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心配性な藤枝先生の投資入門講座~こんにちは、ボラティリティ~ #11

(↑こちらが最初です。ぜひ、最初からお読み下さい。)

第10章 新NISAを学び、実践へ

2026年6月26日 金曜日午後(第8回講座)

「皆さん、こんにちは。今日のテーマは『口座開設後の進め方』と『新NISAの活用術と銘柄選定の考え方』です」

「まずは、前回の宿題である口座開設の進捗を確認した後、口座開設の後の具体的な進め方を説明し、その後に新NISAについてより詳しく学びます。

今回も、内容は多めですので頑張ってついてきてください」

藤枝の声がオンライン画面から響いた。梅雨明けが近づき、少しずつ夏の気配が感じられる時期になっていた。画面には4人の学生の顔が並んでおり、前回よりもさらに投資への関心が高まっているのが見て取れる。

藤枝は学生たちの表情が明るくなってきていることを感じた。彼らの実践が近づいている。気が引き締まる思いをしつつ、説明を続けた。

「まず今週の感染状況ですが、全国的には日々2万2千人程度の新規感染者で、先週から微減傾向です。大学では現在105名ほどの感染者が確認されており、先週の110名から減少に転じています。ようやく落ち着きの兆しが見えてきましたね。とは言え、感染拡大防止のため家族以外との物理的な接触は避けることは継続してください」

「少し減ってきて良かったです」花音が安堵の表情を見せた。

「そうですね。引き続き注意は必要ですが、良い傾向です」


「それでは、前回お出しした宿題の口座開設について確認させてください。皆さん、進捗はいかがですか?」

岡田が画面に軽く手を上げて答えた。

「僕は既に楽天証券で口座開設済みなので、みなさんのサポートに回らせていただきました」

村上が少し恥ずかしそうに眉を下げた。

「僕は記入ミスがあって一度送り返されてしまったんですが...でも岡田君に教えてもらって再送できました。来週の講座には間に合う見込みです」

花音が画面に近づきながらに明るく報告した。

「私と優佳ちゃんは、岡田君に手伝ってもらって無事に申込み完了しました!岡田君、本当にありがとう」

優佳も頷いた。

「岡田君のおかげで、思ったよりスムーズにできました」

「それは素晴らしいですね。岡田君、皆さんのサポートをありがとうございました。村上君も来週には間に合いそうで良かったです。これで皆さん揃って投資家デビューできそうですね」

岡田のサポート役について、藤枝は頼もしさだけでない複雑な思いを抱いた。教育者として学生同士が助け合うのは理想的だが、岡田を中心とした関係がより強固になっていくことへの不安も感じていた。特に姪の優佳が岡田に頼る様子を見ると、心配が胸の奥で渦巻いた。


「口座開設についてある程度の目処が立ってきたと思いますので、本日のテーマの一つ『口座開設後の進め方』について始めます」

「まずは、投資信託の具体的な購入方法について説明します」

藤枝は購入画面を示した。

「商品検索、商品詳細の確認、購入金額の入力、購入方法の選択(積立かスポット)、注文内容の確認、注文確定という流れです。特に重要なのは商品詳細の確認です。信託報酬、純資産総額、運用方針などを必ずチェックしてください」

花音がメモを取りながら質問した。

「商品を選ぶ時のポイントは何ですか?」

「ETFと同様で信託報酬が0.3%以下で、純資産総額が100億円以上のものを選ぶのが基本だと書籍か何かで学びました。僕もその基準で選びました」岡田が答えた。

藤枝は岡田の回答に補足した。

「そうですね。数値には諸説ありますが、岡田君の言ってくれた数値であれば問題はないと思います」

「具体的な基準があると選びやすいですね」
「数字で判断できるのは分かりやすいです」

学生たちにとっても分かりやすく具体的な基準であったようだ。


「次に、時間分散という意味でもお勧めの積立設定の具体的な方法について、詳しく説明しましょう」

藤枝は設定画面の例を示した。

「積立日の設定、積立金額の設定、積立商品の選択、ボーナス月の設定、引き落とし方法の選択などができます。積立日は給料日やバイト代が入る日の直後に設定するのがおすすめです。引き落とし方法は銀行口座からの自動引き落としが確実です」

