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名詞の不可算・可算(単数・複数)⑨-7:"-ist&-ism"深掘り5[芸術2:音楽](GL借用語/外来語7)[英語史/単語史]

この⑨GL借用語/外来語「"-ist & -ism"深掘り5」は、芸術シリーズの第2弾。今回は「音楽」に限定して接尾辞"-ist & -ism"セットを深掘り。派生語が作られる仕組みの和英比較に加えて、音楽では美術よりも"-ism"の存在感が小さくて"-ist & -ism"セットが成立しにくい点がポイント。いわゆる「借用語」(日本では「外来語」とも)の番外編で、かなりマニアックな応用。名詞の不可算U・可算C(単数S・複数P)問題ではなく、英単語の成り立ちを考え、さらには日本語との違いを再認識する教材としての面白さがお伝えできれば幸いです。

★今回の「"-ist & -ism"深掘り5」は音楽と楽器演奏者を概観

❶ ギリシャ語・ラテン語・その他言語から借用が発生する英語名詞の複雑さ
 接尾辞"-ist"と"-ism"深掘り比較の第5弾(単語の多様さを反映)
 音楽の世界に範囲を広げて"-ist"語をさらにリストアップ("-ism"少なめ)
❷ 英語の派生語の複雑さ:語源が共通の"-ist"と"-ism"の原則と例外
 
語源が共通の"-ism"とセットで様々な"-ist"を分類・整理
 原則["-ism"&"-ist"ペア成立]と例外[ペア不成立]の混在をさらに検証
  
今回は、"-ism"とのセットではない"-ist"の例を数多くご紹介
❸ 新しい単語はどうやって作られる?:英単語の造語法を検証
 単語を作る部品の最小単位の和英比較
  英語アルファベット(単独では原則意味を持たない文字)
   意味を持つのは1〜数文字で構成される接辞(接頭辞・接尾辞)・語根
  日本語漢字(単独で意味を持つ文字:世界的には例外)
   原則として1文字でも意味を有する漢字を活用して分類・整理
❹ 芸術2「音楽」:楽器と演奏者の関係がメイン
 美術とは違い、音楽では"-ism"の存在感が小さめ
❺ 語彙力と教養は比例する?:単語の理解には背景の理解が不可欠
 ⑨-6「美術」と⑨-7「音楽」では美術(史)と音楽(史)の理解が鍵

※今回は"-ism"とセットにしにくい音楽関連の"-ist"を深掘り。語尾の違いで様々な派生語を作り出す英語の仕組みや単語変遷の歴史を辿るお手伝いができれば幸いです。
※辞書によって単語を掲載する基準や和訳の選択肢が違うようなので、ぜひ様々な辞書を引き比べする習慣をつけてください。(英英ならBritannica DictionaryMerriam-Webster、英和・和英ならWeblio英辞郎など)
※ふだん主に理系の学生に科学英語を教えている関係で、文法的に難しい項目を英語専攻ではない学生にどう説明するかということに日々心を砕いております。そうした工夫が伝われば幸いです。

この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。


★主義(経済体制&政治体制)・宗教・思想信条(哲学・主義主張)

◉芸術を追加:美術と音楽
 美術の多様性:絵画・彫刻などの表現方法、様式・流派の違いなど
  美術では運動・様式(主義・思想・哲学)が重要
 音楽の多様性:音楽の種類(ジャンル)、様式・流派、楽器の違いなど
  音楽では楽器[道具]と演奏者が重要

復習問題(⑨-3,4記事から抜粋):英語の語尾"-ist"の分類・整理(和英比較も)
  artist, guitarist, pianist, violinist
 a. このリストの語群を、語尾が"-ist"から"-ism"に変わっても単語として成立するもの(=辞書に掲載)と成立しないものに分類
※ここに抜粋した語群はいずれも"-ism"に変えると単語として不成立(=辞書に非掲載)

⑦-1 音楽のジャンル(様式・流派という見方も可能)
  a. クラシック音楽:ほぼ非"-ism & -ist"
  クラシック音楽:classical music
  ルネサンス音楽:Renaissance music
  バロック音楽:baroque music
  ロマン派音楽:romantic music
  現代音楽:contemporary classical music
※基本は"[ジャンル]  music"

  b. クラシック音楽:部分的"-ism & -ist"
  印象主義音楽:impressionism in music (impressionist music)
  新古典主義音楽:neoclassicism in music / neoclassical music

  c. クラシック音楽以外非"-ism & -ist"
  ポップス/ポピュラー音楽:popular music
  邦:Japanese music
  洋:Western music
  民族音楽:folk music / ethnic music
  ジャズ:jazz
  ロック:rock (rock music)
  ブルース:blues
  ヘヴィメタル:heavy metal
※基本は"[ジャンル]  (music)":おそらく"-ism"は皆無(探せばある?)

