三題噺ショートショートvol.63_解放
落語家もすなる三題噺といふものを、コジも、してみむとてするなり。
企画もの、大の苦手なのである。
どんな親しい人の企画ものでも、なかなか素直には乗れない。
私は、「ルール」とか「決まり事」とか「期限」とか「締め切り」とかという制限事項が世の中で一番嫌いなのだ。
いくつになろうが、聞かん坊の悪ガキ。それが、私、kojuroだからである。
え?落語?三題噺?ヤスシさん?

三題
①鍵の閉め忘れ
②免疫力
③ポイントを貯める(※「ポイ活」でもOK)
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
コジ、別名、天の邪鬼志朗だろ。「もし書けなかったとしても、それはそれでOK。でも、やってみなきゃ、もったいない!」なんてこと言われたら、逆に書きたくなるんじゃないの?
なんのはなしですか。

わかったよ、書くよ。書く書く。書けば良いんでしょ、リトル。それで、いいんだろ?
ブラックホールよりも重い重い重い腰を上げて、半ば自暴自棄に筆を執る。
さて。では、三題噺ショートショート「解放」まいりましょうか。

誠はマウンドに立っていた。
予選の準々決勝。
相手は県下トップの強豪。正直、勝ち目なんて無い。
誠は几帳面で人のミスを許せず。仲間から、少し距離を置かれていた。
今朝、その誠が遅刻をしたのだ。人生初の。
どうにかして勝ちたくて。配球を考え抜いて寝落ちたのだ。
投球練習を始めた。
だが一球投げるごとに、置き忘れたルーチンワークが頭をよぎった。
鍵を閉め忘れた!
コンビニの支払いでポイ活を失念した!
免疫力強化のヨーグルトを食べ忘れた!
頭の中は、吹き飛んで真っ白になった。
深呼吸して心に決めた。
「開き直る!無心で投げる!」
捕手のサインに首を振らなかった。
仲間のエラーを、笑顔で「ドンマイ!」と励ました。
味方打線が凡打を重ねても、大声で「次は打つぞ!」と檄を飛ばした。
気付けば試合終了。
10-9。ジャイアントキリングだ。
チームメイトに囲まれ、言われた。
「あんな大らかな誠、初めて見た。今日の誠は、すごく良かった」
その日から誠は、潔癖を捨てた。

そんなこんなを家内と語らおうとしてソファーに目をやると、家内が脚を指さしてニッコリと笑っていた。
「コジくん、マッサー(注1)してね。心を解放してやると、マッサージする人もリフレッシュ出来るらしいよ」
「…」
マッサージをすると、家内は、上機嫌である。
家内が上機嫌だと、我が家は平和である。
だから。
これで、いいのだ。

(注1)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。
今日の投稿を入れて、63作。俺にしちゃあ、三題噺もけっこう書くには書いたが。これ、どこまで続くの?
いつまで書くの?
初回から一年を超え、まだまだお題を発してくれるヤスシさんとの根競べだ。

