お腹がピーンチ!絵葉書のような南仏アンティーブひとり街歩きの裏で
2025年5月上旬から1ヶ月間、アメリカ人の夫といっしょにフランスを旅してきた。
南フランス・カンヌに滞在中、語学学校の先生に「絶対行って!」とすすめられて、電車で10分のアンティーブへ小旅行してきた。ブーゲンビリアが咲き誇る旧市街を、心ゆくまでひとりで歩き回る優雅な旅・・・のはずが、実はお腹がちょっとピンチ。今日の記事は、そんな旅の記録です。
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語学学校の先生との雑談で決まった小旅行
カンヌ滞在中に、わずか1週間でしたが語学学校に通学した。
担任の先生は私と同年代の女性で、お互い語学を教える立場としていろいろな話をし、親しくなった。ある日、休憩時間に先生と話をしていると、「アンティーブにはもう行った?」と聞かれた。

アンティーブとは、南仏のコートダジュールにある小さな街。27年前にカンヌに1ヶ月語学留学していた時、学校のエクスカーションで行った記憶はうっすらある。でも、どんな場所だったか、風景はほとんど覚えていない。
「昔来た時に、行ったことはあるけど・・・」と曖昧に返事をすると、「素敵な場所だったでしょう?私、アンティーブ大好きなの」と先生が言う。
「実は、あまりに昔のことなので、ほとんど覚えてなくて・・・」と言うと、先生は言った。
「じゃあ、絶対に行くべきよ!ここから電車でたった10分よ」
「え、10分ですか?」
「そうよ。小さい街だから、学校が終わってから行っても十分楽しめると思う。もちろん、無理にとは言わないけど」
いえいえ、楽しそう〜!というわけで、先生のお勧めに従って、電車でアンティーブに向かうことにした。
カンヌから電車で10分のアンティーブへ
アンティーブはカンヌとニースの間にある。学校が終わってアパートメントで軽くランチを済ませた後、カンヌ駅からローカル電車に揺られて、アンティーブ駅に到着。
ただの街歩きにはあまり興味がない夫はカンヌに置いて、一人でやってきた。だから思う存分歩き回って、たくさん写真に残そう。

先生には、「駅を出たら、とにかく真っ直ぐ歩いていけばいいの。海に出るから」と言われていた。でも、とにかく海を求めるビーチ大好き欧米人と違って、私はそれほどでもない。海より街が見たいと思ったので、旧市街に向かって適当に歩きはじめた。

絵になりすぎるアンティーブの街歩き
少し歩くと、ブーゲンビリアが見事に咲いた小径に出た。

ブーゲンビリア、大好きなんです。去年、ギリシャのミコノス島に行った時も、ブーゲンビリアがほんとにきれいだった。濃いピンクが白い壁と青い空に映えていて、写真をたくさん撮った。
そして、なんだこのかわいい通りは!!

カラフルな提灯?ぼんぼり?が、かわいすぎ。

今回のフランス旅でたくさん見て大好きになった、ジャスミン。ジャスミンって、香料としてはよく名前を聞くけど、これまで実際にどんな花かあまり見たことがなかった。
でも花の種類で匂いが違うのか、時期的なものか、ここのジャスミンは匂いがしない。エーグ・モルトのジャスミンは、金木犀みたいにいい匂いがそこらじゅうに漂っていたのに。

この家にも人が住んでいて、この窓にも誰かの生活があるって想像すると、なんだかすごく非現実的な感じがする。
27年前の記憶がほとんどない理由
27年前にカンヌにいた時、アンティーブに来たことがあるのに、ほとんど記憶がない理由。
それは、「写真がない」から。

当時、1998年。もちろんスマホはない。デジタルカメラも、まだ出始めたばかりという頃。私は、フィルムカメラを持って行った。

予備のフィルムは日本からいくつか持っていったし、フランスで買うこともできた。でも、貧乏性だからか、どうしても写真をたくさん撮ることができなかった。そして、毎日の語学学校と寮生活という日常の中で、ほとんどカメラを使う機会がないままだった。
そして、若かった当時の私は、「写真なんかで記録に残さなくても、記憶に残すのが大事なんだ」と生意気なことを考えていた。で、27年経った今、見事に記憶からも消えてしまっている。

先日実家に帰ったとき、アルバムに整理していた当時の写真を見てみた。すると、アンティーブの海の写真が2枚くらいあっただけで、どんな街を歩いたのか、何を食べたのか、何も記録がない。だから、アンティーブの記憶がほとんどないのも当然だ。
その代わり、語学学校のクラスメートや先生と撮った写真がたくさんあった。そのかつての友人たちの顔を見ながら、彼らとの会話や一緒に遊びに行った場所など、いろんなことを思い出した。もう名前も忘れてしまったあの友たちは、今も元気にしているだろうか。

スマホで気軽に写真が撮れるようになった弊害
スマホで気軽に写真が撮れるようになった今は、どこかに出かけるたびに写真を大量に撮ってしまう。失敗したら消せばいい、現像しなくていいというのは、実に気楽だ。
でもそれは、結局見返さない写真が大量に増えてしまうことも意味する。だから、私はこうして旅行記を書き、大量の記録が埋もれて記憶も消えていくことに、ささやかな抵抗しようとしているのかもしれない。

お子さんがいる方なら、アルバム制作サービスなどを使って紙で写真を残している方もいるかもしれない。でも私たちは、もう20年近く、写真を現像したことがないことに気づいた。
私が子どもの頃は、誕生日やお出かけの時に父や母が写真を撮り、母がそれをアルバムに貼っていた。今も実家に帰るたび、母や妹、弟と、あの時はああだったと昔話をしながらアルバムの古い写真を見ることがよくある。

