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心配性な藤枝先生の投資入門講座~こんにちは、ボラティリティ~ #06

(↑こちらが最初です。ぜひ、最初からお読み下さい。)

第5章 体調不良でお休み

2026年5月11日 月曜日午後

藤枝は自宅のデスクで次回の講座資料を作成していた。「株式投資の概要と銘柄選定の考え方」。5月15日の第5回講座まであと4日。画面には複雑な図表が並んでいる。

しかし、何となく体が重い。昨夜からの軽い頭痛が続いていた。

「疲れているのかな...」

彼は首を回して肩の凝りをほぐそうとした。最近のオンライン講座の準備、新しい参加者の岡田への対応、岡田が起こしたトラブルとは...。心配事が増えている。ストレスが溜まっているのかもしれない。


2026年5月12日 火曜日午前

休講のお知らせ:藤枝講師の体調不良のため、本日の講義はすべて中止となります。


2026年5月12日 火曜日午後 学生グループチャット

花音:「皆さんお疲れさま!今日の授業、先生お休みだったね」
村上:「そうだね。体調不良とのことだったけど、心配だよ」
花音:「最近お疲れのようだったもんね。大丈夫かな...」
優佳:「お疲れさま!私も拓己さんから特に聞いていないんだよね。心配だな」
村上:「そう言えば、今週金曜日は株式投資について学ぶ予定だったよね?なんだかドキドキするよ」
花音:「村上君、また興奮してる(笑顔のスタンプ)でも私も楽しみ!」
村上:「株式投資って、短期で大きく儲けることもできるんでしょ?なんだかワクワクするなあ」
花音:「村上君らしいね〜。でも先生がいないとそういうこと言っちゃうのね」
村上:「えへへ...だって気になるじゃない。デイトレードとか。カッコイイ」
優佳:「村上君、危険だよ〜。拓己さんに怒られちゃう」
岡田:「慎也らしいコメントですね。皆さんお疲れさま。先生の体調、心配ですね」
花音:「今日の様子だと、先生結構お疲れのようだった。お見舞いの連絡をしてみない?」
村上:「それは良いアイデアだね。皆でお見舞いしよう」
岡田:「僕は夕方ちょっと用事があるから、今回は遠慮させていただきます。申し訳ないですが花音さんたちでお願いします」
優佳:「私も今日は推しのグッズ発売日で外せない用事が...」
花音:「そっかぁ、残念だなぁ...。まぁでも、それじゃあ私と村上君で夕方にお見舞いの連絡するね」
村上:「うん、やろう。吉井さんよろしくね」
優佳:「ありがとう、二人とも!」
岡田:「花音さん、慎也、先生のこと、よろしくお願いしますね」


同日夕方

「先生、体調はいかがですか?」

オンライン画面に花音と村上の顔が映っていた。急遽設定されたお見舞いのビデオ通話だった。

藤枝は少し疲れた表情を見せながら答えた。

「ありがとうございます。ちょっと風邪気味かもしれませんが、大したことはありません」

花音が心配そうに言った。

「無理しないでくださいね!最近、大学でも感染者が増えているって聞きますし...」

「そうですね。用心に越したことはありません」

「ところで先生、最近ゼミのメンバーでよく連絡を取り合うようになったんです。岡田君が参加してから、なんとなくグループチャットが活発になって」

村上が丁寧な口調で報告してくれた。

「そうなんですか。それは良いことですね」

と藤枝は言ったが、内心では岡田が他の生徒と親密になりすぎることについては良い気持ちはしなかった。堀内教授のところでのトラブルのこともある。

花音が続けた。

「岡田君がいろいろと話題を振ってくれるんです!投資の話だけじゃなくて、大学生活のこととか。おかげで皆で話す機会が増えました」

「皆さん、仲良くなっているんですね」

岡田の特性上、こうなることを藤枝はある程度予想はしていたが、親密になる速度は予想を超えていた。

村上がふと気づいたように言った。

「あ、そういえば優佳さんも最近よく岡田君と話してるみたいですね。グループチャットでも二人でやり取りしてることが多いですし」

花音が付け加えた。

「そうそう!それで岡田君は、優佳ちゃんからの投資の質問にすごく詳しく答えてくれるんです。やさしいなぁ...」

藤枝の表情が少し変わった。体調不良だけでなく、気持ちも重くなってきた。

「そうですか...ユウも勉強熱心ですね」

花音と村上は藤枝が『ユウ』を言い直さないことに、藤枝の体調が悪いことを察した。

村上が続けた。

「逆に先生が教えてくださったことを、優佳さんから岡田君に説明してくれることもあって...。二人とも投資にすごく関心があるみたいで。個別チャットでも頻度多く、遅い時間までやり取りしているみたいですね」

言い終えた村上は画面を見た。体調が悪いのか藤枝は少しつらそうな表情となっていることに気づいた。一方、画面上で藤枝の隣に映っている、花音が少し困った表情をしていることについては見逃していた。

藤枝は少しぎこちない感じの笑顔を見せつつ、お見舞いのお礼を言った。

「皆さんが積極的に学んでくれるのは嬉しいことです。でも、あまり無理をしないでくださいね。今日はお見舞いありがとう」

「先生こそ無理しないでください!早く良くなって、また楽しい講座をお願いします」

「ありがとうございます。それでは失礼します」

学生たちは挨拶してオンライン会議から抜けた。藤枝は画面を見つめた。

「まー、そうなるか...」

と呟いた。体調不良も相まって、気分が沈んでいくのを感じた。


2026年5月13日 水曜日午後

藤枝の体調は明らかに悪化していた。頭痛は激しくなり、軽い発熱と喉の違和感も気になった。

彼は体温計を取り出した。37.5度。
微熱もあることから、自宅にある市販薬を飲み、安静にして様子を見ることにした。

(ピンポーン)

