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名詞の不可算・可算(単数・複数)⑨-2:学者名1(GL借用語/外来語2)[英語史/単語史]

副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)

名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り

⑨GL借用語/外来語の「学者名1」では、⑧科学英語でご紹介した学問名をベースにしたギリシャ語・ラテン語(風)名詞の作り方その作り替え方(≒語尾・接尾辞の違い)に焦点を当ててみます。いわゆる「借用語」(日本では「外来語」とも表現)のさらなる応用。名詞の不可算U・可算C(単数S・複数P)問題との関連もいずれ扱う予定ですが、今回はその準備として学問名と学者名をまず整理。英語専門家とは別の科学英語ならではの視点をご提供できれば幸いです。

この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。

★今回の「学者名1(GL借用語/外来語2)」:検証内容

❶ ギリシャ語・ラテン語・その他言語から借用が発生する英語名詞の複雑さ
 今回は学者名の深掘り第1弾:主に基本単語のご紹介
  ⑧科学英語シリーズで扱った学問名と並べて整理
❷ 応用の難しさ:元になった学問名との関連で学者名を整理
 「学問名」と「学者名」の関連に注目:実例で検証
 単語の作り方(学問名)と作り替え方(学者名):原則と例外が混在

※学者名も学問名と同様に典型的な理系用語で、大学関係者・研究者以外の方には聞きなれない特殊な専門用語だと思われるかもしれませんが、様々な英単語の作り替え(語尾変化)や歴史を辿ることができる興味深い教材です。
※ふだん主に理系の学生に科学英語を教えている関係で、文法的に難しい項目を英語専攻ではない学生にどう説明するかということに日々心を砕いております。そうした工夫が伝われば幸いです。


★学者1

語尾が"-ology"から"-ologist"に変化
  ※接尾辞"-ist"はギリシャ語・ラテン語由来で「」の意味(当記事ではGL型と呼称)
  ※接尾辞"-logy"はギリシャ語"logia=学問"から
 人類: anthropology
 人類学者:anthropologist
 考古: archaeology
 考古学者:archaeologist
 生物: biology
 生物学者:biologist
 生態: ecology
 生態学者:ecologist
 疫:  epidemiology
 疫学者: epidemiologist
 語源: etymology
 語源学者:etymologist
 地質: geology
 地質学者:geologist
 病理: pathology
 病理学者:pathologist
 生理: physiology
 生理学者:physiologist
 心理: psychology
 心理学者:psychologist
 動物: zoology(発音に注意)
 動物学者:zoologist

語尾が"-ics"から"-icist/-ist"か"-ician"に変化
  ※接尾辞"-ist"はギリシャ語・ラテン語由来で「」の意味(GL型):多数派
  ※接尾辞"-ician"はフランス語由来で「」の意味(当記事ではF型):少数派
  ※接尾辞"-ics"はギリシャ語"ikos=技術・学問"から
 経済:  economics
 経済学者: economist [字数同じ](etymonlineでは"economy + -ist")
 遺伝:  genetics
 遺伝学者: geneticist [字数増](etymonlineでは"genetics + -ist")
 言語:  linguistics
 言語学者: linguist [字数減] [問題演習]
   ※「学者」が「」より短い希少例(他にもあり)
 数:   mathematics
 数学者:  mathematician(GL型なら"mathematicist"か"mathematist")
 形而上: metaphysics
 形而上学者:metaphysician(内科医"physician"と同じF型)[問題演習]
       (GL型なら物理学者"physicist"と同じく"metaphysicist")
 
:   pharmaceutics
 
学者:  [問題演習]
 物理:  physics
 物理学者: physicist(etymonlineでは"physics + -ist")
 統計:  statistics
 統計学者: statistician(GL型なら"statisticist"か"statistist")

語尾が"-onomy"から"-onomist"か"-onomer"に変化
  ※接尾辞"-ist"はギリシャ語・ラテン語由来で「」の意味(GL型)
  ※接尾辞"-er"は英語本来の「」の意味(当記事ではE型)
  ※接尾辞"-nomy"はギリシャ語"nomos=秩序・法則・学問"から
 天文: astronomy
 天文学:astronomer(GL型なら"astronomist")
 美食: gastronomy
 美食学者[問題演習]
 分類: taxonomy
 分類学:taxonomist(E型なら"taxonomer")

