「Solaria 第十四話|その先の光へ」

「Solaria 第一話|はじまりの坂」(前編)
「Solaria 第一話|はじまりの坂」(後編)
「Solaria 第二話|衝突の先にある光」
「Solaria 特別編 |坂の上の学園」
「Solaria 第三話|バラバラのリズム」
「Solaria 第四話|届かない声」
「Solaria 第五話|ひとつのステップ」
「Solaria 第六話|スプリングフェスティバル」
「Solaria 第七話|広がる波紋」
「Solaria 第八話|名前を持つということ」
「Solaria 第九話|さくら覚醒(前編)」
「Solaria 第十話|さくら覚醒(後編)」
「Solaria 第十一話|知らなかった事実」
「Solaria 第十二話|それでも、歌う理由」
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「第十四話 | その先の光へ」
朝
学園祭が終わった。
それなのに。
ざわめきは、終わっていなかった。

星ヶ丘学園・校門前。
「ねえ見た!?昨日の!!」
「やばかったよね、あれ!」
「スクールアイドル部でしょ!?」
登校してくる生徒たちの会話。
その中心にあるのは、ひとつの名前。
Solaria。
坂道を上ってきたひなたが、足を止める。
「……え?」
聞こえてくる、自分たちの話。
「さくらちゃんの声、やばくなかった?」
「ダンスもさ、あの赤い子……!」
「あかりでしょ!?めっちゃかっこよかった!」
ひなたの隣で、あかりが腕を組む。
「……ふーん」
そう言いながらも、口元が少しだけ緩んでいる。
しおりが小さく息を吐く。
「想定以上ね」
ゆいは、くすっと笑った。
「ちゃんと届いた証拠だね」
さくらは——
少し後ろで、立ち止まっていた。
「……」
名前が、呼ばれている。
怖くない。
でも、少しだけ——
信じられない。
ひなたが振り返る。
「さくら!」
ぱっと顔を上げる。
「行こ」
その一言に、さくらは小さく頷いた。
■教室
「昨日の映像、もう一回見たいんだけど!」
■廊下
「Solariaだ……!」
「写真撮っていいですか!?」
一気に囲まれる5人。
「ちょ、ちょっと待って!?」
ひなたが慌てる。
あかりが小さく笑う。
「有名人じゃない」
しおりが冷静に言う。
「浮かれてる場合じゃないわよ」
その言葉に、空気が少し締まる。
ゆいが、そっと続ける。
「でも……嬉しいね」
さくらが、小さく笑った。
「……うん」
■カフェテリア
少し遅めの昼休み。
ざわざわとした空気。
いつも以上の視線。
5人は、少しだけ奥の席に座っていた。
「……で」
しおりが口を開く。
「現実の話をするわよ」
ひなたが苦笑い。
「来たね、それ」
しおりは、真っ直ぐに言った。
「学園祭アンケート」
一瞬の静寂。
「結果、出てるわ」
全員が、息を呑む。
「……2位」
「……え」
ひなたが、思わず声を漏らす。
「1位は」
しおりが、わずかに間を置く。
「チアリーディング部」
空気が、揺れた。
あかりが、すぐに反応する。
「……当然ね」
「完成度は、あっちが上だった」
悔しい。
でも。
否定できない。
ひなたが、笑う。
「じゃあさ」
「次、勝てばいいじゃん」
全員を見る。
「悔しいって思えてる時点で」
「ちょっと前と違くない?」
その言葉。
空気が、少し変わる。
「……確かに」
あかりが、口角を上げる。
「前なら、そこで終わりだった」
「でも今は——」
しおりが続く。
「“次どうするか”を考えてる」
ゆいが、やわらかく笑う。
「いい変化だね」
そのとき。
カフェテリアの入口。
チアリーディング部のメンバーたちが通りかかる。
一瞬。
視線が、交差する。
沈黙。
でも。
その中の一人が。
ほんの少しだけ、頭を下げた。
驚く、ひなたたち。
何も言葉はない。
でも。
確かに。
“何か”が変わっていた。
放課後。
廊下。
「ちょっといい?」
呼び止められる。
振り向くと——
放送部の生徒。
「これ」
差し出されたのは、USB。
「文化祭の映像」
「勝手に編集しちゃったんだけど……」
「すごく良かったから」
照れくさそうに笑う。
「……ありがとう!」
ひなたが、勢いよく頭を下げる。
そのあと。
「これも!」

