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「Solaria 2nd Stage 第十九話|その先の頂へ(後編)」

 

「Solaria 2nd Stage 番外編|はじまりの音」
「Solaria 2nd Stage 第一話|星降る約束」
「Solaria 2nd Stage 第二話|ぎこちない光」
「Solaria 2nd Stage 第三話|はじまりの朝」
「Solaria 2nd Stage 第四話|揺れるスタートライン」
「Solaria 2nd Stage 第五話|見えない距離」
「Solaria 2nd Stage 第六話|すれ違うリズム」
「Solaria 2nd Stage 第七話|雨に溶ける声」
「Solaria 2nd Stage 第八話|雨の再会」
「Solaria 2nd Stage 第九話|重なりはじめる音」
「Solaria 2nd Stage 第十話|東京南地区予選」
「Solaria 2nd Stage 第十一話|覚醒」
「Solaria 2nd Stage 第十二話|君がいるから」
「Solaria 2nd Stage 第十三話|その先のステージへ①」
「Solaria 2nd Stage |顧問紹介」
「Solaria 2nd Stage 第十四話|その先のステージへ②」
「Solaria 2nd Stage 第十五話|その先のステージへ③」
「Solaria 2nd Stage 第十六話|その先のステージへ④」
「Solaria 2nd Stage 第十七話|その先の頂へ(前編)」
「Solaria 2nd Stage 第十八話|その先の頂へ(中編)」
 
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「第十九話 | その先の頂へ(後編)」

 

ステージ。

眩しい照明。

埋め尽くされた観客。

どこを見ても、人、人、人。

「……!」

一瞬、視界が揺れる。

でも——

止まらない。

イントロが鳴る。

『心の羅針盤』

 

あかりのソロ。
♬ 見知らぬ駅に降り立てば——

一音目で、空気を掴む。

強く、熱く、観客を引き込む。

続く、しおり。

深く、安定した声で土台を作る。

サビ。

五人の声が重なる。

ハーモニー。

ダンス。

一体感。

会場の空気が、変わる。

2番。

ひなたの声が、まっすぐに伸びる。

明るく、力強く。

 

そして——さくら。
♬ 別れの朝のホーム 強がる横顔——

その歌声に、誰もが驚く。

かつての面影はない。

堂々と、ステージに立っている。

後半。

静寂。

ゆいのソロ。
♬ 出会いは奇跡だと 旅が教えてくれた——

透き通る声が、空間を支配する。

息を呑む観客。

そして——

ラストサビ。

 

♬ !Vamos! 心の羅針盤 未来を指し示せ——

全員。

すべてをぶつける。

声も、想いも、ダンスも。

限界まで。

——終わる。

一瞬。

完全な無音。

誰も、動かない。

誰も、声を出せない。

ただ——

“圧倒された”空気だけがそこにあった。

次の瞬間。

割れるような歓声。

拍手。

波のように押し寄せる。

 

Solariaは、深く一礼する。

そして——

ステージを後にした。
 
 

◆舞台裏

 

「……はぁ……!」

さくらが、その場に崩れる。

涙が溢れる。

「とても……気持ちよく歌えました……」

震える声。

「こんな気持ち……久しぶりで……」

言葉が続かない。

「今までの練習、何だったの?ってくらい良かったんじゃない?」

あかりが笑う。

でも、その目も少し潤んでいた。

「本番に強いタイプかもね」

ひなたが言う。

しおりは、珍しく少し興奮気味だった。

「卒業式の時より……燃えたかもしれないわね」

ゆいが、静かに言う。

「……今のところ、一番だったと思う」

その時。

少し離れた場所。

 

冷たい視線。

——Eternal。

「Solaria……予選の時とは別物ね」

詩音が呟く。

「でも、関係ない」

冬羽は視線すら向けない。

「トップは一つ」

愛依が笑う。

「うちらだけでいい」

鏡花が静かに言った。
 
 

ラスト。

15番。

Eternal。

照明が、落ちる。

会場が暗闇に包まれる。

ざわめく観客。

「え、何……?」

「停電?」

不安の声。

その瞬間。

 

赤い閃光。

シンセの高速アルペジオ。

ドラム、ベース。

——始まる。

Eternalのステージ。

圧倒的。

支配。

引きずり込まれる。

観客も、他校も——全て。

「……怖い」

さくらが呟く。

それ以外、誰も声を出せない。

光と影。

Solariaが“光”なら——

Eternalは“影”。

終わる。

無表情。

挨拶もなく去る。

誰も、近づけない。
 
 

◆表彰式

「第三位――千歳学園、Blue Signalの皆さん!」

違う。

そして——
 
 ………

「準優勝、星ヶ丘学園、Solariaの皆さん!」

その瞬間——

時間が、止まったように感じた。

(……あ)

理解より先に、感情が揺れる。

悔しい。

でも——

ここまで来た。

胸の奥で、二つの想いがぶつかり合う。

 

「ひなた先輩……!」

さくらが崩れるように涙を流す。

ひなたは、何も言えないまま——ただ、頷いた。

「……ここまで来ただけでも、十分すごいよ」

あかりが言う。

でもその声は、少しだけ震えていた。

しおりは静かに前を見つめる。

「頂点じゃない。それだけの話よ」

ゆいは、そっと全員を見渡して微笑んだ。

「でもね——」

優しく、でもはっきりと。

「間違いなく、届いてたよ」

そして——
 
 

 

「優勝は……双葉女学院、Eternalの皆さん!」

歓声。

でもそれ以上に——

“納得”の空気。

(……強い)

誰もが、同じことを思っていた。

圧倒的な完成度。

揺るがない軸。

“勝つために存在している”ようなグループ。

司会者が「Eternalの皆さん、最後に感想をお願いします」と

リーダーの冬羽にマイクを向けると

冬羽が一言だけ。

「予定通りのシナリオに、何を語れっていうの?」

会場が、一瞬静まり返る。

そのまま、Eternalは振り返ることなく去っていく。

——誰も、止められない。
 
 

夕方。

会場の外。

人の波が、少しずつ解けていく。

Solariaの5人は、少し離れた場所に立っていた。

誰も、すぐには言葉を出せない。

風が、静かに吹く。

「……負けちゃったね」

ひなたが、ぽつりと呟く。

責めるでもなく、ただ事実として。

「うん」

あかりが短く答える。

でも——すぐに続ける。

「でもさ」

顔を上げる。

「差は、見えた」

しおりが頷く。

「ええ。だからこそ、やるべきことも明確よ」

さくらは、涙を拭いながら言う。

「……悔しいです」

少し震える声。

「でも……もっと上手くなりたい」

その言葉に、ゆいが微笑む。

「うん。それでいいと思う」

ひなたが、ゆっくりと前を向く。

空を見上げる。

夕焼けが、広がっていた。

「次は——」

一歩、踏み出す。

「勝ちにいこう」

あかりが笑う。

「当たり前でしょ」

しおりが静かに言う。

「今度は、“完成形”でね」

さくらが、小さく頷く。

「はい!」

ゆいが、全員を見渡す。

「まだ、途中だから」

 

5人の視線が、同じ方向を向く。

少し離れた場所。

あゆみが、その姿を見ていた。

胸の前で、ぎゅっと手を握る。

(……すごい)

そして——

(私も、あの中に入りたい)

その想いが、静かに芽を出す。

夕焼けの中。

Solariaは、歩き出す。

負けた。

でも——

終わりじゃない。

ここからだ。
 
第十九話 その先の頂へ(後編) (終)
  
 
  
▶ Solaria 2nd Stage 第二十話(最終話)|
― ここから、もう一度 ― へ続く


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