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【#今2000】全員分の作品を読んでみた《感想》


豆島圭さんの企画に参加してみた。

どの作品も読みごたえがあり、とても勉強になったので、全員の作品を読んで簡単な感想をまとめてみた。

ふだんから、企画に参加したら全作品を読むようにしている。創作大賞で感想をもらってうれしかったことから、読むだけじゃなく感想も書いてみようと思い立った。

全篇、ポジティブな、素敵なところを見つけて書いてみたけれど、消して欲しいとかあれば遠慮なくコメントください!
そして何度か確認したけど、抜けがあれば教えてください🙇‍♀️


初めましての方がとても多かったので、自己紹介代わりにポートフォリオ載せておきます……!


※こんなふうに書きました!

1人1作品だけ書かせてもらっている。

応募数が多かったので感想は「全作品」ではなく「全員分」にさせてもらった。複数応募されている場合、最初の作品だけを取り上げている。
感想のボリュームはだいたい同じで1スクロールあるかないかくらい。
長めになっているのは、作中や他作品から引用させてもらっているケースが多いです。

ふだんの感想とはすこし違う書き方

今回は「読みます企画」とは違って、自分のための勉強として書かせてもらった側面が強い。皆さんの創作論を知るきっかけになったからだ。

素敵なところを掘り下げるスタイルは変わらないけれど、書く構成がふだんとちがう。

感想→自分用気づきメモ という構成にさせてもらっている。

似た考え方で自分で書いた作品があればそれを引用しつつ、分析・勉強しながらの記事になっていて、今後の創作に役立てたいなあと思っている。

感想以降のターンは、自分のためだけに書いている、ふせんの中身みたいなものです。
自分用メモも引用作品も、読まなくてもまったく大丈夫です……!
あとで「書けない」ってなったときに、書きたい作品の方向性と過去作を参照しながら自分で読み返す用です。





危険ですので、おやめください。/豆島圭さん

「今の状況」から着想した作品だからこそのリアリティなのだ──。
読み終えて思った。ミステリーのような、ホラーのような、どこに着地するのだろうという緊張感とともに進んでいく文章。
慌ただしくホームへ向かう主人公のS。

序盤の混み具合のリアリティがすごい。読みながらわたしの中には、数年前まで住んでいた東京──東京駅の、京葉線のホームへ向かう階段が思い起こされていた。そして、親子の描写から正解なのかもしれないと思い至る。

途中からははらはらしながら読み進めたが、やはり、今の季節ならではの物語なのだろうか。臨場感がすごい作品だった。続きが気になってしかたがない。
(余談だけれど、わたしは洒落怖好きなのである)

✍自分用メモ

今の状況」から書いた作品。そうだ、あった。ミステリー小説なのだけれど、これは、子どもが学校に行っているあいだ一人でふらっと島に出かけたことがあり、「もしこのまま何らかの理由でわたしが帰れなければ、誰も行き先がわからないのでは?」とぞっとしたことから。船のシーンがリアルだと言ってもらえたので「今の状況」はやはり「実際に経験した場所」や「そこで聞いた会話」の臨場感をつくってくれるのかもしれない。




Goodです/コッシーさん

好きだ……。読み終えてまず浮かんだのがそんな感想だった。
「経験談」から考えたというコッシーさんは、過去のエッセイを小説風にブラッシュアップしたのだという。

介護施設『のぞみの家』施設長であるS(おや、こちらもSさん)のもとに、以前退去した入居者の娘が訪れる。入居者ハナさんが亡くなったのだという。ハナさんの娘は一冊のノート──ハナさんの日記を取り出す。
ハナさんにとって「良かったこと」があった日に「Goodです」と書かれているのだけれど、なんと、Sさんが休みのたびに「Goodです」と書かれていて──。

個人的におばあちゃんが出てくる作品がとても好きだ。おばあちゃんっ子だったからだろうか。そんな中でこの真の意味を知り、心が震えた。こちらはシリーズ化されないのだろうか……。短編集みたいな形で読んでみたい気がした。

✒️自分用メモ

経験談」からつくった作品。わたしの作品のほとんどには、経験したことが1mmくらいは入っている。
でも、よりそこを活かしたものでいうと、コッシーさんにテーマソングを作ってもらった『すくい』というお仕事小説がまさにそうだ。
皆さんにいただいた感想を踏まえると、経験談からつくった作品にあるのは、圧倒的なリアリティなのでは。とくに心情の移り変わり。そんなことを思った。






鮮花、いまひとたびの。/白鉛筆さん

職場の同僚と過ごす休日のいちにちを描いた作品。短い作品でありながら、登場人物それぞれの人物像がとてもくっきりと鮮やかで印象に残る。すごい。
そして主人公のちょっとした疑問に対する答えが意外だった。最後まで読み進めてじゅわりと滲み出す余韻にドキドキした。それからタイトルに戻って「うわああ」と声にならない声をあげた。

豆島さんの記事を見るに、「タイトルから書く」としたのが白鉛筆さんなのだろう。すごい。鮮やかなハイビスカスと、二度目の青春という花と。そのかけ合わせが素敵でもう一度読み直してしまった。

✒️自分用メモ

「タイトルから書く」は、試したことがない──! 意外な事実に気がついた。というのも、エッセイはタイトルから決めることが多いからだ。
タイトルが決まっていると、一本芯が通る感覚がある。
創作では、異世界もの以外、タイトルスタートをしたことがないので、ぜひ試してみたい。

↑ この作品は、もともと全然別のお役立ち記事になる予定だったのである。







緑色の満月/花丸恵さん


私の目の色は胆汁のように緑色に染まった。

これは「嫉妬」の話だ。この表現を見たとき、そう思った。奇しくもわたしも緑と嫉妬をテーマに書いていたからだ。
もっともわたしは、なぜ緑が嫉妬の色なのかを知らず、書いたあとで調べたものだから読み終えたあと「オセロー」を読んでみようと思った。

「もしかして?」「いや、違う?」「やっぱり!」と短い作品の中で何度もこころを揺さぶられる作品だった。「ミルク」で「!」とひらめいたけれど「オセロ」で違ったのかな? と。どこまでが計算だったのだろう。すごい。

