三題噺ショートショートvol.48_貼り紙
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「貼り紙」まいりましょうか。

透は甘党で。飲み物はいつも果汁100%だった。
あの日もオレンジジュースのパックを飲み干して言い放った。
「布教活動だな!」
俺達は最高のバッテリーだった。お調子者の透が、バンバン速球を決める。俺がその、ノーコンの球を何とか後逸せずに取り切る。
いつも、そこから俺達の野球は、始まっていた。
入学したときには、9人だったが、3年生が卒業してからここ2年間、俺達2人だけだった。
春休みの前、顧問の田中も少し寂しそうに言った。
「この春新入生が入らないと、自然消滅だぞ」
入学式も、オリエンテーリングの部活紹介も、ビラ配りも、直接の勧誘も。精一杯やった。やり切った。
夏。
二年連続で近隣の高校三校で合同チームを結成。俺達2人は外野で出場して。にわか作りのチームは最初で最後の公式試合を終えた。
そろそろ夏期講習も始まる。
今はもう、誰の声も聞こえなくなってしまった部室の扉には、一枚の紙が貼り付けてある。
「長らくのご愛顧ありがとうございました」

そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、48作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

