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コテコテオルガン

ジャンルレスにオルガン奏者を感想多めで紹介します。好みに基づいてジャンルレスに聴けるものをピックアップしたのでラリーヤングのようなガチのジャズやキースエマーソンやジョンロードのようなハードロック、プログレ系はいません。僕が好きな奏者に共通なのが「いい感じ」であること。すごい複雑とかバカテクで押すとか、アルバム内で出来不出来が大きいとかがあまりなくどれもほど良くてフィーリングに浸りながら聴いていて楽しい。そんな感じです

ジャズオルガンの歴史は下記の記事でチラッと紹介しましたが多少補足を。電気を用いた楽器でおそらく最も早く成功したこの楽器は多くの機械と同じく本物に敵わないという批判を受けます。しかしそれに対してハモンド側は特に厳しく批判する人物を招いてブラインドテストを行います。結果は全員がパイプオルガンとハモンドオルガンを聴き分けることができなかったそうです。ではなぜこの楽器が流行ったのか。それにはクラブ経営者の事情とミュージシャン側の事情が絡み合っていました。経営者側はまず調律代や調律していないが故のトラブルを避けることができます。この時代ピアノの調律代をケチったりそれに怒ったミュージシャンとのトラブルは絶えなかったそうです。一方オルガンは電気で音が鳴るため調律がいらないため経営者からすれば一石二鳥。さらにピアノと違いベーシストがいなくてもいいため払うべきギャラも一人分減るため一石三鳥。一方のミュージシャン側も調律されてないおんぼろピアノを弾くストレスから解放、ベーシストがいないため人件費を上げずに様々な編成を試せる、運が良ければヒットがでて印税で食っていけるとこちらも一石三鳥。もちろんその演奏が多くの人々の心をつかんだからなのは言うまでもありません。

ここからは人物や音楽性紹介&おすすめ作(基本リーダー作、一部サイドマン作品あり)を一人ずつ紹介します。おすすめ作は一部紹介していない人もいるので随時追加していきます。また個人的におすすめが変わった場合は変更します。

ジミースミス
ビバップとソウルをミックスしてジャズオルガンを完成させた人です。多くの人が彼をきっかけにジャズオルガンを知りオルガンを始めたりコテコテにはまっていきました。ビバップなブルーノート初期、ブルージーかつソウルフルなブルーノート後期、ゴージャズなヴァーブ初期、スモールコンボに立ち返ったヴァーブ後期、伝説として変わらぬソウルを聴かせてくれた80年代以降。その全てが最重要。

ジャックマクダフ
ジミースミスが表の番長なら裏番長はジャック。ジャズが苦手ならジャックに舎弟入りすれば荒っぽい演奏の中にジャズを感じさせてくれます。そして気が付けばジャズの旨みが分かるようになっています。さらにサイドマンもギタリストだけでもグラントグリーン、ジョージベンソン、メルヴィンスパークス…有名な人物ばかりなのでマクダフ人脈はコテコテジャズを調べるうえで大きなヒントになります

ジミーマクグリフ
自称はブルースミュージシャンですがちゃんとスウィングしています。オルガンの潤滑油だだ洩れしているようなファンキーな演奏や他のオルガン奏者との試合など脂っこい料理、ブルースと格闘技のどれか一つでも好きならおすすめです。とくにブルース寄りのハンククロフォードとの共演、ファンクよりのデイヴィッドニューマンとの演奏は80年代ソウルジャズの最高峰です。彼は以前解説しているので合わせてそちらも読んでください

リチャード"グルーヴ"ホルムズ
 ジミーマクグリフと格闘したのがこの人物。笑顔を浮かべ巨体を揺らしながら弾き倒す姿が目に浮かびますがベースパートに関してはジミースミスを裸足で逃げ出すほどのアドリブです。レスマッキャンとのツインキーボードもいい感じ。ソウルフルなプレスティッジ、ポップ寄りなパシフィック、ガッツリファンクのグルーブマーチャントとだいたいいつの時代もいい感じです。ちなみに僕は人気盤のオンサヤジョイは未聴です。聴きたい。

ビッグジョンパットン
リチャードホルムズ、チャールズアーランドと並ぶ3大巨体オルガニスト。ブルーノートのオルガントリオがバックの作品はだいたいパットンがオルガン、グラントグリーンがギター、ベンディクソンがドラムでこの編成はだいたいハズレがないです。ドシドシと大型動物が走るような演奏が圧巻です。

