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心配性な藤枝先生の投資入門講座~こんにちは、ボラティリティ~ #10

(↑こちらが最初です。ぜひ、最初からお読み下さい。)

第9章 税金の優遇制度と口座開設

2026年6月19日 金曜日午後(第7回講座)

「皆さん、こんにちは。今日のテーマは『税制優遇の種類と特徴』そして『投資の実践に向けた口座開設』です。新NISAとiDeCoの概要について学んだ後で、実際に投資を始めるための具体的な証券会社での口座開設手順まで進めていきましょう」

「コロナ罹患でちょっと授業のスケジュールが押しています。本日はちょっと早足となるので頑張ってついてきてください」

藤枝の声がオンライン画面から響いた。梅雨も後半に入り、じめじめとした空気が続いている。画面には4人の学生の顔が並んでおり、いつものように和やかな雰囲気だった。

「その前に、まずは今週の感染状況ですが、全国的には日々2万4千人程度の新規感染者で微増傾向です。大学では現在110名ほどの感染者が確認されており、先週の95名から再び増加している状況です。引き続き注意が必要ですね」

「また増えてるんですね。私たちも気をつけないと」優佳が心配そうに言った。

「そうですね。皆さんも引き続き注意してください」


「では、本日のテーマのひとつ『税制優遇の種類と特徴』から始めましょう。普通の投資にかかる税金について説明します。売却益や配当金には約20%の税金がかかります。具体的には所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%です」

「20%も税金がかかるんですか!」花音が驚いた。

「そうなんです。例えば10万円の利益が出ても、手取りは約8万円になってしまいます」

「それは結構大きいですね。国や自治体に取られるんですよね...」村上が計算しながら言った。

「慎也、取られるって表現はどうかと...」岡田が少し微笑んで言った。「なおのこと、税制優遇制度が重要なんだと思います」

「岡田君は税制優遇制度について知ってるんですか?」

「新NISAについてはある程度把握しています。でもiDeCoも含めて詳しいことはこちらの講座で先生から学びたいと思います」

岡田の言葉を受けて藤枝は笑顔を見せた。

「それでは私の方から詳しく説明していきましょう」


「税制優遇制度のメリットについて説明しましょう」

藤枝は画面共有で図を表示した。

「売却益が非課税になること、配当金も非課税になること、そして複利効果が最大化されることです。税金分も再投資に回せるので、長期的には大きな差になります」

「主な税制優遇制度は新NISAとiDeCoの2つです。新NISAはいつでも引き出せる投資制度、iDeCoは老後資金作りに特化した制度です」

花音がメモを取りながら質問した。レッドはNISAとiDeCoの文字の間で踊っていた。

「新NISAっていつから始まったんですか?」

「2024年から新しい制度が始まりました。以前のNISAよりもだいぶ使いやすくなったんです」

「どんな風に使いやすくなったんですか?」

「非課税期間が無期限になったこと、年間投資枠が大幅に拡大されたこと、引き出した分の枠が翌年復活することなどです」

「それは確かに使いやすそうですね」
「私たちでも活用できそうです」

学生たちが口々に感想を述べた。


「本日は新NISAの基本について説明します。より詳しくは来週実施予定です」

藤枝は新NISA制度の特徴を示した。

「非課税期間は無期限、年間投資枠は360万円、生涯非課税限度額は1,800万円、引き出しはいつでも可能で枠の再利用もできます」

「新NISAには2つの投資枠があります。つみたて投資枠は年120万円で金融庁指定の投資信託・ETFが対象、成長投資枠は年240万円で個別株式・投資信託・ETFなど幅広い商品が対象です」

「合計で年360万円も投資できるんですね」花音がメモしながら言った。

「学生の僕たちには大きすぎる金額ですけど、将来的には活用していきたいですね」

村上は手を挙げて質問した。

「どちらの枠から始めるのが良いのでしょうか?成長投資枠の方が大きな利益が期待できそうで個人的にはワクワクですが」

「初心者の方は、まずつみたて投資枠から始めることをおすすめします。金融庁が厳選した商品なので安心ですし、積立投資で時間分散もできます」

「ですよねぇ...。私たちみたいな初心者には、つみたて投資枠が向いてるんですね」

「はい。そう思います。新NISAのメリットは、いつでも引き出せること、枠の再利用ができること、非課税期間が無期限であることです。これにより長期投資に最適な制度になっています」


