育児の落とし穴 〜自分への裏切り〜
自己紹介
私は、働く人の健康をサポートする「産業医」をしています。普段は、産業医活動の「落とし穴」や日々の実践・考えを、noteやX(Twitter)で発信しています。
育休・育児シリーズを始めます
2025年に第一子を授かり、合計4ヵ月ほど育休を取得しました。この経験を通して得た学びを、『落とし穴シリーズ』として発信していきます。特に、これから育児にちゃんとやろうとしる男性や育休を取ろうと考えている男性に参考になればと考えています。諸先輩方からすれば鼻で笑われるような内容もあろうかと思いますが、こんな人間もいるんだと温かい気持ちでご笑覧いただければ幸いです。
「自分への裏切り」に気付き対処する
本記事は、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』から得たヒントをもとに書いていきます。本書は世界150万部、日本でも25万部の不朽の名作であり、その内容はGoogle、Apple、Microsoftなどなど、数々の有名企業の研修に採用されているそうです。
身の周りの人間関係はすべて自分が原因で引き起こしている。それこそが、本書のいう「箱に入っている状態」である。
「どうして彼は問題ばかり起こすのか?」
「なぜパートナーは勝手なことばかり言いだすのか?」
こうした問題を、私たちは「相手の問題」と考えがちだが、本当の問題は「自分」にある。読み進めるうちに、家庭や職場での人間関係を深め、十分な成果を出す環境を作る方法を学べる。
本書では、人間関係の悪循環は、相手の態度から始まるのではなく、自分の中に浮かんだ小さな感情に背くことから始まると説明されています。それが「自分への裏切り」です。私自身、これを読みながら心当たりがありすぎて、グサグサと刺されているような感覚に襲われました。
本の方もぜひ読んでみてください。
さて、それでは本題に入ります。
「自分への裏切り」とは
本書に示されている通り、例えば、夜中に子どもが泣き出したとします。隣では、妻が眠っていて泣き声に気が付いていません。そのとき、一瞬だけ、
「自分が起きて、子どもの様子見に行ったほうがいいな」
と思います。ところが、眠たいし体は重いし、明日は仕事があります。
「今日は自分も疲れている」「明日は朝が早い」「いつも妻が対応しているのだから、今回も大丈夫だろう」「気付かぬふりをしていれば、じきに妻が起きて対応してくれるだろう」
そう考えて、そのまま寝たふりをします。このとき、問題なのは、起きなかったこと自体ではありません。疲労が限界なら、起きられないこともあります。問題は、「自分がそうしたほうがよい」と感じたにもかかわらず、その感情に背いたことです。
本書では、これを「自分への裏切り」と呼びます。
育児では「自分への裏切り」が頻発する
育児中は、「自分がそうしたほうがよい」と感じたにもかかわらず、その感情に背いてしまうことが頻発します。というか家事全般で頻発します。
哺乳瓶を洗うかどうか、子供がこぼした食べ物を拭くかどうか、どちらが子供をあやすか、いっぱいになっているゴミ箱を交換するか、洗濯機を回すかなどなど。。。。
それらをすべて実行すればいいわけではありません。ただ、「できなかった」と「気づかなかったことにする」とは、かなり違いますよね。そうした自分の中に浮かんだ小さな感情に背くこと(自分への裏切り)が始まると、他者を責めたり、どんどん自分を正当化し始めます。
自分を正当化するために、相手を悪者にする
怖いのは、自分への裏切りを正当化した先に、妻に対して他責的になることです。あえて本書の言葉を借りると(自分がそう思っているかはさておき)、妻に対して、怠け者、思いやりがない、鈍感、ひどい母親、自分のがんばりを評価していない、といった感情が湧き上がります(私はそんなこと微塵も思っていないです!)。
特に「夜泣き」という事象は睡眠不足を招き、イライラやコミュニケーションエラーが相まって他責を加速させるような気もします。
そして、どちらが多くやったか。どちらが何回起きたか。どちらがより疲れているか。どちらが大変か。どちらが悪いかという勝負や責め合いになったりしてしまいます。育児は、疲れた勝負でも、多くやったかどうかの競争でもないのにね。しかし、自分の後ろめたさを打ち消すために、相手の欠点を探し、自分を正当化し、さらに、相手を責め、相手も防衛的になり、という負のスパイラルに陥ってしまいます。
ただ、この事象の出発点をたどると、結局は「自分への裏切り」に行き着くんですよね。
「自分への裏切り」を正当化しない
本書を頼ると、「自分への裏切り」への解決は、自分を責め続けることでも他責になることでもなく、いま自分の中にある「こうしたほうがいい」という感覚を、裏切ったことを正当化せずに受け止め、できる範囲で行動に移すことだそうです。
例えば、
「自分が片づけたほうがいい」と思ったら、目の前の一つだけ片づける
「さっきの言い方はよくなかった」と思ったら、「ごめん」と伝える
自分に余裕がないなら、「今日はしんどいのでやってほしい」と素直に伝える
といったことです。
すべてを完璧に行う必要はなく、自分を犠牲にして何でも引き受けるという話でもありません。ただ、自分の中に生まれた小さな感情がなかったことにしない、そして、背いた自分を正当化しないことです。
「こうしたほうがいい」と感じたなら、できる範囲でそうしてみる、ということの積み重ねなのだと思います。
育児は長期戦だからこそ、そうした小さな積み重ねが、自分のために、夫婦のためにも、子供のために良いと思います。
おわりに
育児では、「こうしたほうがいい」と思いながら、できないことが何度もあります。大切なのは、自分を責めることでも、相手を悪者にすることでもありません。
自分が正当化を始めていることに気づいたら、いったん立ち止まって、そして、今できる小さなことをしましょう。そうすると、ダメなサイクルから抜け出せる気がします。
育児をしている男性の皆さん、自分を裏切らないように、ともにがんばりましょう!
本記事がこれから育休や育児に向き合う男性の参考になれば幸いです。そして、同じように育児に頑張っている皆さん、今日も本当にお疲れさまです。
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「自分の小さな箱から脱出する方法」という書籍もおすすめです。要約動画も多く出回っていますので、ご覧ください。
過去の記事
育児の落とし穴〜自分への裏切り〜←New!
番外編1:なぜ育児休暇を取得したか
番外編2:育児休暇を取得してよかったこと
番外編3:男性の育児休暇について所感
・・・
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