「僕は毎月25日に設定してます。バイト代が20日頃に入るので、余裕を持って定めました」

と岡田が自身の例を紹介した。

「さすが岡田君、自動引落日についてちゃんと検討して決めたのですね。私もバイト代の入金日を確認してから設定しようと思います」

花音は大いに感心したようで、深く頷く動作を繰り返していた。

「確かに計画的ですね。私もそれを参考にさせてもらいます。ところで、私はバイト代が月によって違うんですが、どうしたらよいでしょうか?」

藤枝が微笑みながら回答した。

「その場合は、最低額を基準に設定して、余裕がある月だけスポット購入するという方法もあります。例えば、月1万円で設定しておいて、余裕がある月だけ追加で投資するという感じです」

「分かりました。それは良いアイデアですね。無理をしないことが継続の秘訣と理解しました」


「初回投資金額の決め方について説明しましょう」

藤枝は画面上でマウスカーソルでポイント指しながら説明した。

「収入の10-20%程度から始めるのが目安です。学生の皆さんなら、月1-3万円程度から無理のない範囲で始めてください。大切なのは継続することです」

「僕は月1万円から始めました。慣れてきたら徐々に増やしていこうと思ってます」岡田が補足した。

「無理をしないことが一番大切ですね。でも、複利効果を考えると早めに多く投資したいという気持ちも出てきそう...」
「継続できなければ意味がないから金額設定はしっかり検討しないと」

学生たちは活発に議論した。

「皆さんの考え方は正しいです。投資は短距離走ではなくマラソンです。長く続けることが成功の秘訣です」


「入金方法と資金管理について説明します」

藤枝は入金の仕組みを図を表示しながら説明した。

「銀行口座からの自動引き落とし、ネットバンキングからの送金、ATMからの振込などがあります。積立投資なら自動引き落としが便利です。投資用の資金は生活費とは別に管理することが重要です。専用の銀行口座を作るのもおすすめです」