⑦-2 音楽家(楽器と演奏者):楽器[道具]があって初めて演奏が可能
  a. "-ist"だが非"-ism"
  pianist:ピアノ奏者/ピアニスト
  organist:オルガン奏者
  violinist:バイオリン奏者/バイオリニスト
  guitarist:ギタリスト/ギター奏者
  cellist:チェロ奏者/チェリスト
  bassist:バス奏者/ベーシスト
  contrabassist:コントラバス奏者
  harpist:ハープ奏者
  saxophonist:サクソフォーン奏者
  flutist/flautist:フルート奏者
  mandolinist:マンドリン奏者
  bassoonist:ファゴット(伊・独語)奏者(英語は仏語「バソン」由来)
  accordionist:アコーディオン奏者
  timpanist:ティンパニ(ー)奏者
  lutenist/lutanist/lutist:リュート奏者(スペルが3通りも) 
  clarinetist/clarinettist:クラリネット奏者("clarinet player"もアリ)
  tubaist/tubist:チューバ奏者("tuba player"もアリ)
  violist:ビオラ奏者("viola player"もアリ)
  trombonist:トロンボーン奏者("trombone player"もアリ)
※"[楽器名]-ist"という造語が一般的:楽器[道具]が先で演奏者[使い手]は後

  b. 他の音楽家(楽器演奏者)の例
  drummer:ドラム奏者/ドラマー/鼓手
  horn player:ホルン奏者
  trumpeter:トランペット奏者
※"[楽器名]-er"という造語や"[楽器名]  player"という複合語も
※musician:音楽家、composer:作曲家、instrumentalist:器楽奏者、performer:演奏者、等の表現も

  問題1:"-ist"単語に対応する"-ism"単語の例外
 「オルガン奏者」は"organist"、では"organism"はどういう意味?

  問題2:英語ではどう表現?
 a. 「オーボエ」は"oboe"、では「オーボエ奏者」の英訳は?
 b. 「リコーダー」は"recorder"、では「リコーダー奏者」の英訳は?

  問題3:確立した単語か言葉遊びか?(和英比較)
 a. 「ピアニズム」、「バイオリニズム」、「ギタリズム」は辞書に載っている?
 b. 「ピアニズム」、「バイオリニズム」、「ギタリズム」がアリなら意味は?
 c. 「ピアニズム」、「バイオリニズム」、「ギタリズム」を英訳できる?
   (その単語は英語の辞書に載っている?)
 d. 英語で「ピアニズム」、「バイオリニズム」、「ギタリズム」のスペルは?
   (辞書に非掲載の場合は自己流で)

  問題4:楽器演奏者における"-ist"対"-er"問題
 a. 「ホルン奏者」の英訳として"hornist" はアリかナシか? それはなぜ?
 b. "drummist", "trumpetist" はアリかナシか? それはなぜ?
 c. "trumpeter"に対して"trumpet player" はアリかナシか? それはなぜ?
 d. "guitarist"に対して"guitar player" はアリかナシか? それはなぜ?


◉以前の記事でご紹介した①〜⑥の復習
 "-ism & -ist"型の経済体制
  ~主義/~主義者
  
資本主義:capitalism/capitalist(capitalistは資本家とも)
  共産主義:communism/communist(経済&統治の仕組み)
  
社会主義:socialism/socialist
※日本人も理解しやすい原則通りの「~(イ)ズム[主義]」と「~(イ)スト[主義者]」

②-1 "-ism & -ist"
型の政治体制/統治体制
  ~主義/~主義者
(一部、~()ズム/~()ストも)
  帝国主義:imperialism/ imperialist(imperialismは帝政とも)
※同じく、原則通りの「~(イ)ズム[主義]」と「~(イ)スト[主義者]」

②-2 非"-ism & -ist"型の政治体制(片方または両方が例外
  ~主義/~主義者(一部、~()ズム/~()ストに加えて別表現も)
  民主主義:democracy/democrat(両方非"-ism & -ist"型)
  共和主義:republicanism/republican("-ismだが非-ist"型)
  保守主義:conservatism/conservative("-ismだが非-ist"型)
  自由主義:liberalism/liberal    ("-ismだが非-ist"型)
  全体主義:totalitarianism/totalitarian("-ismだが非-ist"型)

