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「えんとつ町のプペル 約束の時計台」を見て、自問が始まった【カンヌへの道-04】

沖縄で俳優として活動しています。
お腹が痛い、いっちーこと伊藤駿一です。

普段は大学の医学部に通いつつ、演技の稽古に励む傍ら、「カンヌ国際映画祭主演男優賞」を目標にし、「演劇は世界を平和にする」という信念のもと、自らの表現と人生を豊かにしてくれそうなことは何でも試すようにしています。このnoteでは、そんな日々の試行錯誤のプロセスで見つけた学びや気づきを、できるだけ正直な言葉で綴っていきます。

このシリーズ「カンヌへの道」は、伊藤駿一が「カンヌ国際映画祭主演男優賞」というあまりに遠いゴールへ向かって、一歩ずつ進んでいくプロセスを記録するシリーズです。今この瞬間ぶつかっている壁、試したけど外れた仮説、たまに掴めた感覚、また失った感覚。その全部を、できるだけそのまま晒していきます。


「えんとつ町のプペル 約束の時計台」を見て、自問が始まった

映画館を出ても、まだ揺さぶられている

「えんとつ町のプペル 約束の時計台」を観てきました。

日頃から学ばせていただいている、西野亮廣さんの作品です。
2020年公開の前作「えんとつ町のプペル」の続編で、今回のテーマは「待つこと」「信じ抜くこと」。

映画館で泣きました。
というか、僕だけじゃなかったんです。

僕の右からも、左からも、前からも、鼻水をすする音が聞こえてくる。
四方からのすすり泣きに、僕も釣られて、もちろん劇中の物語にも揺さぶられて、気づいたら頬が濡れていました。

映画館を出てもまだ、その余韻が引かないんです。
ただ「感動した」「泣いた」で終われない、自分の何かが揺さぶられた感覚があって。
それを書き残しておきたくて、お腹が痛いまま、いまパソコンの前に座ってます。

劇中の、僕に刺さったセリフ

セリフのひとつひとつまで完全には覚えてないんですが、ひとつ、強烈に残っているセリフがあります。

先に進んじゃったら、大切な人が、遠くに行っちゃった人が、戻ってくる場所がなくなっちゃうから。

だから前に進まずに、待つんだ、というメッセージ。
ここで、僕の喉に何かが詰まりました。

この物語の、原点にあるもの

実はこの「待つ」というテーマは、西野さん自身の実体験がベースにあるそうです。

西野さんは、キングコングという漫才コンビで活動していて、その相方である梶原雄太さんが、ある時期に行方不明のような形で目の前からいなくなってしまった、という実際のエピソードがあります。

当時、お二人は売れていたそうなので、西野さんがピンで活動を続ける選択肢もあった。
でも西野さんは、待つという選択をしました。

公式インタビューで、西野さんはこう語っています。

梶原くんが戻ってくる場所をなくしたくなかった。

https://anime.eiga.com/news/126251/#google_vignette

そして、

待つということは何もしないことではなく、相手を信じ抜くということ。子育てや教育も同じで、口を出したくなるのをグッと堪えて、相手の成長に立ち会ってあげないと成長はない。

https://anime.eiga.com/news/126251/#google_vignette

劇中の「戻ってくる場所がなくなっちゃうから」というセリフが、西野さん自身の言葉と完全に重なる瞬間があって、そこでもう、ダメでした。

「待つ」って、めちゃくちゃ美しい。だけど。

ひたすら信じて待ち続けるって、ものすごく美しい。
劇中のルビッチも、それを全力でやり切る。
その姿を観て、僕は本当に心打たれました。

だけど、ふと自問が始まったんです。

「ただ待つだけじゃ、ダメだよな」

西野さん自身も「何もしないことじゃない」と言っている。
ルビッチも、劇中で魂のないプペルを何度も組み立ててみるがダメだったという描写がある。
ということは、必死にやれることを全部やって、もう人事は尽くした、あとは天命を待つしかない、っていう状態になって——そこから初めて「待つ」が始まる。

そう考えた時、僕は自分に問いかけました。

僕って、できることやりきってるのかな。

僕の戦い方は、たぶん「自分の城を築く」タイプ

僕の性格的に、攻めに行くより、自分の城を築くほうが得意です。

たとえば学生時代の勉強なら、没頭して知識をつけて、テストで点数を取って、それでやっと評価される。
そういう「自分の城を完成させてから、評価される」というスタイルで、これまでの人生を戦ってきました。

