我が胆のうで育まれしウルル⑫〜意図せずダンサーになった日〜
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修行の朝
手術から一夜明けた。
目覚めはそんなに良くない。
なぜって?
そりゃぁ痛みは継続中だからさ。
寝ている間も体の僅かな動きと共に
お腹の傷が痛んだ。
夜中(何時か分からないが)に
痛み止めをもらったりもした。
そのおかげで少し眠れたけど。
ポーカーフェイス外科医が回診で来た。
ポ「胆のう取って正解でしたよ。
あのね、【痛い】って体の異常なんですよ。
猫飼いさん、我慢しないで病院行くって
約束してくれる?」
私「…承知しました。」
ぐぅの音も出ない。
その通りである。
ポーカーフェイス外科医は
「何かあったら何でも言ってくださいねー」
と言って私のベッドを離れながら
彼の横に張り付いていた
若い医師達に(研修中?知らんけど)
「猫飼いさんね、自分で運転してきたんだよー↑」
と、またちょっと楽しそうに話していた。
どうやら彼のお気に入りエピソードになったようだ。
喜んでいただけてなにより。
断末魔?
お昼。入院以来、初めての食事が来た。

鯖!!鯖があるじゃないか!!
大好き!!鯖!!!!
お箸を手に取った。
この日は2023年10月17日火曜日。
実に2日半ぶりの食事である。
まずはお味噌汁に手を出した。
…….沁みる…..塩分….良き…
病人食なので、きっと塩分は控えめ。
でも!今の私には十分!
意図せず断食状態に入っていたからさ!
味覚がさ!リセットされたっていうかさ!!
食道を通って体全体に沁み渡る感じ?
…泣ける。
次はおかゆ!
ーー味がねぇ。
3口でやめた。
美味しくないからじゃない。
なんか、喉を通らないのだ。
もうお腹いっぱいというか…。
ありえないんだけど。
鯖
食べてないんだけど。
鯖に箸をつけた。
ひと口食べた。
……うまし。
全部食べたい。
でも、これも3口が限界だった。
私の体、どうなってる?
せっかく料理を作っていただいているのに
残すしかなかった。
ーー無念。
食後、テスト作りを始めた。
座っているだけだが
なかなかしんどい。
だが、テスト内容は頭の中で
既に出来上がっていたので
素早く打っていくだけだ。
パチパチ進めていると、
とんでもない叫び声が聞こえてきた。
私の部屋の正面にあるシャワー室からだった。
「ぎゃー!!!!人○しー!!!
許さーん!!!お前ぇぇぇ!!!
ブッ○すぞーーーーッッ!!!!!」
ーーめちゃくちゃ物騒な言葉の数々。
まるで断末魔だ。
その言葉を受け、別の声が聞こえた。
「はいはい、こわいこわい。
はーい流すよー」
どうやら、お風呂嫌いのご老人が
お風呂に入れられているようだ。
私が面食らっていると
ちょうど回ってきた看護師さんが
「スーッゴイ元気でしょー?笑」
と、あたかも通常運転かのような口振りで話してきた。
まぁ、きっとそうなのだろう。
お風呂介助のスタッフさんもまた猛者である。
なんなら笑い声も聞こえる。
(決して嘲笑ではない)
「はーい終わり!気持ち良かったでしょー?」
の問いかけに、
あのご老人の返事は聞こえなかった。
それが答えなのだろう。
あの罵詈雑言も
後半からはトーンが落ちていた。
それから15分ほど経った頃だっただろうか。
「売店まで行ってみよう!」と思い立ち、
腹圧をかけないようにそっとベッドから下りた。
財布を持ち、病室を出て左方向へと向かった。
その瞬間ーー
私の左足は伸びたまま
スーーーーっと摩擦を失った。
あ…ヤバ…ッッ!
咄嗟に右足を曲げ、
ヨボヨボの腹筋を使って上体を前に振った。
ロックダンスのゲッダン(※)の体勢が
ここに完成した。
(※)説明はしない。ググれ。
つづく
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📚 『我が胆のうで育まれしウルル』全話まとめ
👉 ①初めてのウルル爆誕
👉 ②町中華でトドメ編
👉 ③救急外来編
👉 ④痛みレベル10の夜編
👉 ⑤私の中のジェイソン・ステイサム編
👉 ⑥手術前夜編
👉 ⑦ワーカホリック・ゾンビ編
👉 ⑧サヨナラ、ステイサム編
👉 ⑨回復室編
👉 ⑩YouはShock!編
👉 ⑪番外編
👉 ⑫ダンサーは突然に編 ←今ココ
👉 ⑬プロの現場編
👉 ⑭おほーほ先輩編
👉 ⑮優雅な朝かもしれん編
👉 ⑯新スペック装備編
👉 ⑰ステイサム再降臨編
👉 ⑱最終話・○○女子爆誕編
👉 18.1 おまけ・「こぼれ話」編
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読んでいただきありがとうございます。
また次回!