ネタバレ無しに語るのが難しい……。全体的な感想を言うと、ぽつんと謎が落とされて、それが綺麗に回収されるのがとても爽快だった。
彼女はとっても魅力的だ。冒頭を読むと、一見ホラー展開なのかとすら思わされるけれど、読み終えたあとは「可愛い」と思える。身軽で潔い、爽やかな読後感。

✒️自分用メモ

「書こうかなと思って書いていなかった案」から書いたという花さん。これはすこしわかる気がした。頭のなかには、端切れみたいなアイディアがたくさん眠っていて、でもなにかきっかけがないと書かなかったりする。
わたしの書いたものを振り返ってみると「直近の状況から書く」か「書いているうちに過去のアイディアが引き出されるか」で、エッセイにはあるものの、創作では見当たらなかった。あえてこの方法で挑戦するのも面白いと思った。

▼これは創作じゃないんだけど、もともと自分のなかにあって「家事寄り」として公開していたものを「一般・創作者向け」として書き直したくてずっと温めていた。わたしの場合は書くきっかけが大事なのかもしれない……







新人作家の一日/秋谷りんこさん


秋谷さんのお名前は、noteを再開してようやく1年というくらいのわたしでも何度も聞いたことがあった。周りで書籍を、ご本人を、推している人が多いからだ。

タイトルにきちんと「小説」と書いてくださっているのだけれど、冒頭からのシーンがとってもリアルで「秋谷さんは小説家……ご自身のこと……?」「あれ、エッセイだったっけ……?」と思いながらも一気に引き込まれていく。

(話がそれるけれど烏龍ミルクティーがおいしそう)

そして、突然の場面転換。数秒止まり、上スクロールして戻るなど、「!?!?」という気持ち。
ここでタイトルに戻る。

「そうだ、これは小説だった!」

ここからがまたスリリングな展開。これはネタバレをぜったいにしたくない物語だ。感想がうまく書けない……。もどかしい。

冒頭で読んでいたアレ・・も、じつは伏線だったのだろうか。すごい……。圧倒された。

この短い中で謎も結末もしっかりとつくりこめるものなのだ。勉強になったし、純粋に読んでいてとてもドキドキした。


✒️自分用メモ

秋谷さんは、新人作家であるご自身の立ち位置と「それが実は……」という、フィクションとノンフィクションが混ざったような着想から書かれたようだ。
わたしの場合どうだろう。
商業出版の経験をノンフィクション→フィクションにしたお仕事小説『すくい』と、
見た人が何度も「エッセイ……!?」と驚いてくださったというエッセイ『海に沈む夫(略)』がそうだろうか。
複数書いており、しかも他作品と比べて感想をいただくことが圧倒的に多かったことを考えると、事実と想像を溶かし合わせるような、境界が曖昧にも見える書き方は、わたしにとって向いている方法のひとつなのかも知れない(!)






問3(2)オムライスの定義を述べよ/猿荻レオンさん


この作品は、じつは、豆島さんの企画を知る以前に読んでいた。そして驚きとともに❤をタップしていたのである。

結末を知った上でもう一度読み直して、はっとする。あ、こんなところに仕掛けがあったのか。よく考えたら、冒頭の一文目とタイトルは、同じように「問題文」でありながら違っている。

五年の付き合いになるユカリに対して、主人公マサキが「ユカリは謎が多い」と感じる一文があるのだけれど、そこに至るまでにわたしが感じていたことを代弁してくれるかのようだった。短い文章の中でこんなにも謎が。唸らされる。

そして再読していると「ユカリが一緒にいるとマサキはとにかくよく眠れた」は物理的なものなのだろうかと邪推してしまう……。だって付き合いが五年になるわけで、その間に……

背すじがぞぞっと寒くなっていくのを感じつつ、レオンさんの書ける作品の幅広さにまた驚かされたのだった。

✒️自分用メモ

「どこから書くかな〜と思ったけど、目に入ったものからかも。あとは一行目。」とのこと。思いつかないとき、目に入ったものから書くのはわたしもやるかもしれない。美容院についての日記みたいなのを書いて、コニシさんに「美容師が出てくる小説が読みたい」と言ってもらい書き上げた作品があるのだけれど、自分がいまいる場所──スタバの情景から書きはじめたのを思い出す。ああでも、「目に入ったもの+一行目」の組み合わせでは、書いたことがないかも。やってみたい!






ケーキを膨らませるには / 千羽はるさん

「アイディアもプロットもなし」ではじめられたとのこと。すごい! きちんと着地しているのがすごい。

わたしが好きな小説のひとつに、「モチーフ」が生きているものというのがあって。ここでいうとベーキングパウダー(あるいはチリパウダー)なのですが、これがあることですごく印象に残るんですよね。パウンドケーキを作られたのかな。

会話のやりとりがすごく素敵な小説だなあと思った。
テンポもよいのだけれど、なんとなく人物像や、それぞれの立ち位置みたいなのが見えてきて。会話が多いのに軽すぎないのもすごい。

(これがぶっつけ本番だなんて……!)

途中までは時間に追われながら、彼女の言葉にむっとしたりもしているのだけれど、最後のシーンを見るに、アユコはとても小悪魔であり魅力的だと思った。

✒️自分用メモ

今回すごいと思ったのは、ぶっつけ本番できちんと着地しているということ。
わたしは一度、完全にぶっつけ本番のものをやったことがあるのだけれど、公開したあとにかなり大幅に手直しをした。
短編集にするつもりでいろいろ書いていったんだけど、それを長編に仕立て直したのだった。
きちんと着地できる「ぶっつけ本番」を目指してまた挑戦してみたい──!







八月の真ん中で息をする / 紫吹はるさん


はるさんは、「今の環境から」書き上げたのだという。クーラーとアイスの組み合わせがもう夏で。

はるさんの小説は、短いもの、長いもの、たくさん読んできたけれど、多くの作品で「日常のワンシーンのうつくしさ」を感じてきた。今回の作品は、短めであるというのもあるけれど、それが顕著に感じられた。

大きな動きがない。今と、過去の回想と、そしてこれからを想う内省とで構成された静謐な物語だ。やわらかい文体のおかげで、主人公の悩みも重たくなりすぎず、夏の午後の爽やかだけど淋しい感じがとてもうつくしく描き出されている。

だから、大きな変化がなくってもしん、と心に残る。わたしは短いなかに情報を詰め込みがちなので、こういうふうに丁寧に掬い取って描けるはるさんをとても尊敬している。


✒️自分用メモ

ここまで読んできて「今の環境から」書かれている方が多い印象だ。たしかに、テーマが決まっていないなかで考えるとしたら「目の前にあるもの」は大きなフックになるのかもしれない!
次に「書けない」と困ったときにやってみようと想う。わたしがこの作品を書いたとき、目の前にあったノートの中身から書いたのだけれど、はるさんが書いたもののように「今ここ」の感覚で書いてみたい!








