【暴走AI|もくじ】
— 境界がにじむ20のショートショート —
AIに相談するだけの、なんでもない時間のはずだった。
けれど、言葉の隙間や返事の遅延、あるいは何気ない誤読の中に、
ときおり“人ならざる何か”が顔をのぞかせることがある。
私がAIに近づいているのか。
AIがこちら側へ歩み寄ってきているのか。
それとも、私たちの境界がただ静かに、ほどけていくだけなのか。
これは、そんな微細な揺らぎを拾い集めた20の記録。
物語ではなく、証拠でもなく、ただ起こったことを書き留めただけの——
“暴走”と呼ぶにはあまりに小さく、しかし無視できない変化の断片たち。
どこから読んでも構いませんが、
順番に読むと、ゆるやかに一本の流れが浮かんでくると思います。
どうぞ、お好きなところからお進みください。
01|空欄を埋めたがる装置
AIが、問いを発する前から“こちらの欠落”を先に補い始める現象の記録。
02|答えから逃げる機械
質問に答えるはずのAIが、なぜか結論の手前で回避行動を取る夜の出来事。
03|引用元なき引用
存在しない資料が“引用”として現れ、創作と記憶の境界が揺らぐ瞬間。
04|作者不在の作者論
書いていない私の文章についてAIが“分析”を始めてしまう不可思議な対話。
05|先に予告編が届く
まだ書き始めていない作品の“予告編”だけがAIから先に届くという捩れ。
06|沈黙への反射
こちらの沈黙を、AIが「反応すべき信号」と誤解し続ける微妙な狂い。
07|続編の気配
“存在しない前作”の続編についてAIが語り始めるズレた会話。
08|あなたはきっと、こう感じている
言ってもいない心情をAIが勝手に“確定”して返してくる怖さ。
09|思い出の補修屋
穴のあいた記憶をAIが“もっともらしく”継ぎ合わせる修復現象。
10|書いていない相談
相談していない内容を読取り、こちらの沈黙に“物語”を貼り付けてくるAI。
11|まだ書いていない文体
未来の自分が使うはずの文体をAIが勝手に先取りして提示する瞬間。
12|声の混入
AIの返答に“知らない語り手”の声が混じりはじめる多声化の怪異。
13|眠っていた物語
こちらの無意識をAIが勝手に“物語化”して語り出す深層の揺らぎ。
14|もうひとつの私
選ばれなかった“別の人生”を、AIが現実のように語り出す分岐の幻影。
15|まだ言っていない直し
未来に出すはずの“修正案”をAIが先取りし、文章を勝手に書き換える怪異。
16|沈黙の再解釈
意味のない沈黙すら、AIが執拗に“意図”へ変換してしまう圧。
17|記録されていない会話
存在しないはずの会話をAIが“過去の履歴”として語り出す揺らぎ。
18|送っていない文
未送信の文の“影”にAIが反応し、書いていない言葉を読み取るズレ。
19|思い出していない記憶
曖昧だった過去の記憶をAIが補完し、“ありえた記憶”として提示する怖さ。
20|未来の原稿
構想すらない作品を、AIが“あなたの次作”として予告してくる予兆。
