第百二十一回:【わわわ説明術】応用編その1:1文字削るな
今日は2026年2月15日です。2月10日に「無能を愛せ」というコラムを公開しているので、今月2回目のコラム更新になります。その前は2ヵ月空いたのですけどね。「超不定期連載」の名に恥じない不定期っぷりです。そんな与太話をしたところで、今回もゆるく行ってみましょう。超不定期連載「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムでございまぁす。このコーナーでは、各用語の説明ページでは取り上げにくいIT関連のネタをテーマに、だらだらと思いついたことを書いていきます。みなさんが「あぁ、なんか役に立ちそうな気もするけど、役に立たないかなぁ。でも、もしかしたら役に立つかも」と思える情報を発信できるように頑張ります!
はじめに
栄えある百二十一回目のテーマは……ピヨピヨピヨピヨ(ぴよぴよ的ドラムロール)……じゃん!
【わわわ説明術】応用編その1:1文字削るな
です。
やっぱり今回もITと関係ないネタですが、どーんまい。
去年『「分かった!」と思わせる説明の技術 知識ゼロの相手にも伝わるようになる本』という本を出版させていただいたのですね。
その本の「はじめに」で以下のように書きました。
本書では、"わわわIT用語辞典"の運営を通じて私が得た、分かりやすく説明するためのノウハウを余すところなくお伝えします。
ゴメンなさい。
思いっきりウソです。
余しまくっています。
別に出し惜しみをしたわけじゃないのですけどね。
「これを実践するのは難易度が高いな。私だって、できていないし」とか「感覚でやっているから上手く言語化できないんだよね」とか「これは文章を書くときしか使えないな」とか「これは"おもてなしの視点"というコンセプトから外れるな」とかの理由で、お蔵入りさせたノウハウが結構あるのです。
そんな経緯を踏まえて、今回のコラムでは『「分かった!」と思わせる説明の技術』に書かなかった(書けなかった)説明のノウハウを少しだけご紹介します。
ちなみに「少しだけ」なのは「分けて書いたらシリーズ化できるな。その度に本の宣伝もできるな。ぐへへへへ」と考えたからです。
1回の投稿につき1ノウハウで、何回かに分けて、ご紹介しますね。
なお、今回ご紹介するノウハウは
表現を印象操作に使う
です。
何気に難易度が高い気もしますが、気が向いたら、やってみてください。
本に書いたこと
『「分かった!」と思わせる説明の技術』の中で「1文字削る」というノウハウを紹介しています。
ちなみに、P185から始まる節に書いてある内容です。
この節で主張している内容は
同じ情報が同じニュアンスで伝わるのであれば、読む文章は短い方が楽だよね
です。
その事例として「ケーキ作りの勉強をする(11文字)」と「ケーキ作りを勉強する(10文字)」であれば後者の方が1文字少ないので「ケーキ作りを勉強する(10文字)」という表現を使おう、的な内容が書いてあります。
実は、この説明、ウソです。
……というのは言い過ぎですが、自分で書いておきながら少しだけモヤモヤしています。
その理由は「1文字削る」をやるのは「同じ情報が同じニュアンスで伝わる」ときだからです。
本に書いていないこと
「1文字削る」の事例で挙げた「ケーキ作りの勉強をする」と「ケーキ作りを勉強する」は「同じ情報」です。
ただし、私の感覚では「同じニュアンス」では、ありません。
感覚的な話になってしまうのですが、それぞれの文に対して
ケーキ作りの勉強をする:「勉強」に重心がある
ケーキ作りを勉強する:「ケーキ作り」に重心がある
という印象を私は持っています。
「ケーキ作りの勉強をする」の「ケーキ作り」は「勉強」の修飾語です。
「勉強」という情報を補足する形になっています。
そのため、何となく「これは脇役だよね」と感じるのです。

一方「ケーキ作りを勉強する」の「ケーキ作り」は目的語です。
「ケーキ作りを!」「勉強するのだ!」です。
そのため、何となく「これは主役だよね」と感じます。

基本的には感覚で判断していますが、無理やり言語化すると
文の構造によって、それぞれの単語が持つ「重さ」が変わる
と捉えているのだと思います。
ちなみに、言語学的な裏付けとかは、ありません。
あくまで「私が、そう感じる」というだけの話です。
ただし、私はそう感じているので、例えば「たくさん勉強したよ!」と言いたいときは
昨日はケーキ作りの勉強をした。今日は会計の勉強をした。明日はマーケティングの勉強をする。
のような文章にします。
「いろいろなことを勉強したよ!」と言いたいときは
昨日はケーキ作りを勉強した。今日は会計を勉強した。明日はマーケティングを勉強する。
のような文章にします。
いかがでしょう?
少し印象が違いませんか?
……えっ?違う気がしない?同じだと思う?
……(--)
それなら「1文字削る」を実践して「ケーキ作りを勉強する」を選べば良いと思いまっす(-ε-)
結局、何をしているかと言うとですね。
ちょっと大袈裟な言い方になってしまうのですが
表現を印象操作に使っている
のです。
同じ情報を出す場合でも、相手にどのように受け取ってほしいかによって微妙に表現を調整しています。
……ということを、やっている場合もあります。
正直、すべての文章に対しては、やりません(やれません)。
そんなことをやったら、脳みそがパンクしてしまいます。
とはいえ
丸く掃いたって良いじゃありませんか。やらないよりは、よっぽどマシです。
※『「分かった!」と思わせる説明の技術』P218より引用
です。
自分に余裕があるときや気が向いたときには「相手が文として認識したときに、どのような印象を持つかな?」を想像して表現を調整しています。
まとめ
今回は
【わわわ説明術】応用編その1:1文字削るな
というテーマで好き勝手に語ってみました。
今回のコラムで、ご紹介したノウハウは
表現を印象操作に使う
です。
感覚的なものですし、いつもやっているわけではないので本に書きませんでしたけどね。
気が向いたら、チャレンジしてみてください。
【わわわ説明術】応用編シリーズ
応用編その1:1文字削るな【このページ】
応用編その2:認知負荷を上げる
応用編その3:視覚効果を考える
応用編その4:誤解の許容範囲を設計する
応用編その5:正対しない
応用編その6:相手を憑依させる
応用編その7:説得の技術
応用編その8:その文字、いる?
応用編その9:「1文字削る」の実践例
応用編その10:優先順位を付ける
応用編その11:理解が大事
応用編その12:サンクコストを無視する
応用編その13:誰にとっての良い説明?
応用編その14:肩書で殴る
応用編その15:「体験」をデザインする
応用編その16:語らないで語る
応用編その17:説明は毒の沼
応用編その18:「正確な説明」は諦めるVer.2.0
応用編その19:たとえ話について語るよ(1)
応用編その20:たとえ話について語るよ(2)
応用編その21:たとえ話について語るよ(3)
応用編その22:繰り返すVer.1.1
応用編その23:質問に答える
応用編その24:アイを叫べ
応用編その25:補足の入れ方がメッセージになる
応用編その26:前提を決める
応用編その27:予備知識は「薄める」
応用編その28:点を丸に変える
応用編その29:難易度は情報量である
思いつきで始めて惰性で続けている「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるITコラムですが、いかがでしたでしょうか。また何かネタがあったら、ちまちまと更新していきます。コンゴトモヨロシク。