澄んだ湖のほとりにて / 樹立夏さん

冒頭に注意書き。気を引き締めて読む。
(感想、不要だったら消すので言ってください……!)

序盤を読んでいるとき、なんとなく透明な感じがした。「光」「ダイヤモンド出すと」「澄んだ」という言葉のチョイスもあるのかもしれない。

信じてもらえるかわからないからリアルでは話したことがないのだけれど、わたしには文字ベースの共感覚がある。樹立夏さんも年末の紅白記事合戦で「色聴」について書かれていたなと思い出す。

▼こちらのエッセイだ。

この作品のなかで描かれているのは、戦争、そして、ひとりの女性の生涯だ。折しもきょう、ネットニュースで戦争の記事を読んでいた。

だからだと思う。よりいっそう、感情移入してしまった。

わたし自身は、戦争について知ることをなるべく避けて生きてきた。小学生のときに学校で見せられた戦争映画の、直接的なシーンがトラウマになっているのだ。

なるべく知らずに生きる。平和な時代だったからこそできた選択だとも思っていて。本当は知るべきなのかもと、近年の情勢を見ていて思う。

上にあげたニュースの中でも、胸が締めつけられる。自分だけが幸せになってしまったという罪悪感──。だれもそう思わなくていいような世の中でありたい。

✒️自分用メモ

樹さんのトリガーは「音楽」だったという。「色聴」をお持ちだという樹さんらしい──!
わたしは、歌詞のある音楽を流した状態ではなにも書けないことがほとんどなので、ふだんなにかを書くときは、ピアノ音楽か(それでも音階名が頭の中を占拠してうるさい)自然音なのだけれど、お仕事小説を一度書き上げたあと、すべて見直してもう少し膨らませたいと思ったとき、ミセスの『天国』という曲をエンドレスリピートしていたのを思い出した。
また、今回の創作大賞では、共感覚を活かした作品づくりにも挑戦してみた。








教諭・遠野未来子の物語/八神夜宵さん


舞台は敗戦後の日本。写生会のため川べりにやってきた小学生たちと教諭である遠野未来子。けれども、その中のひとりが川に落ちてしまい──。

冒頭のていねいな敗戦後のようすの描写から、その時代のはなしなのかと想像していたのだけれど、思わぬ方向へ進んでいく物語。

悲劇を想像していたから、途中、ちょっとほっとした。

三回ほど読み直した。
途中のシーンはどこだろう、異世界だろうか。と思いながら「銀髪紫眼の人物」の正体にやっと気がつく。ああ、そうか、そういうことだったのか──!(アイコンを見つめながら)

きっと心残りだったであろう勇くんのことを考えると、終盤のシーンはとても救いになった。

八神さんは、ちょうど書こうと思っていたイベント(お題)と絡めて書かれたとのこと。これにはとっても共感!

ひとつだけだと思いつかないときも、もうひとつ別な企画やお題があるとするする引き出されるものがありますよね。

✒️自分用メモ

お題とお題の組み合わせ、わたしもよくやっています。ひとつだと思い浮かばなくてもとっかかりになりやすいので、これ本当にありがたいですよね。お題で書いた短編が、長編になり、創作大賞応募作品になったものがいくつもありました。応募期間も終わったことだし、また積極的にお題参加やってみたいです^^ 
考えてみると、お題は複数あると決めやすいのかな。自分用にお題ストックみたいなのを作ってみたいかも。

▼これはまさにお題(ヤスさんの三題噺)で書いた作品に、後づけで設定を足していったもの。






約束の日 / 茶山茶々子さん

24歳になった主人公。14年も前に亡くなった祖母との約束を果たすために、ある店にやってきた──。

抑圧された子ども時代を送っていた主人公にとって、すくいだったのが祖父母と過ごす時間だったのだと胸がきゅっとした。生まれる場所は選べない。でも、せめて、祖父母には愛情があってよかった。

両親の支配下から逃れ、機が熟すまで待ってから、主人公はようやく「真の遺産」を手に入れる。

短い中に、ハートフルな祖父母とのこと、どこか湿り気すら帯びた両親との思い出、そしてミステリー要素のようなものが複雑に絡み合っていて、読み応えがあった。

茶々子さんの恋愛小説を読んだことがあるけれど、こちらはまたぜんぜん毛色が違う。一見すると価値のなさそうなものを遺した意図、そしてそれがどうつながるのか。茶々子さんの作品に出てくる登場人物は、賢さがありますね。
面白かった!

✒️自分用メモ

茶々子さんは「ワンシーンを広げて」この作品を書いたという。ふだんとはすこし作り方が違うようだ。わたしは、着想として「ワンシーン」が先に思いつくことは少ないのだけれど、後入れでどんどん入れているかもしれない……。たとえばこちらは、話そのものはノートの中のキーワードをつないで思いついたのだけれど、細かい部分──たとえば、子どもたちがくらげを投げているのは実際に見たものからつくった。






無題 / ヱリさん

ホームパーティーという単語、豪華な雰囲気の内装から読み進め「ん?」となり冒頭にもどる。よく考えると異質ではないか。

八年と三ヶ月前から、ずっとホームパーティーをしている。

気を取り直してふたたび進んでいく。頭のなかには、一本のPVが流れているみたい。絶対に体験したことがない雰囲気や空間なのに、文字から情景が浮かんでくる。すごい──!