ジョニー"ハモンド"スミス
ハモンドオルガンが好きすぎて芸名にしてしまったという意味ではオルガン奏者の最高峰?プレスティッジ初期はピャラピャラと軽い音を聴かせていたようですがそこからはソウルジャズ、ジャズファンクと定石を踏んで進化していきます。この人の個性はと聞かれると難しいですが逆に大きなマイナス点もないかなという印象。
ハモンドなのにハモンドオルガンを手放したKUDU後期~マイルストーン時代のマイゼルブラザーズと組んだメロウなクロスオーバーも路線は違えど良い作品です

チャールズアーランド
Black Talkがあまりにも有名ですが実はまだ聴けていません。それでもドロッとヘヴィなLive At The Lighthouseやシンセをふんだんに使ったスペイシーなThe Dynamite Brothersなどいい作品はほかにもたくさんあります。

フレディローチ
教会直送の清潔感のあるソウルフルさが持ち味。バラードを演奏させたら彼に勝るオルガン奏者はそう多くないです。アイクケベックとの共演も中間派のソウルジャズといった感じでいい感じです。

シャーリースコット
ベースはベーシストに任せているうえに淡泊な演奏ではありますがコテコテを内に秘め、タフなテナー奏者と一緒になると火のついたような演奏をします。ソウルフルなオルガンはあんまり…という人でも聴けると思います

ベイビーフェイスウィレット
ブルーノートからレコードを出してるのでジャズに入れましたが本業はジャズのようでもそうでもでも無いような…という演奏です。方言を喋る人がいつもの口調が出ないように口数を抑えているような感じと言えば良いでしょうか。

ロニースミス
ターバンがトレードマークのオルガン奏者。ここまで紹介してきた人より少し若いからか柔軟に新しい音楽を取り込んだソウルジャズ、ジャズファンクでシーンに登場。70~80年代にはやや低迷しますが90年代以降に復活。亡くなる直前までどん欲にアップデートし続けましたが最後までソウルを忘れることはなかったです。


ファンクinc(ボビーワトリー)
このグループもプレスティッジ所属。サックス、オルガン、ドラム、コンガ、ギターというオーソドックスなソウルジャズバンドで次第にベースのゲスト参加やボーカルを導入するようになりますが、僕は初期のイナタくもソウルを意識した演奏が好きです。その時期はカバーの選曲の節操のなさ、聴いたことがあるようなないようななオリジナルとそこらへんで演奏してるコンボを連れてきました感が生々しくて時代を強く感じます

サムレイザー
ここからは無名で残した作品が少ない人物を4人まとめて紹介。シカゴのオルガン奏者でファーストアルバムではブルーノート契約前のグラントグリーンとシカゴブルースの大御所ウィリーディクソンが参加しています。

トルーディーピッツ
女性オルガン奏者で無名ではあるもののパットマルティーノやウィリスジャクソン、ローランドカークのバンドに参加していました。パットマルティーノのファーストアルバムと彼女のファーストアルバムはこの時代らしいソウルジャズでおすすめです。ちなみにファーストアルバムに写る姿がめちゃくちゃかっこいいです。

ビリーラーキン
始めはジャズっぽいものの次第にソウル寄りに。ビルドゲットをもう少しモダンに、ジャズにした感じです

ポールブライアント
西海岸のオルガン奏者でミュージシャンとしてのキャリアは長いもののレコーディング枚数は少ないです。カーティスエイミーやジョニーグリフィン、ハワードロバーツとの共演が有名です。

リチャードティー
スタッフのメンバーやセッションミュージシャンとしてアコピやエレピも弾く彼をここで紹介するのは少し違うかもしれませんが教会直送の温かみのあるオルガンをほっておくわけにはいきません。いつかSpotifyでプレイリストを作って解説したいですが予定は未定なのでしばしお待ちください。

酒井潮
うしおさんと読みます。日本を代表するオルガン奏者。かなりソウルフルですが寡作な上マイナーレーベルばかりなので聴くのは難易度が高いですがいい感じの演奏です。

ラリーゴールディングス
様々なスタイルの演奏をするのでここで取り上げるには若干ずれている感もありますがメイシオパーカーのバンドでの演奏は最高にソウルフル!この路線で数枚ソロアルバムを作って欲しいです。