藤枝のマンションのインターホンが鳴った。インターホンのモニタにはユウの顔が映っていた。

「ユウ、直接部屋に来てはダメと昨日も言ったじゃないか。私がもし新型コロナに罹患していたら、感染力が高いんだから」

「ごめんなさい。拓己さんが心配で...。体調は大丈夫?」

「どうも駄目っぽい...。金曜日の授業は中止にするよ。強い言い方をしてすまなかった。昨日も今日も看病に来てくれてありがとう、ユウ」


2026年5月14日 木曜日

医療機関での検査の結果は陽性で、藤枝の新型コロナウイルス(nCoV-26A)への感染が確定した。

「1週間の完全隔離が必要です。症状が重い場合は入院も考慮しますが、現在の状況では自宅療養で様子を見ましょう」

医師の説明を受けて、藤枝は現実を受け入れざるを得なかった。

諸々の手配をして、自室に戻った藤枝はベッドに倒れ込むようにして横になった。

・・・
「重要なのは『長期』『積立』『分散』です...」
「先生、おすすめの金融商品ってなんですか。高校生でも購入できるものを教えてください...」
「高校生のあなた達にとって...でも自己責任...注意深く...」
「先生、投資って面白いですね。社会の見方が変わりました...」
・・・

その後、藤枝の症状は重くなり、5日間体力的に厳しい状態が続いた。物理的に遮断された環境で隔離され、体力的に外部との連絡もできず、悶々とした思いでひたすら休養に専念する日々だった。

「私が寝込んでいる間、何か起こってしまわないだろうか。ユウは大丈夫だろうか...」


2026年5月15日 金曜日

優佳は学生たちのグループチャットにメッセージを投稿した。

「皆さん、お疲れさまです。先生から連絡がありました。

先生の新型コロナウイルス感染のため、本日5/15と来週5/22の講座は中止となります。先生の体調回復を最優先に、講座再開は5/29の予定です。

先生からは『皆さんも感染予防に十分注意してください。これまでの資料を復習しながら、講座再開をお待ちください』とのメッセージがありました。

先生の一日も早い回復をお祈りしましょう」


花音の日記(5月15日)

先生がコロナで体調崩されて心配。オンライン講座も中止になっちゃった。オンライン講座でも会えないって思ったら、私も岡田君のこと気になってきちゃったな...


2026年5月16日 土曜日午後

「優佳ちゃん、先生の様子はどう?」

花音の心配そうな声がスマートフォンから響いた。優佳は自分の部屋でベッドに座りながら電話に出ていた。

「一昨日連絡したときは、思ったより重そうだった。熱も高いし、話すのもしんどそうで...」

「やっぱり新型コロナは侮れないね。感染力が強いって言われてるし」

優佳は窓の外を見ながら答えた。

「そうなんだよね。拓己さんも『皆、気をつけてくれ』って言ってた。5月29日も微妙かもしれないね」

「6月に入ってからになりそうかな」

「多分そうだと思う。拓己さんの回復が最優先だから、焦らずに待とう」

花音の声が明るくなった。

「じゃあその間、私たちで復習会でもする?投資信託の回とか、もう一度整理したいし」

「それいいね!岡田君や村上君も誘ってみる?」

「うん、みんなで勉強すれば理解も深まりそう!」

優佳は少し考えてから言った。

「岡田君、投資についてすごく詳しいよね。色々教えてもらえそう」

「確かに!でも偉ぶらないところが好感持てるよね。イケメンだし、優しいし...」花音の声に微かな照れが混じった。

「そうそう。質問しやすいし、説明も分かりやすい。それに...」

「それに?」花音が意味深に聞いた。

「特に話してる時の表情とか、すごくすごく...」

「あああ。分かる分かる!そっちの方ね。優佳ちゃん、さすがだわ~」

優佳が少し恥ずかしそうに続けた。

「でも内緒だよ?」

「もちろん!私たちだけの秘密」

「...そうね。秘密ね...」

二人は今後のスケジュールについて話し合い、とりあえず先生の回復を待つことにした。


#01, プロローグ, https://note.com/chokozai/n/n7c341cddedc4
#02, 1章, https://note.com/chokozai/n/n21181a368ec3
#03, 2章, https://note.com/chokozai/n/n0a68b769a8dd
#04, 3章, https://note.com/chokozai/n/n57828d00edb3
#05, 4章, https://note.com/chokozai/n/n21b8ac2af8be
★#06, 5章, https://note.com/chokozai/n/n42cd7f162fde
#07, 6章, https://note.com/chokozai/n/n2e058ee72421
#08, 7章, https://note.com/chokozai/n/nbb54d76f3a23
#09, 8章, https://note.com/chokozai/n/neda9d56fcf79
#10, 9章, https://note.com/chokozai/n/n74b172c91069
#11, 10章, https://note.com/chokozai/n/nacafa95d046b
#12, 11章, https://note.com/chokozai/n/n89af353420e1
#13, 12章, https://note.com/chokozai/n/n6e2b703b9166
#14, 13章, https://note.com/chokozai/n/n394f01a5e278
#15, 14章, https://note.com/chokozai/n/n3ee776f29d13
#16, 15章, https://note.com/chokozai/n/n44b39117da51
#17, エピローグ, https://note.com/chokozai/n/naf7a4ec3e2ac

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