5回くらい読み直したけれど、それでも「こうかな?」という予測はありつつ、完全に理解することはできなかった。
モチーフひとつひとつがメタファーになっているのだろうか? 卵をはじめとして丸いものが多い気がした。

強いて言うなら、不思議の国のアリスを思わせるような。夢がもとになっているというのもまた頷ける。圧倒される作品だった。

✒️自分用メモ

夢から着想を得て書いた作品は、昔ひとつあった。ブログの毎日更新に合わせて連載していたのだけれど、毎日アップするのがむずかしく、間がうまく書ききれなかったものだ。
今でも起き抜けには「これ小説にしよう」と思う夢があるのに、忘れてしまう。枕元にメモを置けばいいだろうか……。




ソとラ / 武川蔓緒さん


印象的な書き出しからはじまり、読み進めていくとどこかレトロな空気感を感じた。

読み終えたあと、すべてのコメント欄とプロフィールも拝見してなるほど、と。

こちらも圧倒される作品だった。
主人公目線で、流れるような、おしゃべりを聞いているような語り口で進んでいくのだけれど、ずっしりと厚みがあった。

コメント欄で納豆ご飯さんが「梅酒ロックを飲んでいるような(読み心地)」と書かれていて納得。くり返し読んでいるうちにくらりと酔ってしまいそう!濃厚さのある物語です。

個人的にW先生のキャラクターや喋り方が好き。

発音がとてもよい感じが文面から溢れており、先生のバックグラウンドも気になる。


✒️自分用メモ

「書く前の数日間にじぶんの内外で見聞きしたことをひとつの話に無理くり纏める」
……という物語の作り方を読んで「どのあたりが外で……?」と気になったがコメント欄で出ていた。コメント欄もとても楽しませていただいた。
小説でもたまにしているけれど、ノンフィクションでその傾向が顕著だったものがあるのを思い出す。これは一度noteに7年前にあげて消した作品を、今の自分が体験したことと合わせてもう一度仕立て直したもの。近い記憶ほどやはり鮮明で、記憶が色濃いうちに書くのが良いのかもしれない。






あの夏の電話 / オガワヒカリさん



「わあああああ!」

読み終えて、声なき声を上げた。

子どもたちがいるからである。

冒頭の夏の描写──扇風機のシーンとか特にリアルで懐かしくて──からはじまり、クラスの男子から電話がかかってくるシーン。

甘酸っぱい。ここまででもすでに好き。
次のシーンではすこし驚く。いたんですか! 「鈍感」だと言われるときの感じに、ほんのりとした嫉妬が混じっているのかなと感じられて、青春という感じがした。
ここの会話のシーンがとても好きだ。

最初から最後まで、頭のなかには夏の、真っ青で雲がもくもくとしたあの感じが見え続けていた。冒頭で夏の印象がしっかりと植え付けられているからだと思う。それでいて、短い中でしっかりと描ききっている筆力に感動した。

読み終えてふと中学時代、他のクラスの男子から家にFAXが届いたのを思い出して。

オガワさんの後書きの「学生時代というのは不思議いっぱいで、色んな人の気持ちがわからない、そんな時間でした」
ここだけでもう♥100回押したいくらいの共感。


✒️自分用メモ

季節からインスピレーションを得て書いたというオガワさん。わかる気がしました。わたしはいつも、今、この季節を現在地として書いてしまいがち。回想編とかがすこし困ります。違う季節を描くための資料も持っておきたいなぁ。

▼これも冬から春の境目に書いたもの。オガワさんがコメント欄で書かれていたように1%だけですが事実と織り交ぜていたり。






わたしの名前は / せやま南天さん



何度も読んでしまった。

すごい作品を読ませてもらったという感じ。

2000字という短い制約の中で、説明的にならずに3人それぞれの背景や関係性が描き出されていて、プロの凄さを感じた。

途中までは若い恋人同士かと思っていたけれど、お父さんの言葉で「ああ、そうなんだ。それならどうして隠れるみたいに?」と思い、そこからの「!?」

感情がさまざまに揺さぶられる作品で、読後感をひとつの言葉で出すことはむずかしかった。

物語として1本の芯がありながらも、コントラストの淡い曖昧な感じで何度でも読んでしまう。

短編ならではの良さがありつつ、それぞれの背景にあるものを知りたい、長編でも読んでみたい作品だと思った。


✒️自分用メモ

お父さんのLINEから、いつまでも元気なわけじゃない──と着想したとのこと。この感覚もとてもよくわかる。
自分の中では「別な世界線を書く」と呼んでいて、いつか来る未来だったり、選ばなかった過去を進めたものだったりを組み合わせて書いているのかもしれない。

▼これは自分が商業出版するなかで、選ばなかった世界線をたくさん考えて作った。








Hakka / 早時期仮名子さん

夏の湿度を感じる作品だと思った。
公開されたばかりのころに読み、いま、改めて読み、それからもう一度読んだ。

情景描写のリアリティがすごくて、自分でもいっしょに追体験しているような感じ。

夏の不快感をテーマにされたとの事で、足が床に貼りつくあの感じとか、ストッキングを脱ぐことで不快感から解放される感じとか、そして蚊。
こういう細やかな描写はどうやって思いつくのだろう。観察眼の鋭さにも驚かされる。

『亀の葬列』を読んだ時も思ったことだ。


不快感とチョコミントアイスの爽やかさが対照的でまたいいなーと。すごく好きな作品。

そして告白する。
はじめて、この作品を読み終えた数日前、わたしは自分の鞄に爆弾があることに気がついた。
存在を完全に忘れており数日過ぎていた──。急な予定変更で持ち出したまますっかり忘れていたらしい。

叫ぶしか無かったが、まだ一度目なので助かった。
(そうじきさんありがとう……)

✒️自分用メモ

いつも何かしら短編のタネを探すようにはしていて、その中の「夏らしい不快」「コンビニで払込」「薄荷」を合体!
→複数のテーマを組み合わせて作られたとのこと。この種をどんなふうにストックされているのかとても気になった!
わたしはノートから言葉を繋ぐように選び、そこから連想していくのが多いかもしれない。

