「Solaria 2nd Stage 第十八話|その先の頂へ(中編)」

「Solaria 2nd Stage 番外編|はじまりの音」
「Solaria 2nd Stage 第一話|星降る約束」
「Solaria 2nd Stage 第二話|ぎこちない光」
「Solaria 2nd Stage 第三話|はじまりの朝」
「Solaria 2nd Stage 第四話|揺れるスタートライン」
「Solaria 2nd Stage 第五話|見えない距離」
「Solaria 2nd Stage 第六話|すれ違うリズム」
「Solaria 2nd Stage 第七話|雨に溶ける声」
「Solaria 2nd Stage 第八話|雨の再会」
「Solaria 2nd Stage 第九話|重なりはじめる音」
「Solaria 2nd Stage 第十話|東京南地区予選」
「Solaria 2nd Stage 第十一話|覚醒」
「Solaria 2nd Stage 第十二話|君がいるから」
「Solaria 2nd Stage 第十三話|その先のステージへ①」
「Solaria 2nd Stage |顧問紹介」
「Solaria 2nd Stage 第十四話|その先のステージへ②」
「Solaria 2nd Stage 第十五話|その先のステージへ③」
「Solaria 2nd Stage 第十六話|その先のステージへ④」
「Solaria 2nd Stage 第十七話|その先の頂へ(前編)」
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「第十八話 | その先の頂へ(中編)」
楽屋
扉が閉まると同時に、外のざわめきが少しだけ遠くなる。
机の上に並べられていたのは——
今回のステージ衣装。

「……これが」
ひなたが、そっと手を伸ばす。
指先が、生地に触れる。
「着てみよっか」
ゆいが、優しく言う。
その横で、さくらが小さく頷いた。
この衣装は——
ゆいとさくら、二人でデザインしたもの。
「ちゃんと似合うかな……」
さくらが少し不安そうに呟く。
「何言ってんの」
あかりがすぐに返す。
「私たちが着るんだから、似合うに決まってるでしょ」
その言葉に、さくらがふっと笑う。

着替え終えた五人。
鏡の前に並ぶ。
そこに映るのは——
“今までとは違う自分たち”。
「……すごい」
ひなたが、思わず呟く。
胸の奥が、じわっと熱くなる。
(これを着て——ステージに上がるんだ)
誰も言葉にはしない。
でも、その想いは全員同じだった。
「行こう」
しおりの一言で、空気が締まる。
楽屋の扉を開けた瞬間——
世界が変わった。
ざわめき。
緊張。
空気の重さ。

通路のあちこちで、グループごとに固まり、最終調整をしている。
ストレッチ。
発声。
小さな打ち合わせ。
それぞれの“戦いの準備”。
さっきまでの軽い空気は、もうどこにもなかった。
「……すごいね」
さくらが小さく言う。
「これが、本選……」
ひなたも、息を呑む。
その中を、すり抜けるように進んでいく五人。
視線を感じる。
逆に、こちらも目に入る。
見たことのない制服。
見たことのない衣装。
でも——どれも隙がない。
(……強い)
あかりが、無意識にそう感じる。
出口手前。
その空気が、一段と張り詰める。
いた!
——Eternal。
「……!」
しおりが、わずかに足を止めた。

黒を基調とした衣装。
無駄のない立ち姿。
研ぎ澄まされた空気。
一瞬だけ、視線が交差する。
何も言葉はない。
でも——
それだけで伝わる。
“格”。
「……行くよ」
ゆいの声で、全員が動き出す。
「まもなく、一番目のグループのステージが始まります」
場内アナウンス。
照明が落ちる。
歓声。
そして——
音が鳴る。
——本選が、始まった。
ステージ袖。

モニター越しに見る、最初のパフォーマンス。
圧倒的な完成度。
動きのキレ。
音との一体感。
「……すご」
ひなたが、思わず呟く。
「これが……」
さくらの声が震える。
「まだ1組目よ」
しおりが静かに言う。
でも、その視線は鋭かった。

次々と続くステージ。
データ音源で魅せるグループ。
生演奏で圧倒するグループ。
ダンス特化。
ボーカル特化。
それぞれが、自分たちの武器で“勝ち”に来ている。
「……レベル、高すぎでしょ」
あかりが、小さく吐き捨てるように言う。
でもその目は——
むしろ燃えていた。
ステージが進むたびに。
拍手が大きくなるたびに。
空気が、重くなる。
(負けられない)
(でも……)
(この中で——勝つ?)
心の中で、感情が交錯する。
心が揺れる。
その時。
「大丈夫」
ゆいの声。
全員が顔を上げる。
「私たち、ここまでやってきたでしょ?」
優しく、でも確かな言葉。
しおりが、小さく頷く。
「うん。やることは変わらない」
ひなたが、深く息を吸う。
そして——
ゆっくり吐く。
「……うん」
その目に、迷いはなかった。
モニターに表示される順番。
「10」
次。
「11」
——Solaria。

「……来たね」
あかりが言う。
誰も動かない。
でも——
全員、前を見ている。
深呼吸。
ひなたが一歩前に出る。
「——行こう」
光の中へ。
第十八話 その先の頂へ(中編) (終)
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― その先の頂へ(後編) ― へ続く
