「頑張る」をやめて、「かさねる」にした1週間【カンヌへの道-08】
沖縄で俳優として活動しています。
最近、筋トレを始めた、いっちーこと伊藤駿一です。
普段は大学の医学部に通いつつ、演技の稽古に励む傍ら、「カンヌ国際映画祭主演男優賞」を目標にし、「演劇は世界を平和にする」という信念のもと、自らの表現と人生を豊かにしてくれそうなことは何でも試すようにしています。このnoteでは、そんな日々の試行錯誤のプロセスで見つけた学びや気づきを、できるだけ正直な言葉で綴っていきます。
このシリーズは、沖縄で俳優をやっている僕が、「カンヌ国際映画祭主演男優賞」という遠い星を目指して、伸び悩みや実験や小さな気づきを、かっこつけずに書いていく記録です。
「頑張る」をやめて、「かさねる」にした1週間
「頑張る」が、しんどくなってきた
一週間ほど前、自分の中で、ひとつ引っかかったことがありました。
「頑張る」という言葉が、なんだかしんどい。
頑張ろう、と思うほど、我慢している感じがするんです。歯を食いしばって、痛いところにわざわざ自分から足を踏み入れていくような。気づくと、僕の中の「頑張る」には、そういう感触がこびりついていました。
その一方で、「頑張る=安心できる場所にいること」なのかもしれない、とも思ったりして。要するに、自分でもよく分かっていない。揺れていました。
それで、ひとつ実験をしてみることにしました。
「頑張る」という言葉そのものを、別の言葉に置き換えてみたら、どうなるんだろう、と。
「かさねる」という言葉に、たどり着いた
最初は「育てる」がいいかな、と思っていました。「夢中になる」「向き合う」「積む」「耕す」。痛みのにおいがしない言葉を、いくつも頭の中で転がしてみました。
一週間くらいそうやって過ごしてみて、僕の中でいちばんしっくりきたのは、「かさねる」という言葉でした。
実は、僕が立たせてもらっている劇場の名前が「かさね」というんです。壺屋演劇場かさね。01ENTERTAINMENTの代表である西平さんが大切にしている場所で、その名前にも思いが込められていると聞いています。
だからかもしれません。「かさねる」という言葉は、すっと自分の中に入ってきました。漢字の「重ねる」よりも、ひらがなの「かさねる」の方が、僕にはやわらかく感じられて、こっちで書きたいなと思いました。
「頑張る」と「かさねる」は、何が違うのか
「頑張る」って、よく考えると、けっこう抽象的な言葉だなと思います。
何を、どう頑張るのか、はっきりしない。だから、あれもこれもと手を出して、気づいたら全部が中途半端、みたいなことになりがちでした。一つ一つがバラバラで、繋がっていない感じ。むやみに動いて、結局なにも残らない。
でも「かさねる」だと、まず「何を」という対象が要ります。目の前のことを、ひとつずつ、誠実にやっていく。そういう行動のイメージまで、自然と降りてくる感じがありました。
しかも、かさねるなら、多少かぶってもいい。「今、自分は何と何をかさねているんだろう」と考えると、自分が今やっていること全体を、少し引いたところから眺められる。そんな感覚もありました。
続かなかったものと、続いているもの
正直に言うと、この一週間、うまくいかなかったものもあります。
たとえば、睡眠。夜遅くまであれこれやってしまって、なかなか整わない。たぶんこれは、まだ僕の中で「早く寝ることの意味」が腹落ちしきれていないんだと思います。
でも、ひとつ気づいたことがあって。睡眠って、何かを上に積み上げるというより、「マイナスの方向に積み上がっていくのを、止める」感覚に近いのかもしれない。崩れていくのを食い止める。そしてそれが結局は、上にかさねていくための土台になる。そう考えられたら、少しだけ向き合い方が変わった気がしています。
逆に、ずっと続いているものもあります。
このnoteです。
毎日書くことを、僕はもう半年以上続けています。なんで続いているんだろう、と考えると、たぶん、書くことの意味を、いやというほど感じているからだと思います。
