明日が勝負。「最高だから」を、言える自分まで【カンヌへの道-12】
沖縄で俳優として活動しています。
久しぶりに折り紙を折った、いっちーこと伊藤駿一です。
このシリーズ「カンヌへの道」は、「カンヌ国際映画祭主演男優賞」というあまりに遠いゴールに向けて、「演劇は世界を平和にする」という信念のもと、沖縄で俳優をやっている僕の伸び悩みや実験や小さな気づきを、かっこつけずに書いていくシリーズです。今日はその第12話。
※「カンヌへの道」シリーズ全12話は記事末尾またはマガジンから。
マガジン → https://note.com/icchi_ito/m/md625d6052627
明日が勝負。「最高だから」を、言える自分まで
「最高だから来て」が、まだ言えない
来週の土曜日、6月6日に、僕は那覇の壺屋演劇場かさねで舞台『にぬふぁぶし』に立ちます。「地域を応援する演劇」シリーズの一本で、那覇の子どもの居場所「にぬふぁぶし」を舞台にした、群像ハートフルコメディです。
公演までは、あと8日。
正直に書くと、集客はまだ十分じゃありません。「ぜひ来てください」「お時間あれば」「一緒に観に来てくれませんか」。そういう言葉で、毎日のように声をかけています。SNSにも、LINEにも、グループでの呼びかけにも、ずっと書いてきました。
でも、ある言葉だけが、どうしても出てきません。
「最高だから来て」。
この一言が、まだ言えない自分がいるんです。
西野さんの言葉に頷いて、5日が経った
ちょうど5日前、5月24日のことでした。
西野亮廣さんが、ご自身の手がけているCHIMNEY COFFEEというコーヒーの宣伝の仕方について、こんな発信をしていました。
社会貢献として、コーヒーを通していろんな取り組みをしている。それは素晴らしいことだから、いろんな人が「社会貢献しているコーヒーです」と前に出して紹介していく。でも「じゃあ君は、そのコーヒー本当に好きなの?」と聞かれた時に、答えに詰まる人がいたという話だったそうです。
一方で西野さん自身は、コーヒーをすすめる時にこう言うらしいんです。「このコーヒーはうまいよ、世界で一番うまいよ」「あれと一緒に混ぜて飲むともう最高だよ」と。
ただ、それだけ。
その話を知った時、僕の頭の中で何かがつながりました。
僕たちがやっている「地域を応援する演劇」も、構造としては、たぶん同じところに立っています。沖縄のお店や人や地域を、舞台で応援していく企画。売上の一部はその応援先に届きます。これからやってくる12月のクリスマス公演も、社会貢献的な軸を持っています。
それは大事なことだし、誇りにしている。でも、その大事さを前面に押し出して「地域を応援する演劇です、皆さん来てください」とだけ言っていても、たぶん人は動かないんですよね。
お客さんからしてみたら、社会貢献していることはもちろんあったほうがいい。でも、それ以前に「面白いの?」「楽しめるの?」というのが、たぶん最初に来る。
初歩的と言えば初歩的な話なんだけれど、改めて、そこにガツンとぶつかった感じがしました。
でも、切り替えられていない
なるほどな、これからは「最高だから来て」型でいこう。そう思ってから5日。
切り替えられていないんです。
「地域を応援する演劇をやっています、来てください」のままで、なかなか「最高だから来て」が言えない。SNSにも書けないし、LINEにも書けない。
何が引っかかっているのか、自分に聞いてみました。
答えは、わりとはっきりしていました。
「自分でまだ最高だと思えていないから」。
これでした。
「最高だから来て」と言える人は、その前に「これは最高だ」と自分で確信しているはずです。確信していないのに「最高だから来て」と書くのは、それはたぶん、ただの誇張になってしまう。集客のテクニックとして口だけで言っているのが、伝わってしまう気がする。
だから、書けない。
集客の正体は、マーケじゃなく魂のほうにあるのかもしれない
ここまで書いていて、思いました。
集客のために何かを動かす、知識を蓄える、テクニックを磨く。それはぜんぶ大事だと思います。でも、たぶんそれ以前に、もう一段深いところに問題があるんじゃないか。
魂が乗っているかどうか。
自分で「これは最高だ」と心から思えているもの。それを伝える時には、たぶんテクニックがそんなに要らない。「うまいよ、世界で一番うまいよ」だけで、相手の心が動く。逆に、自分が信じきれていないものは、どれだけ言葉を尽くしても、たぶん相手には届かない。
そして思ったのは、作品作りは「作ること」と「届けること」の両輪だということ。どちらか片方が欠けても、たぶん広がっていかない。今までの僕はわりと「作る」のほうに重心が寄っていて、「届ける」が苦手でした。でも「届ける」をやろうとした時に、結局その材料が「作る」のほうから供給されることを思い知らされた感じがします。
「届ける」を支えているのは、「作る」のほうで自分が積み上げた確信なんですよね。
明日が勝負
ここで終われたらかっこいいんですが、まだ全然終わってません。
公演までは8日。全体で揃ってできる稽古の回数は、もう、本当に少ない。
実は明日、ちょうど集中的に稽古ができる日があります。
明日が勝負です。
稽古場の中では、「これは絶対楽しめる」と思える瞬間は、何度もあります。本当です。でも、それと同じくらい「まだまだ足りない」と思う瞬間もあって、それが両方そのまま残っている状態が、いまの自分です。
だから明日は、足りないところを、本気で洗い出していきます。「絶対楽しめる」の瞬間を増やして、「まだ足りない」の瞬間を埋めていく。それをやりきって、「最高だから来て」と、自分の口から心の底から言える状態まで、持っていきたい。
まだまだ間に合うと思っています。本気でそう思っています。
あなたの仕事も、たぶん同じ場所にある
書いていて思うのは、これはたぶん、演劇の集客に限った話じゃないということです。
