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心配性な藤枝先生の投資入門講座~こんにちは、ボラティリティ~ #13

(↑こちらが最初です。ぜひ、最初からお読み下さい。)

第12章 資産管理とポートフォリオ構築

2026年7月10日 金曜日午後(第10回講座)

「皆さん、こんにちは。今日のテーマは『資産管理・リバランス』です。そして、前回お出しした宿題についても確認させていただきたいと思います」

藤枝の声がオンライン画面から響いた。夏休みを目前に控え、学生たちの表情にも開放感が見て取れる。画面には4人の学生の顔が並んでおり、いつも以上に前向きな雰囲気を感じた。

「まず今週の感染状況ですが、素晴らしいニュースがあります。全国的には日々8千人程度の新規感染者で、収束が大幅に加速しています。大学では現在15名ほどの感染者が確認されており、先週の55名から大幅に減少している状況です。この調子が続けば、来週には一桁台まで減少する可能性もありそうですね」

「やっと終わりが見えてきましたね!」
「久しぶりに大学にも行けそうです」
「対面授業が恋しかったです」

学生たちが嬉しそうな声を上げた。


「それでは、今日の本題に入りましょう。資産管理とリバランスについて学んでいきます」

藤枝は画面共有を開始し、資料を表示した。

「まず、ポートフォリオという概念について、もう少し詳しく説明します。ポートフォリオには2つの定義があると考えると分かりやすいので、まずはその説明です」

彼は図を示しながら説明した。

「狭義のポートフォリオは投資商品の組み合わせのことで、例えば全世界株式インデックスファンド1本、または株式ファンド60%+債券ファンド40%といった具合です。広義のポートフォリオは、狭義のポートフォリオとその他の資産の組み合わせで、例えば狭義のポートフォリオ50%+現金・預金30%+不動産20%といった全資産配分のことです」

花音がメモを取りながら確認した。

「投資だけじゃなくて、全資産で考えるということですね?すごく理解しやすいです!」

「そのとおりです。投資は人生全体の資産配分の一部として考えることが重要なんです」

岡田が理解を示した。

「なるほど、投資額を決める時も、全体の資産バランスを考える必要があるんですね」

村上が前のめりになりながら頷いた。

「確かに、投資だけ単独で考えるより、全体最適化の方が理にかなってますね!」

優佳が確認した。

「私たちみたいな学生でも、現金と投資のバランスを考えた方がいいということですね」

「はい。学生の皆さんでも、アルバイト収入の中から生活費、娯楽費、貯金、投資をどう配分するかは立派な資産管理です」


「2つのポートフォリオに対する資産管理について説明しましょう」

藤枝は管理体系を示した。

「先ほど説明したように、広義と狭義のポートフォリオがあると考えた場合、それぞれに対して管理する必要があります。私がおすすめするのは、【(1)広義のポートフォリオ管理は年1回程度のチェックで、狭義のポートフォリオ・その他資産全体のバランス調整を行い、(2)狭義のポートフォリオ管理は年1-2回程度のチェックで、投資商品間のバランス調整を行う】という方法です」

「重要なのは、まず広義で全体を見直してから、狭義で投資商品を見直すという順番です」

花音が質問した。

「具体的にはどんなことをチェックするんですか?」

岡田が実体験を共有した。

「僕の場合、全世界投資1本だけなので、狭義のポートフォリオ管理はほとんど必要ないんです。でも広義で考えると、先生の言うとおり、現金との比率は時々見直してます」

「なるほど!岡田君からの実体験の共有はとてもためになります!ありがとうございます」

「確かに管理という観点で考えると、シンプルなのは楽なんですね」
「複雑にしすぎない方が継続しやすそうです」

他の学生たちも賛同した。

「岡田君のように、商品を少なくしておくと確かに管理は楽になります。ただし、投資を続けるにつれて資金が増えてきたら、より複雑な配分も検討できますね」


「リバランスという概念について説明しましょう」

藤枝は具体例を示した。

「リバランスとは、崩れた資産配分を元に戻すことです。例えば株式60%・債券40%の目標が、株式70%・債券30%になったら調整します。具体的には、値上がりした株式の一部を売却し、値下がりした債券を買い増すことで、元の60%:40%の比率に戻します」