「次にiDeCoについて簡単に説明します。こちらについては再来週にもう少し詳しく説明予定です」

藤枝はiDeCoの特徴を示した。

「iDeCoは個人型確定拠出年金の略で、老後資金作り専用の制度です。原則60歳まで引き出しできませんが、拠出時・運用時・受取時で税制優遇があります」

花音が心配そうに言った。

「60歳まで引き出せないのは少し不安ですね」

「確かに60歳までの流動性はゼロと考えてよいです。しかし、その分、税制優遇が手厚いんです」

「拠出時の税制優遇というのは具体的にはどういうことですか?」

「拠出した金額が全額所得控除になります。例えば年収400万円の人が月2万円積み立てると、年間約4.8万円の税金が安くなります」

「積み立てるだけで税金が安くなるんですか!」
「それはすごいメリットですね」

学生たちが驚きの声を上げた。

「iDeCoの拠出限度額は職業によって異なります。会社員(企業年金なし)は年27.6万円、会社員(企業年金あり)は年14.4万円または12万円、公務員は年14.4万円、自営業者は年81.6万円、専業主婦(夫)は年27.6万円です」

「自営業者の限度額が大きいのは、年金制度の違いがあるからでしょうか」

「そのとおりです。自営業者は国民年金のみなので、その分自助努力が必要なんです」


「新NISAとiDeCoの比較をしてみましょう」

藤枝は両制度の違いを整理した。

「目的の違いとして、新NISAは様々な目的に使える一方、iDeCoは老後資金作り専用です。引き出しやすさでは、新NISAはいつでも引き出し可能、iDeCoは原則60歳まで引き出し不可です」

「税制優遇の違いは、新NISAは運用時のみ非課税、iDeCoは拠出時・運用時・受取時で優遇されます。投資枠は、新NISAが年360万円(生涯1,800万円)、iDeCoが職業により年12万円〜81.6万円です」

花音が整理しながら言った。

「新NISAは自由度が高くて、iDeCoは老後専用だけどより優遇されてるんですね」

「使い分けが重要そうですね」
「まず新NISAから始めて、余裕があればiDeCoも検討するという順番が良さそうです」
「確かに、流動性のある新NISAから始めた方が安心ですね」

学生たちの議論が活発になった。

「おすすめの使い分けとして、まず新NISAから始めて、余裕があればiDeCoを追加するという方法があります。新NISAは流動性があり使いやすく、iDeCoは老後資金専用として追加で活用するという考え方です」


「実際の活用例について説明しましょう」

藤枝は具体的なケースを示した。

「学生の皆さんの場合、まずはバイト代の一部で新NISAのつみたて投資枠を月1-3万円程度から始めるのが良いでしょう。慣れてきたら投資額を増やし、就職後にiDeCoを検討するという流れがおすすめです」

「私たちのバイト代でも始められそうな金額ですね」
「無理のない範囲で始めることが大切ですね」
「段階的に進めていけば安心です」
「投資の勉強をしながら、実際に始めてみたいと思います」

学生たちの前向きな反応に、藤枝は続けた。

「皆さんのように若いうちから始めれば、複利効果を最大限活用できます。時間という最大の味方がついているからです」

岡田が手を挙げた。あまり見ないので全員が注目した。そして、岡田が少し躊躇するような表情を見せてから言った。

「実は皆さんには言ってなかったんですが...僕、もう新NISA始めてるんです」

「え!」
「岡田君、もう始めてたんですか?」
「いつから始めたんですか?」
「なるほどなるほど、さすがですね。で、どんな商品を選んだんですか?」

学生たちが驚きの声と質問が上がった。

藤枝もこの岡田の告白には驚いていた。投資の実践経験が提示することで、他の学生たちへの影響力がさらに高まることは明らかだった。

「18歳になってすぐに口座開設して、とりあえずオルカンを月1万円だけ積み立ててます。正直、よくわからずに始めたので、皆さんと一緒に体系的に学べて助かってます」

「オルカン?って何でしたっけ。聞いたことあるような...」優佳が首をかしげた。

「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の略称です」藤枝が説明を始めた。

「オルカンは第4回で説明した全世界株式インデックスファンドの代表的な商品ですね。1つで47カ国、約3000銘柄に投資できる商品です。eMAXIS Slim以外にも、楽天・全世界株式インデックス・ファンドなど類似商品もあります。どれも非常に優良な商品で、初心者の方には最適な選択肢の一つです」