そうやって古い写真を何度も見返し、どんな写真を撮ったのかが記憶に刻まれていっている。でも、デジカメやスマホで写真を撮り始めてからというもの、どんな写真があるのかを把握すらできていないまま、どんどん枚数が溜まっていく一方だ。

だから、私は結局、自分のために旅行記を書いているんだろうなと思う。あの写真を埋もれさせたくない、あの思い出を忘れたくない、と。

実はお腹の調子が悪かった
実は南仏に来てから、ペットボトルの水を毎日買うのが面倒臭くなって、水道水を飲むようになっていた。レストランでも、よくワインと一緒に無料の水道水(carafe d'eau)を頼んでいた。
すると、なんだかお腹がゆるくなってきた。フランスの水道水は飲用可だが、硬水なので、軟水に慣れた日本人には合わない場合がある。
カンヌに来てからというもの、「語学学校で、大丈夫だろうか・・・」と、実はフランス語よりトイレの心配をしていたくらいだった。

最初は、「なんか変なものを食べたかな」とか思っていたが、水道水が原因だと気づいてペットボトルの水を飲みはじめたら、症状は落ち着いてきた。でも、このアンティーブに来ていた日は、まだ完全回復する前だった。
街を歩いていても、お腹の調子が気になる。気のせいかもしれないけど、なんだかお腹がキュルキュルする気がする。
せっかくのお出かけなのに、カフェにも立ち寄らず、ペットボトルの最低限の水だけを飲んで過ごすことにした。

フランスで困ることの一つは、公衆トイレが少ないこと。そして、あってもものすごく汚かったり、臭かったり、もうよっぽどのことがなければ絶対に入りたくない・・・という代物。
でも、ここアンティーブで「よっぽどのこと」に見舞われる可能性があると思い、観光案内所で公衆トイレの位置を確認しておいた。幸い、心配した「よっぽどの事態」は起きることなく、安心した。

よく、「ヨーロッパでは、トイレはカフェで行けばいい」と言うし、確かにそうなのだが、「今すぐ、何としても行かねばならない」っていう緊急事態ではどうしたらいいんだろうと、それがいつも疑問。
「注文は後でするから、先にトイレ行かせて!」ってカウンターで宣言しないといけないんだろうか。

どうして旅って、「あれ買えばよかった」って思うことばかりなんだろう
旅の写真を見返していると、その場所の素敵なものがたくさん写真に収められていて、「買えばよかった」「なんで買わなかったんだろう」って思うことばかり。

道を歩いていると、ポストカードが売られていた。

本当に可愛くて、素敵で、なんで買わなかったんだろうと、これを書きながら後悔している。
でも、昔ヨーロッパをウロウロしていた頃、散々ポストカードは買ったのだ。でもたくさん集めたポストカードのほとんどは、どこに飾るでもなく、未だに箱の中にしまわれたままである。

そう考えれば、こうやって写真に撮ってそれで満足するのが、一番お金の節約にもなるし、エコなのかな。


フランスでお花を買いたい
フランスに長期滞在したら、現地の素敵なお花屋さんでお花買って、部屋に飾りたいと思っていた。
カンヌに1週間滞在する時には、初日にお花を買って1週間楽しめるなと思っていた。でも、初日はお腹の緊急事態で、それどころではなかった。

こういうオシャレなお花屋さんで、パリジェンヌのようにお花が買いたいとずっと思っていた。

でも、「ここで花買って、電車でカンヌに持って帰る?」「しかも、あと数日でカンヌを発つのに?」「ていうか、カンヌに着く前に緊急事態起きたらどうするの?」と自問自答した結果、結局買えなかった。いつ起こるやもしれぬ、お腹の緊急事態が痛すぎる。
欧米人が大好きな海へ
街を歩き回って満足して、最後に欧米人が愛してやまない海にようやくやってきた。

お天気がイマイチなのもあり、私はやっぱりアンティーブは海より街だなと思った。


アンティーブには、ピカソ美術館がある。アンティーブに来たらマストという観光地なのはわかっているけれど、今回はパス。

というのも、昔フランス留学中、語学学校のクラスメートだった仲良しのスペイン人男子ペドロと旅行した時、美術館でピカソの絵を見た。このアンティーブだったかもしれないし、別の美術館だったかもしれない。

ペドロはスペイン人なので、旅先でピカソの絵が見たかったんだと思う。でもその美術館では、あの象徴的なキュビズムの絵画より、ひたすら写実的に性器を描いた鉛筆のスケッチが多かった。
その後、ペドロと美術館の絵について話をするのはなんだか気まずく、彼は「当時のピカソは、精神的にちょっと病んでたのかもね」なんて言っていた。それ以来、ピカソと言えばそのスケッチ画が思い浮かんでしまう。
ペドロとホストマザーの思い出話↓

まとめ
というわけで、アンティーブの街を数時間歩き回った午後の思い出をご紹介した。
南仏の小さな街アンティーブでの午後は、写真に残したくなる美しい景色と、ちょっとした体調トラブルのスリルが混じった、忘れられない時間になった。

「体調が万全だったら」「あれ買えばよかった」「カフェにも行きたかったのに」と、心残りもある旅になった。でも、完璧じゃない旅こそ、より記憶に残るのかもしれない。
お腹の調子に振り回されながらも、ひとりで歩いた石畳の道、色とりどりの花、静かな路地が、27年前の記憶の空白を少しずつ埋めてくれたように思う。
またいつか、今度はお腹万全で、のんびりカフェにも寄ってみたい。そんな再訪の願いを込めて、今日はこのあたりで。
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