以前、「沖縄の俳優が毎日noteを書き続ける、7つの理由」という記事を書きました。その時に並べた7つを今あらためて見返すと、これって全部、「noteを書くことには、これだけの意味がある」と、自分で自分に納得させてきた記録だったんだな、と思います。
書けば、自分のスキルが上がる。言葉を生み出す瞬発力がつく。自分の人柄ややってきたことを、知ってもらえる場になる。書いたものが積み上がって、いろんな方向へ広がっていく。それが目に見える。
意味が、何重にもかさなっている。だから、続く。
それに、毎日書くことは、自分と向き合うことでもあります。今日は何を書こうか、思い浮かばない日はどうするか、それでも出す。テーマがあちこちにブレることもありますが、それはそれでいいと思っています。演劇という軸は、もう自分に染み付いていて、どうやっても抜けないので。書いていて心地いいかどうか。それを、いちばん大事にしています。
続く・続かないを分けていたもの
ここまで書いてきて、見えてきたことがあります。
続くか、続かないか。その差は、頑張りの量じゃないのかもしれない。「自分の中で、意味が腹落ちしているかどうか」なんじゃないか、と。
実は前に、「行動のハードルを極限まで下げると、続けやすくなる」という内容の記事も書きました。それはそれで、今でも大事だと思っています。
でも、それだけじゃ足りなかったんだと思います。ハードルをどれだけ下げても、「これは本当に自分のためになる」という腹落ちがないと、結局は続かない。誰かにやらされていることや、「やった方がいいらしい」くらいの理由では、人はなかなか動き続けられない。意味は、自分で見つけるしかないのかもしれません。
これはたぶん、演劇とか、noteとかに限った話じゃないと思います。
もしあなたにも、「続けたいのに続かない」ことがあるとしたら。自分の頑張りが足りないんだ、と責める前に、一度こう考えてみるのもいいかもしれません。「これ、自分の中で、ちゃんと意味が腹落ちしてるかな」と。腹落ちしていないなら、続かないのは、ある意味で当たり前です。あなたが弱いからじゃない。
まだ、答えは出ていない
ただ、正直に言うと、まだ答えは出ていません。
noteくらい意味を感じられる状態を、他のことにも広げていけたらいいな、と思っています。睡眠も、稽古も、最近始めた筋トレも。
でも、ここがややこしいところで。「意味を見つけよう」と意気込むと、それがまた「頑張る」になってしまって、苦しくなる。意味って、探して、頑張って、見つけにいくものなのか。それとも、noteのように、続けているうちにいつのまにか自分の中にかさなっていくものなのか。
そこは、まだ分かりません。分からないまま、しばらく「かさねる」をやってみようと思っています。
カンヌ国際映画祭で主演男優賞を取る、なんていう途方もない目標も、きっと一日では届きません。毎日を、ひとつずつかさねていくしかない。力んで頑張る日があってもいいけれど、できれば、意味を感じながら、真摯にかさねていきたいと思っています。
もしあなたも、続けたい何かがあって、でもうまくいかなくて、もがいているなら。一緒に、ちょっとずつかさねていけたら嬉しいです。
読んでくださり、ありがとうございました。
最後まで読んでくれたあなたへ
カンヌへの道も、演劇で世界を平和にする仕組み作りも、気が遠くなるほど先の話です。これからも今日のような分厚い壁に、数え切れないほどぶつかるはずです。
だからこそ、あなたが最後に押してくれる「スキ」の一つひとつが、「この熱のまま、もっと遠くへ行け」と僕の背中を押す最大の原動力になります。
もしよければフォローして、この長い旅の「一番の目撃者」になってくれませんか。いつか必ず辿り着くその景色を、一緒に見たいです。
活動の続きはLINEでも
稽古の様子、記事を書いたきっかけ、書けなかった話——
そういう断片をLINEで届けています。
▼ 伊藤駿一 公式LINE(友だち追加)
▼ 伊藤駿一 公式ホームページ
【挑戦その1】「地域を応援する演劇」プロジェクト連載中
「地域を応援する演劇」は、子どもの居場所・福祉施設・地域コミュニティを舞台にした、応援の輪を広げていく連続演劇プロジェクトです。
直近の公演:第四回公演『にぬふぁぶし』開催決定!