「僕は投資専用の口座を作って、そこにバイト代の一部を移してから積立設定しました」岡田が自分の方法を紹介した。

「岡田君、それは良いアイデアですね。お金の管理がしやすそう」花音がまたも感心したように言った。

「明確に分けておいた方が安心ですね」
「私も専用口座を作ってみようと思います」

他の学生たちも同じ意見のようだった。

「銀行口座を新規に作るのは良いかもしれません。証券会社には親和性の高い銀行があるところもありますので、検討してみてください」


「投資における重要な心構えについても触れておきましょう」

藤枝は重要なポイントを列挙した。

「短期的な値動きに一喜一憂しない、途中で積立を止めない、余裕資金で投資する、定期的に見直しをする、継続的に学習するということが大切です」

優佳が心配そうに言った。

「値下がりしたらやっぱり不安になりそう...」

「僕も最初はそうでした。でも長期投資だと思うと、値下がりは安く買えるチャンスだって考えられるようになります」岡田が経験を踏まえて答えた。

「値下がりをチャンスと考えるって、面白い発想ですね」
「確かに、ドルコスト平均法を考えたらそう考えることはできますね」

学生たちも岡田の考え方に賛同していた。

「そのとおりです。積立投資では値下がり時により多くの口数を購入できるので、長期的には有利になることが多いんです」


「投資を始める前の最終チェックリストを確認しましょう」

藤枝はチェック項目を示した。

「緊急資金の確保、投資の目的明確化、リスク許容度の把握、投資可能金額の設定、継続可能性の確認、そして証券会社・商品の選定完了です」

村上が質問した。

「僕たち学生の場合、緊急資金はどのくらい必要でしょうか?」

「学生の皆さんの場合は、ご家族のサポートもあるでしょうから、1-2ヶ月分の支出をカバーできる金額があれば十分だと思います」

「僕は両親と相談した上で、バイト代の30%以内という前提で始めました」岡田が体験を共有した。

「しっかり準備してから始めたんですね。岡田君はちゃんとしていますね」
「家族と相談するのは大切ですね」
「緊急資金はライフスタイルを考慮したほうがいいよね」

学生たちは岡田の方法について参考にしつつ、投資を始める前の準備について議論を進めた。


「それでは、本日のもう一つのテーマに入りましょう。新NISAの詳細です」

「新NISAの2つの投資枠について、より詳しく説明していきます」

藤枝は画面共有で資料を表示した。

「新NISAには『つみたて投資枠』と『成長投資枠』の2つがあります。つみたて投資枠は年120万円、初心者向けで厳選された投資信託・ETFが対象。成長投資枠は年240万円、中上級者向けで個別株式・REIT・幅広い投資信託が対象です。生涯非課税保有限度額は1,800万円で、うち成長投資枠は1,200万円までです」

花音が質問した。

「なぜつみたて投資枠の方が対象商品が限られているんですか?」

「つみたて投資枠は金融庁が『長期・積立・分散投資に適している』と判断した商品だけに限定されているからです。手数料が安く、分配金の仕組みも適切な商品だけが選ばれています」

「確かに、僕が選んだオルカンも、つみたて投資枠の対象商品ですね」

「岡田君は、つみたて投資枠を使ってるんですか?」

「はい、前回は説明が足りなかったですが、つみたて投資枠で月1万円の自動積立をしています」

「実際につみたて投資枠で投資をしてみてどうですか?岡田君の感想が知りたいです」

「特に何もしなくても勝手に投資が続くので、楽ですね。やはり値動きについて気になってしまいますけど、長期投資だと思って見守ってます」

学生たちに岡田の経験者としての意見は参考になっているようだ。


「投資枠の使い分け戦略について説明しましょう」

藤枝は段階的なアプローチを示した。

「初心者はつみたて投資枠から月1-3万円で開始し、慣れてきたら成長投資枠も併用して月5-10万円、上級者は両枠をフル活用して年360万円という流れがおすすめです」

村上が興味深そうに質問した。

「成長投資枠では、どんな商品を選べばいいんでしょうか?より大きなリターンが期待できる商品があるんですかね。そうだとしたらワクワクしますが...」

村上は自分に注目が集まっていることを察したのか、いつものように手を振ってから「まぁ、選定には冷静な検討が必要ですが」と付け加えた。

「成長投資枠では、米国株式ETF、高配当株式、REITなどが選択肢になります。ただし、リターンが大きい分、リスクも高くなることを理解しておく必要があります」

「まずはつみたて投資枠で基礎を固めてから、成長投資枠を検討するのが安全そうですね」
「私たちはまだ初心者だから、段階的に進めた方が良さそう」
「焦らずに、確実に理解しながら進みたいです」

学生たちが口々に同意を示した。


「新NISAの旧NISA制度からの改善点について説明します」

藤枝は比較表を示した。

「2023年までの旧NISA制度と比べて、大幅に使いやすくなりました。非課税期間が20年の制限から無期限になり、年間投資枠も大幅に拡大されました。特に画期的なのは、売却した分の枠が翌年復活する『枠の再利用』が可能になったことです」

「売った分の枠が戻ってくるんですか?」花音が驚いた。

「そうです。例えば100万円分売却すれば、翌年その100万円分の枠が復活します。これにより投資の柔軟性が格段に向上しました」

「この点は理解できていなかったです。使いやすいですね。急な出費があっても安心です」
「確かに、資金が必要になった時の選択肢が増えますね」
「学生の私たちにとっても、安心感がありますね」

