名詞の不可算・可算(単数・複数)⑨-3:"-ist&-ism"深掘り1(GL借用語/外来語3)[英語史/単語史]
副題:可算不可算の理想と現実(英文法の理想と現実)
名詞の不可算・可算(単数・複数)[UC(SP)]の深掘り
この⑨GL借用語/外来語「"-ist & -ism"深掘り1」では、前回の「学者名1」で取り扱った接尾辞"-ist"をもう一度深掘り(同時に、深い関連がある接尾辞"-ism"との比較も)。学問名から学者名を作り出すという前回の視点から一度離れて、ギリシャ語由来の接尾辞"-ist"の語源にも遡って英語の派生語の仕組み(≒接尾辞の使い分け)について考えてもらいたいと思います。いわゆる「借用語」(日本では「外来語」とも表現)のさらなる応用であると同時に、原点回帰とも言える内容(ギリシャ語回帰という意味ではなく、あくまで英語の範囲内での原点回帰という意味です、念のため)。名詞の不可算U・可算C(単数S・複数P)問題という意味では「原則として接尾辞"-ist"がつく単語は人を表すので単複変化する可算名詞」で説明が終わってしまいそうですが、今回の記事で重要なのはそこではありません。英単語の成り立ちを考える(そして日本語との違いを再認識する)教材としての面白さがお伝えできれば幸いです。
★今回の「"-ist & -ism"深掘り1」:検証内容
❶ ギリシャ語・ラテン語・その他言語から借用が発生する英語名詞の複雑さ
今回は接尾辞"-ist"と"-ism"深掘り比較の第1弾:主に原則のご紹介
❷ 英語の派生語の難しさ:"-ist"と"-ism"は語源が共通の仲間
語源が共通の"-ism"とセットで様々な"-ist"を分類・整理
原則と例外が混在する点を実例で検証
❸ 新しい単語はどうやって作られる?:英単語の造語法を検証
単語を作る部品の最小単位の和英比較
英語はアルファベット(単独では原則意味を持たない文字)
意味を持つのは1〜数文字で構成される接辞(接頭辞・接尾辞)・語根
日本語は漢字(単独で意味を持つ文字:世界的には例外)
1文字で意味を伝えられる漢字を使って簡便な分類・整理が可能
※前回の「学者」に引き続き"-ist"の深掘り(加えて"-ism"の深掘りも)。今回は「主義者」の意味になる単語例を多く取り扱います。改めて、語尾の違いで様々な派生語が作り出される英語の仕組みや単語変遷の歴史を辿ることができる興味深い教材です。
※ふだん主に理系の学生に科学英語を教えている関係で、文法的に難しい項目を英語専攻ではない学生にどう説明するかということに日々心を砕いております。そうした工夫が伝われば幸いです。
この記事に対するコメントは不要です。ご質問はUNIPAのQ&Aからお願いします。
ある程度の予備知識が必要ですので、まず英語史部分については以下の専門サイトや専門家による記事をご参照ください。
★接尾辞"-ist"と"-ism":語源が共通なのがポイント(スペルからほぼ自明ですが)
★接尾辞"-ism"が単語として独立
etymonlineによると、接尾辞"-ism"が独立単語"ism"として使われるようになったのは1670年代だそうで、和訳は「教義/教理、主義、学説/理論、イズム/芸術様式」など。いずれも接尾辞"-ism"の主要な用法(主要でない用法との区別を意識してもらえるキッカケになれば幸いです)。
◉この問題の学術的な説明については慶應義塾大学文学部の堀田隆一先生の以下のhellog~英語史ブログ記事もご参照ください(毎回勝手に引用させていただいて大変恐縮です)。
今回の検証内容に関連する問題演習
問題1:英語の語尾"-ist"の分類・整理(和英比較も)
artist, bicyclist/cyclist, biologist, Buddhist, Darwinist, geologist, guitarist, hairstylist, hygienist, idealist, novelist, optimist, pessimist, populist, purist, typist, violinist
a. このリストの語群を、語尾が"-ist"から"-ism"に変わっても単語として成立するもの(=辞書に掲載)と成立しないものに分類
b. 語尾を"-ism"に変えても成立する単語を和訳して語尾を和英比較:カテゴリー分類にはどっちが便利?
補足:私がよく引用する Britannica Dictionary は基準が厳しいようで、疑わしい単語を載せない傾向があります。ぜひ他の辞書とも比較してみてください。
◉以下の Britannica Dictionary で、"-ist"の様々な意味が"-ism"と関連がある項目とない項目の2つにさり気なく分類されている点をご確認ください(それでも多様な意味を全て把握するのは困難)。
問題2:「~主義」 = "-ism"(原則と例外)
民主主義、全体主義、資本主義、共産主義、社会主義、帝国主義、保守主義、共和主義、自由主義
a. このリストの語群を英訳
「民主主義」の英訳語尾が"-ism"ではない理由を考察(正解はないかも)
b. "nationalism"を和訳:個人的に一番適切だと思う和訳は?
c. "racism"と"sexism"を和訳:「人種主義」、「性(別)主義」ではダメ?
d. 上記「~主義」リストの英訳語尾が"-ism"のものを"-ist"に変えて「~主義者」を意味する単語として成立するもの(=辞書に掲載)としないもの(あっても別表現が主流)に分類
e. dで成立しなかった語について該当の「~主義者」を意味する単語を記述
※和英それぞれに例外的な表現が存在し、原則通りのシンプルな整理は意外と困難
◉"-ist"と同様に、"-ism"についても意味が多様すぎて全て把握するのに苦労するはず(以下の Britannica Dictionary をご参照ください)。
今回の「"-ist & -ism"深掘り1」記事では、あまり細かい点に拘らず導入的な内容をご紹介。「不可算・可算(単数・複数)の理想と現実」問題と言う意味では「人を表す典型的な可算名詞」ですが、語源("-ism"との関連)や意味によるカテゴリー分類など考察すべき重要な点が別にあることがお伝えできていれば幸いです。
授業では時間の関係でどこまで解説できるか分かりませんが、あちこちにヒントを散りばめてあるので、非受講生の方も辞書を引いたり自分で調べたりして考察してみてください。
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