三題噺ショートショート_オニギリ
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「オニギリ」まいりましょうか。

気付くと、台所の古びた蛍光灯が点いたり消えたりしていた。
「替えなきゃね」
母さんが言った。
俺は、言った。
「気にならないから」
朝は新聞配達。夕刊の配達を終えてから練習に参加し。帰宅したら勉強をした。
塾には行けないが、英語だけは添削学習をした。
貧乏だから、本当は野球なんてやってる場合じゃない。添削だって、結構かかる。それでも文句を言わず、いや寧ろ、やってみろと背中を押してくれた。
昼も夜も働いていたから、料理を作る暇は無い。
母さんが握るオニギリは、不格好で素っ気なかったが、俺には最高に美味しかった。
海外赴任が決まり、空港に見送りに来てくれたときが最後になるとは思わなかった。
「手紙は書いてね」
その通りにしたら、郵便ポストを確かめるのが楽しみだと言っていた。
アンナと一緒に帰国して。今は、ジェシーの試合観戦が趣味だ。
アンナは、オニギリを握ってくれる。
それがまた、不格好で素っ気なくて。
でも、俺にはそれが、最高に美味しいんだ。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、三題噺はいいけど。マッサー(注1)、まさか、忘れてない?」
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、これで30作。俺にしちゃあ、三題噺も、けっこう書いたは書いたが。ムズい。ムズすぎる。笑