「ああ、あの時に教えてもらった商品ですね」
「確かに分散効果が高い商品でした」
「岡田君、ちゃんと良い商品を選んでるんですね」

学生たちの反応に、岡田は謙遜するように手を振った。

「たまたま調べて評判が良かったので...でも今日の説明で、なぜ良い商品なのかがよく分かりました」

「岡田君、実践経験があるなら、ぜひ皆さんにもアドバイスをお願いします」

「いえいえ、まだ始めたばかりで分からないことだらけです。皆さんと一緒に勉強させてもらいたいです」

花音が画面上の岡田を見つめて言った。

「岡田君が実際にやってるなら、私たちも安心して始められそうですね」

「経験者がいると心強いです」
「また色々教えてくださいね」

学生たちの期待に、岡田は微笑んで答えた。

「もちろんです。皆さん、何でも聞いてください。でも、あまり知らないですよ」

他の学生たちの岡田への質問が続く中、藤枝はそのやり取りを眺めていた。そして、岡田の影響力が高まり、それが親密度につながっていることを実感していた。


「それでは、本日のもう一つのテーマの『投資の実践に向けた口座開設』へと進めます。ちょっと詰め込んでいる感じですいません。実践講座ということで、なるべく早めに口座開設まで進めたいので」

「口座開設!」
「もう?」
「やっとですね」

学生たちは口々に感想を述べあった。岡田はニコニコしていた。

学生たちの積極的な反応を見て、藤枝はうれしかった。しかし、岡田を中心とした学習の輪がより強固になっていくことも予想でき、心配事が増大している感覚もあった。

「では、実際に投資を始めるための具体的な手順について説明していきましょう」

藤枝は画面共有を切り替えて、新しい資料を表示した。

「投資開始までの5つのステップがあります。証券会社を選ぶ、口座開設申込、初期設定、資金を入金、銘柄を購入という流れです。今日は特に証券会社選びと口座開設に焦点を当てます」

花音が質問した。

「証券会社選びで重要なポイントは何ですか?」

「3つのポイントがあります。手数料の安さ、商品の豊富さ、使いやすさです。特に長期投資では手数料の差が累積して大きな影響を与えます」

岡田が実体験を踏まえて発言した。

「僕は楽天証券を選びました。楽天ポイントが貯まるのと、画面が見やすかったので」

「実際に使ってみてどうですか?」
「口座開設はどのくらい時間がかかりましたか?」

学生たちの質問が続いた。

「操作は分かりやすいですし、投資信託の種類も豊富です。ただ、最初は情報量が多くて少し戸惑いました。ネットで申し込んで、1週間ちょっとで取引開始できました。思ったより早かったです」


「主要ネット証券の特徴について詳しく説明しましょう」

藤枝は比較表を示した。

「SBI証券は商品数最多で手数料最安、初心者から上級者まで対応。楽天証券は楽天ポイント活用と使いやすい画面、楽天経済圏の人向け。マネックス証券は米国株に強く情報豊富で中級者向けです」

「私も楽天をよく使うので、楽天証券が良さそうです」
「僕もポイントが貯まるのは魅力的なので楽天ですかねぇ。でも選択肢がたくさんあって、ちょっとだけワクワクです」
「みんな同じ証券会社だと、分からないことがあった時に相談しやすそう」