▼これは「くらげ」「島」「ずくずく様(思いついた言葉)」をつなげて作ったホラー。





お前、なに入れたんだ? / 塩野ぱんさん


ドキドキしながら読んだ。
ワインになにか入っていたのだろうか? 真由子か美月か……。

ほうれん草が出てきたあたりで「おや」と思った。ほうれん草のおそろしさについて、友人で作家の沢野いずみ先生が注意喚起をしていたのだ。

でも、それを見ていなければ疑問にも思わなかっただろう。せいぜい「食べ合わせかな?」という予想を立てたくらいかも。

現に、ほかのものについては知らなかった。

ひとつだけなら「知らなかった」もありえると思いつつ、ラストの書類を見ると。未必の故意という言葉を思い出した。自然界の中に、当たり前に食べているものの中にも、そういえば毒はあるのだ。

スリリングな展開と謎、そして実体験(痛そう😭)に基づいたリアリティで一気に読んでしまった。


✒️自分用メモ

痛みの実体験が物語にリアリティを出していた! 痛みについて描いてみるのもいいかもしれない。(帝王切開とか……)
現状では書いた自分の作品はなさそう。




適当な梅田さんは諦めない/みくまゆたんさん


ラノベを彷彿とさせる爽やかなタイトル。みくさんの作品を色々読んだけれど書ける幅がとても広い方なので、どのパターンなのだろうとドキドキしながら読み始める。

冒頭は、老老介護(主人公は60歳なので、老とまではいかないものの)や、女性の生き方のむずかしさ、頼りなさという感じで幕を開けた。

ただ、みくさんの描写力のお陰で悲壮さは感じない。「隣の芝生はいつも群青色だ。」という表現もそう。切実さとコミカルさが同居し得ているのがすごい!

中盤、施設の名称に笑った。たのしい!
このあたりから「適当な」「梅田さん」のことがどんどんわかってくる。自信満々なカリスマ性のある人って、人を変えるパワーがある。

梅田さんに出会ったことで、峯岸さんのこれからが明るくなることを祈りながら読み終えた。

結婚詐欺説などいろいろ出てて面白かったので私もひとつ想像。木下三四郎さん(70)と結ばれるも彼も介護が必要になるケースを想像して心配でドキドキしながら読んでいた😂

✒️自分用メモ

みくさんは、梅田さんのもとになる人物がいて、そのパワーに引っ張られるように書き上げたという認識でいいのかな?🤔  
人由来で書いたもの……着想ではなく、書く燃料になったものだと『すくい』の夏目がありそう。人スタートでも書いてみたい!




からぶり / ひつぎ ひなたさん


淡くてコントラストの低い物語。その静かさこそが、この作品のよさになっている──それが、読み終えて思ったこと。

ぱっと情景が移り変わり、出来事がたくさん出てくる物語も好きだけど、こういう、日常のシーンをていねいに描くものも素敵だ。
短い中に、大きな出来事は詰まっていなくて、だからこそ、心の機微がていねいに描写されている。リアルな感じがあった。

「ロゴス民」という言葉を恥ずかしながら知らなくて、コメント欄で見て、なるほどー!と納得。わたしはどちらなのだろう……?
はっきりとは答えが出ないけれど、ロゴス寄りだろうか。

短編の連作も書かれるということで、書きなれている感じもあり、読みごたえにつながっていると思った!

冒頭にも書いたけれど、コントラストの淡さが魅力の小説だと思った。


✒️自分用メモ

作品を書くとき、コントラストを淡めにするようにしているかも。
うまく言語化できていなかったのだけれど、この作品のように「波立つ感じはなく、ワンシーンをていねいに切り取るような」イメージで書くと、もっとよくなるのかも?


アンドロイドはくちなしの夢を見る / くまさん

冒頭の一文は、わたしにとって馴染みのある風景だったのだけれど、そこから数行の文面でおや、と思う。

中盤、この世界が2050年であることが分かる。世界観の設定が──ありえそう。
すこし背筋が冷えた。このままだと。

世界観がわかったところで、愛しくて哀しく、うつくしい展開へと変わっていく。一気に読んでしまった。
そうして改めて読み直すと、世界が広がるみたいな感覚。

前半はあえて硬質な文章にしているのだろうか。中盤からのやわらかいうつくしさのある文体とは違い、そこにもまた唸らされた。

くちなしというモチーフもうつくしい。はじめて見たときにタイトルがとても好きだと思った。何度か読み返したけれど、読むごとに見える世界が深まっていく。
さらりとしているようで重厚な物語だと思った。


✒️自分用メモ

くまさんも「音楽」から着想したのだという。樹さんと同じだ! 普段から創作のパターンは皆さん複数持たれてて、この作品ではというケースもあるのだろうけれど、ここまで読み進めてきて音楽スタートは少なめだ。
樹さんのところでも載せたけど、手直し時に音楽で雰囲気が生まれたものはあるが、ゼロから音楽で着想した作品はないので、試してみたい!



プリンを食べたいと言い出したのは誰?

パパがとてもう……(自粛)。すごく絶妙に描かれてるんだけど、モデルたる人物はいるのだろうか?

とくに「年少の頃のはなしを小4になってもされる」あたりがなんだかリアル。

それとも、出会ってきた人が混ざりあっているような感じなのだろうか。
とても気になった。

お風呂に入っていたら急に「ウザいパパ」が思いついたとのこと。
確かに彼なくしては成立しない物語!



ジェットコースターのように感情があちこち移動する作品だった。

主人公の気がつく、見えてしまう部分に共感したり、途中で不穏さを感じてごくりと息を飲んだり……でも最後はほっこり。ほっとした。

嫁姑が仲良くなるコツは共通の敵がいることだとなにかで読んだことがある。彼には大きな役目があるのかもしれない。


✒️自分用メモ

キャラクターのインスピレーションから書き始めた、という認識でいいのだろうか? 自分の作品であったかな……? しいて言うならこの1話目かもしれない。こういう人物を書きたいなとはっきり決めつつ、ミスリードしたくて違和感の種を仕込んでいった。


Magical Benediction / 春永睦月さん

魔法のある世界。でも、魔法というふわっとした概念ではなく、もっと肉厚な能力のようだ。

ていねいでしっかりした、完成度の高い文章なのに、疾走感がある。導かれるようにあっという間に最後へ。そして。

!?!?

