第七回:ITの奴隷になるな!主人であれ!
もうすっかり夏も終わりましたね。サンマが美味しい季節です。私はあまり好きではありませんが、栗も美味しい季節ですね。あっ、焼き芋も美味しい季節です。松茸とかも食べてみたいな~。食べ物の話題ばっかりですみません。それでは晩御飯に何を食べるか考えつつ、今日もぼへぼへ書いていきましょう。超不定期連載「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムでございまぁす。このコーナーでは、各用語の説明ページでは取り上げにくいIT関連のネタをテーマに、だらだらと思いついたことを書いていきます。皆さんが「あぁ、なんか役に立ちそうな気もするけど、役に立たないかなぁ。でも、もしかしたら役に立つかも」と思える情報を発信できるように頑張ります!
はじめに
栄えある七回目のテーマは……ピヨピヨピヨピヨ(ぴよぴよ的ドラムロール)……じゃん!
ITの奴隷になるな!主人であれ!
です。
ビックリマークがたくさん付いていますが、別に気合が入っているわけではありません。ただ単に煽っているだけです。
私は職業柄、IT関係が得意な方とも接しますし、あまり得意ではない方とも接します。「スペシャリストからド素人まで」です。そんな両極端な人たちと接していると感じるのですが、IT関係があまり得意ではない方は
1.依怙地になって頑なに拒んでいる
2.心を開いてはいるものの、振り回されている
のどちらかに見えます。
「1.依怙地になって頑なに拒んでいる」人は別に良いのです。言わば、ただの「食わず嫌い」ですから。本人が好きで拒んでいるのですから放っておいてあげましょう。そのうち食べる必要に迫られたら、その時に改めて考えれば良いのです。
「2.心を開いてはいるものの、振り回されている」人たちには、ちょっとお話したいことがあります。でも、お客さま相手に面と向かって言って、波風が立つのも面倒くさいですからね。そこで今回のコラムを利用して、好き勝手書いてみることにしました。
それでは、書いていきましょう。
ITが苦手な人必見!「ITの奴隷ではなくご主人様になる秘訣」を大公開しちゃいま~す。ぱちぱちぱち~。
……と、もったいぶりたいところではあるのですが、実はたいした内容ではないので、先にネタばらしをしておきますね。
ITのご主人さまになる秘訣は
ITは手段であって目的ではない
と理解することです。
これがすべてではありませんが、最初の第一歩は間違いなくこれです。
順番に見ていきましょう。
ピヨ太社長の憂鬱
ピヨ太社長はピヨピヨカンパニーを経営しています。
ある日、営業のアクマ君がピヨ太社長の元にやってきて言いました。
「ピヨ太社長!我が社の最新の経理システムを導入しましょうよ!絶対に損はさせませんよ!」
アクマ君おすすめの最新経理システムは、社員が自分たちで出勤・退勤時間や出張時のあれこれ、使った経費などを入力する仕組みです。
そうすると経理システムが勝手に、社員それぞれの稼働時間、給与を計算し、ついでに各種統計情報なども集計してくれます。
このシステムを導入すれば、経理の事務員さんはいらなくなるとのことでした。
費用は1000万円です。ちょっとお高い気もしますが、現在のピヨ太社長は経理のピヨ子さんに年間300万円支払っています。最新の経理システムを導入すれば、4年で元が取れる計算です。
しかもピヨ子さんと違って、経理システムはお菓子をねだったりケーキをねだったりしません。24時間365日、黙々と仕事をし続けます。
迷うピヨ太社長にアクマ君は更に猛プッシュです。
「ピヨ太社長!最新ですよ!最新!これからの時代はやっぱりITですよ!経理システムですよ!どこの会社も導入してますよ!」
おぉ、最新なのか。どこの会社も導入しているのか。我が社もやっぱりグローバルでスーパーでデリシャスな企業を目指すからな。今は社員が5人だけだけど、いずれウン百人規模になるはずだし、導入するか!
勢いのついたピヨ太社長は、アクマ君オススメの最新経理システムを導入することに決めました。
結果は、どうなったと思います?