村上が不思議そうな表情で質問した。

「これってすごく面白い考え方ですね!でも...なぜわざわざ値上がりした株式を売るんですか?もっと上がるかもしれないのに...なんだかもったいない気がしますが」

「村上君、良い質問ですね。リバランスの効果は、リスクコントロールと収益機会の確保にあります。もともと定めたポートフォリオの割合の維持を行うと、『高く売って安く買う』ことに繋がるので、長期的には良い結果につながることが多いんです」

「なるほど。リバランスを実施することが長期的に良い、と理解できれば、感情的な折り合いがつき、機械的にバランスを保つことに抵抗はなくなりそうです。ちなみに、どのくらいの頻度でリバランスすればいいんですか?」

「一般的には年1回程度、または配分が当初の比率から5-10%以上ずれた時に実施するのが良いとされています。ただし、頻繁すぎると取引コストがかかるので注意が必要です」


「投資の継続管理について説明します」

藤枝は重要なポイントを挙げた。

「積立が正常に動いているか、投資の継続が可能かどうか、そして広義のポートフォリオ全体の中で、その投資商品が適切かどうかを定期的に見直すことが大切です」

「特に重要なのは継続性です。繰り返しですが投資は短距離走ではなくマラソンです。長く続けることが成功の秘訣です」

岡田が体験を共有した。

「先日も話しましたが、僕も最初は毎日値動きを見てしまってたんですけど、最近は大きなニュースがない限りは月1回程度しかチェックしてません。その方が精神的にも楽ですし」

「確かに、毎日見てたら一喜一憂してしまいそうですね」
「長期投資なら、短期的な動きに振り回されない方が良いですよね!」
「投資を続けるコツは、あまり頻繁にチェックしないことなんですね」

学生たちは長期投資の管理について理解できたようであった。

「そのとおりです。自動積立の設定をしておけば、忙しくても忘れずに投資を続けられます。自動化が継続の秘訣なんです」


「新NISA枠の管理についても触れておきましょう」

藤枝は枠の活用状況を示した。

「年間の枠、全体の枠に対して現状どのくらいを投資しているかを確認する程度で良いでしょう。まだ少額の投資なら、あまり神経質になる必要はありません」

岡田が実例を紹介した。

「僕は月1万円なので、年間12万円。つみたて投資枠120万円の10分の1程度です。まだまだ全然余裕ですね」

「僕たちも最初は少額から始めるでしょうから、枠を使い切る心配はなさそうですね」
「段階的に増やしていけば良いということですね!」
「無理をしないで、自分のペースで続けることが大切なんですね」

学生たちはNISA枠の管理について、当面は問題なさそうという認識を持った。


「感情的な投資判断を避ける方法について説明しましょう」

藤枝は心理的な要因を説明した。

「短期的な値動きに一喜一憂しない、途中で積立を止めない、余裕資金で投資する、定期的に見直しをする、継続的に学習することが重要です」

「特に市場が大きく下がった時こそ、冷静さを保つことが重要です。積立投資では値下がり時により多くの口数を購入できるので、長期的には有利になることが多いんです」

優佳が少し心配そうに眉をひそめた。

「でも実際に損失が出たら、やっぱり不安になりそうです...」

岡田が経験を踏まえて答えた。

「優佳さんの気持ち、よく分かりますよ。僕も最初はそうでした。でも長期投資だと思うと、値下がりは安く買えるチャンスだって考えられるようになります」

「視点を変えると、同じ現象でも違って見えるんですね」

花音が感心して言った。

「前もそう言っていたけど、値下がりしたときにそう思える岡田君はやっぱりすごいと思います!でも確かに、ドルコスト平均法の効果ですよね」

村上は少し強がったような表情をして言った。

「僕は細かいところがあるから、損失が出たとしても冷静に数値を分析して、感情的にならないように判断できると思います!」

「村上君、良いですね。冷静に分析して対処できたら素晴らしいです。投資では心理的な要因が大きく影響するので、正しい知識と長期的な視点を持つことが成功の鍵になります」