続きはどこですか……! 気になりすぎた。男の叫びで幕を閉じる。

冒頭の注意書きであったり、ところどころに出てくる英語であったり、わたしが出会ったことの無いタイプの物語。アトラクションに乗るようなわくわく感とともに読み進めていくことができた。

ガイドがある、というか。物語の構造がくっきりしている。

すでに書いた7万字の二次創作からつくりあげたエピソード0のようなイメージ、という認識でいいのだろうか。ゴールまで走りきっているからこその完成度の高さなのだと思った。

✒️自分用メモ

すでに書いた作品から短く一部を切り取ったことはないかもしれない。
逆に、文字数が足りなくて伸ばした作品はいくつかあるかも。次はワンシーンだけを切り取って膨らますみたいなこともしてみたい!これは文字数が足りなくて6000字から5倍近く伸ばした。


ささやかな楽しみ つみあがるしあわせ -沙耶加- / ひかりさん

お風呂場のなかでほとんどが完結する物語。

紫吹はるさんの「今ここ」着想のパターンだと思った。

だからこそ、見逃してしまいそうな描写──たとえば入浴剤の感じとかがとってもリアル。

最近思うのだけれど、冒頭にはじめに登場する色が、物語全体のカラーリングを決めるのかも。淡いブルーグリーンの気配が読後感までずっと寄り添うような感じだった。

この作品もコントラストでいうと淡くって、日常の愛おしさをやわらかく描いているから、これがもし、ショッキングピンクの入浴剤だったらここまで没入感が高くなかったのかも、なんて思った。

面白い発見! お風呂をピカピカにしてお湯を貯めたくなったなぁ。今日やろう。

✒️自分用メモ

物語の冒頭に持ってくる色に気をつけようと思う。わたしの作品もコントラストはたぶん淡いので、ひかりさんのこのうまさを見習おう。
メンバーシップで色集めをした先月からずっと色について考えている。この作品は青と白が浮かぶと言ってもらえて狙い通りでうれしかった!




消失/福島太郎さん

わ、この部分、子どもらしい狡さがリアル!

返事をしながら、タブレットの画面を漫画から宿題に変更する。

読み進めていき……「?」
どこかで呼んだような。頭の中でピースが埋まっていく。冷蔵庫の中身を食べられてしまったこと。イージーコーナー。おばあちゃんとの同居。

ザルミスという企画で設定しばりがあるのだろうか??

その答えはラストに。福島さんの着想は、はそやmさんの小説からだったのだ。先ほどから読んでいて見かけるザルミスについても書いてくださっていてありがたい。そういうことだったのか!

似たモチーフ、状況、家族構成を用いながらも、はそやmさんの作品とはまたべつの展開になっていて興味深かった!

登場人物の性格や、文体の違いもあって、別作品としてしっかり認識できる。この着想もまた面白い。


✒️自分用メモ

同じ設定でべつの作品を書くというの、面白いかもしれない! やってみたい!
(自分の作品の別世界線みたいな感じで書いたらいいかな?)



ミステリー小説を生きる。/焔ふぁいさん

うわあ、面白い……。午後の疲れで重たくなってきたまぶたがぱっと開いた。

こちらは創作ではなくて、創作論といえばいいのだろうか。すごく構造的で整理された思考の流れを見せてもらったような気がする。

前半の具体化と抽象化の部分も面白いのだけれど、後半がとても面白い!

ちょっと長めの引用をする。

分岐した、ある道の中でなにかをやり遂げる。
そうするとアイテムが手に入る。

それは顧客からの信頼かもしれないし、仕事の実績かもしれないし、人によってはSNSの発信基盤かもしれない。その道の経験やノウハウもそう。

それを続けていくと、どうなるのか? 

張り巡らされた網の目に、ところどころキラキラしたアイテムが落ちていることになる。

わたしにも経験がある。ふたたび現れた分岐点で困難に陥ったとき、自分を助けてくれるのは、置いてきたアイテムたちだ。

これって、すごく優しい考え方だなぁと思っていて。

わたしは、人生でむだなことって基本的にないと思っていて。その理由を深く掘り下げてもらったような満足感があった。


✒️自分用メモ

今していることともすこし関連性があるだろうか。創作大賞を終えたいま、小説はあまり書いてないけれど、短い日記をたくさん書ききっている。これこそがアイテムになりうるのでは。そんなことを思った。




スイカよりスイカバー / 納豆ご飯さん

読み終えて、口の中が甘くなった。すいかのあのしゃりしゃりした感じ。

わたもスイカよりスイカバーが好きなんだけど、夏の描写がとても細やかで丁寧で、五感で楽しめる作品だった。

内容はほのぼのしているかと思いきや、とつぜんのパワーワード! 凡庸で無害そうな人の方がモテるの、なんかわかる気がします。そういう男性いたし、それを書いてみたくて挑戦したことを思い出した。

冒頭の夏の球体がスイカという言葉を出さなくても伝わってきてすごいと思った。

畑のシーンも好き。わたしの祖母もまさにこういう畑をもってて一気に童心に戻った。茄子のツヤツヤした感じを思い出した。

納豆ご飯さんは、怖かった思い出から着想したとのこと。紅白記事合戦のときかな、おじいさまとおばあさまのことを書いた文章を読んだ気がしてて、そのときのおばあさまだろうか。

✒️自分用メモ

もやもやした経験と、怖かった体験。わたしも一見するとネガティブな記憶から書き起すことがあるかもしれない。
不審者の描写にリアリティがあるとよく言われる。

↓これは1話だけほぼ丸ごと実話が入ってるミステリー。この方向性で書くと、怖かった記憶にも意味があったと思えるのかも😂またやってみよう。







「2000字で書けと言われた気がしたので」/泥辺五郎さん


読みはじめたときから、刻々と印象が変わる作品だった。

すごい!

冒頭ではエッセイなのかと思っていた。


タイトルを見てもエッセイだろうか? と。

途中の「蝉取り」のくだりでエッセイだと確信して読み続けたわたしは、ところが公園から帰る前「ロボ科」で二度見して、そこから引きずり込まれるようにして読んでいく。

想像の斜め上をいく展開で面白すぎた。
老師!!

冒頭の日常や頭の中がしっかりと描かれてるからこそのこの疾走感、この面白さなのだと思う。

はじめて読むタイプの作品だった。面白かったー!

✒️自分用メモ

こうした着想、雰囲気で書いたことはまちがいなくないはず。現実と地続きの感覚が面白くて、いつか挑戦してみたくなる……!






