万博の色と形を縫うようにして
散りばめられた形は万博ならではの
自由さで祝祭の景色を彩っていく。形は色を帯び、
緑とアートと混じり合いながら、風景への視点を
広げてくれる。足元に目をやっては空を見上げる。
歩くほどに視界は転じ、対象は重なり形を変える。

万博会場に広がる空と緑に重なるように
設置されたアートには、青や紫の木立が続き

その先の、万博会場の中央に広がる森へと誘われる

小道沿いのアートは、植物に流れる音を増幅させ

自然とのつながりを体感させるもの

緑はこの場所に根づき、森は厚みを増している

奥に目をやると、紡がれる赤い糸も時を経る。その作品は
塩田千春さんによる言葉の丘。赤い糸をたどり、
戻ってきたけど、三度目も近づくことはかなわずで

空中に浮かび、風景に溶け込むような

白の線の重なりを通して見上げる空

柔らかく空間をくぎる構造を持つ
自然と一体となるパビリオンを後にして

空へとつながる緑の下を進んだ先に

移築された校舎とともに、やってきたイチョウの木

その記憶はまたどこで紡がれるのだろうか。足元に咲く

キキョウとオミナエシ。小さな時間と大きな時間
前回には、建物が歩んだ道程にもふれた

頭上には輝く太陽。こみゃくのHikariのデザインの側には

太陽の光を浴びて色づくCocoonerという
繭のような外観のアート。ふわりと浮遊する膜は

太陽との関係を体感できるものでもある

万博に散りばめられた色と形。太陽をモチーフとした赤の

オマーンのパビリオンは、光を浴びてより鮮やかに輝く
赤色はオマーンの国旗の主たる色でもある

その先にはゆらめく白のオランダ館の
ミッフィーは日本との架け橋とともなる
色と形を風景の中でつなぎながら

万博で展開されるアートもたどる。太陽の光で色を変える
流れ落ちる塗料によって表現される

作品を手掛けるのは中島麦氏。万博に至る途中の駅で
氏の作品を見たのは6月の万博へ旅の始まりの頃
万博は大阪関西国際芸術祭の会場でもある

万博の風景は大屋根リングとともにあり

会場をめぐるほどに、柔らかな木の温かさに包まれる

休憩場には、縫い合わされた布の連なり

太陽の光の温度を感じさせる黄色や赤の布は

うつろう光と風を生み出す空間の一部となり、そこは
テキスタイルをまとう五感で感じる場所となる

光を表現するようなパビリオンもあれば、太陽そのものの

ようなパビリオンもある。その赤い大きな球体には

シンガポールという小さな国土の大きな夢が込められる

赤い円盤が重ねられた表面は近づくほどに、均一ではなく

大きさも質感も異なるもので構成されている。同国の

愛称でもあるというリトル・レッド・ドットに、地図に
指した赤いピンを目指し旅したことを思い出す

大屋根リングに沿って進めば、西ゲートにはミャクミャク

と渦巻く命のエネルギーを表現するようなパビリオンの

上で海の向こうを指差すアトムの姿
パソナのパビリオンはオランダ館とともに
アトムが指差す淡路島へと物語をつないでいく

パビリオンがまとう色や形。オーストラリア館の鮮やかな
グラフィックは、多様性や創造性が象徴される

隣に建つインドネシア館は未来へと航行する
船をモチーフとした形としてデザインされている

その下のステージで行われていた民族舞踊に
インドネシア館といえばのヨヤクナシダンス
形が奏でる調べと、人々が生み出すリズムに乗り

隣のインド館でくるくると回転する車輪のように

大屋根リングが描く円に沿い、この先も旅を続け

風景にあふれる色や形をたどる。壁面には緑が重ねられた

セルビア館の大きな赤いサインを後にして

万博会場を歩くほどに目に映るもの。それぞれの
形に流れる物語に耳をすませて、風景を彩る色を
たどる。数えあげればきりがないほどの色と形の
間を、自らの記憶の形と縫い合わせるようにして。
