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名詞の不可算・可算(単数・複数)⑦-12:専門医1[医学英語]

副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)

名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り

「可算不可算単複で混乱が生じる英語の名詞」の深掘り。⑦医学英語シリーズの「専門医1」では、⑦-10「診療科・科目1」と⑦-11「診療科・科目2」でご紹介した内容をベースに、ギリシャ語・ラテン語(風)名詞の作り方その作り替え方(≒語尾・接尾辞の違い)に焦点を当ててみます(⑨-2「学者名1」の医学英語版)。いわゆる「借用語」(日本では「外来語」とも表現)のさらなる応用。

★専門医の深掘り第1弾:診療科(部門)・科目の応用

❶元になる単語との関連で整理
 「診療科(部門)・科目」と「専門医名」の関連に注目して整理
 関連が明確なケースと曖昧なケース
❷日本語も複数の表現が混在医師学者の2系統
 原則、「〜→〜科医」と「〜→〜学者」の2通り

※専門医も診療科(部門)・科目と同様に典型的な理系用語で、医療・生命科学関係者以外の方には必要がない特殊な専門用語だと思われるかもしれませんが、様々な英単語の作り替え(語尾変化)やその歴史を辿ることができる興味深い教材です。

この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。


★専門医の名称1:「診療科・科目」の復習と追加説明

頻出する接尾辞・接頭辞・語根リスト
※ギリシャ語はGr、ラテン語はLaと省略して表示
※特に言語の表示がないものは英語
 "-ician"は「人」の意味のフランス語由来の接尾辞
 "-ist"は「人」の意味のGr"-istes"・La"-ista"由来の接尾辞
 "-logy"はGr「logia=学問」由来の接尾辞
 "-ics"はGr「ikos=技術・学問」由来の接尾辞
 "-iatric/-iatry"はGr「iatreia=治療/治癒」・「iatros=医者」由来の接尾辞
 "-tomy"はGr「tomia/tome=切ること/切断/切開」由来の接尾辞
 "med-"は「適切な処置・治療/治癒」の意味の印欧祖語由来の語根
 "ped-"はGr「pais/pedo=子供」由来の語根

①診療科(部門)・科目の大きな分類:"medicine"も"surgery"もやや特殊
 医: medicine(La「medicina=治療法/治癒術」:"med-")
 医: physician, doctor (medical doctor)      医も定着
 内: medicine (internal medicine)
 内科医:physician (La「physica=自然科学」), internist (「internal=内の」)
 外: surgery(Gr「kheirourgia」: 「kheir=手」+「ergon=仕事/技術」)
 外科医:surgeon

②診療科・科目名の細かい分類
 1. 語尾が"-ology"から"-ologist"に変化
 循環器: cardiologyGr「kardia=心臓」)  循環器・心臓()も可
 循環器科医 cardiologist      循環器専門医・心臓()学者/専門医も可
 皮膚:  dermatologyGr「darmat=皮膚」) 皮膚病学・皮膚科学も可
 皮膚科医: dermatologist        皮膚病学者・(皮膚科学者)も可
 消化器: gastroenterologyGr「gastro=胃」+Gr「enteron=腸」)
                  消化器内科/()・胃腸/()も可
 消化器: gastroenterologist    消化器()学者・胃腸科医/病学者も可
 婦人:  gynecology/gynaecologyGr「gyne=女性」)
 婦人科医: gynecologist/gynaecologist
 眼:   ophthalmologyGr「ophthalmos=目/眼」)
 眼科医:  ophthalmologist
 病理:  pathologyGr「pathos=病む」)
 病理学者: pathologist
 生理:  physiologyGr「physios=自然」)
 生理学者: physiologist
 呼吸器: pulmonologyLa「pulmo=肺」)    呼吸器内科/も可
 呼吸器科医 pulmonologist            呼吸器内科医も可
 心理:  psychologyGr「psyche=精神」)
 心理学者: psychologist
 泌尿器: urologyGr「ouron=urine(尿)」)     泌尿器も可
 泌尿器科医:urologist

 2. 語尾が"-ics"から"-icist/-ist"か"-ician"に変化
 産:  obstetricsLa「obstetricus=産婆/助産師」)  産科学も可
    産婦人も定着(obstetrics and gyn(a)ecology:OB‐GYNと略)
 産科医: obstetrician
 小児: pediatrics("ped-"+"-iatric")       小児科学も可
 小児科医:pediatrician

 3. 語尾が"-y"から"-ist"に変化
 解剖: anatomyGr「ana=up(上/完全に)」+"-tomy")
 解剖学者:anatomist
 精神: psychiatryGr「psyche=精神」+"-iatry")
 精神科医:psychiatrist


◉この問題については、慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生の以下のhellog~英語史ブログ記事もご参照ください。いつもながら大変勉強になります。

etymonlineで検索してみたい方は、こちらからどうぞ。


英語史部分は専門の先生や専門サイトにお任せして、私の得意分野である自然科学の部分について掘り下げてみます。


復習問題1medicine, surgery, pathology, physiology, anatomy
 a. このリストの単語は不可算名詞として使える? 使えるなら意味は?
 b. このリストの単語は可算名詞として使える? 使えるなら意味は?

問題1doctor, physician, surgeon, pathologist, physiologist, anatomist
 a. このリストの単語は不可算名詞として使える? 使えるなら意味は?
 (可算名詞として使えることは当然として)

問題2:日本語「内科」と「外科」の由来は?
 (検索したら皆さんのご想像通りの結果が出るはず)

問題3:診療科(部門)・科目と専門医、それぞれ英語と日本語でどのような規則性があるか、各自で整理して考察

復習問題2:「医師/内科医」"physician"と「物理学者」"physicist"、先に定着したのはどっち? 歴史的にどんな経緯を辿って今の状態に?
※「〜」"-ics"から作られる「〜学者」が"-icist/-ist"と"-ician"の2種類に分かれたのは何故? 今から統一は可能? それとも統一は不要?

問題4:改めて、"phisics"の意味の歴史的な変遷を考察(かなり有名な話)


 今回の記事では、ある程度メジャーな診療科(部門)・科目名と専門医名を選抜してご紹介してみました。専門医名は、不可算可算問題というよりは診療科(部門)・科目名をどう応用する(語尾変化させる)かという問題。様々なパターンで作られている診療科(部門)・科目名をさらに多様な方法で加工して専門医名が作り出されている点について、英語専門家とは違う科学英語ならではの視点をご提供できれば幸いです。

 授業でどこまで解説できるか分かりませんが、あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方は辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。


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