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マクロレンズの世界 vol.9 アーカイブ


「黄砂」  撮影地:自宅 私設栽培場  ⒸJulikis_Seto, 2009
Oenothera tetraptera(ツキミソウ)   撮影地:自宅 私設栽培場  ⒸJulikis_Seto, 2010
Leucojum aestivum(スノーフレーク) 撮影地:東京都自宅周辺  ⒸJulikis_Seto, 2010
推定 Brassica rapa(コマツナ) 撮影地:東京都自宅周辺  ⒸJulikis_Seto, 2010
 「君と分け合う光」  撮影地:東京都自宅周辺  ⒸJulikis_Seto, 2010
「2万6125枚の花びら」 撮影地:勤務先 研究所裏手  ⒸJulikis_Seto, 2011
「ジャンケンポン」 撮影地:夢の島熱帯植物館  ⒸJulikis_Seto, 2011
「惜春」 撮影地:ホキ美術館付近  ⒸJulikis_Seto, 2011



自分の、自分による、自分のための作品保全


∫1  基点は自分にある


1)自分が良いと思う写真を

僕はよく、「美しい色が現れた」と思って写真を選びますが、
色が見えない人には、その写真のどこが美しいのかわかりません。

僕はよく、「特徴的な構造を写せた」という理由で写真を選びますが、
学識背景がない人には、その写真のどこに価値があるのかわかりません。

残すべきは、自分がよいと判断した画像です。
基準は各人の自分の中にあります。

人類の存続と繁栄を望むなら、ヒトはそれぞれ違っていなくてはならない。

マシュー・サイド 『Rebel Ideas  -The Power of Diverse Thinking』
「均質の集団は危機に弱い。多様性の確保を怠れば、最悪、死者が出る」

マット・リドレー 『The Rational Optimist  -How Prosperity Evolves』
「分化と交易が文明を育む。文明が縮退したタスマニア島の悲劇を見よ」

死者が出たり、文明が縮退したりする問題に比べれば、
多様すぎて同じ感性を持つ人が存在しない問題などどうでもよいことです。

自分色でない世界で、自分色であれ。


2)固有の想起網

春の日、公園に桜が咲いていました。

3歳の女の子は言いました。「わあ、きれい」
おばあちゃんも言いました。「きれいだねえ」

同じ桜を見上げていますが、二人の脳内に広がる世界は異なります。
老婦人の想起網には、たくさんのエピソードが詰まっています。

 父親に肩車してもらって、触らせてもらった桜。
 故郷の神社に咲いていた、今はもうない、その桜。
 はじめてのマイホームの近くにあった、公園の桜。
 夫、亡きあと、看護師に復帰し、その病院の敷地にあった桜。
 そして、孫の手を引きながら見る、この桜。

人生であと何回、見られるかわかりません。
少なからぬ患者が「桜を見るまで頑張る」と言い、
開花を見届け、息を引き取っていきました。

「おばあちゃん、どうしたの? なんで泣いているの?」

そこに想いがあるのなら、写してよい、残してよい。

批評家「こんな写真、コンテストに応募できないよね?」

わからないのです、その人には。


3)記憶が心を落ち着かせる

『妻を帽子とまちがえた男』に、記憶障害の男の話がでてきます。
ジミーは青年期に脳機能の一部を喪失し、新規の記憶を蓄積できません。
ジミーは当時の記憶を確かめて、心を落ち着かせようとします。

私は私。
 私(今ここで思惟している意識体)は、
 私(これまでここに情報を蓄積してきた、固有の思考基盤)である。

過去があって、今がある。
一般に、青年より老人のほうが落ち着きがあります。

写真を見ると、当時のエピソードがよみがえります。

そうそう、このときね・・・。


∫2 自分のためのアーカイブ

1)デジタルデータは消える

自分の感性で良いと思える写真を撮り、残しました。(美意識)
自分の学識に照らし、価値ありと判断した写真を残しました。(学術意識)
写真の出来と関係なく、心が動いたときに撮り、残しました。(固有想起)
将来、記憶の呼び出しに役立ちそうな写真を残しました。(回想見込み)
見ると、当時のことが思い起こされる写真を残しました。(回想実績)

