我が胆のうで育まれしウルル⑨〜回復室にて〜
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とりあえずゾンビ以下。
気がつくと、暗い部屋にいた。
回復室というのだろうか。
右上に人の気配。
チロッと目だけ動かす。
「あ!起きた!おっは〜。 はい、パシャ!」
……パシャ?今パシャって言った??
声の主は叔母。
いやいや、待って。
“おっは〜”は分かるけど、パシャは何?
現実?
せん妄?
せん妄だとしたら、どんなせん妄?
一瞬ほんとに分からなかった。
でもすぐ理解した。
これは現実だ。
だって——
体が、ものすごく痛い。
自分でもびっくりするくらい声が出ない。
挿管されてたからかな?声、カッスカス。
少しでも腹圧をかけようものなら
腹部を中心にエグい痛み。
寝たまま声を出すのって、めっちゃ腹筋使うんだな。
その時に初めて知った。
叔母が私の目覚めの写真を撮ったかどうかの確認すらできない。
クソ。…無力!!
ーードン・フライ VS 高山の試合の後、
あの2人ってこれくらい満身創痍だったのかなぁ。
ボッコボコに殴り合ってたもんな。
あぁ。でもあれは顔か。
顔は鍛えられないもんなぁ。
そりゃ痛いよな…
とか、 平成の名勝負に思いを馳せるなどした。
痛みと寝ボケで何考えてんのか分からない。
看護師さんが来た。
「気分どうですか~?もうしばらくここで休んでね。」
モニターをチェックしながら
声をかけてくれた。
「あぃ」しか言えなかった。
翻訳すると、「はい、ありがとうございます」だ。
腹圧かけられない。痛い。
首から下を動かすことができなかった。
手術後のプレゼント
代わる代わる看護師さんが様子を見に来た。
1人の男性看護師さんが
ベッドの足元近くを見て「フフッ」と笑った。
なんですか?
私の足がなんかしてますか?
外反母趾がすげぇとかですか?
とかソワソワしていると、
ベッドの柵からペッと何かを剥がした。
小さな袋?のようなものっぽい。
…ん?…ウメボシノタネ?
に、見えた。
んなわけないのは分かっている。
男性看護師さんは「プレゼントですッ⭐︎」と言って
その物体を私の目の前に差し出した。
石だ。
私が胆のうで育んできた、石だった。
綺麗な一枚岩。
まさしくウルル。
私のヘソに穴を開けて取り出した
私のウルルだった。
…ここでひとつだけ言わせてほしい。
なぜウルルが浮かんだかって?
ーー中間テストの範囲なんだよ。
ま・さ・に!
病室でパチパチ作ってた「アレ」な!
そしてボーナス問題として
出そうと思ってたんだよ。
「ウルルは通称、地球の○○と呼ばれている。
○○に入る言葉を答えなさい。」
ってな!
どんな伏線回収だよ!
てか、これここ数年ずっと出してる問題だから
私の教え子でコレ覚えてる子は
「あった!」ってなるやつ。
このシンクロに笑っちゃう。
でも体が痛い。
横にいる叔母にシェアしたい。
でも声が出ない。
目しか動かせない。
チラッと横に目をやると
叔母が
「立派〜♡」
ってニコニコ私の石を見ている。
待って!笑わせないで!
お腹痛いのよ!
「う〜…ふふぅ〜…ふふふぅ〜…」
腹筋をなるべく使わないように笑うと
マジでキモイな。
余計笑いそうになって
お腹に入ってしまいそうな力を散らす。
その辺で母が来た。
叔母は「じゃあね〜👋」と陽気に帰って行った。
天真爛漫で太陽のような人だ。
ありがとう。
でも、やっぱ写真撮ったよね?
まぁ、いっか。
母は座って私を見ていた。
なんか急に重病人の気分になった。
いや。まぁ病人なんだけど。
母「呼んでくれれば良かったのに」
まだ言うか。笑
私「ごめんて。」
母「退院いつなの?」
私「早っ!(痛い)…分かんない」
母「必要なのある?」
私「あー。弟①にLINEしておくわ」
母「食べたいのある?」
私「それもまだ早いな。笑」
今が何時なのか分からないけど
顔も見られたし、母を帰すことにした。
私「もう大丈夫だよ。ありがとう。」
母はゆっくりと腰を上げ出て行った。
もしかして、運転してきたのかな。
たいした距離じゃないけど
運転はそろそろキツいはずだ。
免許返納の話とかしてたし。
なんか…
「ちゃんと生きよう」って思った。
つづく
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📚 『我が胆のうで育まれしウルル』全話まとめ
👉 ①初めてのウルル爆誕
👉 ②町中華でトドメ編
👉 ③救急外来編
👉 ④痛みレベル10の夜編
👉 ⑤私の中のジェイソン・ステイサム編
👉 ⑥手術前夜編
👉 ⑦ワーカホリック・ゾンビ編
👉 ⑧サヨナラ、ステイサム編
👉 ⑨回復室編 ←今ココ
👉 ⑩YouはShock!編
👉 ⑪番外編
👉 ⑫ダンサーは突然に編
👉 ⑬プロの現場編
👉 ⑭おほーほ先輩編
👉 ⑮優雅な朝かもしれん編
👉 ⑯新スペック装備編
👉 ⑰ステイサム再降臨編
👉 ⑱最終話・○○女子爆誕編
👉 18.1 おまけ・「こぼれ話」編
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読んでいただきありがとうございます。
また次回!