③-1 "-ism & -ist"型の宗教
  ~教/~教徒
  仏教/教徒:Buddhism/Buddhist
※原則通りの「~(イ)ズム[主義/教]」と「~(イ)スト[主義者/教徒]」
※意外と少ないことに驚き

③-2 非"-ism & -ist"型の宗教(片方または両方が例外
  ~教/~教徒(教信者)
  ユダヤ: Judaism
  ユダヤ教徒:Jew (民族宗教ならでは), Judaist (非掲載の英英辞典も)
  ヒンドゥー: Hinduism
  ヒンドゥー教徒:Hindu (稀に"Hindoo"とも)
  キリスト: Christianity
  キリスト教徒:Christian
  カトリック: Catholicism(旧とも)
  カトリック教徒:Catholic      (旧教徒とも)
  新: Protestantism(プロテスタンティズムとも)
  新教徒:Protestant(プロテスタントとも)
  イスラム: Islam(昔は回・マホメットとも)
  イスラム教徒:Muslim(ムスリム、昔は回教徒・マホメット教徒とも)
  (moslem:英英辞典では"sometimes offensive, should be avoided")

④-1 "-ism & -ist"型の思想信条(哲学・主義主張)
  a. ~主義/~主義者(一部、~()ズム/~()ストも)
  理想主義:idealism/idealist(観念論(者)とも)
  
現実主義:realism/realist(写実主義(者)、リアリズムとも:リアリストは稀)
  個人主義:individualism/individualist
  実存主義:existentialism/existentialist
  伝統主義:traditionalism/traditionalist
  合理主義:rationalism/rationalist
  
楽観主義:optimism/optimist
  
悲観主義:pessimism/pessimist
  日和見主義:opportunism/opportunist(御都合主義(者)とも)
  男女同権主義:feminism/feminist(フェミニズム/フェミニストとも)
  利己主義: egoism/egoist(エゴイズム/エゴイストとも)
  平和主義: pacifism/pacifist
  完璧主義: perfectionism/perfectionist
  孤立主義: isolationism/isolationist
  経験主義: empiricism/empiricist
  国家主義: nationalism/nationalist
  
(民族(自決)主義(者)、国粋主義(者)、愛国心とも)
※原則通りの「~(イ)ズム[主義/教]」と「~(イ)スト[主義者/教徒]」

  b. ~論/~論者(日本語は「論」と「主義」を区別:違いが曖昧な場合も)
  唯物: materialism/materialist(物質主義(者)/唯物主義(者)とも)
  観念: idealism/idealist(理想主義(者)とも)
  
二元: dualism/dualist(シンプルな単語なので他の意味も)
  運命: fatalism/fatalist
  無神: atheism/atheist
  有神: theism/theist
  一神: monotheism/monotheist(一神教(徒・信者)とも)
  多神: polytheism/polytheist(多神教(徒・信者)とも)

  c. ~差別(主義)/~差別(主義)者(日本語は「主義」がない「差別」だけで通用)
  (一部、~()ズム/~()ストも)
  人種差別(主義):  racism主義不要)
  人種差別主義者:racist  (主義は必要)
  性差別(主義):  sexism主義不要、セクシズムとも)
  性差別主義者:sexist  (主義は必要:セクシストは稀)
  年齢差別:ageism主義は余計? エイジズムとも)
※"ageist"は非掲載の英英辞典も、日本語「年齢差別主義者・エイジスト」は稀
※ギリシャ文明の時代にはなかった概念・単語も含まれているはず
※原則通りの「~(イ)ズム[主義/教/論]」と「~(イ)スト[主義者/教徒/論者]」
※「差別」を入れるのは日本語ならでは(英語とは違う分類・整理法)

④-2 非"-ism & -ist"型の思想信条(哲学・主義主張)(片方または両方が例外
  ~主義/~主義者
  功利主義: utilitarianism/utilitarian
  懐疑主義: skepticism/skeptic

④-3 分類が難しい単語を追加
  a. ~主義/~主義者(日本語で「主義(者)」とは訳しにくい"-ism", "-ist")
  行動主義:activism
  活動家: activist(行動主義者とも)
  過激思想:extremism(過激主義とも)
  過激: extremist  (過激主義者とも)
  テロリズム:terrorism(和訳するなら「恐怖主義」?)
  テロリスト:terrorist
  ファシズム:fascism(和訳するなら「結束主義」?)
  
