『美山考』総合目次【260811】
はじめに
会社を定年退職した頃から古代史への興味が数十年ぶりに再燃し、近隣各地で開催される古代史セミナーを見つけては聴講していた。そんな折の 二〇二三年十二月末、京都府亀岡市のガレリアかめおかで開催された古代史セミナーの聴講により、「丹波国桑田郡」に多くの古墳があることを知った。
それをきっかけに「丹波国桑田郡」の先史・古代史に興味をもつようになり、近隣各地の博物館見学や図書館での郷土誌等の閲覧を続けることで、古墳や遺跡が集中して存在する地域とそこから出土した遺物について少しばかりの知識を得ることができたと同時に、南丹市美山町が古墳や遺物の空白地帯であることに気付くことになった。その一方、美山町の道の駅 ふれあい広場を訪れた際、ビレッジセンターでたまたま手に取った小冊子「美山伝承の旅」で、町内各地域に古代にまで遡る様々な伝承があることを知った。
思い返せば美山町の、春夏秋冬の美しい山里風景に心惹かれ、折に触れて訪れるようになってから三十数年が経った。今も神楽坂トンネルを抜け美山町の風景が目に入ってくると、毎回心に和らぎを感じている。
上記のような背景もあったことから、当地の歴史や風土について知ることができれば、これまで目に留まらなかった、或いは知らなかった新しい発見をするよいきっかけになり、当地を訪れる楽しみが更に増すのではないかと思い、美山町の地域史について考察を試みることにした。
その考察を進める過程で、一三〇ヶ所余りもある神社・寺院の現地探索、数百年の伝統をもつ行事(祭り)の見学、美山図書室でのみ蔵書されている資料の閲覧、周辺博物館・遺跡の見学など、できる限り現地を訪れるようにして、そこで見たこと、知ったこと、疑問に思ったことや、文献調査で得たことは、『美山考』 - 南丹市美山町の地域史についての考察 - と題して本書に記録し、見学した行事(祭り)の当日の様子については、『美山の祭り』として、それぞれ note で適宜公開するサイクルを回していくことにした。
ただ、考察を始めて一年ほど経過した頃から、自習だけでは知ることに限りがあることを感じ始め、美山町の郷土史に詳しい方から直接お話を伺う機会があれば・・・と思っていたところ、同町文化財の保存活動をされている会の方々と交流の場を設けていただけることになった。
二〇二六年四月十日、芦生わさび祭りに参列した後、鶴ケ岡某所にて開催された同会コアメンバ三名の方々との座談会により、本考察を進める上でたいへん参考になるアドバイスをいただくことができた。本会の開催にご尽力くださった関係各位に感謝する次第である。そこで得られた課題については順次考察を進め、本書に適宜追記・改訂していくこととしたい。
今を、そしてこれからも活き続ける美山町の歴史と風土の魅力が、私のみならず、少しでも多くの人たちに伝わる一助になることを願ってこの考察と発信を続け、(そう遠くない?)将来、車やバイクを自力で運転して訪れることが叶わなくなる頃、ひとつの冊子にまとめて完結させ、本考察でお世話になった方々に配布するところまでを当面のライフワーク(夢かも?)のひとつにして取り組んでいきたいと思っている。
尚、本書の関連資料「別表A 参考文献」「別表B 美山地域の沿革」「別表C 秦・川勝氏系譜」についは、note 「資料ダウンロード」に掲載しているので、適宜ダウンロードして参照されたい。
noteマガジン:
行動録
『美山考』に関連する現地探索、資料調査等の記録。
改訂履歴 【260811】
直近の改訂は次の通り。
2026.08.11 改訂:
資料ダウンロード
『美山考』PDF版を 2026年8月11日改訂版 に差し替え。
第五章 中世
「南北朝・室町期」節を新設し、史料と考察を追記
第九章 神社と寺院
図9-1 寺院宗派の分布 を新設し、その考察を追記
神社・寺院の写真配置を各タイトルの直後に変更
2030T1 宝泉寺 由緒等を追記
5031T2 正法寺 由緒等に本像寺を由緒を追記
資料ダウンロード 【260811】
『美山考』PDF版 【260811】
別表A 参考文献
別表B 美山地域の沿革
別表C 秦・川勝氏系図
第1章 文献
