第百五十四回:【わわわ説明術】応用編その27:予備知識は「薄める」
今日は2026年8月14日です。お盆期間に入りました。私は例年、お盆期間は引きこもってパソコンをペチペチしまくります。人混みが苦手だからです。ほんで、お盆期間が終わって、みなさんの仕事が始まったくらいの時期を狙って長めの休みを取ります。他人が働いているときに取る休みはサイコーだからです。今年も8月22日から旅行の予定が入っています。そんな天邪鬼な生活っぷりを披露したところで、今回もゆるく行ってみましょう。超不定期連載「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムでございまぁす。このコーナーでは、各用語の説明ページでは取り上げにくいIT関連のネタをテーマに、だらだらと思いついたことを書いていきます。みなさんが「あぁ、なんか役に立ちそうな気もするけど、役に立たないかなぁ。でも、もしかしたら役に立つかも」と思える情報を発信できるように頑張ります!
はじめに
栄えある百五十四回目のテーマは……ピヨピヨピヨピヨ(ぴよぴよ的ドラムロール)……じゃん!
【わわわ説明術】応用編その27:予備知識は「薄める」
です。
今回もITと関係ないネタですが、どーんまい。
わわわ説明術コラムは『「分かった!」と思わせる説明の技術 知識ゼロの相手にも伝わるようになる本』の販促コラムという位置付けです……が、ネタ切れしました。
「本の内容と絡めよう」というこだわりを捨てて、テーマが「説明」なら何でも良いことにして連載を続けています。
とはいえ、一応、販促コラムです。
たまに本の宣伝を挟むかもしれませんが、ご容赦ください。

あと、今回はノウハウ紹介です。
今回ご紹介するノウハウは
情報量を減らすために、予備知識の説明は「本題を理解するために必要な分だけ」に絞る
です。
最後まで読んでくださる方は、この結論を知らないことにして読み進めてください。
前回のあらすじ
今回のコラムは前回の続きです。
気が向いたら、前回のコラムから読んでやってください。
とはいえ「読むのが面倒くさい」という人もいるでしょう。
そんな人に向けて、前回の内容をダイジェストで、お届けしておきます。
前回のコラムでは
すべての説明は、どこかに前提を置かざるを得ない。この「どこか」を、どこにするかで想定読者が変わるよ
という話をしました。
仮に、その知識を理解するまでに10段階の理解が必要だとしましょう。

前提が「読者は8段階くらいまでは理解しているよね」であれば、それは初心者向けの説明では、ありません。

前提が「読者は、せいぜい2段階くらいまでしか理解していないよね」であれば、それは初心者向けの説明です。

同じ物事を説明する場合でも、どこに前提を置いて、どれだけ初歩的なところから説明するかで、初心者向けか否かが変わるわけです。
前回のコラムでは、そんな感じのことを語りました。
それを踏まえて、今回のコラムでは
初心者向けの説明における予備知識の出し方
について語ってみます。
「薄める」とは
それでは本題に入ります……の前に、認識合わせをしておきます。
今回のコラムでは「狭める」「薄める」という表現が出てきます。
この「狭める」「薄める」は『「分かった!」と思わせる説明の技術』のP103で出てくる「狭める」「薄める」です。
該当の文章は以下の通りです。
端折るときの方向性は2つあります。それは
①狭める
②薄める
です。
仮に、伝えたい情報を構成する要素がAとBの2つだったとしましょう。
AかBのどちらかしか説明しないのが「①狭める」です。
AとBを両方とも説明するけど、中身を端折ってA’とB’に加工してから伝えるのが「②薄める」になります。
※『「分かった!」と思わせる説明の技術』P103より引用
今回のコラムで出てくる「狭める」「薄める」は、そのような意味です。
それを踏まえて、読み進めてください。
なお「この引用だけじゃ、よく分からないよ」という人は本を読んでください。
本では、例を挙げて、もう少し詳しく説明しています(宣伝)。
予備知識の説明において「狭める」はダメ
それでは今度こそ本題に入ります。
初心者向けの説明では、予備知識の説明が多くなりがちです。
想定読者の知識レベルを低めに見積もる必要があるからです。
初心者向けの説明にするには「これくらいは知っているよね」を減らして「ここも説明してあげた方が良いよね」を増やす必要があります。
その結果、下手をすると、予備知識の説明の方が本題の説明よりも長くなったりします。

そうすると、やりたくなるのが予備知識の説明を「狭める」ことです。
「長くなるから、ここはカット!」をやりたくなります。
ですが、それをやってしまうと、初心者向けの説明になりません。
例えば「権威DNSサーバ」という用語の意味を説明するとしましょう。
「IPアドレスが何か知らないくらいの初心者」を想定するのであれば、予備知識として
・IPアドレス
・ドメイン名
・DNS
・DNSサーバ
くらいは説明してあげる必要があります。
「権威DNSサーバ」を理解するには「DNSサーバ」を理解する必要があり「DNSサーバ」を理解するには「DNS」を理解する必要があり「DNS」を理解するには「IPアドレス」と「ドメイン名」を理解する必要があるからです。

「長くなるから」という理由で「IPアドレス」と「ドメイン名」の説明を省いたとしましょう。
そうすると、想定読者が「ドメイン名の意味くらいは知っている人」になります。
「IPアドレスが何か知らないくらいの初心者」から想定読者が変わっちゃいましたね。

