データ復旧業務につきまして その2
皆様こんにちは。
株式会社カチカのオフサイト&コールドバックアップ業務担当の村島です!
今日もデータ復旧業務について語っていきたいと思います。
バックアップの話についてはちょっと脇へ置いておく形になります。
ところで皆様、こんなお話をご存じでしょうか。
円周率の小数点以下は、無限乱数列になると一般的に信じられています。
そして私がこうやって書いている文章は、コンピュータの中では数字として扱われています。そうでないとコンピュータが扱うことができません。
つまり、私は(ほぼ)毎日有限の長さの数列をアウトプットしているわけです。
数列は、有限の長さである限り、無限乱数列の中のどこかには必ず現れます。
そして、円周率というのはおそらく宇宙の初めから変わっていないと思われます。
つまり、私がこうやって長々しく書いている文章は、円周率の小数点以下という形で、宇宙開闢の瞬間からもう既に存在しているということなんです。
そう考えると、毎日こうやって文章を書いているのが少し悲しくなると言うか…。
まあ、物事というのは、宇宙レベルで考えたらだいたい人間のやることなんて「無」に等しいんですけどね。
まあ気を取り直していきましょう。
1回記録可能な光ディスクについて見ていきましょう
というわけで、1回記録可能な光ディスク、つまりCD-RですとかDVD-RですとかBD-Rですとかになりますが、そういうものの特性を見ていきたいと思います。
昨日は読み出し専用ディスクについて申し上げました。読み出し専用ディスクの記録体は、薄い金属膜だということもお伝えしたと思います。
光ディスクというものは、読み出し専用にせよ記録可能なタイプにせよ、記録体に「ピット」と呼ばれる凸凹を作ることによって記録されています。
そして読み出し専用ディスクと違い、記録可能型ディスクはあらかじめ用意された記録体をレーザーで変質させることによって記録を行っています。
ちなみにピットというのはこんな感じですね。

(画像はYITOAマイクロテクノロジー様のサイトより)
https://www.micro-technology.co.jp/ja/corp/technical/analog/oeic/optdisk/
これですね。いま検索してみたところ、出っ張ってるところが1で出っ張ってないところが0みたいな解説が多かったんですが、違うんですよね。出っ張っている/出っ張っていないの変化があるところが1で、出っ張りの具合に変化がないところが0なんです。つまり、出っ張りが続くところも0、出っ張りのない状態が続くところも0、出っ張りの状態に変化があるところが1なんです。これ、あとでちょっと出てきますので頭の片隅に置いておいていただけると幸いです。
というわけなんですが、1回記録可能な光ディスクでは、金属膜に特殊な塗料を塗布して、その塗料をレーザーで変質させます。
この1回書き込み系のご依頼をいただくことは非常に多いです。読み出し専用型に比べて明らかに多いです。
ただ、残念なことを申し上げなければならないのですが、この塗料がですね。変質する性質を持っているということは、レーザーで短時間で変質させることが可能ですが、周囲の環境によって緩やかに変質していく性質も持ち合わせているということなんですよ。
わかりやすく言えば、記録はだんだん消えていくとお考え下さい。
記録型光ディスクが世に出たころは、10年間は保存可能だと言われていました。実際、VHS時代からDVD時代に移行するにあたり私が個人的にVHSからDVDにダビングしたものは20年近く良好な状態を保っています。
しかし、この記録型ディスクが普及し始めると、元々あまり品質の良くないものが市場に出回るようになりました。
「無名メーカーのものは安くても買うな」というのがユーザーの常識になったわけですが、今日日は有名メーカーも製造は無名メーカーに任せてブランドだけ自社のものをつけて売っていたりしますんで、あんまり当てにならないんですよね。「極端に安いものに対しては警戒しましょう」ぐらいの基準にしかならないんです。
記録型光ディスクの中身が失われないために