表1-1. 主な郷土誌の抜粋
第2章 丹波国
今後の考察課題
・日本書紀・古事記・風土記における、渡来人伝承(ツノガノアラシト、アメノヒボコ、タジマモリ等)と丹波国の関わり
→【260601】改訂にて追記
第3章 桑田郡
表3-1. 郷と推定地域
図3-1. 郷の推定地域
第4章 沿革
別表B 美山地域の沿革(地名、戸数、禁裏御料、神社・氏子、寺院・檀家、行事、遺跡・史跡等、古代、中世、近世、明治初頭、明治3〈1870〉年以降)
表4-2. 明治以降の主な沿革
今後の考察課題
・大野ダム建設前後の変化と沿革
第5章 中世 【260811】
今後の考察課題
・丹波国とその周辺国に関する古文書の時系列化による動向把握
・主な戦乱と美山町域の関係
・美山町域における荘園支配の動向
・知井地区 公文の役割と事績
・大野地区 松平氏の系譜と事績
※今後の考察課題を実践するにあたり、史料の読み解きが長期間に渡りそうなため、考察を終えたものから順次追記、改訂していくこととする。PDF版 『美山考』 第5章 中世 については、ある程度考察が進んだ時点でまとめて追記、改訂する。
第6章 近世
表6-1. 明治初期(廃藩置県前)時点における領主と所領の石高
図6-1. 藩領図
1. 園部藩
2. 篠山藩
今後の考察課題
・美山町域における園部藩と篠山藩の統治手法とその差異
・園部藩領と篠山藩領の時系列図化とそこから読み取る水源との関係
第7章 境界
図7-1. 美山町西地域の集落境界と行政境界
図7-2. 美山町東地域の集落境界と行政境界
図7-3. 鶴ケ岡地区周辺の集落境界と行政境界
図7-4. 大野地区・宮島地区周辺の集落境界と行政境界
図7-5. 下吉田地区の集落境界と行政境界
第8章 地名
図8-1. 元禄国絵図 丹波国より美山町域を抜粋
1. 新字(あざ)明(≒旧小字)
2. 田歌
3. 知見
今後の考察課題
・名田庄小倉 知見出雲守と美山町知見の関係
第9章 神社と寺院 【260811】
表9-1. 神社・寺院一覧
今後の考察課題
・主な仏教宗派(真言宗、日蓮宗、曹洞宗、浄土真宗等)の動向と美山町域寺院への影響
・大原神社の樫原から三和町への遷座の視点から樫原地区と天田郡の関係性
01 福居(山森・熊壁・脇・庄田)
1011S2 稲荷神社、1012S1 八坂神社、1012T1 白峯寺、1013X1 天神、1013X2 毘沙門天
02 豊郷(洞・名島・神谷・松尾)
1021S2 八坂神社、1023S1 八坂神社、1024S1 琴平神社、1024S2 鈴波神社、1024T1 成願寺(中風寺)、1023T1 中風寺奥之院(水子寺)
03 盛郷(田土・上吉田・林)
1033S1-1 祇園神社、1033S1-2 稲荷神社、1033S1-3 三宝荒神、1033S1-4 山王神社、1033T1 総寺院、1033X1 山水寺薬師堂、1034S1 天満宮、1034S2 明森八幡宮、1034X1 観音堂
04 鶴ケ岡(船津・川合・殿・棚)
1042S1 諏訪神社、1042S1-1 八幡神社、1043S1 玉森稲荷神社、1043T1 法明寺、1044T1 最尊寺
05 高野(砂木・栃原・今宮)
1051T1 唯然寺、1052S1 天満宮、1053S2 今宮稲荷神社、
06 大野A 樫原・向山・小渕・音海・肱谷【260811】
2010S1 大原神社、2010S1-1 川上神社、2010S1-2 金毘羅宮、2010S1-3 五社神社、2010S1-4 伊勢神宮遥拝所、2010S1-5 大山祇神社、2010T1 永照寺、2020S1 瀧神社、2030T1 宝泉寺、2050S1 八幡神社(大明神)
07 大野B 三埜(川谷・岩江戸)・大野・萱野
2061S1 菅原神社、2063S2 本宮神社、2070S1 天満宮、2070T1 林昌寺、2070T2 蓮乗寺、
08 宮島A 上司・長谷・和泉・静原・島・下吉田
