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潔く、矛盾を抱きしめる(キンズロー③)

かつて、キンズロー博士の本に夢中になっていた私の手が、あるページで止まった。そこには、私の人生を変えてくれた「引き寄せの法則」を否定するような言葉が書かれていたから。

キンズロー博士の著書に出会ったのは、大好きな翻訳家の方々の著書を読んでいたときだった。彼らが翻訳した数々の精神世界の本、多くはインド哲学とか非二次元などはどれも静かで深い真実をたたえていて、キンズロー博士の著書もその中にあった。

博士が伝えるヒーリングのテクニックは、驚くほどシンプルで、同時に深い本質を突ている。すっかり夢中になってしまった。自己流だけど遠隔レイキにも応用してみたら、受けてくださった方々から嬉しい変化の報告がたくさん届いた。今でもときどき、自分自身にやっている。

思考の奥にある静けさ。
何もせず、ただ気づきの中にとどまるという感覚。

それは、私がそれまで親しんできた「願い、意図し、現実を創造する」という世界と違う。

実はしっかりと両方の本を読むと、それほど矛盾していないのだけど、博士は、「引き寄せの法則」を認めていない。それどころか、どこか距離を置き、少し皮肉を込めて語っているようにも感じられた。特に、私がエイブラハムを知るきっかけになった『ザ・シークレット』について触れている部分を読んだとき、私はその先のページをめくることができなくなってしまった。

なぜなら、当時の私にとって、その教えは人生を好転させてくれた素敵なものだったから今の幸せな生活があるのは、間違いなくそのおかげ。引き寄せの本質は「無条件の愛」である。

そもそも、それは新興スピリチャルでもなければ、誰かの独占物ではない。ニューソートになるのかもしれないが、先人たちの哲学や宗教、ヨガや禅の教えにも深く通じている、普遍的な知恵だと思う。

キンズロー博士が説く「何もしない、ただそこに在る」という静寂は、確かに魂が深く安らぐ場所。思考と思考の隙間にある「気づき」に触れる感覚は、私も大好きで、彼を心から尊敬している。エックハルト・トールも引用されているが、読んでいるだけで魂が喜ぶ感覚がある。完璧に理解はできてないが、敬愛している。

博士が教えを受けたという、聖者ラマナ・マハルシの、「私は誰か?」という問いを通じて真我に留まる教え。それが行き着く「静寂と受容」を理解すると、確かに苦しみからは解放される。けれど同時に、現実を動かすドラマが、どこか遠い出来事のようにも感じられてしまうこともある。

「私が現実を創っている」という手応えを感じながら、願いを形にしていくプロセスも、人生の大きな喜びだと私は思う。 「ただ在る」完璧な安らぎもいいけれど、「意図して、動いて、形にする」という、三次元的なときめきの熱量が好きだし、特に若いときは、もっとジタバタしてもいいはず。

とはいえ、還暦間近の今の私は、ドタバタやモヤモヤはもういらない。
静かな宇宙に身を委ねる安堵感と、この世界を能動的に遊び尽くす高揚感の両方を、軽やかに行ったり来たりしていたい。

博士をお薦めしたいのは、こんな方。

  • 道具も何もいらないセルフヒーリングに興味がある

  • エネルギーワークにさらなる深みが欲しい

  • インド哲学や「非二次元」の思想が好き

  • 「引き寄せの法則とか、ちょっと苦手……」という方(笑)

私の中では大きく矛盾はしていないし、違和感があるとしても両方を抱きしめる瞬間は何度もある。



博士のワークショップの帰り道。渋滞を避けて海岸線を走り終えると、元夫の母親の家が見えてきた。

90代になった「義理ママ」は、私がドアを開けて呼ぶと、昔と変わらない明るい声で迎えてくれる。体調が悪い日もあるらしいけど、その日は元気で来客もなく、びっくりするほどグッドタイミングだった。ちょうど元夫から彼女に連絡が入った。私が電話を代わり、頼まれるまま薬局に薬を取りに行くことになった。離婚しても、こうした絆は変わらない。ありがとう、と互いに言い合っている。

かつて離婚で辛かった時期、孤独で不安なまま、ひとり海辺を歩いた日々もあった。そんな私を支え、救ってくれたのは、あの「引き寄せの法則」の教えだった。「あの時に強烈に放った願いは、今、ほぼすべて叶っている。あるいは、当時の私の想像を超えた「最善」の形となって、今ここにある。叶わなかったものについては、今となってはどうでもいいか、あるいは自分に必要なかったとすら思う。

あんなにゴタゴタしていた「現実」が、愛と感謝の世界になった。そしてその先にあるのが、私と世界の境目が消えていくような、ただ純粋な気づきに身をゆだねる習慣であってもいいはず。

博士にヒーリングしてもらい、久しぶりに義理ママと楽しく過ごしてから、帰宅した。信じられないほど渋滞していた。するとシカゴにいる息子から電話があり、たっぷり会話することができた。 またしても道に迷った私に、私の位置情報をチェックした息子が「そこをまっすぐ行けば高速だよ、気をつけて」とガイドしてくれた。

本当に、愛と感謝しかない。


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