「情報交換もできるし楽天で統一しましょう」

学生たちの意見が一致した。

「皆さんが同じ証券会社を選ぶのは良いアイデアですね。ただし、最終的には各自で比較検討して決めることが大切です」


「新NISA口座とiDeCo口座の開設について説明しましょう」

藤枝は開設フローを示した。

「新NISA口座は証券会社で開設し、税務署での審査があります。iDeCo口座は運営管理機関を選んで開設します。重要なのは、どちらも一人一口座のみということです」

「新NISA口座は必ず開設した方がいいんですよね?」

「今、新規に証券口座を開設するなら一緒に新NISAの口座も開設することをオススメします。同じ投資をするなら、税金がかからない方が断然有利です」

岡田が補足した。

「僕も新NISA口座で積み立ててます。普通の口座だったら税金取られてましたから」

村上が少し興奮気味に質問した。

「iDeCo口座はいつ開設すればいいんでしょうか?税制優遇がすごいから早めに始めたくなりますが...」

「就職が決まってからで十分です。まずは新NISA口座での投資経験を積んでからでも遅くありません」

「段階的に進めた方が良さそうですね」花音も頷いた。


「口座開設の具体的な手順について説明します」

藤枝は詳細なフローを示した。

「ネットで申込み、本人確認書類の提出、マイナンバーの提供、初期設定、入金方法の設定という流れです。最初の申込みは10-15分程度で完了し、取引開始まで1-2週間程度です」

優佳が心配そうに言った。

「手続きが複雑そうで不安です...」

岡田が励ますように言った。

「画面の指示に従って進めば大丈夫ですよ。分からないことがあれば、カスタマーサポートも親切に教えてくれます」

花音が安心した表情を見せた。

「岡田君がいてくれると心強いです。岡田君に相談してしまうかもしれません」

「相談はもちろん大丈夫です。気楽にどうぞ。また、私以外でもお互いにサポートできそうですね」

「皆さんの協力し合う姿勢は素晴らしいですね。ただし、投資は自己責任が原則ですから、最終的な判断は必ず自分で行ってください」


「本人確認書類とマイナンバーについて詳しく説明します」

藤枝は必要書類を示した。

「本人確認書類は運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなどが使えます。マイナンバーは投資による利益の税務申告のために必要で、必ず提出が求められます」

「マイナンバーカードがなくても大丈夫ですか?」

「マイナンバー通知カードや住民票でも代用できます。ただし、マイナンバーカードが一番手続きが簡単です」

「僕はマイナンバーカードで申し込みました。スマホで写真を撮って送信するだけだったので簡単でした」
「デジタル化が進んで便利になってるんですね」
「思っていたより簡単そうです」

学生たちの理解が深まった。


藤枝は時計を確認しながら、まとめに入った。

「今日学んだことを整理してみましょう」

「投資の利益には通常約20%の税金がかかりますが、税制優遇制度として新NISAとiDeCoで投資の利益を非課税にできます。新NISAは年360万円まで、いつでも引き出し可能。iDeCoは老後資金専用で、拠出時にも税制優遇があります。初心者はまず新NISAから始めるのがおすすめで、証券会社選びでは手数料・商品数・使いやすさが重要です。口座開設は10-15分の申込みで1-2週間程度で完了します」

花音がいつものように自分のノートを参照しながらまとめた。

「税制優遇制度の重要性がよく分かりました」

「口座開設も思ったより簡単そうです」
「早速、証券会社について詳しく調べてみたいです」

学生たちの積極的な発言に、岡田が微笑んで言った。

「みんなも投資家デビューできそうですね。一緒に頑張りましょう」

学生たちの積極的な反応を見て、藤枝は微笑んだ。

「では、今日は実践的な"宿題"を出したいと思います」

学生たちの表情が少し引き締まった。

「皆さんには、次回までに実際に証券口座の開設手続きを進めてもらいたいと思います。まだ入金や投資をする必要はありません。まずは口座開設の申込みだけで構いません」

花音が少し緊張した様子で発言した。

「ついに口座を開設するんですね」

「はい。投資は理論だけでなく、実際にやってみることが一番の学習になります。ネット証券でしたら、先ほど説明したとおり、10-15分程度の申込みで済みます」

「証券会社については、皆さんが相談しやすいよう、できれば同じ証券会社で統一した方が良いでしょうね。楽天証券かSBI証券あたりがおすすめです。グループチャットで相談して決めてください。最終判断はご自身でお願いします」

「新NISA口座も一緒に申込むんですよね?」

「そのとおりです。必ず新NISA口座も同時に申込んでください。なお、口座開設は記入を間違えると手続きに時間がかかってしまうことがあるので、慎重にお願いしますね」

「そして、次回の講座では、皆さんの口座開設の進捗を確認して、より具体的な投資商品選択について学習しましょう」

村上が前のめりになって興奮気味に言った。

「ついに実際に始まるんですね!なんだかワクワクしてきました!」

そして慌てたように手を振った。

「もちろん、間違わないように慎重にやりますけど」

花音も目を輝かせた。

「岡田君に色々相談できて心強いです」

優佳も頷いた。

「みんなで一緒に始められるのが楽しみです」

「では、今日はここまでにしましょう。配布した資料での復習を忘れずに行ってくださいね。税制優遇制度の活用と口座開設が投資家デビューの第一歩です。宿題の口座開設、頑張ってくださいね。次回は本日の続きと新NISAの活用術について詳しく学習します。6月26日にお会いしましょう」

