名詞の不可算・可算(単数・複数)⑧-4:専門用語1(bacteria)[科学英語](⑨GL借用語/外来語[英語史/単語史]とも関連)
副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)
名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り
「可算不可算・単複で混乱が生じる英語の名詞」深掘りの自然科学版。これまでの「単位」を離れて、今回から日常英語ではややレアでも科学英語ではありふれた存在の「ギリシャ語・ラテン語名詞の英単語化」(いわゆる「借用語」:日本では「外来語」とも表現)。「一般用語vs専門用語(≒業界用語)」という視点や英語で名詞を借用(輸入)する際の難しさ、英語化の程度の違い、単語別に事情が全く異なる等々の視点も必要。さらには形容詞用法にも注意が必要。英文法としては名詞の不可算U・可算C(単数S・複数P)概念のかなり高度な応用ですが、英語専門家とは別の視点からお伝えできれば幸いです。(⑨シリーズ「GL借用語/外来語[英語史/単語史]」で軽く取り扱った内容をさらに深掘り:※ナンバリングを⑩から⑨に変更)
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★今回の「専門用語1(bacteria)」検証内容
❶ ギリシャ語・ラテン語から借用された英語名詞の作られ方の多様性
作られ方に加えて英単語化の程度(≒英語らしさ)も多様
単語ごとの事情の違い:専門用語(科学用語)を個別に深掘り
今記事は"bacterium/bacteria"について
❷ 一般用語と専門用語(≒業界用語)の違い
知名度/出現頻度/使用頻度による名詞の単複・可算不可算分類の違い・変化
❸ 名詞の形容詞用法と形容詞
英語で名詞の基本(代表的な形)は単数形か複数形か?
他の名詞を修飾する際の第一候補は名詞の形容詞用法か形容詞か?
※単語ごとに事情が異なる点や一般用語と専門用語(≒業界用語)の違い等々を文法としてまとめることは実は非常に困難
★⑨-1から
復習問題:bacteria, criteria, data, media, mitochondria, phenomena
a. 上記リストの単語に単数形があるか否か?
b. 単数形があるものはスペルを記入(前回記事で正解・ヒントを提供済)
c. 他にもギリシャ語・ラテン語の特徴を残す英語名詞を探して列挙
d. 逆にギリシャ語・ラテン語の特徴を残さずに完全に英単語化された名詞は?
★科学英語の面から深掘り
問題1:"bacterium/bacteria"について
a. この英単語が生み出されるために必要だった実験器具は?
b. この英単語はいつ誰によって作られた?(誰がどう発見?)
c. 日常生活において、この単語を可算単数形として使う状況は想像できる?
d. こうした英単語は本当のラテン語? ラテン語風の英単語?
e. 単数形「バクテリウム」が日本語として採用されなかった理由は?
(私も正解は知りませんが)
※この単語は、誕生した年代がかなり明確に特定できる特殊ケース(それまでは存在しなかった単語が新規に作り出された例)
★医学・生命科学系論文検索サイトPubMedで検索数を比較
検討事項:「名詞(可算C単数形/不可算U・可算C複数形)」の形容詞用法 vs 「形容詞」
各ケースで典型的な形は? なぜ単語毎にこんなにバラバラなのか?
※PubMed検索で比較:"≒"は差が2倍未満、"<"1つで約10倍(2~20倍)の差
①"XXX growth"比較
a. "bacterium growth" : "bacteria growth" : "bacterial growth"
= 70 : 21,918 : 23,517(C単数形<<<C複数形≒形容詞)
b. "population growth" : "populations growth" : "populational growth"
= 22,334 : 92 : 9(C単数形かUか不明>>>>C複数形>形容詞)
※aとbでは順番がほぼ真逆
※populationもラテン語から
※populationalはPubMed検索できたがBritannica Dictionaryには登録なし
c. "child growth" : "children growth"
= 3,495 : 427(C単数形>C複数形)
②"XXX culture"比較
a. "bacterium culture" : "bacteria culture" : "bacterial culture"
= 33 : 869 : 8,259(C単数形<<C複数形<形容詞)
b. "cell culture" : "cells culture" : "cellular culture"
= 157,718 : 857 : 159(C単数形>>C複数形>形容詞)
※aとbでは順番がほぼ真逆
※cellもラテン語から
c. "tissue culture" : "tissues culture"
= 51,823 : 40(「組織」の意味ではU>>>C複数形)
※tissueも元の起源はラテン語
※tissueは、Britannica Dictionaryで2番目の意味「組織」:
the material that forms the parts in a plant or animal
[noncount]
a sample of brain/lung/muscle tissue
a tissue sample
[plural](上では不可算なのに、こちらは複数形)
The drug can damage the body's tissues.