語尾が"-y"から"-ist"か"-er"に変化
  ※接尾辞"-ist"はギリシャ語・ラテン語由来で「」の意味(GL型)
  ※接尾辞"-er"は英語本来の「」の意味(E型)
 解剖: anatomy
 解剖学者:anatomist(E型なら"anatomer")
 
  ※接尾辞"-tomy"はギリシャ語"tome=切断/切開"から
 植物: botany
 植物学:botanist(E型なら"botaner")
 化:  chemistry
 化学者: chemist [問題演習]
   ※「学者」が「」より短い希少例(他にもあり)
 地理: geography("photography"と同じ語尾)
 地理学:geographer("photographer"と同じ語尾)
 幾何: geometry
 幾何学:geometer(GL型なら"geometist")
      (語尾"-meter"が「器具」ではなく「」の意味になる希少例)
 
:  pharmacy
 学者: [問題演習]
 哲:  philosophy
 哲学者: philosopher
      (GL型なら詭弁家/ソフィスト"sophist"と同じく"philosophist")


◉この問題については、慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生の以下のhellog~英語史ブログ記事もご参照ください。いつもながら大変勉強になります。

etymonlineで検索してみたい方は、こちらからどうぞ。


英語史部分は専門の先生や専門サイトにお任せして、私の得意分野である自然科学の部分について掘り下げてみます。


問題1:学問名「薬」は"pharmacy"または"pharmaceutics"。では、学者名「薬学者」を英語でどう表す?
 以下から選択し、2,3を選んだ場合は実際の単語を記入
 1. pharmacist、2. pharmaceuticsを作り替え(語尾変化)、3. 他の単語を利用
学問・学者に加えて職業も合わせて整理

問題2:"gastronomy"は学問名「美食」と和訳。それ以外にどう和訳? 「」を意味する"gastronomer"や"gastronomist"はアリ?(どう和訳?)
※結局、"gastronomy"はどんな学問? そもそも学問?

問題3:以下の4つの英単語を、出現してきた年代順に並べ替えると?
 錬金: alchemy(今は「錬金」でも当時は「錬金」だった?)
 錬金術師:alchemist
 化:  chemistry
 化学者: chemist
   ※「学者」が「」より短い希少例(他にもあり)
※etymonlineを検索すれば出現年代が分かります

問題4:以下の2つの英単語を、出現してきた年代順に並べ替え
 言語: linguistics
 言語学者:linguist
   ※「学者」が「」より短い希少例(他にもあり)
※etymonlineを検索すれば、出現年代が分かる上に今では使われなくなった表現も記載されているので、英単語の歴史(ある意味で「進化」の過程)を知ることができます。

問題5:問題3と問題4を元に、「〜学者」が「〜学」より短い希少例が発生する原因を考察(日本語で同じ現象が発生するか、という点についても考察)

問題6:「医師/内科医」"physician"と「物理学者」"physicist"、先に定着したのはどっち? 歴史的にどんな経緯を辿って今の状態に?
※「〜」"-ics"から作られる「〜学者」が"-icist/-ist"と"-ician"の2種類に分かれたのは何故? 今から統一は可能? それとも統一は不要?


 今回の学者名は、「不可算・可算(単数・複数)の理想と現実」問題と言う意味では「」を表す典型的な可算名詞ですが、それとは別に考察すべき点が数多くあることがお分かりいただけたでしょうか。今回の記事ではあまり細かい点に拘らず、なるべく多くの学問名・学者名をご紹介してみました。様々なパターンで作られている学問名をさらに多様な方法で加工して学者名が作り出されている点をお伝えするための教材。英語専門家とは別の科学英語ならではの視点をご提供できれば幸いです。
(このテーマで名詞の不可算U・可算C(単数S・複数P)問題も今後取り扱う予定)

 授業ではちゃんと解説しますが、一般公開はここまで。あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。


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