まず社員の皆様から泣きが入りました。最新過ぎて入力のやり方が複雑なのだそうです。操作は難しいし、時間も掛かります。たかだか数十分ではあるのですが、毎日続くのでちょっと無視できません。
次にお金が掛かりました。費用の1000万円はあくまで導入費用です。例えば来年、法律が変わったとしましょう。そうすると経理システムに変更を加える必要があるので、追加で費用が掛かるそうです。また、ピヨピヨカンパニー向けの個別の変更が必要であれば、その分のお金も掛かります。
最後に機能がたくさんありました。画面には情報がいっぱい出てきます。数字がいっぱいでピヨ太社長はどの画面をどう見れば良いのか、いまいち分かりません。
1000万円を使ったピヨ太社長、涙目です。
どうして、こんなことになってしまったのでしょうね?
ピヨ太社長のやっちまったこと
ピヨ太社長は「なんか良くなるだろう」と思って、経理システムを導入しました。これが間違いです。
やりたいことが具体的になっていない状態で道具を揃えても、その道具がふさわしいかなんて判断できません。
プロの料理人になりたい人が、寿司屋をやるかフランス料理屋をやるかラーメン屋をやるか決めていない状態で、調理器具を揃えますか?
野球少年がバットを買うときだって、プロを目指すか否かで金属バットが良いか木製バットが良いか変わるのではないでしょうか?
物事を良くするときの王道は
理想があって、現実があって、現実を理想に近付ける
です。理想が無い状態で物事を良くしようと思っても、不可能ではないかもしれませんが、相当大変ですよ。
ピヨ太社長は理想の部分を考えることをサボってしまいました。それが哀しい現実に繋がっています。
ピヨ太社長は経理システムを導入して何がしたかったのでしょう?
費用を抑えたかった?
稼働時間や給与などの数字的な分析がしたかった?
社員の笑顔が見たかった?
最新のシステムを社長仲間に自慢したかった?
営業のアクマ君に恩を売っておきたかった?
それによって、チェックすべき観点は変わります。
導入する目的(理想)がはっきりしていないと、経理システム(現実)が良いか悪いかなんて判断できません。逆に理想をきちんと思い描いていれば、途中で軌道修正もできたはずです。
判断基準が無いと物事の良し悪しは判断できない
のです。この場合の判断基準は、経理システムを導入して「何がしたいか」です。それが明確でないため、ピヨ太社長は経理システムの良し悪しを判断できませんでした。
ピヨ太ママの決断
経理システムの件でしょんぼりしているピヨ太社長がお家に帰ると、ピヨ太ママが困った顔をしていました。
一体どうしたのでしょう?
話を聞いてみると、どうやらピヨ太ママが使っていた携帯電話が壊れてしまったようです。あー、あの骨董品ね。10年以上、使ってたんじゃない?
まぁ、壊れてしまったものは仕方ありません。機種変更をしに行きましょう。
ピヨ太社長……いえ、今はプライベートな時間です。ピヨ太社長ではなく、ピヨ太君と呼びましょう。ピヨ太君はピヨ太ママに付き添って、機種変更に行きました。
ピヨ太君と一緒にお店に入ったピヨ太ママ、早速、最新のスマホに目を止めました。
あら、まぁ。新しくて、なんかキラキラしてて、丸っこくて可愛らしいわね。これにしましょう♪
経理システムの件で懲りているピヨ太君、慌てて止めました。
いやいやいやいやいやいやいやいや!ママ、良く考えてごらんよ。機械音痴のママがこんな最新のスマホを持ったって使いきれないから。こっちの「赤子の手を捻るようだ携帯」にしようよー。
しかし、ピヨ太ママは聞きません。
いーえ、これにするわ。だって、新しくて、なんかキラキラしてて、丸っこくて可愛らしいんだもん。ピヨピヨお茶会で他の奥様方に見せたら、注目の的になること間違いなしだわ♪
結局ピヨ太ママは、最新のスマートフォンを購入しました。
最新なので、電話、メールはもちろん、なんかいろいろとよく分からない機能が目白押しです。
結果は、どうなったと思います?