迷った時、上を見れば、いつもそこに光がある。
—— 金曜日の食堂で、子どもたちが見つけた居場所 ——
那覇の子どもの居場所「にぬふぁぶし」を舞台にした、01 ENTERTAINMENT、チーム恵比寿の俳優たちによる群像ハートフルコメディ。
ある金曜日の17:00〜19:30、居場所のない人たちが、沖縄のおばあの厳しくて温かい食卓で「帰る方角」を見つけていく物語です。
日時:2026年6月6日(土) 13:00開演 / 16:00開演(2ステージ)
※当初6月7日(日)で告知しておりましたが、6月6日(土)に変更となりました。以前の日程でご予定くださっていた方、あらためてご確認いただけたら嬉しいです。会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋)
上演時間:約70分
料金:大人2,000円 / 学生1,000円 / 小学生以下無料
主催:01 ENTERTAINMENT / チーム恵比寿
脚本:伊藤駿一・金井優
演出:西平寿久
▼ チケットのお申し込み・お問い合わせは下記のいずれかから
・Googleフォーム:https://forms.gle/52R7Zjs6CWisFGk86
・公式LINE:https://lin.ee/jbUrdeB
次回公演:『自治会パンデミック!』
「地域を応援する演劇」シリーズの次の公演です。1100世帯を抱える自治会で、実際に動くのはたった数人。崩れかけた自治会に、1人の若者が現れる——SNSやビジネスの力で改革が進む裏で、長年支えてきた人たちの「居場所」が消えていく。「数字か、つながりか」。対立する価値観の中で揺れる地域の、笑って泣ける群像劇です。
日時:2026年7月4日(土) 14:00開演 / 18:00開演、7月5日(日) 13:00開演 / 17:00開演(全4ステージ)
会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋2-23-26)
料金:一般2,000円 / 学割1,000円 / 小学生以下無料(当日券は一般・学割ともに +500円)
脚本:かないゆう
演出:西平寿久
主催:01 ENTERTAINMENT
メイン出演:チーム大黒天 / Special Thanks:チーム恵比寿、01 ENTERTAINMENT(土曜クラス)
▼ チケット予約・お問い合わせは公式LINEから
https://lin.ee/jbUrdeB
【挑戦その2】「出張一人芝居」はじめます!
沖縄本島内であれば、どこへでも行きます。
観客が何名でも構いません。「たった1人」からでも、見たいと手を挙げてくださる方がいれば、あなたのためだけに、指定された場所へ伺って全身全霊で演じます。
「いっちーの一人芝居を見てみたい」「うちの場所でちょっと演じてみてよ」と思ってくださる奇特で温かい方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
▼出張一人芝居の詳細や、企画に込めた想いはこちらから
▼出張一人芝居のご依頼・ご相談は公式LINEから(上のLINEリンクと同じです)
https://lin.ee/jbUrdeB
← 前の話| いきなりpodcastデビューして、15年分の確信に触れた【カンヌへの道-07】
→ 次の話| 「助けて」って、言ってみようかな【カンヌへの道-09】
▼「カンヌへの道」マガジンはこちら
▼「カンヌへの道」連載記事一覧
・考えない、考えない、と考えている【カンヌへの道-01】
・気づいたら、演じる楽しさを忘れていた【カンヌへの道-02】
・美学・生き様・佇まい。ずっと探していた、魅力の正体【カンヌへの道-03】
・「えんとつ町のプペル 約束の時計台」を見て、自問が始まった【カンヌへの道-04】
・演じる僕の原点は、幼稚園の鬼ごっこだった【カンヌへの道-05】
・迷ったら、まず一言。それだけで道は広がる【カンヌへの道-06】
・いきなりpodcastデビューして、15年分の確信に触れた【カンヌへの道-07】
・「頑張る」をやめて、「かさねる」にした1週間【カンヌへの道-08】
・「助けて」って、言ってみようかな【カンヌへの道-09】
・頼るのが下手な僕が、少しずつ練習している話【カンヌへの道-10】
・任された。やりたい。でも、やり切れるか。【カンヌへの道-11】
・明日が勝負。「最高だから」を、言える自分まで【カンヌへの道-12】
・同じ景色を、隣で一緒に見たいだけだった【カンヌへの道-13】
