まぐれだったのか。いや、まぐれにしない【カンヌへの道-16】
沖縄で俳優として活動しています。
noteの全体ビュー10000を超えた、いっちーこと伊藤駿一です。
#いつもありがとうございます
このシリーズ「カンヌへの道」は、いつか必ず立つ「カンヌ国際映画祭主演男優賞」の舞台に向けて、「演劇は世界を平和にする」という信念のもと、俳優としてもがく日々を正直に綴っていくシリーズです。今日はその第16話。
まぐれだったのか。いや、まぐれにしない
一度はうまくできたのに、次の日、同じようにやろうとすると、できない。
あなたにも、そんな経験はないでしょうか。
先日、沖縄で受けた4日間のワークショップで、僕はその"できない"と、まっすぐ向き合うことになりました。
三回目の途中で、初めて"自分で"つかんだ
4コースのうち、3回目の途中でした。あるシーンで、いい状態に入れた。そこまでは、前にもあったんです。違ったのは、その後でした。
同じシーンを、もう一度繰り返した時。さっきと同じところまで、感情を持っていけた。これが、初めてでした。
覚えていたからできた、んじゃない。自分で、もう一度、立ち上げられた。呼吸も、喉も、体の温度も、出てくる声も。僕がずっと欲しかったのは、これだったんです。
でも、繰り返すと"戻って"しまう
そのシーンは、妊娠した妹を、兄である僕が止めようとする場面でした。どうしても産みたい妹と、それを止めたい兄。助けたいのに、今の自分には何もできない。何をやっても八方塞がりで、打つ手がなくなっていく。「もう、無理なんだ」。そのやりきれなさを、セリフを噛みしめるように、ぽつぽつと、こぼしていく場面です。
うまくいった時は、その苦しさが、ゆっくり喋りながらも、心の中でどんどん増幅して、抑えられないところまで行けました。
ところが、何度も繰り返すうちに、おかしくなる。本当はそこまで行きたいのに、繰り返すほど、その感情が、すっと戻ってしまうんです。さっきは確かに届いたのに、もう、同じ熱が出ない。
「あれ、さっきのは、まぐれだったのか」。そんな怖さが、よぎります。
ふたつの声が、綱引きを始めた
その時、僕の中で、まったく違う方向の声が、ふたつ同時に立ち上がってきました。
ひとつは——「一回目からできなきゃ、本物じゃない」。僕が目指している場所では、一回目から立ち上げられなきゃ、戦えない。これは、ほとんど反射で出てくる声です。
でも、それとほとんど同じ強さで、もうひとつの声が来ます。「積み重ねていけばいい」。頑張りすぎて、無理をして、壊れてしまったら、それこそ本末転倒だ、と。
矛盾を、抱えたまま
どっちかが正しい、という話じゃないんだと思います。
一回目からの完璧さを諦めたくない自分も、壊れないように積み重ねたい自分も、どっちも本当だから。だから僕は、この一見相反するふたつを、両立させるしかない。
矛盾を抱えたまま、前に進む。今の僕にとっては、それがいちばん大事なことな気がしています。
再現する、というのも、たぶん同じでした。昨日の自分をコピーするんじゃなく、毎回その場で、新鮮に生き直す。状態さえ整えば、感情は毎回、新しく生まれてくれるからです。
これ、芝居だけの話じゃないですよね
ここまで芝居の話をしてきましたが、たぶん、これは誰にでもある話です。
すごくいいプレゼンができた日。いい文章が書けた日。お客さんと、いい時間をつくれた日。でも次の日、同じようにやろうとすると、できない。あの日のは、まぐれだったんだろうか、と落ち込む。
そうじゃない、と今は思います。あの日の"結果"をコピーしようとするから、できないんじゃないか。もう一度つくりたいのは、結果じゃなくて、自分が一番生きていられた、あの"状態"のほう。それを毎回つくり直せる人が、「再現できる人」なんだと思います。
もしあなたも、一度できたことを再現できなくて落ち込んでいるなら。まぐれだったわけじゃなくて、ただ、その"状態"のつくり方を、これから覚えていくところなのかもしれません。
それで、いまの正直な気持ち
かっこいい結論は、まだありません。
いや、ただ——悔しいです。悔しい。
でも、これは新しく見えた壁でもあります。高いなあ。どうやって越えればいいんだろう。
でも、きっと越え方はある。探すぞ。探すぞ。絶対、探すぞ。そして、最後までやりきる。
カンヌ主演男優賞という遠い星には、まだ程遠い。でも、程遠いからこそ、その越え方を探すこの時間が、いちばん面白いんだと思います。よかったら、僕が壁を越えていくその景色を、隣で一緒に見ていてください。
読んでくださり、ありがとうございました。
最後まで読んでくれたあなたへ
カンヌへの道も、演劇で世界を平和にする仕組み作りも、一歩ずつ近づいている、長い道のりです。これからも今日のような分厚い壁に、数え切れないほどぶつかるはずです。
だからこそ、あなたが最後に押してくれる「スキ」の一つひとつが、「この熱のまま、もっと遠くへ行け」と僕の背中を押す最大の原動力になります。
もしよければフォローして、この長い旅の「一番の目撃者」になってくれませんか。いつか必ず辿り着くその景色を、一緒に見たいです。
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noteには書けない稽古のうらがわや、迷っている途中の話。
ときどき「これ、どう思います?」と相談もする、いちばん近い席です。
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【挑戦その1】「地域を応援する演劇」シリーズ、上演中
沖縄の食堂や自治会を舞台に、笑って、泣けて、ちょっと優しくなれる。そんな群像ハートフルコメディを連続で上演しています。地域の居場所やコミュニティを応援する取り組みでもあります。
前回公演『にぬふぁぶし』(那覇の子どもの居場所が舞台)は、2026年6月6日に2ステージとも無事終演しました。お越しくださったみなさん、本当にありがとうございました。
次回公演:『自治会パンデミック!』7月4日(土)・5日(日)上演
「地域を応援する演劇」シリーズの次の公演です。1100世帯を抱える自治会で、実際に動くのはたった数人。崩れかけた自治会に、1人の若者が現れる——SNSやビジネスの力で改革が進む裏で、長年支えてきた人たちの「居場所」が消えていく。「数字か、つながりか」。対立する価値観の中で揺れる地域の、笑って泣ける群像劇です。
日時:2026年7月4日(土) 14:00開演 / 18:00開演、7月5日(日) 13:00開演 / 17:00開演(全4ステージ)
会場:壺屋演劇場かさね(沖縄県那覇市壺屋2-23-26)
料金:一般2,000円 / 学割1,000円 / 小学生以下無料(当日券は一般・学割ともに +500円)
脚本:かないゆう
演出:西平寿久
主催:01 ENTERTAINMENT
メイン出演:チーム大黒天 / Special Thanks:チーム恵比寿、01 ENTERTAINMENT(土曜クラス)
▼ チケットのご予約はこちらから(演劇.net)
▼ ご予約方法のご質問・お問い合わせは公式LINEから
https://lin.ee/jbUrdeB
【挑戦その2】「出張一人芝居」はじめます!
沖縄本島内であれば、どこへでも行きます。
観客が何名でも構いません。「たった1人」からでも、見たいと手を挙げてくださる方がいれば、あなたのためだけに、指定された場所へ伺って全身全霊で演じます。
「いっちーの一人芝居を見てみたい」「うちの場所でちょっと演じてみてよ」と思ってくださる奇特で温かい方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご相談ください!
▼出張一人芝居の詳細や、企画に込めた想いはこちらから
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