学生たちの理解が深まった。


「おすすめ銘柄の考え方について説明します」

藤枝は具体的な選択指針を示した。

「つみたて投資枠では全世界株式インデックスファンドが最もおすすめです。1つの商品で世界分散が可能で、初心者には理想的です。成長投資枠では、慣れてから米国株式ETF、高配当株式、REITなどを検討しましょう」

「全世界株式だけでも十分なんですか?」優佳が少し首を傾げながら質問した。

しっかり理解しようとしてくれていることを感じさせる質問を受けて、藤枝は微笑みながら答えた。

「十分と考えられます。実際、投資の上級者でも全世界株式1本だけという人も多いんですよ。シンプルで効果的な投資方法です」

「前も言いましたが、僕も今のところオルカン1本だけです。知識不足も理由の一つで、他の商品にも興味はありますけど、まずはこれで様子を見ようと思ってます」

「岡田君は他にどんな商品に興味があるんですか?」

「慎也の前の質問にもあった米国株式のETFとか面白そうですけど、まだ勉強不足なので...慎也はどうですか?」

「僕も全世界株式から始めてみたいと思います。でも、将来的にはS&P500とかも検討してみたいかも...」村上は最後の部分を小声で付け加えた。

藤枝が説明した。

「S&P500は米国の主要500社の株価指数ですね。米国経済の成長をより直接的に享受できる魅力的な商品です。現在は米国企業の調子が良いので、実は全世界株式と構成している企業は多くて重複しています。分散という観点では全世界株式がお勧めですが、米国企業の優位性がこのまま続くと推定しリスクを取れるのであればS&P500は十分に選択肢となりえます。もしくは全世界株式と組み合わせることで、バランスの取れたポートフォリオを作ることもできますよ」

花音が画面上の岡田を見つめながら明るく言った。

「私も全世界株式から始めてみたいです。岡田君が実際にやってるなら相談にも乗ってもらえそうですし」


「生涯非課税限度額1,800万円の戦略的活用について説明しましょう」

藤枝は長期的な視点を示した。

「1,800万円という金額は、若いうちから始めれば十分達成可能な金額です。月5万円なら30年、月3万円なら50年で達成できます。重要なのは早く始めることと、継続することです」

「僕たちが18歳から始めれば、68歳までに50年あります。月3万円でも到達できるんですね」
「長期間コツコツ続ければ、大きな資産になりそうですね」

学生たちの期待が高まった。

「1,800万円を年5%で運用できたとすると、どのくらいの利益になるんでしょうか?ドキドキですね」村上が興奮気味に質問した。

「単純計算なら1,800万円の年5%なら年間90万円の利益です。複利で例えば10年間で元本込で2,930万円にもなります。通常の口座では利益に対して230万円ほどの税金がかかりますが、NISA口座ならそれがかかりません」

「おおお」
「すごい」
「ドキドキだ」

学生たちは素直に驚いていた。


「新NISAでの銘柄選定の具体的な考え方について説明します」

藤枝は3つのアプローチを示した。

「コア・サテライト戦略、ライフステージ別配分、そしてシンプル戦略があります」

「コア・サテライト戦略は、全世界株式をコア(中核)として8割程度配分し、残り2割をサテライト(衛星)として個別の興味ある分野に投資する方法です」

「サテライト部分には何を入れるものでしょうか?」岡田が関心ありそうに質問した。

「米国集中投資、新興国投資、テーマ投資(AI、環境など)、高配当投資などが考えられます。ただし、まずはコア部分を固めることが重要です」

「ライフステージ別配分は、年齢に応じて株式と債券の比率を調整する方法です。若いうちは株式100%でも良いですが、年齢を重ねるにつれてリスクの低い債券の比率を増やしていきます」

「僕たちの年齢だと、どんな配分がおすすめですか?」

「18歳で余裕資金なら株式100%でも問題ありません。時間が味方についているからです。30代で株式80%、40代で70%といった具合に、徐々に調整していけばよいでしょう」