「投資記録の管理について説明します」

藤枝は記録の重要性を示した。

「どの商品にいくら投資したか、資産がどのように推移しているか、年間の投資額などを記録しておくと、後々の見直しに役立ちます」

「ただし、複雑な記録は不要です。証券口座の管理画面で基本的な情報は確認できますし、年1回程度の確認で十分です」

岡田が補足した。

「僕はスマホのアプリで簡単にチェックしてます。思ったより簡単に管理できますよ」

「難しい記録は不要なんですね。それは嬉しい」
「シンプルな管理で十分ということですね」
「あまり手間をかけずに続けられるのは良いですね」

学生たちが安心したような表情を見せた。


「ライフステージの変化に応じた資産配分の見直しについて説明しましょう」

藤枝は長期的な視点を示した。

「結婚、出産、住宅購入、転職などのライフイベントに応じて、投資方針を見直すことも大切です。ただし、基本的な長期・積立・分散の方針は変えずに、金額や配分を調整する程度で良いでしょう」

優佳が将来を考えながら言った。

「私たちもいつかは結婚したり、家を買ったりするでしょうから、その時に見直すということですね」

岡田は少し考えた後で言った。

「でも基本方針は変えずに、金額を調整するだけなら、先生の言うとおり、それほど複雑じゃなさそうだと思いました」

「大きく方針転換するのではなく、微調整程度ということですね」
「基本を守り続ければ良いなら、迷わずに済みそうです!」
「結婚、出産となったら、一定の方針転換はでるかも」

学生たちは議論した。

「定期的にライフプランの見直しをするのも推奨します。いつ、どのくらいお金が必要か見えてくるので、余裕資金を明確にすることにも役立ちます」

学生たちは納得したように頷いた。


「本日の講義内容は終わったので、次に、前回お出しした宿題について確認させてください」

藤枝は学生たちの顔を見回した。

「村上君、FANG+の分散効果とリスクについて調べてもらいましたが、いかがでしたか?」

村上が少し緊張した様子で答えた。

「はい。調べてみたところ、FANG+は確かに10社への集中投資で、業種も情報技術に偏っていることが分かりました。オルカンの約3000銘柄と比べると、分散効果は限定的でした。リスクについては1,3,5年のそれぞれの年率で調べたところ、1年:31.33%、3年:27.62%、5年:28.3%でした。オールカントリーが1年:15.44%、3年:14.05%、5年:14.26%なので約2倍程度のリスクが高いことを示しています」

「でも...」村上が少し興奮気味に続けた。「その分、テクノロジー企業の成長を直接的に享受できるという魅力もあると思うんです。リスクは高いですが、少額なので勉強代として価値があるかなと」

藤枝は、村上の分析が的確であること、リスクを理解した上で判断している、という2点で評価できると思った。

「良い分析ですね。分散が弱く偏りがあるということは、その偏りに期待していること同義で、そのためリスクとリターンが高くなります。リスクを理解した上での判断で、かつ余裕資金の範囲であれば、みなさんのような若さであるなら、私としても否定はできないです。村上君の宿題はOKです」

「はい...ありがとうございました」

村上は少し恐縮したような表情をしながら返事をした。藤枝は励ましたつもりだったが、村上にはうまく届かなかったかもしれない。

「そして、もう一つの宿題を確認させてください」

藤枝は学生を見回していった。

「皆さんのポートフォリオ構築に向けて、現在の状況について聞かせてください。本日がポートフォリオの説明なので、つみたて投資でどのようなものを購入したいか、くらいの検討状況で良いと先週に伝えていましたが、いかがでしょうか」