というわけで、じゃあ一体どうすればいいかという話なんですが。
弊社で承っております1回記録可能な光ディスクをいろいろ拝見しておりますと、短い場合2~3年で記録が飛んでいます。
また、弊社での実験になりますが、CD-Rに音楽を記録して、シーリングライトに向けておいたら20分でデータが消えた事例がありました。
というわけで、長い間保存しておきたいものがおありならば、だいたい2~3年ごとに新しいディスクに記録し直すということを続けられた方がいいのではないかなと思います。
弊社でよくありがちなことなのですが、幼稚園の時の発表会の動画が保存されたディスクを何十年ぶりに持ち出してきて結婚式の上映動画として使いたい、みたいなことをお考えの方がいらっしゃるんですね。
これはかなり厳しいでしょうね。
科学的な根拠はなく弊社の経験則なのですが、記録型光ディスクに保存された映像はちょくちょく見てあげて下さい。その方が長もちする傾向にあるように思われます。
実際、記録が飛んでしまったというブルーレイをお預かりして、盤面の汚れだけ落として、再生チェックを行ったらそれだけでいくらか動画が復活したという例もありました。
記録が飛んでしまったディスクは、研磨という手段ではどうしようもありませんので、データの復旧作業を行うことになります。こうなりますと、作業料金が2桁変わってきますし、そこまでやっても何の痕跡も見つからなかったということも多いんです。
大事な記録は、大事に扱って上げて下さい。PCを使って光ディスク以外の、何かもっと記録が長もちする媒体に保存するのもひとつの手ではあると思います。
嗚呼、悩ましきかなダビング10
ただ、扱いがすごく難しい1回記録型光ディスクというのがあるんです。それがテレビ放送をHDDレコーダーで録画し、それを光ディスクにダビングしたというものになります。
テレビ録画にはダビング10という縛りがかかっています。

(画像はSHARP DVD/BDサポートステーションより)
https://jp.sharp/support/av/dvd/db10_faq.html
この図のとおりなんですが、HDDレコーダーに保存したテレビ番組は、そこから9枚までの記録可能型光ディスクにダビングすることができます。10枚目のディスクに保存したら、HDDからは消去されます。
このタイプのディスクから記録が飛んでしまったら、もうほとんどお手上げなんです。もちろん研磨で何とかなるものでもありませんし、高度な暗号化技術が使われていますのでデータ復旧作業で何らかのデータが取り出せたとしてもまともな動画にはなりません。また、何とかして動画として取り出せたとしても、コピーの一種と見做されて違法となる可能性もあります。
まあねえ、わかるんですよ、こういう仕組みが取り入れられるようになった経緯は。
「録画された動画を楽しむ」というのは、家庭向きとしてはビデオデッキが世に出たときから始まったと思うんですけど、そのころのレンタルビデオって無法地帯だったんです。
ビデオデッキが世に出ると同時に、映画などをビデオカセットに録画した「セルVHS」も世に出たわけですが、そのころってコピーガード的なものが何もかかってなかったんです。後にVHSにもコピーガード機能が搭載されるんですけどね。
というわけで、ビデオデッキを2台用意して赤白黄のコードで繋げば簡単にダビングできたんですね。セルVHSに限らず、テレビ番組でも。
そしてVHSテープのレンタル屋はそういう海賊レンタル店の方がまともなレンタル屋よりはるかに数が多かったという時代がありまして。
映像制作サイドとしてはそりゃ、権利関係に対してピリピリすることも納得できるんですが…。
日本人って、定期的に保存されるテレビ番組を順次録画していってライブラリを作るのがお好きな方が多いように思うんです。
そういう方にとっては、データが飛んでしまいやすい光ディスクが好きなだけ作れないというダビング10という仕組みはまことに酷なような気がいたします。
研磨で対応できないことはもちろん、データ復旧でも打つ手なし、という状況に陥ったときの弊社内の状況はまるでお通夜です。
本当に1000年もつ光ディスクがある?
