データ復旧業務 音楽CD系編
皆様、こんにちは!
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
今日もデータ復旧業務について語っていきたいと思います。
昨日までで光ディスクの分類を終わったんでしたね。今日は個別具体的に話を進めていきたいと思います。
というところなんですが、毎日恒例(にしたいと思っている)関係ない話について話しましょう。
紀元前6世紀ごろ、クレタ島にエピメニデスという伝説的な詩人がいました。
そんなエピメニデスは、こんな言葉を残していることで有名です。
クレタ人はみんな嘘つきだ
しかしエピメニデスがクレタ人であることを忘れてはいけません。
クレタ人が嘘しか言わないのだとすると、クレタ人であるエピメニデスのこの言葉は嘘と言うことになり、クレタ人は本当のことしか言わないことになります。
となるとエピメニデスは本当のことを言っていることになり、クレタ人は嘘しか言わないことになります。
曖昧な文章ではないにもかかわらず、その意味がはっきりしない言葉というのもあるわけですね。
私も気をつけていきたいと思います。
CDの構造をちょっと深掘りしてみましょう
「データ復旧業務につきまして その1」で、私はCDの構造を以下のように図示しました。

これは決して間違っているわけではないんですが、じゃあ削る余地はたくさんあるんだな、というところに行き着かないでいただきたいのです。
私、この辺は専門外ですので不正確かも知れないことはご了承いただきたいのですが、一般的に光ディスクで用いられているプラスチックのことを「有機ガラス」というのだと思います。
そして、この有機ガラスを作る際には薄い層を積み重ねて作るんだと思うんですね。
皆様、水族館って行ったことは多分おありですよね?
巨大な水槽の巨大なガラスってどうやって作っているかご存じですか?
あれは実は有機ガラスを少しずつ積み重ねて作るんです。一気に作ろうとすると元々はトロッとした液体である有機ガラスの素材の中に泡が生じてしまって水槽のガラスには向かないことになってしまうんです。
そしてその層が積み上がった構造というのは、層ごとに微妙に光の反射とか屈折の具合が違ってくるんです。
つまり何が言いたいかというと、ある程度以上削ってしまうと、微妙な斑が出てくるということなんです。
少し先走って書いてしまいますと、ブルーレイが記録体を記録面ギリギリのところまで持って来た理由のひとつが、この有機ガラスによるレーザー光線への悪影響を防ぐためということもあります。
従いまして、いくらガラス面が光ディスクの中で一番厚いCDと言えども、どれだけでも削れるということではないということになります。
どのぐらい削れるか。これがなんとも言えないんですね。CDの1枚1枚の個性ということになってしまいます。
ですので、実際の作業としては、1回削るごとに盤面の状況をチェックしつつ、傷の具合を見つつ、まだ削るべきかそうでないかを判断していくという作業になります。
光ディスクというのはまことに繊細なものです。
何度も申し上げるようですが、ぜひ大切にしていただきたく思います。
CDのいろいろな種類
傷がつきにくい光ディスクとして(CDに限らず)記録面が強化ガラスで作られたものもあると聞いています。
実際のものを見たことがありませんのでなんとも言えないのですが、本当のガラス(無機ガラス)ですからねえ。
多分、砥石は役に立たないと思います。
従って、研磨は多分無理かと。
用途と素材別に見ていきましょう
音楽CDとCD-ROMは、記録の内容とその方式が違うだけで物理的には同じものと言っていいと思います。
ただ、音楽CDの中にも、ガラスの部分の品質を上げることによって少しでも音質を向上しようと試みたものは結構たくさんありまして、以下のようなものがあるかと思います。
APO方式スーパーCD
ガラスの部分がポリカーボネートではなく、三井石油化学製のAPO(アモルファス・ポリオレフィン)を使って作られています。
名前を出してしまいますと、TDKコアが小比類巻かほるさんの「TIME THE MOTION LIVE」とアルバム「DISTANCE」をAPO盤のみで発売しました。
特に熱心だったのがキャニオンで、その中でもどういうわけか中島みゆきさんのCDが有名です。1991年の「歌でしか言えない」~1999年の「日-WINGS」「月-WINGS」までAPO盤が発売され、価格は通常盤のCDの500円増しでした。
他には工藤静香さん、CHAGE&ASKAさんなどもAPO盤が発売されています。
TDK、キャニオン以外ではビクター、日本クラウンなどもAPO盤を発売しています。
ARTON(アートン)
JSRが開発した透明樹脂です。透明度が高いため光学特性がよく、温度や湿度にも強いため変形しにくいというのが特徴です。
日本ポリドールが1992年ごろから「スーパー・サウンド・シリーズ」という名前でクラシックやジャズのアートン盤を発売。その後グラモフォンのタイトルからピックアップした限定盤「アートンの世界」を4回ぐらいに渡って販売したようです。
また中島みゆきさんなどJPOPでAPO盤を発売していたキャニオンは、それと並行してクラシックには、このARTONを使用したCDを発売しました。
1998年までに各メーカーあわせて約200タイトルのアートン盤が発売されました。
ZEONEX(ゼオネックス)
「ZEONEX」は日本ゼオンが開発したもので、もともと光ピックアップのレンズなどに使われていました。
ポリカーボネートよりも高い透過率を持ち、きわめて低い吸水性により反りや変形が起きにくいという特徴があります。
ZEONEXを使ったCDはアメリカのClarity Records、Chesky、Wilson Audioなどで製作されたようです。ただ、いずれもタイトル数は多くなかったようです。
このZEONEXの高い透明性を持ち、耐衝撃性と耐熱性を改良した「ZEONOR」は、ヨーロッパやアメリカでSACD(特にハイブリッド…後述)の基盤材料として使用されています。
Blu-spec CD
これも音楽用CDなんですが、ソニー・ミュージックエンタテインメントが開発したものです。略称はBSCD。
ブルーレイディスクの技術を応用しているのが特徴であり、名前もそこから取られたものです。Blu-ray Discの製造技術によって従来のCD製造を見直し、より精密に製造された音楽CDメディアを目指したとされています。
このBlu-spec CDという名称とロゴマーク↓はソニー・ミュージックエンタテインメントの商標です。