今度は、漫画・イラスト部。
色紙。
そこには。
デフォルメされた、5人の姿。
小さくて、かわいくて。
でも、ちゃんと“Solaria”だった。
「わあ……」
さくらの目が輝く。
「すごい……」
ゆいが、大切そうに受け取る。
数日後。
本部棟。
応接室。
5人が並ぶ。
向かいには——
学園長。
「今回の文化祭」
穏やかな声。
「大変、素晴らしかった」
「学園を、あそこまで盛り上げてくれたこと」
「心から感謝します」
差し出される、一枚の賞状。

「感謝状」
全員が、息を呑む。
「そして」
学園長が続ける。
「もしよければ」
「年末のクリスマスコンサート」
「大講堂のステージで、歌っていただけませんか?」
一瞬。
時間が止まる。
「……え?」
ひなたが、思わず声を漏らす。
「正式に、依頼します」
その言葉。
5人の中で、何かが確かに変わった。
認められた。
“存在”として。
■放課後屋上
あの日と同じ場所。
5人が並ぶ。
風が、やさしく吹く。
「ここから始まったんだよね」
ひなたが言う。
「Solaria」
さくらが、空を見上げる。
「太陽みたいに」
「誰かを照らせるような存在」
ゆいが、そっと続ける。
「少しは、なれてきたかな」
「まだまだでしょ」
あかりが笑う。
「もっと上、あるよ」
しおりが静かに言う。
「……だから、行くんでしょ」
そのとき。
ゆいが、少しだけ前に出る。
「ねえ」
全員が、ゆいを見る。
「ひとつ、提案があるの」
少しだけ、間を置いて。
「年明けにね」
「スクールアイドルの大会があるんだって」
「都内で」
空気が、変わる。
「大会?」
「うん」
「条件は厳しいけど……」
「オリジナル曲、3曲以上」
「活動実績、半年以上」
「でも」
少し、笑う。
「出てみない?」
沈黙。
風の音。
そして。
ひなたが、笑う。
「いいじゃん」
即答だった。
「やろうよ」
あかりが、ニヤッと笑う。
「面白そうじゃん」
しおりが、小さく息を吐く。
「……いいわ」
「どうせなら、上狙いましょう」
さくらが、少しだけ緊張しながら。
でも。
しっかり頷く。
「……うん」
「やりたい」
ゆいが、やさしく微笑む。
「決まりだね」

■ 夕方・屋上
5人が、空を見上げる。
オレンジ色の空。
5人が並ぶ。
風が、静かに吹いている。
ひなたが、空を見上げる。
「Solariaってさ」
全員が、顔を向ける。
「太陽って意味じゃん?」
「ここ」
足元を見る。
「一番、太陽に近い場所だよね」
屋上。
「ここで出会って」
「ここから始まった」
振り返る。
「だからさ」
「ここから、もっと遠くまで行こう」
誰も、すぐには答えない。
でも。
その目は、同じ方向を見ていた。
風が吹く。
まるで。
背中を押すように。
Solariaとしての太陽は、まだ昇る途中。
その光は。
これから、もっと強くなる。
Solariaは、まだ止まらない。
第十四話 その先の光へ (終)
(Solaria 1st Stage:完)
~スクールアイドルプロジェクト Solaria 運営より~
日ごろよりSolariaをご愛読、応援をいただきまして、ありがとうございます。
お蔭さまで本日、第十四話の公開を終える事ができました。
最後の「Solaria 1st Stage:完」の文字をご覧になり驚かれた方もいらっしゃる事と思いますが、この第十四話をもちまして一つの区切りとなります。
ダンス部崩壊から始まりSolaria結成、スプリングフェスティバルで初舞台、学園祭での初ステージ。1st StageはいわゆるSolariaの活動としての基盤を描いた比較的浅めのストーリー構成としました。
続く2nd Stageではドラマ性を重視したかなり深い内容となりますので後日の公開にご期待ください。
今後ともSolariaを応援よろしくお願い致します。