そして、そのデータは消えます。

PCの寿命は通常、10~15年。
ヒトの寿命より短いです。


2)アップロードしましょう

自分用の写真は、自分が保全します。
保全すべき期間は、ずばり、自分が生存している80年ほどです。

自分が、故郷を思い出すために
自分が、若き日の旅を思い出すために
自分が、故人や愛犬や愛猫を偲ぶために
自分が、美や愛の感覚を得て、喜ぶために
自分が、会心の1枚を眺め、満悦するために。

必要にして、十分。
自分が、生きて、写真を見たいと思う期間、記録を維持します。

保全の手段は、かつてはプリントだけでしたが・・・。
肖像権やプライバシーの問題がない写真については、
アップロードするのもよい手に見えます。※


※ 愛する人の写真は、アップロードではなくプリントにしましょう。

 プリントは額装して飾れます。
 映画には、愛する人の写真が飾られているシーンが多くあります。
 父も書斎にニコンで撮った長女(僕の姉)の写真を飾っていました。

 『岸辺のアルバム』で、父親が必死で持ち出すのは、家族写真です。
 家族写真が必要だったのは、被写体となった家族よりむしろ、
 撮影者当人に見えます。


3)画像データの置き場所

① SNSの個人ページ
最近のシステムは使い勝手がよいです。
[フォロアーにとって見やすい]=[投稿者にとっても見やすい]です。
平素、見て楽しむことを第一とするなら、
SNSの個人ページにアップロードするとよいでしょう。
アルバム機能があるシステムでは、複数枚を並べることもできます。
海や山、鳥や猫の写真なら、投稿者も閲覧者も楽しめて一石二鳥です。

② 写真専門の投稿サイト
写真専門のサイトは、実態としてオンライン写真展です。
写真家ごとに作品を表示することも可能ですが、原則、1枚勝負です。
キーワードで「ヒマワリ」と入れると、「ヒマワリ」の写真が並びます。
写真撮影は、誰でも手軽に始められるとして、
そのことは、深山、高嶺の存在を否定するものではないです。
視点自慢、作画自慢の写真家たちと、刺激しあって楽しみます。

③ ストレージサービス
失いたくないデータは、ストレージサービスに格納します。
データ保全を一義とするシステムでは、不可逆の圧縮をしません。
サムネイル機能がないシステムも多いので、後日の引き出しを考慮し、
何の画像であるか、判別できるファイル名をつけて格納します。

④ バックアップメモリ
長期未整理のデータは、バックアップメモリでフォローします。

・HDD
HDDは外付けとし、入出力時を除き、電源を入れないようにします。
ヘッドを退避位置で保ち、停電や落雷による損傷事故を回避します。
劣化部品の代表、コンデンサも通電しないほうが長持ちします。

・USBメモリ
USBメモリは、入出力の繰り返しで劣化することが知られています。
しかし、データを格納するだけなら、どうということはありません。
USB規格は安定しており、将来に渡って読み出し性を期待できます。

・メモリカード
メモリカードのままでも保存できます。
撮影年や撮影場所のメモを同封し、ポケットアルバムなどに保管します。
本体の耐用年数が尽きたときは、カードリーダーを使って読み出します。

目的に合わせて、使い分けるとよいでしょう。

なお、プラットフォームも永遠ではないです。
サービス終了は、余裕をもって告知されるので、そのときは、
・・・皆で大慌てしましょう。


4)画像公開に伴う問題を了解する

SNSへの投稿は、純粋なストレージではなく、公開を伴います。
公開で発生する問題について、知識を持つに越したことはありません。

 著作権侵害、著作人格権侵害

出版社「オンラインに載せたら、無断転載はされると思ってください」

無断転載には、以下の背景があります。
・技術的に複製が容易である
・「引用」(合法)と「無断転載」(違法)がグラディエーション
・複製利用の私的性から、発信活動の私的性を分離しきれない
・著作権侵害は「親告罪」で、訴えるのは容易でない

