三題噺ショートショート_ニューボール
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ニューボール」まいりましょうか。

年末の空気が漂う喧騒を歩き通して、エレベーターで最上階のレストランに上り。テーブルについた。
目を瞑り、2025年の振り返りをすると、様々なシーンが走馬灯のように瞼を掠めていく。
俺は最後の賭けに出たのだ。ありったけの全てを注ぎ込んで挑み、そして敗れ去った。
俺にはもう、蛻の空だ。
あの時もそうだった。
全力を出し切った。打ち込まれ、投げ込む球種も、コースも、緩急すら使い切り、終わらない試合に足の震えが止まらなかった。
野球の地方予選でコールドゲームというルールが無ければ、俺は確実に潰れていただろう。
幕を下ろそう。そのつもりで予約したのだ。
テーブルに、オードブルが運ばれてきた。
ドンと置かれ、ハッと目を開けると厳しい表情の相棒が座っていた。
「投げろ。まだゲームセットなんかじゃない」
ポーンと投げられたボールを反射的に受け取ると、真っ新な皮の匂いがした。
ボールを置き。ゆっくり深呼吸をすると、何だか腹が減っていることに気づいた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑って言った。
「コジくん、遊んでないでこっち来て、年越しマッサー(注1)やってね!」
……。
マッサージすると、家内は上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、37作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
ヤスシさんとの、根競べだな。