花音が手を上げた。

「私は、やはりオルカンの月1万円積立から始めようと思います。シンプルで分かりやすいですし、岡田君も同じ商品なので相談しやすいです」

「おお、具体的な金額まで検討済みですね。素晴らしい」

優佳も手を上げて続いた。

「私も基本はオルカンで考えています。ただ、ちょっとアレンジをしようと思っていますがまだ整理がついていないです」

藤枝は頷いた。

「ユウ、ぅ...っと、藤枝さん。分かりました。宿題の締切はまだ先なのでしっかりと検討してくださいね」

画面上の村上と花音は、ほぼ同時にニヤっとしていた。

藤枝は、授業中の名前の使い分けのミスについては極力注意しているつもりであった。こちらはまだ問題ない。

「では、次は岡田君」

岡田は落ち着いた口調で言った。

「僕は現状オルカンを選んでいるのですが、今回の講義に参加したことを考慮して変更しようと思っています。ただし、僕も優佳さんと同様、具体案までには至っておりません」

村上が少し迷いながら言った。

「僕は...まだFANG+が気になるんですが、やはりハイリスクな気がするので、新NISAでのつみたて枠にどのようなものがあるか色々と調査中です」

藤枝が考えながら答えた。

「村上君、すごく良いと思います。しつこいようですが投資は自己判断なのです。しっかりと検討してください」

学生たちが口々に感想を述べた。

「みんな、それぞれ個性的な選択ですね」
「お互いの投資方針を聞けて参考になります」
「実際に始めるのが楽しみです」


藤枝は時計を確認しながら、まとめに入った。

「今日学んだことを整理してみましょう」

「資産管理は広義と狭義の2つのレベルで実施し、広義のポートフォリオ管理では全資産を年1回見直し、狭義のポートフォリオ管理では投資商品を年1-2回見直します。リバランスは崩れた資産配分を元に戻すことで、継続性が最も重要です。短期の値動きに惑わされず長期視点を維持し、自動化の活用で投資継続を確実にし、ライフステージの変化に応じた見直しを行います」

花音がいつものようにノートを参照しながら整理した内容を伝えた。『リバランス』の文字の側でレッドが片足でバランスを取ろうとしていた。

「そして、皆さんの7/24のポートフォリオ構築に向けての進捗も確認しました。まだ時間はあるのでしっかりと検討を続けてください」

「資産管理の体系がよく分かりました」
「継続することの重要性を改めて理解しました」
「自動化で簡単に続けられそうです」

学生たちが口々に理解を示した。

「では、今日はここまでにしましょう。配布資料での復習を忘れずに行ってくださいね。投資の第一歩は思っているより簡単だということを理解していただけたと思います。宿題のポートフォリオ構築、頑張ってくださいね。次回は『投資初心者の失敗事例』について学習します。7月17日にお会いしましょう」

「ありがとうございました」学生たちが口々に挨拶した。


学生たちが退出していく中、藤枝は一人画面の前に残された。

「学生の考えは面白いな。同じ方向だが少し違うベクトルってところが...。これが教えるものとしての醍醐味かも...」

学生たちのポートフォリオの検討状況は興味深いものであった。また、藤枝の心配事の一つであった、村上のFANG+の選択については、適切な理解のもとで行われていたことが判明したため、少額ということもあり問題はないであろう。

藤枝は部屋のカレンダーを見た。スケジュール上、講義はあと2回。

学生たちの投資実践が本格化する中で、人間関係も新たな局面を迎えている。岡田の実践を踏まえた助言が他の学生たちに響き、岡田と他の学生との接点を増やすことになるだろう。

そのことで岡田と学生たちの関係性が変わってしまうのではないか。藤枝の胸の奥で、その心配が膨らみ続けていた。

部屋から窓の外を見た。夕方の赤くなった雲がゆっくりと動いていた。


同日深夜 優佳と花音の個別チャット

優佳:「花音ちゃん、今日お疲れさま。ちょっと話したいことがあるんだけど、大丈夫?」
花音:「うん、大丈夫だよ。どうしたの?」
優佳:「実は...岡田君のことなんだけど」
花音:「岡田君?何かあったの?」
優佳:「以前に相談した、岡田君に推しと同じ雰囲気・匂いを感じて、もしかしたら実在の人物としての推しに昇華するかも、って話」
花音:「うん、その件ね」
優佳:「似ている部分もすごくあって、イエローの『お手伝いするよ』とかのお約束のセリフも奇跡的に聞けたりして盛り上がりもしたのだけれども...」
花音:「...だけれども?」
優佳:「やはり...岡田君は完璧すぎるのよ」
花音:「うーん、それはそうだねぇ」
優佳:「推しのイエローは無鉄砲でおっちょこちょいで、よく失敗しちゃうところが可愛いの。現実の人物としてもそういう人でないとだめみたい。性格としてはむしろ村上君のほうがちょっと好みかも」
花音:「あー...そういうことか」
優佳:「だから、岡田君にはリアルな恋愛感情を持てなかった。花音ちゃんとの【岡田君と推しとの類似性についてのチャット】は楽しかったけど、この話はおしまいかな...」