法的には黒であっても、転載が容認されている実態があります。
絶対に転載されたくない画像は、最初からアップしないほうがよいです。

「著作権」のコアに当たるのが「著作人格権」です。
最も重要な要素は作者名で、次点が作品のタイトル名です。
写真に「銘入れ」を行うと、著作人格権だけは守ることができます。
付記©を添えて、無名転載を容認しない意向を強調することもできます。
 例 ©Julikis_Seto

法的には、©はあってもなくても、著作人格権は侵害不可なのですが、
作品に作者名が添えられていると、転載時に尊重しやすくなります。
僕は、写真サイトのダウンロードで生成するファイル名に、
自動で撮影者名を組み入れてほしいと思っています。


② 歓迎しかねるコメントの付与 

・講評
自分が楽しむつもりで、個人スペースにアップロードしただけなのに、
指導目線の評価を書きこまれることがあります。
講評が、歓迎か、迷惑かは、ユーザーによって異なります。
迷惑だったときは「評価を希望していません」と断りましょう。
できれば、相手を非難し、忖度的に相手に下がってもらう形ではなく、
自分の希望を認識に上らせ、それを表明することを初手とします。


・被写体に関する指摘
被写体に関する指摘は、速やかに対処したほうがよいです。

 希少生物の目撃情報は、開示懸念を含んでいることがある。
 スナップに映りこんだ当人から、苦情が寄せられることがある。
 法に抵触する画像を、触法意識なく、公開頒布したおそれがある。
 倫理にもとる画像を、タブー意識なく、公開頒布したおそれがある。
 配慮を要する画像を、ゾーニングなしで、公開頒布したおそれがある。
 
指摘されると、腹が立ち、反撃したり、正当化したくなったりしますが、
それは「反応」です。
誰でも反応はします。
それはそれ。反応がすべてではない。他にもある。

一度、考えてみましょう。
その画像の公開は、自分の社会的生命と天秤にかけるほどのものか。
他者に苦痛を強いてでも押し通したい、「我が人生の核心」か。
・・・何も考えていなかっただけでは? たまたま載せた画像では?

炎上を免れても、対応の様子はPVの数だけ、見られています。
画像だけでなく、投稿者の人物情報が併せて発信されている形です。

SNSの個人スペースは、半私半公。
言いたいことを言い、載せたい画像を載せる「私的性」と、
不特定多数の人が目にする、公開の「公共性」がせめぎ合っています。 

「長いうちには何かあるよね」の見積りと、
「何が起きるかは完全には予想できないから、事後に対応しよう」
の柔軟な姿勢が肝要です。


・ ギャラリー汚し
自分の代表作や自信作を並べた、その下に、
傍若無人なコメントがつくことがあります。

感想は湧くように湧きます。
しかし、感想を抱くことと、作品を悪しざまに言うことは別のことです。
[思うこと]と[言うこと]が分離していない人には、
二つがどう違うのか、よくわからないかもしれませんが・・・。

ライバルを倒したい欲求に駆られ、攻撃的言動が露出する人がいます。
脳に「難癖をつけると快感が湧く」配線構造を授かってしまい、
叩くことに依存が成立してしまう人もいます。

作品の下に、愚痴や宣伝が書き込まれている状況も見かけます。
画廊の設置者にすれば、「どうしてここに、あなたの私事を??」です。

他者のフィールドを尊重する感覚は、一朝一夕には育ちません。
大切な作品を並べた画廊は、コメント不可にするとよいでしょう。
 
美術展の公式サイトは、コメント欄を開設しないのが通例です。
言いたいことがある人は、各自、自分の場所に書くことになっています。
 ・リンゴの静物画を目にした人が(誘引)
 ・腐ったリンゴでお腹を壊した経験を語りたくなっても(想起)
 ・自分の場所に書く分には問題ない(適切な場所に出力)
です。