やはり最新のスマホはピヨ太ママには難易度が高かったようです。
電話とメールは何とか苦労して使えるようになったものの、その他の機能はサッパリ、しかもスマホに変えたことによって月々に掛かる費用も高くなってしまいました。
でもピヨ太ママは満足しています。
だって、ピヨピヨお茶会で話題の中心になれるんですもん♪
ピヨ太ママのことです。きっとそのうち、その他の機能も使いこなしちゃうでしょう。
さっきのピヨ太君とは何が違うのでしょうね?
ピヨ太ママの良かったところ
ピヨ太ママは「ピヨピヨお茶会で自慢する」という確固たる目的がありました。だから本人は満足できています。
客観的に見ると、ピヨ太ママは損をしているでしょう。
新しい機能は使いこなせていない。今まで使えていた機能を同じように使うためにも苦労をした。しかも月額費用まで高くなった。踏んだり蹴ったりです。
でも、ピヨ太ママは満足しています。
それが一番大事なのではないでしょうか?
それに対して他の人が何か言うのは野暮ってものですよ。
そして、ピヨ太ママが満足できたのは
目的がハッキリしていたから
です。そこがピヨ太君との違いです。
あやふやな動機で経理システムを導入したピヨ太君と確固たる目的意識を持って最新のスマホを購入したピヨ太ママ、ぶっちゃけどちらも手に入れた物を使いこなせてはいません。
ですが、ピヨ太君は涙目、ピヨ太ママはほくほく顔です。
この違いは大きいですよ?
テクノロジーは手段であって目的ではない
結局ですね。
ITに限った話ではありませんが、テクノロジーっていうのは手段なのです。目的ではありません。
例えば、一時期「クラウド」という言葉が流行りましたよね。
クラウド事業の営業さんの中には
クラウドだから凄いっすよ!
とアピールする人がいました。
こんなことを言う奴はアホです。相手にする必要はありません。塩をまいて追い払ってください。
クラウドだから○○ができて凄いっすよ!
と言う営業さんもいました。
こちらは「○○ができて」の部分が気に入れば、話くらいは聞いてあげても良いかも知れません。
道具は使うためにあるのです。使われるためにあるのではありません。
ITをはじめとしたテクノロジーは道具です。研究職の方は別として、それ自体が目的にはなり得ません。
目的は常に「人間様の人生をより良いものにする」です。その手段の一つであることを忘れないでください。
道具は振り回すためにあるのです。振り回されるためにあるのではありませんよ。
IT用語も同じです。
わわわIT用語辞典を見に来て下さっている方の大部分は、IT用語の意味を調べに来た方だと思います。
あなたは、どうしてIT用語の意味を調べに来たのですか?
「そんなもん、IT用語で意味の分からない言葉が出てきたからだろ~が!」ですか。なるほど。
では、なんでそれを分からないまま放置しないのですか?
お客さまと会話する上で恥をかきたくないから?
試験の勉強中だから?
上司に「調べとけ」って言われたから?
自分の知的好奇心から?
好きな人がIT業界の人で、その人と会話するチャンスを得たいから?
その目的によって、調べ方も、調べる場所も、調べるべき情報の深さも、変わります。
忘れないでください。あなたは今、IT用語の意味を調べているかもしれません。でもそれは手段です。その先に本当にやりたいことがあるはずです。それを意識するかしないかで、多分何かが大きく変わりますよ。
まとめ
今回は「ITの奴隷になるな!主人であれ!」をテーマに、ITに振り回されない方法について書いてみました。
ITに振り回されないための第一歩は
ITは手段であって目的ではない
と理解することです。
あなたはITを使うことが目的なのではありません。ITを使って「何かをやる」ことが目的なのです。
その本当の目的を意識することで、ITに対して精神的優位に立てるはずです。
道具に振り回されてはいけません。道具は振り回すためにあるのです。遠慮なく、ぶんぶん振り回してください。応援しています。
思いつきで始めて惰性で続けている「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムですが、いかがでしたでしょうか。手応えがあるのかないのかよく分かりませんが、これからもちまちまと書いていこうと思います。コンゴトモヨロシク。






