「拾った小石」①(#創作大賞2025#恋愛小説部門)
《あらすじ》
小さな頃からよく物を拾っていた麻美は、大人になってからもある日、捨てられたクマのぬいぐるみのような悲しそうな眼をした男性を拾って帰る。得体の知れない男性はとても優しく愛らしく、二人の生活はあまりにも心地良く、ずっと続けば良いと思いながら、不安に押しつぶされ、ある日、小石をポイっと捨ててしまうように、男性を追い出してしまう。仕事に没頭する毎日を送っていたが、知り合いの女性から男性の秘密を聞くことになり、後悔や申し訳なさが一気に心に押し寄せ一晩中泣き明かす。心を整えたかったのか、そうでないのか自分でもわからないまま、久しぶりに実家に帰ることにする。男性の秘密を知ったことが、自分自身を見つめ直すきっかけとなり、心に変化が表れる。一人の女性の心模様と男性の物語です。
《本編》 (515文字)
私は、小さな頃からよく色んな物を拾って帰る。
小石、貝殻、誰かが落としたビー玉、セミの抜け殻。生きているセミは羽をちぎって、ブローチのように胸に付けて帰った。家の前の池では、夏になると網でカエル捕りをする。夕方になるとそのカエルを放置して、私は家の中に入ってしまう。次の日、あるカエルは干からびて死んでいたり、その又違うカエルは瓶の中で開けた口を上に向け、泡でも吹いたのかいなかったのか定かではないが、少ない水の中にだらしなく体を垂らし死んでいた。子猫は二度、拾って帰った。母親に叱られ、泣く泣く一度目は近くのお寺の境内に捨てに行った。その子猫は二度捨てられたのだ。二度目は、隣の家の倉庫に放した。隣のおばさんが優しい人で、その子猫はその家で生涯を全うした。
子供はとても残酷な生き物で、いや、私がとても残酷な生き物で、情の薄い人間なのだろうっということが、子供の頃からうすうすわかっていた。母親に、あんたは薄情な人間だと言われる度に、悲しみを通り越し、いつも怒りが湧いてきた。でも、母親の言う通りだ。私は、薄情で軽薄な人間だ。
そして今夜、若い男を拾ってしまった。
続く
第二話「拾った小石」②(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第三話「拾った小石」③(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第四話「拾った小石」④(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第五話「拾った小石」⑤(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第六話「拾った小石」⑥(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第七話「拾った小石」⑦(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第八話「拾った小石」⑧(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第九話「拾った小石」⑨(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十話「拾った小石」⑩(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十一話「拾った小石」⑪(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十二話「拾った小石」⑫(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十三話「拾った小石」⑬(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十四話「拾った小石」⑭(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十五話「拾った小石」⑮(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十六話「拾った小石」⑯(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
第十七話「拾った小石」⑰(#創作大賞2025#恋愛小説部門)|aonokutu
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