というわけなんですが、実は本当に1000年もつと言われている光ディスクがあるんです。
それがこの↓Mディスクです。

(画像はAmazonより)
このMディスクは、金属膜に塗料を塗布して…なんてことはやらず、金属膜を直接曲げるという極めて頑丈なやり方で記録を行っています。読み出し専用ディスクを作りだしていると言ってもいい方法です。
ちなみにですが、このMディスクの場合、構造上ピットの凸凹が塗料型のディスクとは逆になります。
ここでお考えいただきたいのですが、凸凹が凸凸と続く、あるいは凹凹と続くときは0、凸凹と、あるいは凹凸と変化するときは1、という記録方式になっているとき、凹凸が丸ごと逆転してもそこから取り出せるデータは同じになる、ということはご理解いただけますでしょうか。
凸が1で凹が0、という記録方式では凹凸が逆転したら別物になってしまいますので、この辺はよく考えられているなという気がしますね。
話を戻しますが、このMディスクなんですが、非常に頑丈なんですがほとんど普及しなかったんですね。
それは1にも2にもお値段が高いからなんですが、それに加えて対応するレコーダーでなければ記録することができなかったからというのもあります。メディアも大概高いですが、レコーダーに至っては民生品は生産中止になっています。中古市場を当たるしかありませんが、何とかなるのかなあ?
企業においてバックアップメディアとしてはまだ生き残っている?という感じがするだけのものになっています。
1回記録型光ディスクと上手くつきあっていくために
というわけで、1回記録型光ディスクはどう使っていったらいいのかということについて考えてみます。
まず、ご自身で撮影されて光ディスクに保存したものは、ほぼ問題ありません。定期的に新しいディスクに移し替えていったら大丈夫だと思いますし、それが面倒くさければPCなどに保存しておいて必要なときにディスクに焼けば何とかなると思います。
お子様の習い事の発表会、などというものに関しては、プロの業者が撮影して、編集して、1回記録型光ディスクに保存して配布する場合なんかがあります。厄介なのは、こういう形で配布されたディスクの中には、コピーガードがかけられたものが結構あるんです。
コピーガードがかけられたディスクから中のデータだけ抜き取ることは、技術的には可能であっても法律的に❌ってことになってしまいます。
裏技があるとすれば、PCでそのDVDなりブルーレイなりを再生し、同時にその再生画面を録画することです。メニュー画面などはなくなってしまいますが、この方法ならギリギリ合法です。ただ、それなりにハイスペックなPCが必要ですし、光ディスクドライブもあることは当然ですが前提になってしまいます。
テレビ放送はですねえ…もしテレビの録画がお好きな方がいらしたらお勧めしたいのは、外付けのHDDやSSDに録画ができるテレビが販売されていますのでそれをご利用になることですね。光ディスク関係ない話にはなってしまいますが。あともうひとついうことがあるとすれば…これ、あんまり詳しく説明できないんだよな…キーワードひとつ書いておきます。どうかご自身でお調べになって下さい。そのキーワードとは「TS抜き」です。
小括
というわけで、今回は1回記録型の光ディスクのみに絞って1文書かせていただきました。
昨日も出した表になりますが

この中で左から2列目の内容を今回は重点的にお話ししたことになりますね。
これに関しては語るべきことがたくさんあったので、やや短めながら1回分に致しました。
明日は他のディスクの話を致しましょう。
というわけで、今日はこの辺で失礼を致します。
今後ともよろしくお願いいたします。
目次
クラウドストレージと遠隔地バックアップの相互補完性
クラウドストレージのデータ消失に関する責任の所在
ディザスタリカバリ手順をあらかじめ決めておくべき理由
弊社でお取り扱いしておりますデータ・OSにつきまして
クラウドストレージのメリット・デメリット
Windowsからの乗り換え先になるか? Linux MintとChrome OS Flex
バックアップの方法 オフライン・オンラインバックアップとは?
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その1
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その2
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その3
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その4
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その5
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その6
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その7
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その8
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! その9
IPAの言うセキュリティ対策の基本を見ていきましょう! ラスト
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その2
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その3
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)を見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その1
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その3
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その4
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その5
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その6
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その7
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その8
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その9
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その10
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その11
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 1
─事件を解決せよ─ CASE2:Webサイトのデータが消えた Part 2
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その12
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 1
─事件を解決せよ─ CASE3:火事でオフィスが焼失 Part 2
ランサムウェア・インシデント発生時の組織向けガイダンスを見ていきましょう!その13(最終回)
今日はバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います その2
オフサイトバックアップに関する最近の話題をつらつら語りたいと思います
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その1
バックアップがきちんとしていれば起きていなかった情報事故 その2
中小企業のための簡単・安価なデータバックアップ戦略 その10
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その1
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その2
大企業における物理的媒体による遠隔地バックアップの重要性 その3
