【Advent企画】12/20:十字架【410字小説】
確証があったわけじゃない。
美吉は、所属するバレエ団以外の公演にも出ていて、こっちはそのスケジュールの把握なんてしていない。
どこにいるのかも全くわからないまま、それでも、唯一知っている劇場へと、とにかく向かった。
「誰もいない、か……」
ひと気のなさに諦めかけた時、閉館しているはずの劇場ホワイエに明かりがついた。
窓枠と柱で切り取られたガラス越しの光は、大きな十字架のよう。その光に照らされる形で、劇場前にある大きなクリスマスツリーが見えた。
そして、そこにーー
「りょうたッッッ!!!!」
美吉が、いや、良太が一人じゃないことに気がついた瞬間、そんな声が出るのかと自分でも驚くほど大きな声が出た。
視線の先で良太は振り返る。
驚いた顔。
それから、彼は空を降り仰いだ。
雪だ。
全てがスローモーションになって見える中で、良太はこちらを一度見ると、にっこりと微笑んだ。
そうしてーー
良太の右ストレートが躊躇なく、相手の男に向かって繰り出された。
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本文410字。
#いつきちゃんのアドベントカレンダー
ところで美吉さんはかつて若いころに、後輩のうららをハルさんの目の前で殴ったことがある、という設定があったりします。
うららとハルさんて誰のことやねんって気になってお時間がある方はこちらをご確認ください。
話のメインはこの二人。
ホセと美吉さんの間に何があったかみたいなのはこちら
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