予備知識の説明に対して「狭める」を適用すると、想定読者が変わります。
「初心者向け」が「当初想定していた『初心者』より、もうちょっと知っている人向け」になっちゃうのです。
ですから「初心者向け」を維持するのであれば、どれだけ説明が長くなろうと
予備知識の説明に対して「狭める」を適用しちゃダメ
なのです。
どれだけ長くなろうと、必要な分を必要な分だけ説明する必要があります。
とはいえ、現実には時間的な制約があったりします。
そこで
予備知識の説明に対して「薄める」を適用する
わけです。
目的は「本題の説明の理解」
前の節で
予備知識の説明に対して「狭める」を適用しちゃダメ
と言いました。
代わりにやるのが
予備知識の説明に対して「薄める」を適用する
です。
「薄める」ときのポイントは
「本題の説明を理解するために必要か?」を考えて、説明する情報を削る
ことです。
例えば「権威DNSサーバ」を説明する際の予備知識として「IPアドレス」を説明するとします。
このときに必要な説明というのは、せいぜい
1.IPアドレスは住所に相当する情報だよ
2.コンピュータさんが使うよ
くらいでしょう。
特に重要なのは「2.コンピュータさんが使うよ」の部分です。
IPアドレスはコンピュータさん向けの情報なのですね。
一方、ドメイン名は人間様向けの情報です。
コンピュータさんはコンピュータさんが分かりやすいIPアドレスを使い、人間様は人間様が分かりやすいドメイン名を使えるようにするために、IPアドレスとドメイン名の対応を管理しているのがDNSなのです。
だから、DNSを理解してもらうためには「IPアドレスはコンピュータさん向けの情報だよ」というのを説明しておく必要があります。
これが「サブネットマスク」という用語の説明になると、話が変わります。
サブネットマスクは、IPアドレスのどこからどこまでが「どのネットワークですよ~」な情報で、どこからどこまでが「どのコンピュータですよ~」な情報かを示す情報です。
「サブネットマスク」の説明をするときも、予備知識として「IPアドレス」の説明をしておく必要があります。
このときに必要なのは
1.IPアドレスは住所に相当する情報だよ
2.IPアドレスには「どのネットワークですよ~」という情報が書かれているよ
3.IPアドレスには「どのコンピュータですよ~」という情報が書かれているよ
という説明です。
IPアドレスには「どのネットワークですよ~」という情報と「どのコンピュータですよ~」という情報が含まれていることを知らないと、サブネットマスクが何か理解できないからです。
説明しているのは同じ「IPアドレス」という用語です。
ですが「権威DNSサーバ」の説明をしているのか「サブネットマスク」の説明をしているのかで出すべき情報は変わります。
目的は、あくまで
本題の説明を理解してもらう
です。
そのために必要だから予備知識の説明をしていることを忘れないでくださいね。
当たり前の話ではあるのですが
1.本題の説明を理解するために必要な予備知識は説明する
2.本題の説明を理解するために必要ない予備知識は説明しない
です。
それが「必要十分」な予備知識の説明です。
まとめ
今回は
【わわわ説明術】応用編その27:予備知識は「薄める」
というテーマで好き勝手に語ってみました。
今回のコラムで、ご紹介したノウハウは
情報量を減らすために、予備知識の説明は「本題を理解するために必要な分だけ」に絞る
です。
予備知識の説明で「狭める」をやると対象読者が変わってしまいます。
ですから、予備知識の説明において情報量を減らしたいときは「薄める」をやります。
「薄める」ときのポイントは
「本題の説明を理解するために必要か?」を考えて、説明する情報を削る
ことです。
1.本題の説明を理解するために必要な予備知識は説明する
2.本題の説明を理解するために必要ない予備知識は説明しない
で「必要十分」な予備知識の説明になるからです。
【わわわ説明術】応用編シリーズ
応用編その1:1文字削るな
応用編その2:認知負荷を上げる
応用編その3:視覚効果を考える
応用編その4:誤解の許容範囲を設計する
応用編その5:正対しない
応用編その6:相手を憑依させる
応用編その7:説得の技術
応用編その8:その文字、いる?
応用編その9:「1文字削る」の実践例
応用編その10:優先順位を付ける
応用編その11:理解が大事
応用編その12:サンクコストを無視する
応用編その13:誰にとっての良い説明?
応用編その14:肩書で殴る
応用編その15:「体験」をデザインする
応用編その16:語らないで語る
応用編その17:説明は毒の沼
応用編その18:「正確な説明」は諦めるVer.2.0
応用編その19:たとえ話について語るよ(1)
応用編その20:たとえ話について語るよ(2)
応用編その21:たとえ話について語るよ(3)
応用編その22:繰り返すVer.1.1
応用編その23:質問に答える
応用編その24:アイを叫べ
応用編その25:補足の入れ方がメッセージになる
応用編その26:前提を決める
応用編その27:予備知識は「薄める」【このページ】
応用編その28:点を丸に変える
思いつきで始めて惰性で続けている「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムですが、いかがでしたでしょうか。また何かネタがあったら、ちまちまと更新していきます。コンゴトモヨロシク。