「時間的余裕があるうちにリスクを取るということですね」

「そして最もおすすめなのがシンプル戦略です。全世界株式インデックスファンド1本で済ませる方法。複雑な管理が不要で、十分な分散効果が得られます」

「シンプルな方が、私たちには向いてそうですね」
「僕もシンプル戦略で始めています。複雑にしすぎると管理が大変ですからね」

学生たちの意見が一致した。


「新NISAを最大限活用するための注意点について説明しましょう」

藤枝は重要なポイントを挙げた。

「枠の有効活用、早期開始の重要性、継続投資の意識、そして感情的な売買の回避です」

「特に重要なのは早期開始です。18歳から始めるのと25歳から始めるのでは、複利効果に大きな差が生まれます」

「僕たちは18歳だから、最高のタイミングですね」村上が誇らしげに言った。

「まさにそのとおりです。若さは投資における最大の武器なんです」

「僕も18歳になってすぐに始めました。まだ数ヶ月ですが、投資の習慣がついてきた感じがします」
「早く始めることの大切さがよく分かりました」花音が画面上の岡田の顔を見つめながら言った。
「私も早く始めたいと思います」

学生たちの意欲が高まった。

「とは言え、ですね」

藤枝は真剣な顔で言った。

「若いときの時間・経験もとても貴重なのです。投資にのみにお金を使い、年老いてから体力がなくて、うまくお金を使えないというのも残念なことです。そのことにも十分留意してくださいね」

学生たちは納得したように深く頷いていた。


藤枝は時計を確認しながら、まとめに入った。

「今日学んだことを整理してみましょう。すいませんが吉井さん、お願いします」

「実際の投資では、適切な投資対象の選択、積立設定の自動化、投資専用口座での資金管理、短期的な値動きに惑わされない心構えが重要です。投資金額は月1-3万円程度から無理のない範囲でスタートし、継続することが成功の鍵となります。新NISAには『つみたて投資枠』と『成長投資枠』の2つがあり、初心者はつみたて投資枠から始めるのがおすすめです。おすすめ銘柄は全世界株式インデックスファンドで、生涯で1,800万円まで非課税投資が可能です」

自分のノートを参照しながら、花音が今日の内容をまとめた。ノートの上では『オルカン』と『岡田くん』を線で結んで、タクノジャーデ・レッドがその線をバーベルのように持ち上げていた。

「口座開設後の進め方がなんとなくですが理解できました。そして、新NISAの魅力がよく分かりました」花音が資料をまとめながら言った。

「戦略的な活用方法も理解できました」
「早速始めてみたいと思います」

学生たちが積極的な反応を示す中、岡田は微笑んで言った。

「みんなで一緒に投資家デビューできれば、いろいろ情報交換できて楽しそうですね。優佳さんも花音さんも慎也も、何でも聞いてください。お手伝いしますよ」

花音だけが気づいたが、このときの優佳は少し驚いたような表情を見せていた。

藤枝は、経験者の岡田に、サポートをしてもらえることは非常に助かる、と思いつつも素直には喜べなかった。

「では、今日は新しい宿題を出します。口座開設が完了した方は、実際に投資商品を選んで購入してもらいたいと思います。まだ口座開設中の方は、どの商品を購入するかを検討しておいてください。いつものセリフですが投資は自己判断でお願いします」

「なお、勉強のための1回の購入としましょう。金額は少額でお願いします。また、つみたてだと変更することとなった場合の手間がかかるので、NISAの成長枠もしくはNISA外での購入としてください」

花音が興奮した様子で言った。

「えっ!実際に投資するんですか?」

村上も目を輝かせて身を乗り出した。

「本格的な投資家デビューですね!ワクワクかつドキドキです!」

優佳が少し緊張気味に言った。

「実際に購入となると、ちょっと緊張しますね」

岡田は少し考えながら言った。

「僕も...今の商品選択で問題ないかについて、皆さんと一緒に検討してみたいと思います」

学生たちの実践への積極的な反応を見て、藤枝はうれしかった。しかし、岡田を中心とした学習の輪がより強固になっていくことも容易に予想でき、心配事が増大している感覚もあった。