人と関わって、ぐいぐいリスクを取りに行くタイプではない。
ある程度形になってから、見せに行く。

このやり方も、大事だとは思うんです。
でも将来活躍するためには、たぶん両輪がいる。攻めと、守り。
そして僕がいま苦手なのは、明らかに「攻め」のほう。

劇中のルビッチは、両輪で生きていた

ここで、僕がルビッチを観ていて打ちのめされたことがあります。

ルビッチは、攻めも、守りも、信じることも、全部、全力でやってるんです。

バンバン攻めていく。
そして同時に、信じる。待つ。
どっちも全力で生きてる。

「攻めるか、待つか」じゃない。
両方を、ためらわずに、本気でやる。

それを観て、ものすごく勇気をもらいました。
と同時に、「自分はそこまでやれているのか」という問いが、ぐさっと刺さりました。

「数を打て」というアドバイスへの、僕の抵抗感

ここから、もう少し正直な話を書きます。

僕、「とにかく数を打て、ひたすら数を打て」というアドバイスへの抵抗感が、どうしてもあるんです。

クオリティが低くてもいいから出していこうぜ、というのは、なんか違うなと思ってしまう。
いま自分の中にある暫定解は、「60点でいいから、60点を継続的に出そう」というスタンスです。

ただ、これはこれで矛盾もあって。

60点すら出せない日は、「じゃあ今回は出さない」って、自分の中で線を引いちゃうんです。
これがいいのか悪いのかは、正直わからない。
量で押し切ってる人が結果を出している例も、たくさん見ています。

でも、自分の中で60点を超えてない言葉や物語を世に出したところで、絶対に評価されないという感覚もある。
だから出さない。
でも、出さないと、量にならない。

めちゃくちゃ、揺れています。
どうなん。
どうなん、これ。

それでも、信じてるものがあって

ただ、僕の中で信じている方向性はあります。

60点を続けていれば、そのうち60点が70点になる。
70点になれば、80点になる。
80点が90点に、90点が100点になる。

そうやってステップを上がっていけることを、僕は信じてます。
そのために、出せない日は出さない。
無理に60点未満を量産することよりも、60点を超えるための稽古を続ける。

これが、僕がいま握っている戦い方です。
合ってるかどうかは、わかりません。

教えて、どうすればいいの。

ここで、いちばん正直なところを書きます。

恋愛とか、人間関係とか、noteの認知とか、オーディションとか。
「結果が出るのを待っている」と感じるものが、僕の中にいくつもあります。

そのなかで、いま自分でも気づいていることがあって。

たぶん僕は、ある領域で「リスクを取り切れていない」んです。

これ以上踏み込むと、僕の美学からはみ出る。
そう感じる手前で、止まってしまう。
でもそれって、本当に「美学」なのか、ただの逃げなのか、自分でも判別がつかない瞬間がある。

「待つ」が美しい映画を観たことで、その線が、ずいぶんはっきり見えてしまいました。

ただ待っているだけなのか。
人事を尽くした上で、待っているのか。

教えて、どうすればいいの。

——という問いを、抱えたまま、いま書いてます。

カンヌへの道は、この揺れの中にしかない

ここで結論を出して、爽やかに終わらせる、ということが、今日の僕にはできません。

答えは、まだ出ていない。
でもそれを「答えが出ました」と書いてしまう方が、たぶんカッコ悪いです。

「えんとつ町のプペル 約束の時計台」を観た後の僕は、揺さぶられたまま、自問の真ん中にいます。

ただひとつ、確かなことがあります。
カンヌへの道は、たぶんこの揺れの中にしかない。
答えが出ていない自分のまま、歩き続けるしかない。

人事を尽くしているか。
リスクを取れているか。
60点に留まっていないか。

明日からの稽古場で、本番で、日々の選択で、これを自分に問い続けていきます。

もし読んでくれているあなたが、いま似たような揺れの中にいるなら——「攻めに出るのが怖い」とか「ただ待ってるだけじゃないかと自分を疑っている」とか、そういうものがあるなら。

一緒に、揺れたまま、進みましょう。
このシリーズ「カンヌへの道」、その共犯者になってもらえたら嬉しいです。

読んでくださり、ありがとうございました。


最後まで読んでくれたあなたへ

カンヌへの道も、演劇で世界を平和にする仕組み作りも、気が遠くなるほど先の話です。これからも今日のような分厚い壁に、数え切れないほどぶつかるはずです。

だからこそ、あなたが最後に押してくれる「スキ」の一つひとつが、「この熱のまま、もっと遠くへ行け」と僕の背中を押す最大の原動力になります。

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