ニールエヴァンス
ソウライブのオルガン奏者。クラヴィネットやピアノなどオルガン一辺倒ではないところや泥臭さではなく洗練した演奏など新時代のコテコテ、特にロニースミスからの影響を感じます。後輩への影響力ではジミースミスが圧倒ですが二番手というとロニースミスのイメージです。というのも一番手たるジミースミスの後継者としてジャズの進化に歩調を合わせたラリーヤングやロニースミスがあげられると思いますが、ヤングはその独創性や音楽性故にオルガンである必要があまりなく純粋なオルガン奏者としての後進は育たず一代で絶えてしまったように感じます。しかしグルーヴしつつも冒険そして多彩なキーボードを使えど主力はオルガンであり続けたロニーの方が影響力を強く与えたのではないでしょうか?


R&B、ソウル

ジャッキーデイヴィス
初期のオルガン奏者の一人。作品数は少ないもののルイジョーダンやダイナワシントンのバックで荒っぽくスウィングするオルガンを披露しています

ビルドゲット
JB、ビーチボーイズ、ガッドギャング、ブライアンセッツァー…ジャンルを超えて愛されるインストナンバーHonky Tonkのヒットで有名な彼。ジャズとR&Bの垣根を超えたスタイルは、オルガン奏者にありがちな俺が俺がというより一歩下がってバンドをまとめるようなスタイル。だからJBのプロデュースでジャズファンクのアルバムを作ったりもしています。

ブッカーT
言わずとしれたMG'sの番長。ノリのよさはもちろん、ジャズやクラシックの素養もあるためじっくり聞くと高度なフレーズがちらほら。スタックスのハウスバンドとしてコテコテを世に広め、オルガンジャズへの橋渡しをした重要人物。プロデューサーとしてはウィリーネルソンやカルロスサンタナなど意外な人物とも共演しています。

アールヴァンダイク
ジャンキーのベニーベンジャミン、酒飲みジェイムスジェーマソンを筆頭にジャズマン崩れのファンクブラザーズをまとめあげた真の番長。元はバリーハリス、トミーフラナガンらと腕を競い合ったジャズミュージシャンでフレッドジャクソンというテナー奏者がブルーノートに残した唯一作に参加した他、70年のライブアルバムではとんでもないアドリブを飛ばしまくっています。

ビリープレストン
60年代にはインストオルガンを何枚かリリース。どちらかというとソウルをまぶしたイージーリスニング的なアルバムなので上記二人に比べればやや甘いものの後の片鱗を見せています。ジャケ、タイトル共にかっこよく有名になる前のスライストーンが編曲を手掛けたWildest Organ In Town!がおすすめです。もちろんオルガン奏者の枠を超えたソウルミュージシャンとしての70年代の作品の良さは言わずもがな。

ソニーバーク
セッションミュージシャンとして有名な彼ですが初期はサックス奏者クラレンスウィーラーのエンフォーサーズに参加しています。のちにセッションミュージシャンとして多くのキーボードを演奏していますがこの頃はオルガン一本でサイケデリックやファンクを入れた新しいスタイルのオルガンを模索しています。解散後もクラレンスウィーラーのソロ作に参加。その後はセッションミュージシャンとしてリーダーよりも売れっ子になります。

オーデルブラウン
彼はエンフォーサーズというバンドのリーダーとして活動後セッションミュージシャンとして多くのキーボード演奏を行うというソニーバークとよく似た経歴の持ち主。ソニーと比べれるとオーソドックスな演奏ですがラテン風味な演奏が持ち味。ちなみに彼はマーヴィンゲイのセクシャルヒーリングの共作とキーボード演奏をしています。


ポップス

アールグラント
ムーディーなインストとナットキングコールスタイルの甘いバラードの二本立て。コテコテを求めると若干肩透かしなものの、たまにいい曲があるからベスト盤は押さえておくと思わぬ収穫があります。ムード歌謡好きにはストライクかも

といろいろ書いてきましたが僕もまだコテコテの道半ばです。例えばルーベンウィルソン、チャールズカイナード、ロニーフォスター等々たくさんいます。さらにオルガンも弾くピアニストも含めればキリがありません。なので適宜追加していく予定です。次回はギタリスト編です。