「無理は禁物ですよ。まずは少額から、自分が理解できる商品を選んでください。今回も内容を詰め込んでしまったので、復習は各自でしっかりと行ってください。次回はiDeCoの活用術について詳しく学習します。7月3日にお会いしましょう」

「ありがとうございました」

学生たちが口々に挨拶した。


学生たちが退出していく中、藤枝は一人画面の前に残された。

「実践が始まったなぁ...。最近の市場はコロナ禍の落ち着きを受けて好転しだしたけど...。タイミングとしては良いとも悪いとも言えるな...」

ダウのチャートを見ながら呟いた。チャートは回復傾向を示していた。

学生たちが口座開設という新たな段階に進む中、岡田を中心とした関係がより深まっていき、自分の心配が現実になりつつあるのではないかという不安が着々と増えていた。藤枝は深呼吸をして窓の外を見た。

夏の夕日が沈みかけていた。梅雨明けも近く、暑い夏が始まろうとしている。


同日深夜 優佳と花音の個別チャット

優佳:「花音ちゃん、まだ起きてる?」
花音:「起きてるよ〜。どうしたの?」
優佳:「今日の岡田君の話、聞いてた?」
花音:「うん、NISAデビューしていたんだね。すごく参考になったよね」
優佳:「あ、いやその、『お手伝いするよ』ってセリフ...」
花音:「ああ、優しかったよね。みんなのことを気にかけてくれて」
優佳:「うん...なんていうか、その...あのセリフを聞いた瞬間、すごく嬉しくて」
花音:「?...あああ。そういうことね。分かる分かる。イエローと重なったのね。イエローのお約束のセリフだもんね」
優佳:「そうそうそう!さすが花音ちゃん、すぐに分かってくれて嬉しい!やっぱいいかも!」
花音:「...そう、なんだ..」
優佳:「遅い時間でごめんね。ありがとう、花音ちゃん。話聞いてくれて」花音:「...うん、大丈夫。いつでも話聞くよ〜。おやすみ」
優佳:「おやすみ~」


同日深夜 藤枝からのメールの抜粋

To:ユウ

「話としては理解しました。
対面で説明したいという気持ちは分かりますが、教師としての立場もあり、コロナ禍では対面で合うことはできません」


花音の日記(6月26日)

ついに投資家デビュー!岡田君に色々とお手伝いして欲しい~。そ・し・て優佳ちゃんの岡田君への評価が好転してきてしまった...恐れていた展開にならないと良いけど...


#01, プロローグ, https://note.com/chokozai/n/n7c341cddedc4
#02, 1章, https://note.com/chokozai/n/n21181a368ec3
#03, 2章, https://note.com/chokozai/n/n0a68b769a8dd
#04, 3章, https://note.com/chokozai/n/n57828d00edb3
#05, 4章, https://note.com/chokozai/n/n21b8ac2af8be
#06, 5章, https://note.com/chokozai/n/n42cd7f162fde
#07, 6章, https://note.com/chokozai/n/n2e058ee72421
#08, 7章, https://note.com/chokozai/n/nbb54d76f3a23
#09, 8章, https://note.com/chokozai/n/neda9d56fcf79
#10, 9章, https://note.com/chokozai/n/n74b172c91069
★#11, 10章, https://note.com/chokozai/n/nacafa95d046b
#12, 11章, https://note.com/chokozai/n/n89af353420e1
#13, 12章, https://note.com/chokozai/n/n6e2b703b9166
#14, 13章, https://note.com/chokozai/n/n394f01a5e278
#15, 14章, https://note.com/chokozai/n/n3ee776f29d13
#16, 15章, https://note.com/chokozai/n/n44b39117da51
#17, エピローグ, https://note.com/chokozai/n/naf7a4ec3e2ac

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