョージはポップさやソウルがありますがジミーはもっと渋いブルースやジャズの素養が濃いのが両者を大きく分けたのかもしれません。
メルヴィンスパークス
タフさに定評があるテキサス出身のギタリストです。リトルリチャードのバックバンドに在籍後67年にジャックマクダフのバンド加入をきっかけにコテコテの世界に足を踏み入れます。ちなみに前任はジョージベンソンで単発でパットマルティーノが参加を挟んでメルヴィンスパークスなのでかなり濃い面子が続いています(さらにジョージの前はグラントグリーン)。レアグルーヴムーブメントの際にインタビューでこうした音楽が再評価されたことに対して「ゲットーのような限られた地域だけで聞かれていて多くの人には新しいものに聞こえるじゃないかな」と答えており僕がこうした音楽を好むのか少し腑に落ちました。個人的には好きなタイプですがいまいちこの人ならではの魅力が言語化できなくて持っている彼の参加作品を全部聞き返しましたがやはり上手く言語化できません。このモヤモヤを解決したくて何度も聞く、解決すればその良さを味わうためにもっと聞く。そんなところもコテコテの醍醐味かもしれません
オドネルリーヴィ
目が良くなかったのか分厚いメガネをかけている見た目が知的ですが演奏も知的なスタイル。しっかりと基礎をマスターしたうえで荒ぶっているという印象です。後期ウェスモンゴメリーのような美しいメロディから野獣ジョージフリーマンと対等に渡り合うイカレっぷりまでと振れ幅の広さが楽しいです。
ブーガルージョージョーンズ
コテコテが愛されていなければグラントグリーンの劣化版というレッテルを貼られていたと思います。あくまでも彼はグリーンと同じ少ない語彙で語るのを好むプレーヤーであって下手とかでは決してありません。彼のキャリアは短くある時期を境に消息を絶ちますがミュージシャンの間では風の便りで「郷里に帰った」「運転手をしているらしい」「ゴスペルの仕事をしている」といった噂があったそうです。
ジョージベンソン
なんでもできるせいでコテコテのイメージは薄いですがその初期は紛れもないソウルフルギタリスト。The Roots Of George Bensonで結構説明してしまったのでそちらも合わせて読んでください。
メイナードパーカー
彼は最初はシンガー兼オルガン奏者のビリーホークス、次いでチャールズアーランドのバンドに参加。ソロアルバムを一枚出しています。特にこれといって特筆すべき個性はないですがジャズとブルースを半々にやったようなこのジャンルにぴったりのプレイです
クロスオーバー
コーネルデュプリー
テキサス生まれのギタリストでクラレンスゲイトマンブラウンやビリーバトラーの影響を受けてギターにのめり込んでいきました。そんなわけで20でキングカーティスのバンドに参加。さらに69年にブルックベントンのRainy Night in Georgiaであまりにも素晴らしい演奏(僕も大好きです)で一躍ファーストコールギタリストに。その後ソロ、スタッフ、セッションミュージシャンとして数々の名演を残しています。根っこがジャズの人でないのでスウィングはここで紹介したギタリストと比べてやや苦手ですがそれでもテキサス出身ならでは?のブルージーかつソウルフルなギターは最高です。
エリックゲイル
見た目は普通のやや禿げたおっさんです。ルックスはかっこよくはありません。ですが大きなフルアコのギターを抱えて弾くその姿はめちゃくちゃかっこいいです。職人の熟練技を見ているかのようです。レゲエを取り入れたリズムや癖の強いチョーキングなど一発でゲイルだとわかるスタイルの持ち主です。最高なのはやはりスタッフ。当時まだお兄さんだったスティーブガッドとクリスパーカーを除けば普通のおっさんなのに彼らが集まるとクロスオーバーならではの洗練されたメロウネスとキングカーティス由来の骨のあるグルーブが最高です。
フィルアップチャーチ
ソウル、ジャズ、ブルース、ファンクの距離がほぼないシカゴという町の音楽シーンを象徴するような彼ですが芯にあるのはブルースです。ジョージベンソンのBad BensonやBreegin'で聞けるファンキーなリズムやDarkness, Darknessで聞けるブルース丸出しのフレーズを取りつかれたように繰り出すソロ、様々な参加作の一聴するといるかいないか分からないようでよく聞くとさりげなく支えるような演奏。コテコテでもありセッションミュージシャンとしても手本のような人物です