日記とつぶやきしか書いたことのない人に、
命を削って作品を作っているクリエイターの気持ちはわかりません。
全員が創作の心をわからなくてはいけないかというと、それも違う。
棲み分けを誘導し、創作者の心の安全、閲覧者の想起、両方を守ります。


∫4 終わりに

20年以上前、僕が、コンデジで撮影を開始したとき、
アーカイブについて解説するという想定は、どこにもありませんでした。

将来の、自分の考えは、わからない。

リョコウバトは、当時、絶滅するとは、考えられていませんでした。
回顧展では、若き日の習作が、画業の歩みを知る助けになっています。

プリント済みの作品は、何もしなくても保存庫に眠ってくれるのですが、
電子データが危なっかしい。

削除するのは簡単、いつでもできます。
迷ったときは、ひと手間かけて、残しておくとよいです。


自分のための作品保全のお話は以上です。


∫5 技術の話

(余談です。経験談にすぎないので話半分に)

2025年年初、僕の旧機(Windows 7)は、電源が入りにくくなりました。
15年間、よく頑張ってくれました。

・USBポートの寿命
旧機のUSBポートは全部で6穴ありましたが、
末期は、キーボードとマウスの2ポート以外、すべて死んでいました。
USBポートは、抜き差しの繰り返しで、内部の接続部が破損しやすいです。

キーボードを外し、マウス+スゴイケーブル(商品名)で転送しました。
新機側から旧機を操作できるので、残り1穴になっても転送は可能です。

・CDドライブの寿命
一般に、CDドライブは、耐用年数が短めと言われています。
PC内蔵のCDドライブは、本体より数年早く死んでいました。
内蔵CDに書き出す方法で、データを救出できると思わないほうがよいです。
外付けドライブはPC転送と同様、USBポートの寿命次第です。

・CDの寿命
CDの寿命は、当初5年程度といわれていましたが、
予想を大きく超え、冷暗所に静置すれば、長持ちすることが判明しました。
紫外線に当てたり、静電気で衝撃を与えると、5年を待たずにアウト。
経時劣化というより、ダメージに弱いメディアといえます。
現実には、貴重なデータの入ったCDをぞんざいに取り扱う人はおらず、
「静電防止梱包材」に入れて、細心の注意を払う人がいたほどです。

・フィルムの寿命
樹脂は、朽ちやすいもの、変色しやすいものから、耐久性の高いものまで、
さまざまです。
柔軟性で知られるポリウレタンは、わずか3年で溶け始めます。
LPで使われるポリ塩化ビニルは、2025年の現代も朽ちていません。

黎明期の映画で使われた、70年超えのセルロイドは劣化が著しいそうです。
しかし、それでもリマスター可能とのことで、かなり保つほうでしょう。
丸まらないように、平板な保存に努めます。

PET製のフィルム類は、僕の経験ではゆうに40年は保ちます。
僕の画像は科学系(TEM写真やX線写真)なので、通常保存で十分として、
美術関係は神経質に窒素でパージしてからしまうのもよいかもしれません。

特許情報の保全にマイクロフィルムを選択した、当時の技官は正解でした。
制度が定める特許の有効期限は20年で、その程度なら楽勝です。
文書を撮影し、画像として保全する発想は、当時の最先端と想像します。
さすが、最新技術を扱う特許機関。
フィルム素材は見た感じ、PETでした。

色素、および色素層の組成と、その耐久については不詳です。
色素は、本質的に吸光物質であり、保存は遮光をよしとします。

・プリントの寿命
かつて、富士フィルムは「百年プリント」のコピーで宣伝していました。
耐久自慢はダテではなく、発色はほぼ保たれています。
プリントは、記録が全損しにくい点で優秀です。
専門店に持ち込めば、走査法を用いた、精度のよいレプリカを作れます。

耐久性は、どんなプリントかで変わります。
印画紙の保存性が高い一方、普及機のインクジェットは数年という話も?