「ありがとうございました」学生たちが口々に挨拶した。


他の学生たちが退出していく中、藤枝は優佳を引き止めた。

「ユウ、少し残ってもらえる?」

「うん、何?」

花音、村上、岡田が退出した後、画面には藤枝と優佳だけが残った。

藤枝は少し躊躇してから口を開いた。

「最近、皆さんの関係が随分親しくなってきたね」

「うん、グループチャットでよく話すようになったよ。投資の話だけじゃなくて、いろんなことを」

「特に岡田君のことは...興味を持っているみたいだけど」

優佳は少し動揺した表情を見せた。

「岡田君はとても親切だし、投資のことも詳しいし...何か問題でもあるの?」

藤枝は慎重に言葉を選んだ。

「いえ、問題というわけでは...ただ、以前にも話したと思うけど、岡田君について少し心配で...最近、君たちがとても親しくなってるようで」

優佳の表情が少し曇った。

「拓己さん、心配しすぎじゃない?岡田君はとても真面目でいい人だと思ってるよ」

優佳の語調は少し強めになっていた。

「そうかもしれないけど、ユウのことが心配で...」

「心配って...私たち特に何もないよ。ただ投資について教えてもらったり、普通に話してるだけ」

優佳の声に少し苛立ちが混じった。

「もちろん、君が悪いと言ってるわけじゃない。ただ、叔父さんとしては心配で心配でしかたがないんだよ...」

「拓己さん、私はもう18歳の大人だよ。自分で判断できる」

「それはそうなんだけど...」

優佳は深呼吸してから言った。

「拓己さん、心配してくれるのはありがたいけど、大丈夫だから」

「...そうだね。ユウが大丈夫だと言うなら」

藤枝は優佳の強い口調に、これ以上は踏み込めないと感じた。しかし、胸の奥に渦巻く不安は消えなかった。

「うん、大丈夫。変な心配しないで。でも、ありがとう」

優佳は冷静になり、少し笑顔を作って言った。

「それじゃあ、失礼するね」

「うん、お疲れさま」

優佳が退出した後、藤枝は一人画面の前に残された。

「本当に大丈夫なのか...ユウ...」

学生たちが口座開設という新たな段階に進む中、岡田を中心とした関係がより深まっていき、自分の心配が現実になりつつあるのではないかという不安が日に日に増していた。

窓の外では梅雨の雨が激しく降っていた。


花音の日記(6月19日)

宿題を岡田君に手伝ってもらえることになって、すごくうれしい!優佳ちゃんには私の気持ちをいつ伝えようかな...。


#01, プロローグ, https://note.com/chokozai/n/n7c341cddedc4
#02, 1章, https://note.com/chokozai/n/n21181a368ec3
#03, 2章, https://note.com/chokozai/n/n0a68b769a8dd
#04, 3章, https://note.com/chokozai/n/n57828d00edb3
#05, 4章, https://note.com/chokozai/n/n21b8ac2af8be
#06, 5章, https://note.com/chokozai/n/n42cd7f162fde
#07, 6章, https://note.com/chokozai/n/n2e058ee72421
#08, 7章, https://note.com/chokozai/n/nbb54d76f3a23
#09, 8章, https://note.com/chokozai/n/neda9d56fcf79
★#10, 9章, https://note.com/chokozai/n/n74b172c91069
#11, 10章, https://note.com/chokozai/n/nacafa95d046b
#12, 11章, https://note.com/chokozai/n/n89af353420e1
#13, 12章, https://note.com/chokozai/n/n6e2b703b9166
#14, 13章, https://note.com/chokozai/n/n394f01a5e278
#15, 14章, https://note.com/chokozai/n/n3ee776f29d13
#16, 15章, https://note.com/chokozai/n/n44b39117da51
#17, エピローグ, https://note.com/chokozai/n/naf7a4ec3e2ac

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