③"XXX infection"比較
a. "bacterium infection" : "bacteria infection" : "bacterial infection"
= 40 : 468 : 30,979(C単数形<C複数形<<形容詞)
b. "virus infection" : "viruses infection" : "viral infection"
= 87,765 : 257 : 45,379(C単数形≒形容詞>>C複数形)
※括弧内の「形容詞」と「複数形」が他と逆になっている点に要注意
※virusもラテン語から
※virusに関しては、改めて別記事での整理が必要
④"XXX cells"比較
a. "bacterium cells" : "bacteria cells" : "bacterial cells"
= 26 : 697 : 16,602(C単数形<<C複数形<<形容詞)
b. "human cells" : "humans cells"
= 39,295 : 24(C単数形か形容詞か不明>>>C複数形)
※humanもラテン語から
c. "animal cells" : "animals cells"
= 7,233 : 92(C単数形か形容詞か不明>>C複数形)
※animalもラテン語から
d. "plant cells" : "plants cells"
= 17,756 : 78(C単数形>>>C複数形)
※aとbcdでは順番がほぼ真逆
※plantもラテン語から
※後ろの名詞cellsが複数形なのも影響?
※"humans, cells"や"animals, cells"も検索に加算(他も同様)
※animalはBritannica Dictionaryで形容詞としての登録があり、plantは形容詞としての登録はなし(名詞の形容詞用法は可能)
⑤"XXX species"比較
a. "bacterium species" : "bacteria species" : "bacterial species"
= 95 : 1,523 : 26,645(C単数形<C複数形<形容詞)
b. "animal species" : "animals species"
= 20,158 : 169(C単数形か形容詞か不明>>C複数形)
c. "plant species" : "plants species"
= 41,272 : 503(C単数形>>C複数形)
※aとbcでは順番がほぼ真逆
★以下の外部サイトで単語や語源をチェックしてみてください。
◉"BACTERIUM":Britannica Dictionary
※ラテン語の単複が残存、日本語は複数形版「バクテリア」のみ
※"bacterium/bacteria"に関して、専門の研究者や自然科学者は単複のルールを厳密に守る傾向が強いようですが(もちろん例外はあります)、etymonlineでは"A classical plural sometimes also erroneously used as a singular."という記述も。「複数形主語dataであってもbe動詞がis単数呼応」ケースがBritannica Dictionaryでも紹介されており、「複数形か単数形か不可算名詞か?」が問題というご説明を前記事「⑨-1」でいたしましたが、今回はそのbacteria版。
自然科学の世界では論文執筆の際に査読(同業者による審査)が実施されるので、内容のチェックだけでなく表現面での一貫性も維持するような圧力が常にかかります。また、実際に細菌を観察することでその「個体性」を意識する機会が多くある点も影響していると思います。一方、そうではない方が肉眼では見えない細菌についての文章を書くと、このような"erroneously used"現象が発生しやすいのではと個人的には思っております(間違っていたら申し訳ありません)。
◉参照回数が今後多くなると予想されるetymonlineについてのWikipedia記事
◉"BACTERIA":etymonline記事へのリンク
◉"BACTERIA":Wikipedia記事へのリンク
※bacteria(複数形がタイトルになっている例)
ギリシャ語・ラテン語から借用した名詞という特殊な単語群からbacteriaを例に挙げて、「不可算可算の理想と現実」問題を深掘り。「2語からなる名詞句」(広義の意味で複合語)という視点でも整理・分類してみました。
いわゆる学校英語や学術英語で実は整理しきれていない英語の「名詞の不可算・可算(単数・複数)の理想と現実」問題を考えてもらうための教材。「実用科学英語」というタイトルにふさわしい解説になっていれば幸いです。
授業ではちゃんと解説しますが、一般公開はここまで。あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。
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