このディスクのために新しく開発された高分子ポリカーボネート樹脂を用いています。従来のものより透明度や厚みの変化が少ないため、高精度でCDに記録されたデータを読み出すことができるとされています。
CDを作成するときにもブルーレイの技術を使って精度の高いピットを作成できる効果があるらしいんですが…この辺はもう、あんまりユーザーには関係ないかなという話ですね。
日本で最初のBlu-spec CDはUNICORNのアルバム「シャンブル」らしいです。
Blu-spec CD2
さらに改良を重ねたものらしいんですが、原盤の材料にガラスではなくシリコンウェハーを採用したそうです。それにより精度が高いピットを作成できるとか。
ガラスの原盤はプレス用のメタルマスターを作る必要があったのですが原盤からダイレクトにプレスできるようになり、エラー混入の余地がそれだけ減りました。
さらに、原盤の記録層に、金属酸化物レジスト(熱記録)を採用しました。従来のフォトレジスト(光記録)と比べ、より精度が高いピットを作成できる効果があるんだそうです。
日本で最初のBlu-spec CDはUNICORNのアルバム「Quarter Century Single Best」らしいです。
ちなみに、ロゴマークは↓のものになります。

スーパー・ハイ・マテリアルCD
スーパー・ハイ・マテリアルCD(スーパー・ハイ・マテリアルシーディー、Super High Material CD, 通称・略称:SHM-CD)は、ユニバーサルミュージックジャパンの新倉紀久雄さんが提案し、日本ビクター(現在のJVCケンウッド・クリエイティブメディア株式会社)と共同開発した高音質音楽CDの名称です。
特徴は、ディスク製造プロセスにおいて、通常の製造で使うものよりも透明度が高く、高流動性、高転写性が特徴の別種の液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を素材として採用した点です。このため「高素材CD」とも呼ばれるということです。
他にもいろいろ新技術が使われているらしいんですが、聴取にあたっても研磨にあたっても、そんなに普通のCDと違うものではないんじゃないかと思います。
ロゴマークは↓のとおりです。

ハイ・クオリティCD
ハイ・クオリティCD(ハイ・クオリティシーディー、英語: High Quality CD)は、メモリーテックが開発した高音質音楽CDの名称です。「High Quality CD」の略称で「HQCD」と呼ばれます。
SHM-CDに対抗して作られたもので、基板材料にポリカーボネート樹脂を使い、反射膜素材は特殊合金となってます。反射膜素材に特殊合金を使っているところが特徴でしょうか。
メモリーテックは2015年4月、ハイ・クオリティCDをグレードアップした新商品として、アルティメット・ハイ・クオリティCD (Ultimate High Quality CD, UHQCD) を発表しました。「アルティメット・ハイ・クオリティCD」はメモリーテック社の商標です。
説明があっさりしてますが、まあそういうことですね。
ロゴマークは↓のとおりです。