3020S1 聖真院権現、3020S2 武田神社、3020S3 道寛稲荷神社、3020X1 小堂(七体石地蔵)、3020X2 小堂(地蔵)、3021S1 愛宕神社、3021S2 恵比寿神社、3021T1 泉龍寺、3022S1 妙見宮、3022T1 蓮華寺、3041S1 菅原神社、3041T1 光照寺、3042S1 八幡神社、3042T1 歓楽寺、3050S1 稲荷神社、3050S2 稲荷神社、3050T1 岩栖寺、3050T2 正願寺、3060S1 八幡神社、3060T1 頓乗寺、
09 宮島B 宮脇・板橋・原
3070S1 道相神社、3070S1-1 三吉神社、3070S1-2 若宮神社、3070S1-3 榧森社、3070T1 玉泉寺、3080T1 遍照寺、3090S1(鳥居)、3090T1 放光寺、3090X1 小堂
10 平屋 上平屋・下平屋・又林・長尾・安掛・野添・深見・荒倉・内久保
4010T1 教誓寺、4010T2 平林寺、4020T1 西乗寺、4050T1 正覚寺、4060S1 妙見神社、4060T1 深見寺、4070S1 八幡大明神
11 知井A 北・南・知見・下・中【260811】
5010S1 八幡神社、5010S1-1 天満宮、5010S1-2 八坂神社、5010S2 諏訪神社(津本社)、5010S3 北稲荷神社、5010S4 鎌倉神社(勝山神社)、5010T1 普明寺、5031S1 八幡宮、5031T1 本妙寺、5031T2 正法寺、5040S1 八幡宮、5040T1 心蓮寺
12 知井B 河内谷・江和・田歌
5050S2 河合神社(蔵王神社)、5060T1 昌徳寺、5060T2 山門(旧昌徳寺跡か)、5060X1 門坊寺(聞法寺)跡、5080S1 八坂神社、5080T1 洞雲寺
13 知井C 芦生・白石・佐々里
5090S1 熊野権現神社、5110S1 八幡宮、5110T1 最勝寺
第10章 行事と食文化
暮らしの歳時記:一月~十二月の行事と食文化
行事の記録
今後の考察課題
・ヒヤリングと現地見学による現況記録
・棚野の千両祭 風流踊りの起源と様式
第11章 伝承と人物
表11-1 「美山伝承の旅」と関連事項 美山伝承の旅
1. 丹波道主命
2. 木梨軽皇子
3. 慶能法師
4. 香賀三郎(甲賀三郎)
1) 鶴ケ岡
2) 知井
3) 佐々里
5. 蓮如上人
6. 大久保権太郎
7. 濱源吾
8. 文字権左衛門
9. 川勝光照
1)秦氏系譜
2)秦・川勝氏系譜
3)下田・川勝氏系譜
第12章 遺跡
図12-1 美山町域の遺跡と城跡
1. 石器等の遺物
2. 吹山古墳
3. 嶋古墳
4. 神ヶ迫古墳
5. 殿城
6. 乾城
7. 今宮城
8. 中村(中山)城
9. 島城
10. 松山城
11. 紫摩城
12. 下村城
第13章 峠と街道
図13-1 美山町域の峠と主な道
表13-1 峠と道
今後の考察課題
・各峠を通る街道ルートとその社会的役割
あとがき
本考察は、美山地域に古代遺跡が発見されていないのは何故だろう、きっと古代から住んでいた人たちの遺跡が眠っているはず、その痕跡を探ってみよう、ということからスタートしたのだが、古代遺跡について調べていると、それ以外のことであれもこれも気になりだして美山町の地域史そのものに興味が広がった。
ただ、自分で新たな論説を展開する見識はないため、先人たちが残した資料を参考に、興味が惹かれたことを参考にして本紙にまとめることに留まったが、それでも美山町の地域史の一端を知ることができたように思う。
本考察を通じて、美山町の各地域には神社や寺院、史蹟など多数の有形文化があり、その数以上の伝統行事や伝承などの無形文化が連綿と引き継がれていることを知った。
美山町の自然と風土は、その両方を守る人たちの手によって保たれているのだということに、改めて気付くことにもなった。
また、都市とその周辺地域では開発事業の前工程として遺跡の発掘調査がしばしば行われ、遺跡発掘と土地開発は表裏一体のものになっているが、そのような理由で遺跡が発見されることなく、美山町の風土がありのままの姿であり続けて欲しいと願うばかりである。
「美山」という美しい響きを持つ同地域の地名や地形、風土について興味惹かれることがまだまだたくさんある。もうしばらく美山町の地域史について調べ、適宜この記録を更新していこうと思う。
そして、美山町をゆっくり散策してみようとも。
以上