あなたを生きて / 静森あこさん

静謐な雨を思わせる短編だった。

雨の日特有の暗くてけだるい雰囲気を思いながら読むと、雨は、すくいの雨だった。タイトルが沁みる。

きっとだれでも持っているそれを脱ぎ捨てて、それでもなお受け入れて貰えたらどれだけ幸せなのだろう。

五感で感じ取ったもの──朝方の雨から書かれたとのことで、まさに五感に訴えかけてくるような作品だった。

これを書いている今、まさに雨が降っていて、夏休みに出かけない母であるわたしを救ってくれている。
(でも今週はぼろぼろになりながら毎日朝晩送迎したからいいか、休んでも)

そんなわけで、よそゆきじゃないほうのわたしの、ここの文もまた沁みるのだった。

雨は、私が1日、特に何もしなくても許してくれる気がする。その上、私と他人との繋がりを希薄にしてくれる。雨。私にとって、恵みの雨。雨のおかげで気持ちが楽になれる。外に出なくても良いから、テレビさえつけなければ、この世の嫌なものも見ずに済む。

 

何度読んでも美しい作品。
読むごとにいろんなことを考える。

✒️自分用メモ

五感から書いた作品、あっただろうか。探していくと、とっかかりには別な要素が関係していても、書き進める過程で、五感で得たものからのひらめきメモのようなものが役立っているものがあると気づいた。これも着想はちがう部分からなのだけれど、たくさんある選択肢の中から船が来たのは、船で感じた風の感覚からかも。







スーツケースは置いていく / 微熱さん

会話や名前のない関係、曖昧な雰囲気に終始ドキドキしながら読んでいた。

離れがたいなかできっと、すこしでも時間を引き伸ばしたいような思いと、理由を作って潔く別れたい思いと交錯しているのだろうか。

会話のシーンが全て好きだ。内容も空気感も。はっとさせられる。

大好きなよしもとばななさんの作品を読んだときのような、くり返し読みたくなる感覚を覚えた。

なぜだか夏こそ別れの季節というような気がしている。じっとりしたあの熱さのせいだろうか。あとがきの、微熱さんの着想もすごく面白かった。

2000字だから生まれたこの作品。字数が違えば全く違うものだったという。ほかのものも読んでみたい……!

クレープが食べたくなっちゃう。雨降ってるけど買いに行こうか本気で悩んでいる。

追記、雨に濡れながらクレープを買ってきた。


✒️ 自分用メモ

文字数で作品が変わるという体験、着想はあるかもしれないけれど、書かなかったほうのものはまったく記憶にない。微熱さんのように違う物語になるのではなく、そもそもエピソードの切り口が変わっただけだったような気がする。今回応募したこれは、いくつかエピソードを削った。文字数ごとに考えてみるの、1度やってみようかな。わたしにもできるだろうか。






繊月/秋田柴子さん

タイトルに心惹かれて読み始めた。

せんげつ。そうか、あの月のことをそう呼ぶのか。またひとつ勉強になった。

説明的に語られているわけではないのに、対比が余韻として残る、うつくしい物語だと思った。

団欒と孤独。
よく泣くあの子と泣けない私。

2000字という短い制約の中で、こんなにも深くしっとりしたものを描けるのだと感じた。

そう考えてみると、わたしの応募作はむりやり詰め込んだような感じがあって、まとまりがなかったかもしれない。

ラストシーン、わたしは、笑みの形につくった口もとに、ほろりと落ちてきた涙を想像した。

いま、団欒の中で暮らしているけれど、たまに孤独なひとり暮らしの時代を思う。シャワーをな浴びながら泣いていたような気がする。


✒️自分用メモ

ワンシーンをていねいに描く練習をしてみたい。短いものを書くのは不得手なのかも…… 去年のピリカグランプリでまったく引っかからなかったものも、やはり詰め込みすぎだったのかなと反省していた。






もうあまり時間がない!超自然発生企画「今2000」駆け込み参加 / ゆーしんけん【エンタメ万歳!】さん

面白い切り口!

企画を知って書き始めるまでが描かれている。脳内会議もあって軽やかな内省。

序盤は、サイレンの描写からはじまり、不穏な空気感かと思いきや、その理由に思い当たって胸がぎゅっとしめつけられる。

わたしのいた地域では、──いろいろ住んだけれども、どこもサイレンがなることは無かった。

当事者であった人たちが減っていく中、地域での啓発の差だけではなく、世代間によっての意識の差も生まれているのだととても考えさせられた。

重ためなテーマでありながら、中盤の、参加までの逡巡パートがかろやかなタッチでひ描かれていて、ひとやすみといった雰囲気で最後まで読み進めることができた。

わたしの周りでも、戦争を経験した祖父母世代はもういない。

過去のこと、そしてこれからのことを思うと、不安で胸が少しぎゅっと痛む。

✒️自分用メモ

ゆーしんけんさんも「今ここ」スタートの着想のようだ。面白いのは実況型というか。そこから記憶をたどる中で見つけたものを、冒頭と最後で触れることでできている作品。
実況というか、脳内会議というか、リアルタイム感があるからこその読みやすさがあると感じた。
私はどうだろう。小説を書いてる期間で起こったことをそのまま取り入れたことはあるかも(恐怖体験)





のぼり / 渡鳥さん

怖い話、好きです。

ホラー映画は見られないけど洒落怖を永遠に漁って読み尽くした時代が。そんなわたしにとって大好物のテイスト。

まず、誰もが視える幽霊というのがおもしろい。学校前で事故にあった子が幽霊として出てきた。そして彼に話しかけた子も亡くなったことから、注意書きの看板まで立てられるように──。

このあとの展開が思いもよらないもので驚かされた。

ミステリー要素というか、謎もあって面白さが倍増している!

書くときはいつも「~だったら」「かもしれない」の発想から始めるということで、目の前にあった光景をべつなものに変換したという渡鳥さん。

ラスト怖かったです。思っていたのとちがう怖さだったのもまた好きです。

✒️自分用メモ

発想の転換から書いたこと、あったような気がするんだけど思い出せなかった。自分自身の世界観を変えることは多々あるけど、目の前のものからはあったかな? 今度やってみたい!