花音は画面を見つめながら、大きくため息をついた。

花音:「そうなんだ...」
優佳:「...で、こうしたことを自分の中で整理していく内に気づいたんだけど...花音ちゃん、もしかすると岡田君のこと好きでしょ?」

花音は画面の前で一瞬固まった。

花音:「え...なんで?」
優佳:「今まで鈍感でごめん。今までの岡田君との授業での会話とかを思い出していたんだけど、会話の前後に花音ちゃんが絡むことが多いことに気づいてさ。もしかしたらって」
花音:「...ばれちゃったか...」
優佳:「私が岡田君に夢中になってる間、花音ちゃんに我慢させちゃってたよね。本当にごめん」
花音:「優佳ちゃん...謝らないで。私が勝手に好きになっただけだから」
優佳:「でも今度は私が花音ちゃんを応援する番だよ。岡田君は確かに素敵な人だもん」
花音:「ありがとう...でも私、奥手だから何もできないよ」
優佳:「それでも、気持ちに嘘をつく必要はないよ。花音ちゃんらしくいれば、きっと岡田君にも伝わる」
花音:「そう言ってもらえると、心強いな」


花音の日記(7月10日)

優佳ちゃんにもバレてた...。でも、優佳ちゃんがライバルにならなくて本当に良かった...。


2026年7月11日 土曜日午後8時 村上家

「慎也!遅くなってごめんね。夕食ができたよ」

二人だけの夕食。いつものように質素だが、母親の愛情がこもった食事だった。

「大学の調子はどうだい」

「うん。個人的に集中して受けている講座がもう少しで終わるんだ。すごく勉強になっているよ」

慎也は箸を動かしながら、昨日の講座のことを思い出していた。

「そういえば、母さんにも報告があるんだ」

「何?」

「講座で習ったことを実践して、実際に投資を始めているんだ」

母親の手が止まった。

「投資って...慎也、危険なことはしちゃダメよ。死んでしまったお父さんみたいにギャンブルに走るのは...」

「母さん、違うよ。投資はギャンブルじゃないんだ」

慎也は真剣な表情になった。この3ヶ月間で学んだことを、母親に伝えたかった。

「投資っていうのは、世界経済の成長に参加することなんだ。ギャンブルとは全然違う」

「でも、お金がなくなるかもしれないでしょ?」

「それは確かにそうだけど、長期的に見れば世界経済は成長し続けてる。それに、僕は余裕資金の範囲内でしかやってない」

母親は心配そうな表情を見せた。

「慎也...奨学金の返済があるんだから、貯金をしないと...」

「お母さん、聞いて。僕が月1万円投資するとして、年5%で運用できたら10年後には約156万円になるんだ。普通に貯金してたら120万円にしかならない」

慎也は講座で学んだ複利効果について説明し始めた。

「それに新NISAという制度を使えば、利益に税金もかからない。国も個人の資産形成を推奨してるんだよ」

母親は慎也の熱心な説明を聞きながら、息子の成長を感じていた。

「本当に危険じゃないの?」

「リスクはあるよ。でも、インフレで現金の価値が下がるリスクもある。適切な知識を身につけて、適切な商品を選べば、リスクは管理できるんだ」

慎也は全世界株式インデックスファンドについて、分散投資の効果について、長期投資の重要性について、母親に丁寧に説明した。

母親は息子の説明を聞きながら、少しずつ理解を示し始めていた...


#01, プロローグ, https://note.com/chokozai/n/n7c341cddedc4
#02, 1章, https://note.com/chokozai/n/n21181a368ec3
#03, 2章, https://note.com/chokozai/n/n0a68b769a8dd
#04, 3章, https://note.com/chokozai/n/n57828d00edb3
#05, 4章, https://note.com/chokozai/n/n21b8ac2af8be
#06, 5章, https://note.com/chokozai/n/n42cd7f162fde
#07, 6章, https://note.com/chokozai/n/n2e058ee72421
#08, 7章, https://note.com/chokozai/n/nbb54d76f3a23
#09, 8章, https://note.com/chokozai/n/neda9d56fcf79
#10, 9章, https://note.com/chokozai/n/n74b172c91069
#11, 10章, https://note.com/chokozai/n/nacafa95d046b
#12, 11章, https://note.com/chokozai/n/n89af353420e1
★#13, 12章, https://note.com/chokozai/n/n6e2b703b9166
#14, 13章, https://note.com/chokozai/n/n394f01a5e278
#15, 14章, https://note.com/chokozai/n/n3ee776f29d13
#16, 15章, https://note.com/chokozai/n/n44b39117da51
#17, エピローグ, https://note.com/chokozai/n/naf7a4ec3e2ac

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