見出し画像

【Advent企画】12/19:赤いリボン(オーナメント)【410字小説】

「カオルは僕のことが嫌いみたい」
どこか楽しそうな調子でホセが言う。
公演のはねた劇場の前には、大きな本物のクリスマスツリーがあって、オーナメントの真っ赤なリボンが風に揺れている。

「ミヨシが僕の悪口を吹き込んだの?」
「褒めたことならある、あんたの振り付けは最高だって。ダンサーなら踊りたいと思って当然だと」

自分をネタにされた作品を、他のダンサーが踊るのを見た時だって、作品は素晴らしかったから文句は言えなかった。
芝居がかったホセの笑い声が、ひと気のない劇場前の広場に響く。

「やだなあ、まだ根に持ってるの?」

「根に持ってたらバルセロナ行きは受けない」
「ああ、じゃあ、」
ホセの指が伸びてきて、当たり前のように頬に触れる。

「“未練がある”のほうかな」

「何言って、」
「ちなみに、僕はあるよ。“未練”」
聞きたく無い、と強く思った。
「ホセ」
やめてくれ、と。

「これを踊るのがミヨシならって、何度も思ったんだ。手放すべきじゃなかった、って」


--------------------------

本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー


昨日に引き続き、クリスマスツリーの伝統的なオーナメントの意味。
赤いリボンには『約束』とか『永遠の絆』『夢の実現』などの意味があるようです。

しかし寒風吹きすさび揺れ踊る今回のリボン。
いえ、そこまで意味を持たせる意図はなかったのですが。

話のメインはこの二人。


ホセと美吉さんの間に何があったかみたいなのはこちら


Advent:0日目

Advent:1日目

Advent:2日目

Advent:3日目

Advent:4日目

Advent:5日目

Advent:6日目

Advent:7日目

Advent:8日目

Advent:9日目

Advent:10日目

Advent:11日目

Advent:12日目

Advent:13日目

Advent:14日目

Advent:15日目

Advent:16日目

Advent:17日目

Advent:18日目

Advent:19日目




いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集