インクジェットは普及してから浅く、経年劣化は未知数です。
手元にある、ニコンの写真クラブで展示するために外注したプリントは、
10年以上経った今も、目だった劣化がありません。
(当時の価格で1500円/枚ぐらいでした)

手元にある、写真用の、未使用の、古いインクジェット紙は、
暗所保存にもかかわらず、袋の開口部から数センチが褐変しました。
インクだけでなく、台紙も劣化するおそれがあります。

インクジェットの品質と耐久は、コストを度外視することで上げられます。
この世には、美術館での展示を念頭に置いた、特殊印刷も存在します。
特殊印刷で作られたプリントには、現時点で劣化の報告が出ていません。


技術関係まとめ
 ・印画紙、フィルムは全損しにくく(劣化はする)、保管に適する。
 ・デジタルデータは劣化こそしないが、消失想定でバックアップ必須。
 ・インクジェット普及機によるプリントは、耐久を期待できそうにない。
 ・美術品を想定した特殊印刷は、現時点でおおむね耐久良好。

保全技術の詳細は、僕(n=1、生物学者)の経験情報ではなく、
分析データを持っている、保全の専門家から学ぶようにしてください。



[ 写真解説 ]

※ 読み飛ばして大丈夫。

①「黄砂」
遠くに薄っすら見えているのは、送電鉄塔です。
黄砂の空間を演出してくれています。

作品「Winter Gold」と「黄砂」には、思い入れがあります。
平素、敗北しそうなほど、あでやかな花を求めておきながら、
撮り終えて満足するのは、画力が表れる地味系の被写体という。
創作の心理は複雑です。


② ツキミソウ
かつて、「夜咲く花を愛でる会」というのがありました。
勤め人が夜咲く花を育てるのは、理に適っています。
闇夜に浮かぶ花が、1日の疲れを癒してくれます。

夜咲いて迎えてくれる花としては、以下がお勧めです(ABC順)
 Albizia julibrissin 'Nana'(一才ネム)
 Brunfelsia americana(アメリカバンマツリ)
 Calliandra portoricensis(カリアンドラ・ポルトリケンシス)
 Crinum amoenum(クリナム・アモエナム)
 Epiphyllum anguliger(白眉孔雀)
 Hemerocallis citrina(ユウスゲ)
 Hosta plantaginea var. japonica(タマノカンザシ)
 Ipomoea alba(ヨルガオ)
 Lonicera periclymenum(ニオイニンドウ)
 Mirabilis jalapa(オシロイバナ)
 Oenothera tetraptera(ツキミソウ)
 Trichosanthes cucumeroides(カラスウリ)


③ スノーフレーク
スノーフレークが車道の脇で咲いていました。
画像を拡大してチェックすると、細かい煤煙が写り込んでいました。
気になって、アプリで一粒一粒、煤煙を消していったのですが・・・。
15年経っても、煤煙の記憶が消えません。
ここに掲載したのは、煤煙を消していない原画像です。
(クリックで拡大すると、煤煙を見ることができます)
スノーフレーク「私は車道でも負けないんだからね!」
了解。君の勝ちだ。
写真には、美だけでなく、真実を伝える機能もあります。


④ コマツナ
コマツナを見たことがありますか。
スーパーに並んでいる野菜ではなく、土に生えている植物です。
僕はチンゲンサイも見たことがあります。
植物園のハーブコーナーに、チンゲンサイが展示されていました。
ホウレンソウ、ブロッコリー、白菜、etc.
東京人は、土から野菜が生えた姿を一度も目にすることなく、
一生を終える可能性があります。
本当だってば。>東京人でない人


⑤「君と分け合う光」
noteのアカウントのヘッダに使っている画像の元データです。
代表作が花でない・・・。
人生、何がどうなるか、わかったものではありません。


⑥「2万6125枚の花びら」
この数は、東日本大震災の後に報道された死者・行方不明者の総数です。
僕は、報道で数を目にして、そこにどれだけの苦痛と無念があったのか、
身体で理解できないことに困惑しました。
研究所の裏手に行き、積もっている桜の花びらを両手にすくってみます。
この地震で、この花びらより多くの命が失われたというのか・・・。
クモの糸に引っかかった花びらを1枚だけ撮りました。
1人の命の重さなら、誤らずに認識できそうだったので。


