三題噺ショートショート_心眼
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「心眼」まいりましょうか。

清は超豪腕のエースで四番。そして徹は、守備こそ堅いが、へな猪口ボールを投げる、万年控えだった。
俺たちはよく、部員達連れだって銭湯に行った。
そこのシャワールームで、見かけてしまったのである。清が徹に、ヒソヒソと話しているのを。
それは、叱責に見えた。
年末年始も、俺達は練習に明け暮れ。
そしてまた、銭湯で清が徹に、何かを熱っぽく語りかけていた。
清は名門大学に。徹は地方の無名大学に行き。なんと、二人とも四年後にはドラフト1位、2位で同じチームに入団した。
1位は、徹だった。
今や、2人ともローテーション投手だ。
久しぶりのOB会で、徹に教えて貰った。清が何を語っていたのかを。
「お前は類い希なコントロールを持っている。それを完璧に磨け」
ボールの速さがあまりに違いすぎるとタイミングを合わせられない。無理に合わすと、調子が崩れる。
速球派は貴重だが、へな猪口ボールの超コントロール。これこそが、稀有なのだ。
ミステリーが、やっと解けた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、noteなんてやってないで、マッサー(注1)、頼むね!」
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、これで32作。俺にしちゃあ、三題噺も、けっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?