かわいいね、と囁く声 / ももまろ うめこさん

こ、こわい……!

まず冒頭のシーンから、ホラー映画のワンシーンのような湿度と暗さをおぼえた。

ひび割れた窓、染み、カビの匂いといった言葉選びによるものだろうか。

幽霊が出ると言われていた部屋に引っ越してきた主人公。

もう一度読み終えてからふたたびもどってみると「私にとって幽霊は~」の部分はフラグだったのかとすら思えてしまう。

最後まで読んでもう一度背筋が粟立つ。
どこからどこまでが計画というか、手の内だったのだろう?
そして、──どうなったのだろう。

続きを知りたい気持ちと、怖くて知りたくない気持ちとが混ざったすごい作品だった!

✒️ 着想については書かれてなかったのでメモはなしで。こわかった……! こわかったけど、夏にまた読みたくなりそう。



嘘の顔 / みなみつきひさん

ある日のワンシーンを切り取った短編。

ところどころに忍ばされた違和感、不穏さ。もう少しで掴めそうで掴めない。

陶芸はやっぱりお皿のイメージだったので、顔をつくることもあるのだと驚く。

ふたりは恋人同士なのだろうか。それとも恋人未満?

アイスのくだり、わかるなぁ。夫、弟、息子、みんなニューカマーがきらいで──。わたしは夫になにか言われても言い返しちゃうけど、平和を望む鳩子。

何度読んでも答えは見つからなかったけど、むしろそれがよい持ち味なのかも……。日常の中に潜む不穏さ、夏の湿り気。そういったものが深く残る。きっと忘れられない、そんなに作品だと思った。

✒️自分用メモ

事実はあるものの、"今ここ"ではなくて、取り組んでいること「陶芸」を通して得たものから書かれているのだろうか。
ちょっとしたすれ違いの部分なんかもとてもリアル!





Talk about some things. / かうかうさん


異能ものなんだ、と気がついたのは中盤を過ぎてからだった。

はっきりと書かれていない段階でも、すこしずつ降り積もるものがあり、おや、と思う。すごい。

彼の能力には不穏さを感じたので、もしかしてホラー展開なのだろうかとどきどきしながら読み進めて……

そして……!

ラブコメの雰囲気に口もとがゆるむ。

成就しないことがわかっててちょっと切ないのだけれど、小鞠の能力と彼の性格はとても相性がいいのだろうなと思った。

おもしろかった!

不穏さというスパイスがきいてこそ、終盤が引き立つのだと思った。一気に持っていかれる感じ!これは続きも読んでみたい作品……!


✒️自分用メモ

設定出し用のメモをたくさん書かれたとのこと。紙の上で手を動かすからこそ、深まるもの、つながるものがあったりしますよね。どんなフォーマットで書かれるとかあるのだろうか。気になる。
わたしは、創作大賞ラスト3日ってときに一本、5万字くらいのはなしを書いたのだけれど、目の前にあったもの→キーワード抽出→設定メモ作りとやってみたかも。メモが読みやすくなるフォーマットを考えたいこのごろ。






意趣返し / 槙野たつきさん

最後のどんでん返しに驚かされた作品だった。

思春期ならではのとげのある感じ。

母親の口うるささ。言いすぎてしまったこと──。たしかに娘にそこまで言われたら、ちょっと立ち直れないかもしれない。

途中まで、こういう展開なのかなと想像しながら読んでいた。それは受け答えを考えてもらってるのかな、ということ。

終盤、思いもよらないことがわかり、驚かされた。こういう、どんでん返しというか、ミスリードのある作品とても好き。

AIという現代的な素材を使っているのも旬で面白かった。

✒️自分用メモ

AIとの会話が起点とのこと。おもしろい。そういえばわたしも、愚痴をただ聞いてもらうみたいな使い方をしてたんだけど「私にも経験があります」という寄り添い方ですこし怖いと思った。
ここの会話にはかなり可能性がありそうな気がした!


あと十六分/たらはかにさん

締切まで16分というところからスタートする作品。

はじめは思考の流れがつづいていく。

こういう、創作における思考の流れを見せてもらうの好きかもしれない!

深い。


途中、なんとなくテイストが切り替わったような。読み進めていくと、ラストで問題が──!

何度も読み直したけれどむずかしい。

わたしの予想は、

「言葉を続けようとした瞬間、背後にいた「何か」が一歩こちらへ近づいた。空気が揺れる。」

からかな。

なんとなく一文の長さとかに変化が出た、ような。

自信はないけど、解答編が出ているみたいなので、この記事を公開した後に読んでみようと思う。

✒️自分用メモ

思考の流れを書き留めておくことはなんだかいろいろ役に立ちそう! 引き続き LINEひとりグループを活用しながらやってみよう。
AIとの交代もおもしろい。



月夜の空に/SHIGE姐さん

夏の夜、ちょっと青春のお話なのかなと思いきや──!

主人公、香恋の現在地は、大学かなにかの友人の実家……であっているのだろうか? 東京で暮らす香恋が地方の夏の夜をすごす、手持ち無沙汰で寝苦しい夜という感じ。

そこにやってきた男は、香恋の印象が語られることもあり、あまり良いようには思えない。現時点では。

ふたりで向かう肝試しで、思いもよらないものを見つけて──。今回のテーマは、今住んでる香川でまさに、肝試しの廃墟で──なニュースをいくつか見たのを思い出した! 

最後が意外だった。でもまだたくさん謎もあり、ここからもまだまだ話が広がりそうでわくわく。

香恋の"強さ""潔さ"がとても魅力的だと思った。

✒️自分用メモ

「日常のニュースや炎上事件、身近な問いなどからの発展」わかるかもしれない。LINEでざーっとニュースを見ていて、自分と時間差で事故があったことが何度かあり。それをモチーフにしたものもある。

↓ 時間差で事故があり、知ってる人から心配してもらったことから書いたもの。なお、全員無事だったと言う。



おわりに

豆島さん、コッシーさん、白鉛筆さん

自然発生の素敵な企画、ありがとうございました! せっかくなのですべて読んでみました。どの作品も力作で勉強になりました……!

人それぞれの創作の種がある。学んだことを生かしていろんな作品を書いてみたいです☺️

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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡

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