Extended Resolution Compact Disc
XRCDは、1996年にビクターエンタテインメントの米国現地法人JVC Music Inc.のプロデューサーと日本ビクターディスク事業部(現・JVCケンウッド クリエイティブメディア)のJVCマスタリングセンターによって誕生しました。そのため最初の発売XRCDは、米国で発売されています。しかし、そのプロセスへの評価と共に音質評価が高く、日本へは人気が逆輸入される形で広がり始めました。当然、通常盤より高価でしたが、オーディオ専門店からの評価が高く、CDショップよりもオーディオ専門店で多く販売されているとのことです。正直、私も見たことありません。
また、多くのレーベルが賛同し、国内初のレーベルとなるTBM(Three Blind Mice)をはじめ、レーベルの枠を越えた高音質CDとして認知が広まっていったらしいです。
その後1998年、音質変化要因排除技術であるK2インターフェースがDigital K2に進化するとともに、XRCD2となります。
2002年、24bitK2 ADコンバーター&K2スーパーコーディングの開発と水晶の1万倍という精度を誇るルビジウム・マスタークロック、より高精度なカッティング制御が可能になるDVD-K2 LaserによりXRCD24に進化したそうです。
XRCD24には、アナログのオリジナルマスターから24bitK2 A/Dコンバーターでダイレクト変換してマスタリングされるXRCD24 super analogと、デジタルマスターから制作するXRCD24 refined digitalの2種類があるそうです。また、それまでオリジナル・アナログマスターにこだわり続けていたXRCDもPCM-1630による3/4のオリジナル・デジタルマスターから20bitグレードの高品位デジタル信号に再生成し制作したものも認可。これにXRCD2の名称を使用しています。そのためXRCD2は時期により内容が異なる結果となりました。
2008年には、スーパー・ハイ・マテリアルCDの技術を採用したSHM-CDエディションが発売されています。
ハイレゾと配信が普及した2010年代以降においては、マスターテープの情報を消費者に送り届けるという意味でCDを選択することは無くなり、XRCDも利用価値が低い技術となってしまっていました。そこで専用カッティングマシンなどの生産設備の老朽化と、それに伴う部品確保の難化により、2022年で生産を終了した…という歴史がありました。
過去の技術ですね。
ちなみにロゴマークは↓のとおりです。

スペック上明らかに異質な音楽CD
というわけで、ここまでが普通の音楽ディスク、普通に市販されているCDプレーヤーで再生できる音楽用ディスクなんですが、これらのものを作った人たちには悪いですが、彼らの情熱とは裏腹に、家庭用の音楽CDとしては元々の音楽CDと大して変わらないと思います。
私はよく音楽を聴く人間です。定期的に通っている病院の、私の主治医がまた音楽好き人間なんですがそれゆえにオーディオ談義によくなるんですよ。
そして結論としては「電気を介してオーディオ機器に雑音が入るわ、建物の構造が音楽聴取に向いてないわ、そんな環境でちょっとディスクや再生機材の良し悪しについて語ってもしょうがない。本当に"いい音談義"をしたいのならばオーディオルームしかない建物を作って、専用の電柱を1本立ててもらって、そこからスタートだ」ということになります。
ただ、音楽CDの中で唯一異質なものがあります。それがSACDです。
最近「ハイレゾ」という言葉が音楽好きさん界隈の中で飛び交うようになりました。
LPの時代の音楽を聴いたことがおありの皆様は、CDの音楽を初めて聴いたときにかなり「シャリシャリ」という感じの音に聞こえたんではないでしょうか。で、いつの間にやら慣れてしまったと。
今日はもう結構な文字数になってしまったんで簡単な説明だけにとどめておいて後日じっくりやりたいと思うのですが、普通の音楽CDは下は20Hz、上は20000Hzの範囲内に収まらない音はバッサリ削っています。これが音のシャリシャリ感の原因になります。
単純に正弦波を鳴らして20Hzより低い音が「聞こえますか?」20000Hzより高い音が「聞こえますか?」とやったら、確かに人間にはほぼこの範囲の音しか聞こえないと言っていいんですね。
ですが、20Hz以下の音がそれ以上の音の倍音として聞こえてきた場合、人間には風圧にも似た迫力ある低音に聞こえます。
また20000Hz以上の音がそれ以下の音の倍音として聞こえてきた場合、人間の脳は陶酔状態になることがわかっています。
世界で一番大きく高い、20000Hzを超える音を出す楽器はインドネシアのガムランだと言われているんですが、あっちの方のお祭りで鉄琴みたいな独特の楽器を叩いて一種の狂気に陥っているような映像をご覧になった方も多いんではないかと思います。
というわけで、音楽好きさんたちの間で「そういう音も聞きたい」という声が上がり、それに応える形で開発されたのが「ハイレゾ」です。
今日はもうハイレゾの詳しい説明をする余裕がありませんが、その解のひとつがSACDだと思って下さい。普通のCDでは出せない20Hz以下の音、20000Hz以上の音を出すために作られたCDです。
普通のCDプレーヤーでは、このSACDは再生できません。専用のプレーヤーが必要となるんですが、SACDプレーヤーにかけたらSACDとして機能するし、普通のCDプレーヤーにかけたら普通の音楽CDとして機能する「ハイブリッドCD」というのが発売されています。
SACDもハイブリッドCDも見かけは普通のCDと大差ないんですが、これらは研磨の余地がほとんどないということになります。
この↓ロゴマークを目印にして下さい。

というようなところで、長くなりましたがこれで終わります。
今後ともよろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