アコースティック回帰〜ジャムバンド
ざっくり言うと80年代以降。土臭さがジャズから消えかけた時期ですがそれでもアコースティック回帰やレアグルーヴブームに乗った60年代のオルガン奏者たちの晩年の名作やジャムバンドなどコテコテジャズギターが返り咲いた時代です。フュージョンやソウル由来のメロウな部分はスムースジャズやネオソウルにもつながっていきます。
ロドニージョーンズ
70年代後半にデビュー、ディジーガレスピーやチコハミルトンと共演。80から90年代にジミーマクグリフ、メイシオパーカー、ルースブラウンとソウルフルなミュージシャンと共演しています。しゃしゃり出ることはないけど印象に残る名脇役です
エリッククラズノー
ソウライブのギタリストでソウルフルなトーンも弾きますがこの時代らしくジョンスコフィールドのようなオクターバーを使ったウネウネトーンやジミヘンやスティービーレイヴォーン等ロックギタリストからの影響も受けた演奏をしています。ですがやっぱりソウルジャズっぽい演奏をしているときが一番ノビノビとやりたいことができているように感じます。
グラントグリーンJr
名前通りグラントグリーンの息子です。お父さん譲りのソウルフルなトーンですが時代柄スムースジャズっぽかったりお父さんほどの個性がなかったりといった意見もありますがこの時代にあの頃のようなスタイルをやるという意気込みだけでも十分すごいです。
ソウル、R&B、ブルース
なかでも特にジャンルを縦断した、特にジャズ的旨味のある人たちを
アーサーアダムス
始めはチャックベリーやローウェルフルスンと共演したブルース系の人です。64年からセッションミュージシャンとしてルーロウルズからヘンリーマンシーニまで幅広く共演。60年代からクルセ人脈と絡みます。ブルースとジャズを半々、ややジャズよりという感じ。歴が長いだけあってリズムギターを堅実でワウを踏んだプレイもなかなか。ここで紹介したギタリストの中でもトップクラスです。
メルブラウン
前述したT-ボーンウォーカーのファンク期に欠かせないのがメルブラウンの野暮ったいリズムギター。ほかにもBBキング、ジョンリーフッカー、ボビーブランド、ジミーウィザースプーンらとも共演し少なくない数のソロ作もリリースしています。ジャズともブルースともつかない感じがむしろ旨み。T-ボーンウォーカーのFunky TownとジミーマクグリフのThe Dream Team(デヴィッドニューマン、レッドホロウェイ、バーナードパーディ!)がおすすめです
フレディロビンソン
ブルース好きで知らぬものはいないであろうハウリンウルフのスプーンフル。この曲でギターを弾いていたのが彼。ほかにもリトルウォルターのHate To See You GoやウルフのThe Rockin' Chair Albumでは数曲でヒューバートサムリンとツインギターを弾くなど根っからのブルースの人といった印象ですがジャズにも関心がありウルフのバンド在籍時に彼から「ディジーガレスピーの曲はやるなよ」と言われたという話も。70年代初期にはジャズファンクにも顔をだしておりサンプリングソースとして人気なミルトジャクソンのMemphis JacksonやWay Back Homeのオリジナルが収録されたクルセのOld Socks, New Shoes...New Socks, Old Shoes、ジョーパスのBetter Daysっぽい雰囲気のThe Night Blooming JazzmenのFreedom Jazz Danceがおすすめです
スティーブクロッパー
ブッカーT&The MG’sのギタリストでブルースやロックンロールの影響が強いスタイルです。歌手の伴奏での手堅いバッキングからMG'sでのエルモアジェイムズのような派手なギターまで引き出しの多い職人的なプレイを聞かせてくれます。
ミッキーベイカー
セッションミュージシャンの第一世代にして早すぎたロックンロールギタリスト、そして人気の教本を発表するほどの腕前のジャズギタリスト。活動の幅広さにめまいすら感じますがクレジットをしっかり記録しない時代ゆえに謎が残ります。ルイジョーダンの再録音集ではパンクロッカーも裸足で逃げ出す荒っぽいギターを演奏しています
