三題噺ショートショートvol.50_木っ端微塵
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「ミステイク」まいりましょうか。

肇は、高2の夏から入部してきた。
それまでは柔道部で。県大会で準優勝を獲得し。将来を嘱望されていたにも関わらず。
彼の目は、世界一を目指していて。中量級では無理だと判断したという。
夏、県内屈指の強豪校との交流試合があった。肇ひとり気を吐き。4安打を放った。
所詮は2軍投手相手だったが。
試合が終わると肇は、テトリスをやりまくる。これが一番集中でき、アイデアを生むという。
その日もブルペンで肩慣らしをしていた主戦投手の攻略法を編み出して言った。
「フォーシームを狙い撃ちだ!」
果たして早春のある日、その強豪校との試合が組まれた。
肇は1番で出て。いきなり先頭打者ホームランを放った。
一巡して肇の打順となったとき、ブルペンからエースが投入された。
彼は不敵な笑いを湛え、余裕綽々マウンドに登り。盤石の剛速球を投げ込んできた。
春一番の逆風を切り裂いたボールはバックスクリーンを遥かに超え、場外に消えた。
肇は今、MLBで主軸を任されている。

そんなこんなを家内に語ろうとして後ろを振り向くと、空のソファーが、静かに笑っていた。
先日から家内は、あるプロジェクトで、都心のホテルに泊まり込んでいる。
シーンとした部屋の空気に、なんだか、心が追いつかない。
今宵もマッサー(注1)は、無い。
昼間のやりとりからすると、家内は、元気なようである。
家内が元気だと、我が家は、明るくて平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、50作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書いたは書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
お題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