⑦「ジャンケンポン」
マクロレンズを入手後、最初に写真サイトに投稿した画像です。
レンズの入手は2009年末で、投稿は2011年5月。
1年半ほど「このレンズ、どう使うんだ?」と試行錯誤していたらしい。
画像を見ると「マクロレンズをゲットした!」の初心がよみがえります。
初心者時代の画像は、自分の撮影史のよい思い出になります。

[マクロレンズを入手したら撮ってみたいものリスト]
 水滴:まずはここから。水滴を専門とする人もいます。
 植物:極小の花、花芯全般、葉脈、細毛(あれば星状毛)
    身近な野菜も、拡大すると楽しい。
    コケは暗いところに生えるので、上級者向きです。
 昆虫:複眼、透明な羽。鱗粉(虫が逃げないようにそっと)
 鳥類:拾った羽毛
 皮膚:皮溝と皮丘、ライティングで写りが変わります。
    皮膚科では、偏光ありなし、両方撮ります。
 鉱物:宝石の遊色、シラー、シャットヤンシー。
    結晶や堆積を含む岩石。田淵行男の気持ちで。
 氷雪:寒冷地特権です
 CD:水滴を乗せてもよさげ。僕はLPは持っていないです。
 画面:CRT、液晶
 布地:変わった織目の布が見つかるかも。
 印刷物:新聞写真、各社の文庫本の文字フォント、紙幣。

Catharanthus roseus(ニチニチソウ)
水滴から始めましょう。学識は不要です。


⑧「惜春」
僕は、カメラに手を出して、
「絵画とは? 写真とは?」という混乱を生じました。
たぶん、ゼロから写真を始めた場合は、混乱しないです。
僕は絵画から写真に越境した形で、考察畑の人間でもあったため、
未整理のまま、混乱を放置することを承服できなかった。
急ぎ、絵画と写真を横断する評論家たちの文献を読み漁りました。
美術展だけでなく、写真展や、絵画/写真の混合展示にも行きました。
考察は、できたそばから、書き出すようにしました。
考察が粗方まとまったある日、ホキ美術館に出向きます。
ホキ美術館が調査のラストでした。
これ以降、混乱に苦しむことはなくなりました。
夕暮れは、ミッション・コンプリートの祝福です。

考察の全容は、ここには書けません。
僕が行った考察は、一般論ではなく、
自分が絵に何を見出し、何を期待し、何に魅力を感じているのか、
写真との差分を使った自己の認知の分析と内省に近い営みでした。
考察者はそれぞれ、自分自身の、暗くて深い泉に潜ります。


[マクロレンズの世界 シリーズ目次]
親しむ編
 マクロレンズの世界 vol.1 細部
 マクロレンズの世界 vol.2 集合と配列
 マクロレンズの世界 vol.3 陰影
 マクロレンズの世界 vol.4 光
 マクロレンズの世界 vol.5 ワンダー
 マクロレンズの世界 vol.6 アーティファクト
 マクロレンズの世界 vol.7 色
 マクロレンズの世界 vol.8 アート
 マクロレンズの世界 vol.9 アーカイブ
 マクロレンズの世界 vol.10 トリミング
学ぶ編
 マクロレンズの世界 vol.11 視覚認識(1/2)基礎 -視覚認識の3段階
 マクロレンズの世界 vol.11 視覚認識(2/2)個人差
 マクロレンズの世界 vol.12 作画工程(1/3)基礎 -アートの通学路
 マクロレンズの世界 vol.12 作画工程(2/3)マクロ撮影
 マクロレンズの世界 vol.12 作画工程(3/3)レタッチ
 マクロレンズの世界 vol.13 作例(1)覗くように
 マクロレンズの世界 vol.13 作例(2)抽象