ファシスト:fascist

  b. ~論/~論者
  進化:theory of evolution, evolution(ary) theory
  進化生物学"evolutionary biology":学問としては生物学の一部門
  進化論者:evolutionist(進化生物学者"evolutionary biologist")
  創造: creationism(通常は進化論との対比で分類・整理)
  創造論者:creationist
※「論」vs「学」:進化ではなく進化と呼ぶのは昔の名残り?

⑤ 学者名語尾"-ist"は、"-ism"非対応が逆に標準(理由は自明)
 「⑨-2」記事復習:学者名語尾"-ist"のペア相手は主に"-logy"等
  改めて言うまでもなく"-ist & -ism"の原則から外れた例外
 通常は「〜学」が先で「〜学者」が後に造語という順番
  英語も原則として「〜学」と「〜主義/教/論」は単語で明確に区別

⑥ 芸術運動(art movement)や芸術様式(art style)
 "-ism & -ist"型の「~主義/~主義者」が原則、「~()ズム/~()スト」も
  芸術には主義(思想・哲学)が重要:ないと芸術運動様式とは呼べない?
 一方で、全く異なる例外
(かなり雑な分類ですが、美術史は専門ではないのでご容赦ください)
  a. 近世美術
  ルネサンス:Renaissance(仏語由来の非"-ist/-ism"語
  b. 近代美術
  ロマン主義:romanticism/romanticist
  新古典主義:neoclassicism/neoclassicist, Neoclassicism/Neoclassicist
  写実主義:realism/realist(写実、リアリズムとも:リアリストは稀)
  (④-1 "-ism & -ist"型の思想信条(哲学・主義主張)では、現実主義とも)
  ジャポニスム/ジャポニスム:Japanism(音は仏語"Japonism"から)
  ("Japanist"や"Japonist"は単語として普通使われず辞書にも不掲載)
  印象:impressionism/impressionist(印象主義とも)
  耽美主義:estheticism/aestheticism(唯美主義/審美主義とも)
  esthete/aesthete:唯美主義者/審美主義者
  esthetics/aesthetics:美(美の本質を追究する哲学)、美容
  esthetician/aesthetician:美学者、エステティシャン/美顔術師
  (意味が多様に分化:美/美しさの意味が多様だから?)
  象徴主義:symbolism/symbolist(象徴とも)
  アール・ヌーヴォー:art nouveau(仏語由来の非"-ist/-ism"語
  (Art Nouveau:最初のアルファベットを大文字化することも)
  c. 現代美術
  フォービスム:fauvism/fauvist, Fauvism/Fauvist
  (野獣/野獣主義とも)
  キュビスム:cubism/cubist, Cubism/Cubist(立体とも)
  抽象芸術:abstract art / abstract artist
  (abstractionism/abstractionistは稀)
  未来:futurism/futurist, Futurism/Futurist
  表現主義:expressionism/expressionist
  ダダイスム:Dada,Dadaism/Dadaist(ダダイズム/ダダ主義/ダダとも)
  エコール・ド・パリ(パリ):School of Paris(非"-ist/-ism"語
  (仏語"École de Paris"を日本語はカタカナで音再現、英語は英訳)
  ("school"は「メダカの学校」←"a school of fish"←「メダカの群れ」)
  シュールレアリズム/シュルレアリスム:surrealism/surrealist(超現実主義とも)
  アール・デコ:Art Déco(仏語由来の非"-ist/-ism"語
  (仏語"Arts décoratifs"(装飾美術)の短縮版)
  アヴァンギャルド:avant-garde(仏語由来の非"-ist/-ism"語
  ロシア構成主義:constructivism/constructivist
  バウハウス:Bauhaus(独語由来の非"-ist/-ism"語
  ポップ・アート:pop art / pop artist
  モダニズム:modernism/modernist(近代主義/現代主義とも)
  モダンアート/近代美術:modern art / modern artist

※他にも美術史を飾る哲学・主義主張・運動・様式・流派は数多くあるので、気になる方は各自で検索・検証してみてください。


 「"-ist & -ism"深掘り5」記事でも、前回に引き続き芸術用語(今回は音楽関連)という例外的な語群について詳しくご紹介。英語と日本語の対比という視点に、新しい単語を造語するのは英語だけでなく日本語でも難しいという視点を加えて、この2つの接尾辞をセットで理解することの重要性(とその限界)をお伝えできていれば幸いです。

 授業では時間の関係でどこまで解説できるか分かりませんが、あちこちにヒントを散りばめてあるので、ぜひ辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。


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