三題噺ショートショートvol.45_西日
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「道」まいりましょうか。

部屋の本棚に、写真立てがある。
親友の毅と、女子マネの薫と、俺のスリーショットだ。
俺たちは田舎の、冴えない野球部員だった。
何の変哲もない毎日が嫌で。何が何でも東京の大学にいって、キッパリと今までの人生をリセットするつもりだった。
俺たちの夏は一瞬で終わり。予備校の夏期講習には初日から参加できた。
その日、毅が相談があるというのだ。
夕食後、子供公園のブランコに乗り、話した。
なんと、薫に告白したいと言う。
俺は言った。受験も控えて、そんなことしてる場合じゃないだろう、と。
その翌日。
薫が珍しく、相談してきた。
彼女は、カフェオレを飲みながらポツリと言った。毅に告白したいと。
…。
今、彼らは3人の子持ちで。幸せに暮らしている。
2人は現役で東京の同じ名門大学に進学し。俺は、二浪の末、何とか地元の三流大学に引っかかり、オヤジの板金工場を継いでいる。
まあ、こんなもんだ。
事務所の窓から見える西日を眺めて、ちょっと自分で自分を笑ってみた。

そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、45作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