何かを売る時、伝える時、人に来てもらおうとする時。テクニックや言い回しを工夫する前に、自分が「これは本当にいい」と思えているか。そこが揃っていれば、言葉はそんなに飾らなくても届く気がします。
逆に、そこが揃っていないまま伝え方だけを磨くと、たぶんどこかで嘘くさくなる。お客さんはそれを敏感に察します。
もしあなたが、何かをすすめる時に言葉が出てこない、書けない、と感じているなら。「言い回しが下手」じゃなくて、「自分がまだ信じきれていない」ことが原因かもしれません。だとしたら、磨くべきは言葉じゃなくて、たぶん中身のほうです。
僕は明日、その中身を、もう一歩奥まで磨きにいきます。
「最高だから来て」と、ちゃんと言える自分で、6月6日の本番に立ちたい。そう言われて来てくれた人が、本当に「最高だった」と思って帰れる舞台にしたい。
カンヌという、気が遠くなるくらい遠い星に向かう道のなかでも、これは無視できないテーマな気がしています。届ける言葉に魂を乗せられる人にならないと、たぶん、もっと大きな場所には立てない。
明日、行ってきます。
このシリーズはそういう「まだ途中」を、かっこつけずに書いていく記録です。明日の稽古がどうだったか、次のnoteでお伝えできたらと思います。よければ、見届けてください。
読んでくださり、ありがとうございました。
最後まで読んでくれたあなたへ
カンヌへの道も、演劇で世界を平和にする仕組み作りも、気が遠くなるほど先の話です。これからも今日のような分厚い壁に、数え切れないほどぶつかるはずです。
だからこそ、あなたが最後に押してくれる「スキ」の一つひとつが、「この熱のまま、もっと遠くへ行け」と僕の背中を押す最大の原動力になります。
もしよければフォローして、この長い旅の「一番の目撃者」になってくれませんか。いつか必ず辿り着くその景色を、一緒に見たいです。
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稽古の様子、記事を書いたきっかけ、書けなかった話——
そういう断片をLINEで届けています。
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【挑戦その1】「地域を応援する演劇」シリーズ、上演中
沖縄の食堂や自治会を舞台に、笑って、泣けて、ちょっと優しくなれる。そんな群像ハートフルコメディを連続で上演しています。地域の居場所やコミュニティを応援する取り組みでもあります。
直近の公演:『にぬふぁぶし』6月6日(土)上演
迷った時、上を見れば、いつもそこに光がある。
—— 金曜日の食堂で、子どもたちが見つけた居場所 ——
那覇の子どもの居場所「にぬふぁぶし」を舞台にした、01 ENTERTAINMENT、チーム恵比寿の俳優たちによる群像ハートフルコメディ。
ある金曜日の17:00〜19:30、居場所のない人たちが、沖縄のおばあの厳しくて温かい食卓で「帰る方角」を見つけていく物語です。
日時:2026年6月6日(土) 13:00開演 / 16:00開演(2ステージ)
※当初6月7日(日)で告知しておりましたが、6月6日(土)に変更となりました。以前の日程でご予定くださっていた方、あらためてご確認いただけたら嬉しいです。会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋)
上演時間:約70分
料金:大人2,000円 / 学生1,000円 / 小学生以下無料
主催:01 ENTERTAINMENT / チーム恵比寿
脚本:伊藤駿一・金井優
演出:西平寿久
▼ チケットのお申し込み・お問い合わせは下記のいずれかから
・Googleフォーム:https://forms.gle/52R7Zjs6CWisFGk86
・公式LINE:https://lin.ee/jbUrdeB


次回公演:『自治会パンデミック!』
「地域を応援する演劇」シリーズの次の公演です。1100世帯を抱える自治会で、実際に動くのはたった数人。崩れかけた自治会に、1人の若者が現れる——SNSやビジネスの力で改革が進む裏で、長年支えてきた人たちの「居場所」が消えていく。「数字か、つながりか」。対立する価値観の中で揺れる地域の、笑って泣ける群像劇です。
日時:2026年7月4日(土) 14:00開演 / 18:00開演、7月5日(日) 13:00開演 / 17:00開演(全4ステージ)
会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋2-23-26)
料金:一般2,000円 / 学割1,000円 / 小学生以下無料(当日券は一般・学割ともに +500円)
脚本:かないゆう
演出:西平寿久
主催:01 ENTERTAINMENT
メイン出演:チーム大黒天 / Special Thanks:チーム恵比寿、01 ENTERTAINMENT(土曜クラス)
▼ チケット予約・お問い合わせは公式LINEから
https://lin.ee/jbUrdeB


【挑戦その2】「出張一人芝居」はじめます!
沖縄本島内であれば、どこへでも行きます。
観客が何名でも構いません。「たった1人」からでも、見たいと手を挙げてくださる方がいれば、あなたのためだけに、指定された場所へ伺って全身全霊で演じます。
「いっちーの一人芝居を見てみたい」「うちの場所でちょっと演じてみてよ」と思ってくださる奇特で温かい方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
▼出張一人芝居の詳細や、企画に込めた想いはこちらから
▼出張一人芝居のご依頼・ご相談は公式LINEから(上のLINEリンクと同じです)
https://lin.ee/jbUrdeB
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